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ミストラルAI評価額、1兆円に迫る 6月の生成AI世界動向

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CBINSIGHTS
2022年に米オープンAIがChat(チャット)GPTを発表してから生成AI(人工知能)市場は目まぐるしく変化を続けている。ボストン・コンサルティング・グループは生成AIの市場規模が27年に世界で1210億ドル(約18兆円)に達する可能性があると予測している。6月にあった主な生成AIに関連する提携やM&A(合併・買収)についてCBインサイツがまとめた。
日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

主な取引

ミストラル:シリーズB(調達額5億200万ドル、企業価値の評価額62億ドル)

・仏ミストラルAI(Mistral AI)はオープンソースの大規模言語モデル(LLM)と生成AI技術を開発している。

・7回のラウンドで計12億ドルを調達し、創業からわずか1年2カ月で企業価値が60億ドル以上に急上昇した。

・このラウンドの投資家:米ゼネラル・カタリスト(リード)、米アンドリーセン・ホロウィッツ、他18社(人)

ピカ:シリーズB(調達額8000万ドル、企業価値4億7000万ドル)

・米ピカ(Pika)は指示文や画像、他の動画から動画を生成するAIツールを開発している。

・オープンAIの「Sora(ソラ)」、米グーグルの「Veo(ベオ)」、米ランウェイMLなどの動画生成AIがライバルだ。

・このラウンドの投資家:米スパーク・キャピタル(リード)、クレイグ・カルマン氏、他5社(人)

ヘイジェン:シリーズA(調達額6000万ドル、企業価値5億ドル)

・米ヘイジェン(HeyGen)は企業の研修やマーケティング、営業の動画向けにアバター(分身)を生成する動画生成プラットフォームだ。

・この1年で年間経常利益(ARR)が100万ドルから3500万ドル以上に増え、23年4〜6月期以降は黒字を維持している。

・今回調達した資金により商品開発を加速し、AIのセキュリティーや安全性、倫理面を強化する。

・このラウンドの投資家:米ベンチマーク(リード)、アビブ・ネボ氏、他8社(人)

トゥエルブ・ラボ:シリーズA(調達額5000万ドル)

・米トゥエルブ・ラボ(Twelve Labs)は米サンフランシスコに拠点を置く動画の内容を理解する企業。AIを活用して動画コンテンツを検索、生成、分類するAPI(異なるソフトウエア同士をつなぐ仕組み)を提供している。

・24年末までに従業員を現在の2倍近い約80人に増やす計画だ。

・このラウンドの投資家:Nベンチャーズ(リード)、米ニュー・エンター・プライズ・アソシエイツ(NEA、リード)、他5社(人)

巨大テックの動向

メタ、マルチモーダルモデル公開

・米メタのAI基礎研究部門FAIRはテキストから音楽の生成、合成音声の検出など多様な言語タスクをこなすオープンソースの新たなAIモデルと技術を公開した。

・新たなモデルは画像、画像、音声、テキストを組み合わせて入力できる「Chameleon(カメレオン)」、テキストだけでなくコードやビートなど様々な入力から音楽を生成できる「JASCO」、AI生成音声を検出できる「AudioSeal」、複数の単語を同時に予測する「マルチトークン予測」からなる。

エヌビディア、オープンソースモデルを公開

・米エヌビディアはオープンモデル「Nemotron-4 340B」を発表した。医療や金融、小売りなどの業界向けにLLM学習用の合成データを生成する。

・このモデルはエヌビディアのNGCカタログと米ハギングフェイスからアクセスできる。エヌビディアのマイクロサービス「NIM」としても近く利用できるようになる。

ハギングフェイス、スペインのアーギラを買収

・米ハギングフェイスはオープンソースのデータキュレーション基盤アーギラ(Argilla)を1000万ドルで買収した。両社は1年前から提携していた。

・アーギラはハギングフェイスの資源を活用し、傘下で独立した事業を運営する。

グーグル、ウエアラブル向けAIを発表

・グーグルはLLM「Gemini(ジェミニ)」を微調整した「PH-LLM」を発表した。ウエアラブル端末から得たデータを解釈し、睡眠や運動について人間の専門家に匹敵するアドバイスを提供する。

・同社は言語スキルとコード生成、検索機能を駆使してウエアラブル端末から得た健康データを分析するAIエージェント「PHIA」も発表した。PHIAの健康知識に関する質問の正答率は84%だった。

オープンAI、米マルチを買収

・オープンAIは画面共有プラットフォームのマルチ(Multi)を買収した。マルチは米アップルのパソコン「マック」を使った遠隔での協業に特化している。

・マルチは画面の共有によりチームがスムーズに協業できる動画プラットフォームを開発した。5人からなる同社のチームはオープンAIの対話型AI「ChatGPT」のデスクトップ部門に加わり、マルチのプラットフォームは廃止される。

提携

アップル、音声AI「シリ」高度化でオープンAIと提携

・アップルは開発者会議「WWDC」で新たなAI戦略「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」を発表した。オープンAIとの提携により「チャットGPT/GPT-4」を搭載し、Siri(シリ)がもっと複雑な質問に答えられるようにする。

・この提携により、画像生成や文書理解など追加のチャットGPTツールが新しい基本ソフト(OS)に搭載される。こうした新機能は今後提供される「iOS 18」「iPadOS」「macOS 15」で利用できるようになる。

デル、エヌビディア、米サーバー大手スーパー・マイクロ・コンピューター、米xAIのスパコンで提携

・米デル、エヌビディア、スーパー・マイクロ・コンピューターはxAIのデータセンターを共同で構築する。xAIのチャットボット「Grok(グロック) AI」の学習と拡大が狙いだ。

・このデータセンターは25年秋までにはフル稼働する見通しで、エヌビディアのGPU(画像処理半導体)「H100」を最大10万個使い、既存のAIクラスターの4倍の規模になる。デルとスーパー・マイクロはサーバーラックを半分ずつ組み立てる。

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