立民代表候補、原発巡り現実路線 「即ゼロ」印象払拭狙う
立憲民主党代表選の4候補者は16日、札幌市でエネルギー政策などをテーマにした討論会に臨んだ。発電で再生可能エネルギーの活用を増やし原子力発電所への依存を減らすべきだと主張した。政権担当能力を示すため「原発ゼロ」を強調するのではなく、現実的なエネ政策を打ち出す。
23日投開票の代表選には野田佳彦元首相、枝野幸男前代表、泉健太代表、吉田晴美衆院議員が出馬した。4氏とも16日の討論会で原発に依存しない社会をめざすと訴えた。
野田氏は「足元の電力の安定供給はしっかりやっていく」とも強調した。党綱領にある「原発ゼロ社会を一日も早く実現する」を公約に掲げたのは吉田氏のみだ。
データセンターなどの電力需要が高まる状況で、経済界などには綱領の文言は現実と乖離(かいり)しているとの懸念があった。立民代表選の一部候補者には政権交代に向けて党が原発の「即ゼロ」をめざしている印象を拭いたい狙いもある。
立民と同じく民主党を源流とする国民民主党は電力会社などの労組である電力総連の組織内議員を抱えており、野党協力の障壁になってきた。
枝野氏は言いぶりの変化について「『ゼロ』という言葉があすにも全てなくなるような誤解を与える。現実的ではなく気をつけるべきだ」と説明する。
4候補者とも岸田文雄政権が認める方向にカジを切った原発の新増設には反対の立場を明確にする。原発の再稼働をめぐっても、避難計画の策定や地元の同意を条件に認めるものの、個別の発電所の各論では否定的な意見もある。
吉田氏は16日の討論会で泊原子力発電所3号機(北海道泊村)の再稼働に関し「豪雪地帯で避難経路が課題だ」と慎重な姿勢を示した。
原発の依存を減らすには再エネの普及やコストの低減が課題になる。討論会では参加者から原発に頼らない状況で「電気料金をどう安くするのか」との質問が出た。
枝野氏は再エネの方が原発や火力発電よりもコストが低いと主張し「国費を使って送電網を整備すれば安いコストで送電できる」と唱えた。野田氏も「原発に依存をするとむしろコストは高くなる。総合的に考えなければいけない」と提起した。
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