農水省、農林中金の巨額損失を検証 融資の拡大策も議論
農林水産省は27日、農林中央金庫が運用の失敗で巨額の損失を発生させた問題を巡り、有識者会議の初会合を開いた。資産の運用方針を検証するほか、農業分野の融資を増やす方策も話し合う。一連の議論は農林中金への提言としてまとめる方針だ。
農業や食品業界の専門家、学識者が参加し、金融庁と農林中金もオブザーバーで出席した。他の金融機関からの参加者はいない。
農林中金は米欧の金利上昇で外国債券の含み損が発生し、25年3月期の決算は1.5兆円規模の赤字となる見通し。8月にはJAグループなどから1.3兆円規模の資本増強を決めている。農水省は農林中金の財務の健全性は確保されているとしている。
会議では農林中金が他の銀行と比べ、資産に占める貸出金の割合が低く、有価証券の割合が高いことなどが話題となった。他の金融機関と比べた執行体制についても検証した。今後は法改正も視野に農林中央金庫法といった制度面の課題も検証する。
農水省は大規模な農業法人が増えているにもかかわらず、農林中金の総資産が90兆円を超すなかで、農業者への貸し出しは641億円にとどまることなどを指摘した。
杉中淳経営局長は会議の冒頭で「農業経営の規模拡大や事業の多角化・複合化が進むなかでさらなる資金ニーズが高まっており、農林中金の潤沢な資金を活用することが重要だ」と指摘した。
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