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モードラバーのビューティー定義。ライター・栗山愛以独自の美との向き合い方を解剖! 【5ビューティーエッセンシャル】

ファッション界でも生粋のモードラバーとして知られるライターの栗山愛以さん。常にクールかつエッジィなスタイリングをキープしつづける彼女にとってのビューティーの定義とは? 他の人たちとは一味違う、独自の美容哲学がここに。File5はこちらから。

File6:栗山愛以/ライター

── 栗山さんにとって、ビューティーはどんな位置付けですか?

正直なところ、ビューティーに関しての知識やこだわりはさほどありません。私の中の興味の対象は、9割がファッション。もうほとんど趣味と言ってもいいくらい、見るのも、着るのも、考えるのも大好きで、それ以外のことにはあまり関心がないんです。なので、10年、20年前だったら、この取材を受けても何も話せなかったかもしれません。ただ、年齢を重ねるにつれて、日々のケアがファッションにも響いてくると思うようになって。それで、昔よりは意識している部分が少し増えましたね。私なりにですけど。

── ファッションにどんな影響があると思ったのですか?

私は昔からモードなテイストが好きで、年齢を重ねても落ち着いていくとかコンサバになるということが、頭にないんです。でも、例えば好きなヘアカラーを続けていれば髪は傷むし、ネイルをすれば爪は傷んでいく。体も然りで、代謝は落ちるしシルエットは変化していく。若い頃のままケアを怠っていると、段々今まで通りのことが続けられなっていく、とようやくこの年齢になって気づきました。とはいえ今もそんなに興味があるわけではなくて、やるべきことを毎日黙々とつづけているという感覚です。

【コスメ】ランウェイやおしゃれセレブがインスピレーション源。

── 栗山さんといえば、眉毛のカラーがいつも印象的です。

1年ほど前に、ドラマ「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」で主要キャラを演じているエマ・ダーシーを見て、とても可愛いと思ったのがきっかけですね。その時の彼女は、黒髪のショートヘアにブロンドのアイブロウだったんです。その姿に一目惚れして、すぐに美容室に行って、この人みたいなヘア&眉毛にしてくださいとお願いしました。眉毛はすぐに黒くなってしまうので自宅でもブリーチをしています。巷のアイブロウマスカラは日常に馴染む色が多いので、私的には物足りず(笑)。コスプレ用や舞台用のカラーアイブロウはカラバリも多くて発色もいいので愛用しています。昔は髪もブリーチしていたのですが、最近は傷みすぎてしまっていて……。その分、今は眉毛で楽しんでいます。

── ネイルもいつも完璧ですよね。

これは、2020年春夏のマリーン・セルのコレクションで見たロングネイルをずっと真似しています。当時は自分の中でロングネイル=ギャルのものというイメージがあったのですが、そのランウェイを見てストリート&モードなスタイリングとのギャップに胸を掴まれました。最初はスカルプをしていたのですが、段々と爪が傷んでしまって。今はジェルネイルで、先が尖ったロングネイルを再現してもらっています。基本はラメなどの光沢のあるネイルが多くて、時々ネイルピアスをつけてアレンジすることもあります。

── 栗山さんのメイク&ネイルはやはりファッションがベースにあるんですね。

毎シーズンパリコレに行っているのですが、ファッションと同じくらいメイクや爪も見ていますね。カラーマスカラをすることもあるのですが、それもプラダのショーのメイクに触発されたのがきっかけ。技術を要する凝ったアイラインなどは取り入れられないのですが、それ以外はいいと思ったら真似しています。あくまで気にしているのは、パーツというよりもスタイリング全体のバランス。鏡で全身を見て、ここに長い爪があったらいいな、眉がピンクだと今日のスタイルに合うな、という感覚で決めています。

【スキンケア】20年間使いつづけるクレンジングバーム。

── 肌が綺麗なイメージですが、スキンケアへのこだわりは?

昔からあまり肌のトラブルがなく、ベースメイクスキンケアにはあまり積極的に手を伸ばしてこなかったんです。でも、人に良いと教えてもらったものは割と鵜呑みにして取り入れるタイプ。今回挙げているイブロムのクレンザーは、20年ほど前に当時の同僚に勧められてずっと使っています。少しつぶつぶしたバーム状のものなのですが、まず肌につけてマッサージをしたら、その後付属のクロスをお湯に浸して拭き取って、その後またクロスを水に浸して拭き取って...と少し手間なのですが、肌の揺らぎもないのでずっとつづけています。

── その他にはどんなスキンケアを使っていますか?

夜は、このクレンザーだけです。オイルなど色んな成分が配合されているからか、肌もつっぱらないので、クレンジングをしてお風呂に入ったら終了。朝は水だけで洗顔しているので、化粧水クリームを塗ります。サンローランのものが良いと聞いたので、使っています。良いものを知りたいという気持ちはあるので、教えていただけたら今後も色々とトライしていきたいと思っています。

【香り】面白いかどうかが、香水選びの基準。

── どんな香水を使っていますか?

セリーヌのオードパルファム「ナイトクラビング」です。以前お仕事の関係でサンプルを頂いて以来とても気に入って使っているのですが、もう空になってしまったので新しいものを近々購入する予定です。この香水はセリーヌのディレクターを勤めているエディ・スリマンが、パリのナイトクラブで働いていた時代の夜の思い出からインスピレーションを得たというもの。私自身はタバコを吸わないのですが、この香水はニコチンをアクセントに使っていて、面白いなと思って使っています。

── 香水を選ぶ基準はなんですか?

香水にすごく興味があるというよりも、自分自身の素の香りよりは何か別の香りの方がいいだろうという、ある種エチケットのような気持ちでつけています。でも、せっかくつけるなら、ひねりがある面白いものがいいなと思っていて。おや? と思わせるギャップのあるものが自分にとっては好きな香りです。以前はコム デ ギャルソンのコンクリートの香りの香水なんかもつけていましたね。

【フード】朝ご飯は必ず食べる。それが小さい頃からの習慣。

── 栗山さんが普段どんな食事をしているのか、あまり想像がつきません(笑)

このカテゴリーにもこだわりがあるとは言えないのですが(笑)、小さい頃から必ず3食食べるという習慣があります。今回ここに挙げているのは朝食。海外のなるべく甘いシリアルが好きで、プルーンやヨーグルトをのせて食べています。お通じのためにも、朝食は必ずとったほうがいいと思っています。なので、朝はしっかり時間を取るようにしています。

── 朝のルーティンを教えてください。

だいたい7時頃に起きて、シャワーを浴びて、洗濯などの家事をしたら、Netflixを見ながら朝食を食べます。その後は身支度をして出かけるのですが、だいたいここまでで2時間くらいですね。朝はとにかくリラックスをして、たっぷり時間をとってゆっくりすることを大切にしています。

【フィットネス】好きな服を着るためにバレエを再開。

── 運動はしますか?

昔はあまり食べた分が体型に出るタイプではなかったのですが、40代くらいから少しずつ体重やお腹周りが気になるようになってきたんです。代謝も悪くなった気がして、このままじゃいかん!と思って、クラシックバレエを再開しました。とは言っても、うまく踊らないとと思うとストレスになるので、初心者向けのレッスンに参加して黙々と踊っています。

── バレエを選んだ理由は?

小さい頃は衣装を着て舞台に立つというのが好きで、バレエを習っていたんです。もちろん今は舞台に立ったりはしないですが、それでもジムや家で一人で何かをやるよりも、昔やっていた分始めやすかったですね。サウナスーツを着て、とにかく汗をかくというのが一番の目的。最近はあまり行けない日もありますが、行けるときは週に1~2回通っています。好きなものを食べて、好きな服を着るために、踊る。若い頃だと気づかなかった見えない部分への気配りを、今は少しずつやらなきゃという気持ちになっています。

話を聞いたのは……

栗山愛以さん
VOGUEをはじめモード誌で活躍するライター。個性的なイラストにも定評があり、エディトリアルやインタビュー、スナップ解説記事などその活動内容は多岐にわたる。
https://www.instagram.com/itoikuriyama/

Editor: Airi Nakano, Kyoko Muramatsu