JPWO2008032450A1 - 脂肪肝の予防剤および/または治療剤 - Google Patents

脂肪肝の予防剤および/または治療剤 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2008032450A1
JPWO2008032450A1 JP2008534244A JP2008534244A JPWO2008032450A1 JP WO2008032450 A1 JPWO2008032450 A1 JP WO2008032450A1 JP 2008534244 A JP2008534244 A JP 2008534244A JP 2008534244 A JP2008534244 A JP 2008534244A JP WO2008032450 A1 JPWO2008032450 A1 JP WO2008032450A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
natriuretic peptide
fatty liver
therapeutic agent
prophylactic
agonist
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008534244A
Other languages
English (en)
Inventor
一和 中尾
一和 中尾
伊藤 裕
裕 伊藤
和季 宮下
和季 宮下
拓洋 園山
拓洋 園山
尚久 田村
尚久 田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyoto University
Daiichi Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Kyoto University
Daiichi Sankyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyoto University, Daiichi Sankyo Co Ltd filed Critical Kyoto University
Publication of JPWO2008032450A1 publication Critical patent/JPWO2008032450A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/22Hormones
    • A61K38/2242Atrial natriuretic factor complex: Atriopeptins, atrial natriuretic protein [ANP]; Cardionatrin, Cardiodilatin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • A61P1/16Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system for liver or gallbladder disorders, e.g. hepatoprotective agents, cholagogues, litholytics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/04Anorexiants; Antiobesity agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/06Antihyperlipidemics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/12Drugs for disorders of the metabolism for electrolyte homeostasis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/10Antioedematous agents; Diuretics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Child & Adolescent Psychology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有する脂肪肝予防剤および/または治療剤に関する。本発明の医薬は、脂肪肝を予防・治療できるだけでなく、肥満や糖尿病などに代表されるメタボリックシンドロームも予防できる。

Description

本発明は、脂肪肝の予防剤および/または治療剤に関する。
健康診断で異常検査所見とされる項目の中で、肝機能障害は高脂血症に次いで多く、その肝機能障害の大部分は脂肪肝となっている。脂肪肝とは、肝細胞内に中性脂肪を主とした脂質が貯留して重量比で5%以上となった状態である。なお、中性脂肪とは、グリセリンの脂肪酸エステル(トリアシルグリセロール)である。脂質が5%以上となると、肝小葉の肝細胞(肝実質細胞)の3分の1以上に脂肪滴が現れる。脂肪肝の原因としては、飲酒、肥満、糖尿病、薬物など様々なものがあるが、その成因によりアルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝に大別されている。非アルコール性脂肪肝は、糖尿病、高脂血症、肥満等の生活習慣病の増加に伴い増加している。
アルコール性脂肪肝は、肝炎、肝硬変、肝臓癌へと進行する可能性が高く、その治療法としては禁酒を中心としたものとなる。一方、非アルコール性脂肪肝(nonalcolic fatty liver disease:NAFLD)は、従来、食事療法や運動療法で改善され特に重篤な疾患へ移行することのない可逆的なものが多いとされてきたが、近年、治療せず放置すると肝機能が低下し、肝硬変などへ進展する危険性もあることが指摘されている。とりわけ、NAFLDのうち、炎症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcolic steatohepatitis:NASH)は、肝組織学的にアルコール性肝炎に類似した炎症を認め、肝硬変から肝細胞癌へ進行する危険性が高い疾患であることがわかってきている。したがって、これまでに増して、NAFLD、特に、NASHを適切に治療することは医療上非常に重要な課題であると考えられている。
一方、メタボリックシンドロームは、内臓脂肪(腹腔内脂肪)の蓄積に加え、インスリン抵抗性、脂質異常、高血圧等の心血管病に対する複数のリスクが合併した症候群であり、過栄養を基礎とした内臓脂肪の蓄積がもたらす種々の生活習慣病につながる病態であると理解されている。メタボリックシンドロームの患者においては、非メタボリックシンドローム患者と比較して高頻度でNASHを含むNAFLDが観察され、多くの患者がNASHを含むNAFLDを併発していることが知られている。
すなわち、非アルコール性脂肪肝の患者は、肥満、高血圧、糖尿病や高脂血症などの基礎疾患を併発したメタボリックシンドロームを伴う場合があり、このような患者においては、脂肪肝の治療のみではなく、それらの基礎疾患の治療も必要となる場合がある。したがって、脂肪肝の治療には、このような基礎疾患に悪影響を及ぼすことがない薬物、さらにはこれらの基礎疾患を同時に治療し得る薬物を使用することが望ましい。
脂肪肝の食事療法としては、飲酒制限、カロリー制限および低脂肪・高蛋白食の摂取が中心であり、運動療法としては、有酸素運動などにより脂肪をエネルギーとして消費する方策が取られる。その際、脂肪肝は拒食症などの栄養障害でも引き起こされることが知られているように、極端な食事制限を行うと筋肉を落として逆に脂肪を増やすことから急激な体重減少は好ましくなく、1〜2kg/月程度の減量が望ましい。このように、脂肪肝の治療はコントロールされた食事とかなりの長時間の有酸素運動による根気の必要なものとなる。
現代人の生活は、ストレスと飽食に満ちたものとなっており、脂肪肝を引き起こしやすい状況となっていることから、上記のような根気の要る脂肪肝の治療法に代わって、あるいはそれと併用することのできる新たな治療法が望まれる。
ところで、肥満や高血圧の患者においては、心臓や腎臓などの循環器系器官に過度な負担がかかっている。そのような状況においては、ナトリウム利尿ペプチドと称されるペプチドの産生・分泌が亢進し、循環器系器官への負担を和らげる代償作用が働いていることはよく知られている。ナトリウム利尿ペプチドと称されるペプチドには、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)およびC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)が知られている。ANPは、心房細胞で産生され分泌されるアミノ酸28個から成る環状構造を有するペプチドであり、腎臓では利尿作用を示し、血管では血管平滑筋を弛緩・拡張する。ANPは、さらにレニン・バソプレシン・アルドステロン系に対して拮抗的に作用する。これらの作用は、総合的に血圧の低下や体液量の低減などを通じて心臓の負担を軽減する方向に働く。BNPは、アミノ酸32個から成る環状構造を有するペプチドであり、主に心室細胞で産生され分泌されてANPと同様な作用を有する。ANPとBNPは、ともにグアニレートシクラーゼドメインを有する受容体NPR−A(別名、GC−A)に結合して、cGMPの産生を促進して上記の作用を発現する。実際、ANPはうっ血性心不全などにおいて心房膨満圧の上昇に伴い分泌が促進され、上記の作用によりうっ血性心不全などの症状を軽減する働きをしている。BNPも心筋梗塞などの際に、分泌が促進され、上記の作用により心筋梗塞などに伴う諸症状を和らげる働きをしている(非特許文献1)。
最近になって、脂肪組織においてもナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aの発現が確認されて、ANPやBNPは心血管系に作用するばかりではなく、脂肪分解の促進にも関与しているという報告がある(非特許文献2)。ANPやBNPの脂肪分解促進作用は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aの細胞内部分に存在するグアニレートシクラーゼにより産生されたcGMPがcGMP依存性のプロテインカイネースI(cGKI)に作用し、ホルモン感受性リパーゼのリン酸化を促進して活性化することによると考えられている。活性化されたホルモン感受性リパーゼは、トリグリセリドを遊離脂肪酸に加水分解する。しかしながら、上記のような脂肪組織に対するナトリウム利尿ペプチドの作用は若年男子における肥満には関与していないことが報告されている(非特許文献3)。また、ANPやBNP等のナトリウム利尿ペプチドによる脂肪組織における脂肪分解の促進作用が肝細胞にどのような影響を及ぼすかについては知られていない。すなわち、脂肪組織とは本質的に異なる肝細胞においてANPやBNP等のナトリウム利尿ペプチドが脂肪の蓄積や代謝に直接的にまたは間接的に及ぼす作用については何ら明らかにされていない。実際、最近のナトリウム利尿ペプチドに関する総説においても、心血管系疾患への治療上の応用に関しては詳細に記載されているが、脂肪肝の予防および/または治療への応用については何ら示唆されていない(非特許文献4)。
European J.Endocrinology,135巻,265頁,1996年 FASEB,14巻,1345頁,2000年 J.Lipid Res.,42巻,536頁,2001年 Endocrine Review,27巻,47頁,2006年
本発明においては、脂肪肝の予防および/または治療に有用な薬剤を見出すことが課題である。さらには、心筋梗塞などの心血管系の疾患を引き起こす可能性が高いメタボリックシンドロームの患者において、脂肪肝の予防および/または治療に有用な薬剤を見出すことが課題である。
本発明者等は、脂肪肝を予防および/または治療することができる薬剤について、さらには心筋梗塞などの心血管系の疾患を引き起こす可能性が高いメタボリックシンドロームに伴う脂肪肝(または、メタボリックシンドロームを伴う脂肪肝)を予防および/または治療することができる薬剤について鋭意検討した結果、ナトリウム利尿ペプチドが体重減少、内臓脂肪の減少、耐糖能の改善、および脂肪肝の抑制作用を有することを見出した。さらには、cGMP依存性のプロテインカイネースI(cGKI)の活性化により、ナトリウム利尿ペプチドと同様に、体重減少、内臓脂肪の減少、耐糖能の改善、および脂肪肝の抑制作用を有することを見出して、本発明を完成した。
具体的には、BNPを連続投与した状況に擬して、肝臓特異的にBNPを過剰発現させたマウス(以下、BNP−Tgマウス)を作製し、高脂肪食を与えてBNPの効果を検討した結果、野生型のマウスに比してBNP−Tgマウスでは体重増加、内臓脂肪の増加、肝重量増加、および肝の中性脂肪増加が有意に抑制されることを見出した。また、高脂肪食を与えたBNP−Tgマウスにおいて、糖負荷やインスリン投与時に野生型のマウスに比して血糖値の上昇が有意に軽減されることから、ナトリウム利尿ペプチドが耐糖能やインスリン感受性も改善させることを見出した。
さらには、ナトリウム利尿ペプチドがナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aに作用して産生されるcGMPにより活性化されるcGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)を全身性に過剰発現させたマウス(以下、cGK−Tgマウス)に高脂肪食を与えた結果、BNP−Tgマウスにおけると同様に、野生型のマウスに比して体重増加、内臓脂肪の増加、肝重量増加、および肝の中性脂肪増加が有意に抑制されることを見出した。また、高脂肪食を与えたcGK−Tgマウスにおいて、糖負荷やインスリン投与時に野生型のマウスに比して血糖値の上昇が有意に軽減されることから、cGKIの活性化が耐糖能やインスリン感受性も改善させることを見出した。また、GC−Aヘテロノックアウトマウスに高脂肪食を与えた結果、野生型のマウスに比して肥満、脂肪肝形成が大きく、耐糖能障害の程度も大きいことを見出した。
これらの結果は、BNP等のナトリウム利尿ペプチドを投与することにより、脂肪肝を予防および/または治療できることを示すばかりではなく、肥満や糖尿病などに代表されるメタボリックシンドロームに伴う脂肪肝(または、肥満や糖尿病などに代表されるメタボリックシンドロームを伴う脂肪肝)を予防および/または治療できることを示す。さらに、メタボリックシンドロームや肥満を予防および/または治療できることを示す。さらに、たとえばANPのようにBNP同様GC−Aのアゴニストとして機能することが知られている化合物に、BNPと同様の効果があることを示していると考える。同様に、cGKIが活性化されることにより脂肪肝を予防および/または治療できることを示すばかりではなく、肥満や糖尿病などに代表されるメタボリックシンドロームに伴う脂肪肝(または、肥満や糖尿病などに代表されるメタボリックシンドロームを伴う脂肪肝)を予防および/または治療できることを示す。さらに、メタボリックシンドロームや肥満を予防できることを示す。
したがって、本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを投与することによる脂肪肝の予防および/または治療方法を提供する。
また、本発明は、cGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)の活性化剤を投与することによる脂肪肝の予防および/または治療方法を提供する。
また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチドの遺伝子を含有する脂肪肝の予防剤および/または治療剤を提供する。
また、本発明は、cGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)の遺伝子を含有する脂肪肝の予防剤および/または治療剤を提供する。
また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有する脂肪肝の予防剤および/または治療剤を提供する。
また、本発明は、cGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)の活性化剤を含有する脂肪肝の予防剤および/または治療剤を提供する。
また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有するメタボリックシンドローム患者の脂肪肝の予防剤および/または治療剤を提供する。
また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有する脂肪肝の治療用キットを提供する。
また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有するメタボリックシンドロームの予防剤および/または治療剤を提供する。
また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有する肥満の予防剤および/または治療剤を提供する。
また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチドの遺伝子の、脂肪肝の予防剤および/または治療剤製造のための使用を提供する。
また、本発明は、cGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)の遺伝子の、脂肪肝の予防剤および/または治療剤製造のための使用を提供する。
また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストの、脂肪肝の予防剤および/または治療剤製造のための使用を提供する。
また、本発明は、cGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)の活性化剤の、脂肪肝の予防剤および/または治療剤製造のための使用を提供する。
また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストの、メタボリックシンドローム患者の脂肪肝の予防剤および/または治療剤製造のための使用を提供する。
また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストの、メタボリックシンドロームの予防剤および/または治療剤製造のための使用を提供する。
また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストの、肥満の予防剤および/または治療剤製造のための使用を提供する。
本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有する医薬を用いて脂肪肝の予防および/または治療を可能とする。また、本発明は、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有する医薬を用いて、メタボリックシンドロームに伴う脂肪肝(または、メタボリックシンドロームを伴う脂肪肝)の予防および/または治療を可能とする。さらに、メタボリックシンドロームや肥満の予防および/または治療を可能とする。
高脂肪食を投与した時のBNP−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの体重推移を示すグラフである。 高脂肪食を投与した時のBNP−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの肝重量を示すグラフである。 標準食と高脂肪食を投与した時のBNP−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの肝臓の中性脂肪含量を示すグラフである。 標準食と高脂肪食を投与したときのBNP−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの、皮下脂肪組織重量(A)、腸間膜脂肪組織重量(B)、総脂肪組織重量(C)ならびに高脂肪食を投与したときのBNP−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの皮下脂肪組織を構成する脂肪細胞の平均面積(D)を示すグラフである。 高脂肪食を投与した時のBNP−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの耐糖能を示すグラフである。 高脂肪食を投与した時のBNP−Tgマウスと野生型(Wt)マウスのインスリン感受性を示すグラフである。 標準食と高脂肪食を投与した時のcGK−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの体重推移を示すグラフである。 高脂肪食を投与した時のcGK−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの肝重量を示すグラフである。 標準食と高脂肪食を投与した時のcGK−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの肝臓の中性脂肪含量を示すグラフである。 標準食と高脂肪食を投与したときのcGK−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの、皮下脂肪組織重量(A)、腸間膜脂肪組織重量(B)、総脂肪組織重量(C)ならびに高脂肪食を投与したときのcGK−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの皮下脂肪組織を構成する脂肪細胞の平均面積(D)を示すグラフである。 高脂肪食を投与した時のcGK−Tgマウスと野生型(Wt)マウスの耐糖能を示すグラフである。 高脂肪食を投与した時のcGK−Tgマウスと野生型(Wt)マウスのインスリン感受性を示すグラフである。 高脂肪食を投与した時のcGK−Tgマウスと野生型マウスの肩甲骨間褐色脂肪組織における遺伝子(PGC−1αおよびUCP−1)発現を示すグラフである(夫々の遺伝子発現レベルのβ−actin遺伝子発現レベルに対する比を、野生型を100%として表示している。**p<0.01vs.野生型。)。 高脂肪食を投与した時のcGK−Tgマウスと野生型マウスの大腿四頭筋における遺伝子(PGC−1、UCP−2、UCP−3、PPARαおよびPPARδ)発現を示すグラフである(夫々の遺伝子発現レベルのβ−actin遺伝子発現レベルに対する比を、野生型を100%として表示している。*p<0.05,**p<0.01vs.野生型。)。 高脂肪食を投与した時のcGK−Tgマウスと野生型マウスの肝臓における遺伝子(PPARαおよびPPARδ)発現を示すグラフである(夫々の遺伝子発現レベルのβ−actin遺伝子発現レベルに対する比を、野生型を100%として表示している。*p<0.05,**p<0.01vs.野生型。)。 高脂肪食を投与した時のGC−A+/−マウスと野生型マウスの体重推移を示すグラフである。 高脂肪食を投与した時のGC−A+/−マウスと野生型マウスの20週齢時の体重、肝臓重量体重比および肝臓中性脂肪含量を示すグラフである。 高脂肪食を投与した時のGC−A+/−マウスと野生型マウスの総脂肪重量を示すグラフである。 高脂肪食を投与したときのGC−A+/−マウスと野生型マウスの18週齢時の摂餌量を示すグラフである。 高脂肪食を投与した時のGC−A+/−マウスと野生型マウスの18週齢時の腹腔内投与糖負荷試験結果を示すグラフである。
本発明は、脂肪肝の予防および/または治療を目的とするものであるが、その対象患者は、他の基礎疾患のない脂肪肝の患者であってもよく、また、例えばメタボリックシンドロームに伴う脂肪肝(または、メタボリックシンドロームを伴う脂肪肝)の患者であってもよい。また、本発明は、メタボリックシンドロームの患者や肥満の患者を治療対象としてもよい。
本発明で使用するナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストについては、GC−Aに結合し、そのグアニレートシクラーゼを活性化する作用を有する化合物であれば、特に限定はなく用いることができるが、代表的なものとしてナトリウム利尿ペプチドが挙げられる。ナトリウム利尿ペプチドとしては、ANPやBNPが代表的なものであるが、これらのナトリウム利尿ペプチドに限定されるものではなく、それらのアミノ酸配列の1ないし複数のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたものでもよく、また、それらのアミノ酸配列の1ないし複数のアミノ酸が欠失したものでもよく、また、アミノ酸配列の1ないし複数のアミノ酸が欠失するとともにアミノ酸配列の1ないし複数のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたものでもよく、さらには、化学合成的に1ないし複数のアミノ酸が人工的なアミノ酸類似のものに置換されたものでもよい。また、化学合成や天然物由来の低分子の化合物であってもよい。
ANPとしては、例えばBiochem.Biophys.Res.Commun.,118巻,131頁,1984年に記載のヒト由来α−hANPを用いることができ、このANPは、一般名カルペリチド(carperitide)として販売(商品名:ハンプ、HANP)されている。α−hANPは、一般的にはHuman pro−ANP[99−126]としても知られている。また、BNPとしては、例えばBiochem.Biophys.Res.Commun.,159巻,1420頁,1989年に記載のヒトBNPを用いることができ、このBNPは一般名ネシリチド(nesiritide)として販売(商品名:ナトレコール、Natrecor)されている。
ナトリウム利尿ペプチドの1ないし複数のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された例としては、例えば、ヒトANPの12位のMetがIleに置換されたラットα−rANP(Biochem.Biophys.Res.Commun.,121巻,585頁,1984年)が挙げられる。また、1ないし複数のアミノ酸が欠失した例としては、例えば、N末のSer−Leu−Arg−Arg−Ser−Serが欠失したANPが挙げられる。この様なANPまたはBNP誘導体に関しては、例えば、Medicinal Research Review,10巻,115頁,1990年に記載されている一連の誘導体が挙げられ、それらは引用されている文献に記載の方法により入手または製造可能である。
また、アミノ酸配列の1ないし複数のアミノ酸が欠失するとともにアミノ酸配列の1ないし複数のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された例としては、例えば、15アミノ酸残基から成るmini−ANP(Science,270巻,1657頁,1995年)が挙げられる。
上記のANP、BNP、およびそれらの誘導体は、遺伝子工学的・細胞工学的な手法を用いて生産したものであってもよく、化学合成したものであってもよく、さらにはそれらを酵素処理や化学処理してアミノ酸残基を修飾またはアミノ酸配列の一部を除去したものであってもよい。
ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−AのアゴニストとしてのANPやBNP等のナトリウム利尿ペプチドは、薬学的に許容される塩としてもよく、例えば塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩としてもよく、あるいはギ酸、酢酸、酪酸、コハク酸、クエン酸等の有機酸との塩としてもよい。また、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等の金属塩としてもよく、トリエチルアミン等の有機塩基との塩としてもよい。また、ANPやBNP等のナトリウム利尿ペプチドまたはそれらの塩は、薬学的に許容される賦形剤、等張化剤、pH調節剤、希釈剤などと混合して静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経鼻投与、経肺投与、舌下投与等の非経口的な投与方法で投与することが好ましい。また、これらのナトリウム利尿ペプチドまたはその塩は、リポソームやマイクロカプセルに封入して非経口的に投与してもよく、徐放製剤として患者の体内に埋め込んでもよい。
ANPやBNP等のナトリウム利尿ペプチドまたはそれらの塩を投与する場合には、例えば凍結乾燥製剤を注射用水に溶解して微量輸液ポンプ(それがない場合には、小児用微量輸液セット)を用いて連続投与すればよい。ナトリウム利尿ペプチドは、前述のように血管を弛緩・拡張し血圧を低下させる作用を有することから、脂肪肝の予防および/または治療に当たっては、血圧を必要以上に低下させない速度で投与することが好ましく、投与時および投与直後には血圧をモニターすることが推奨される。ANPやBNP等のナトリウム利尿ペプチドまたはそれらの塩の1日の投与量は、0.1μg/kg〜100mg/kgの範囲であるが、0.5μg/kg〜5mg/kgが好ましい。投与方法について詳細に述べるならば、ANPを投与する場合には、例えば、ANPの1000μgを注射用水10mLに溶解し、“体重×0.06mL/時間”の速度(0.1μg/kg/分の投与速度)で投与することが考えられる。投与速度は、上記の速度に限られることなく、その1/2または1/4の速度でもよい。BNPを投与する場合には、2μg/kgをボーラス投与した後、0.01μg/kgを連続投与することが考えられる。この場合にも、血圧を必要以上に低下させない速度で投与することが好ましく、投与時および投与直後には血圧をモニターすることが推奨される。ANPやBNPが上記の投与速度で血圧や心拍数等に大きな影響を与えない場合には、さらに投与速度を上げてもよい。なお、その他のANP誘導体またはBNP誘導体に関しては、その活性と持続性を考慮して、投与速度を決定すればよい。
また、上記のいずれの薬剤を使用する場合にも、投与期間は、脂肪肝の治療効果が得られるまでとすることが好ましく、継続的に投与してもよく、また間欠的に投与してもよい。脂肪肝の治療効果は、血液学的な検査で血中の中性脂肪、コレステロール値、GOT、GPTを測定することでもよいが、超音波検査やCT検査により判断することが好ましい。
また、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有する脂肪肝の治療用キットとしては、ANPやBNP等のナトリウム利尿ペプチドまたはそれらの塩を凍結乾燥製剤として封入したバイアルとそれを溶解するための注射用水を組み合わせてキットとしたものが挙げられ、また溶解・投与に使用する注射用シリンジをそれらに組み合わせてもよく、さらには微量輸液ポンプや小児用微量輸液セットを組み合わせてもよい。
cGKIの活性化剤としては、cGMPそのものを用いることもできるが、安定な8−ブロモcGMP等の化学合成されたcGMP誘導体を用いてもよく、さらには8−ブロモcGMPを分解するホスホジエステラーゼに対する安定性を増強させた誘導体(Pharmacol.Ther.,87巻,199頁,2000年)を用いてもよい。また、このようなcGMP誘導体とは異なる化学構造を有する低分子のcGKIの活性化剤を用いてもよい。
ANPの遺伝子としては、Science,226巻,1206頁,1984年に記載されているものを用いればよい。また、BNPの遺伝子としては、Biochem.Biophys.Res.Commun.,165巻,650頁,1989年に記載されているものを用いればよい。cGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)の遺伝子としては、Hypertension,27巻,552頁,1996年に記載されているcDNAを用いればよい。上記の遺伝子を用いて治療を行う場合には、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスあるいは人工ベクターをベクターとして用いて、筋肉注射や局所注射により遺伝子を導入すればよい。また、上記のようなベクターを使用せず、プラスミドの形で遺伝子を導入してもよい。具体的な遺伝子治療の方法については、実験医学,12巻,303頁,1994年に記載の方法またはそれに引用されている文献の方法等を用いればよい。
本発明の脂肪肝の予防や治療は、その成因によらず脂肪肝全般について適用できるが、メタボリックシンドロームにより誘発される脂肪肝の予防や治療に好適に用いることができる。また、ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有する上記の脂肪肝の予防や治療に関する記載は、メタボリックシンドロームや肥満の予防や治療においても同様である。
以下に試験例を示して本発明を説明する。
[試験例1]
野生型マウスと肝臓特異的にBNPを過剰発現させたマウス(以下、BNP−Tgマウス)に標準食と高脂肪食を与えて、脂肪肝の進展抑制作用を検討した。BNP−Tgマウスは、J.Clinical Invest.,93巻、1911頁,1994年に記載の方法で作製した。
標準食と高脂肪食(熱量比で60%:Research diet社、カタログ番号:D12492)を各々10週齢以降の野生型マウスおよびBNP−Tgマウス(各10匹)に10週間与えた。体重は、6週齢から1週間ごとに測定した。標準食と高脂肪食の投与終了後、肝臓を摘出し、その重量を測定した。また、肝臓をホモジナイズした後、クロロフォルム・メタノール法で脂質を抽出し、中性脂肪測定キット(和光純薬工業、カタログ番号:432−40201)を用いて肝臓内の中性脂肪含量を測定した。
さらに、皮下および腸間膜の脂肪組織を分離し、その重量を測定した。さらに採取した皮下脂肪組織から組織切片を作成し、これをHE染色に付し、マウス一匹につき4視野(100倍視野)観察し、脂肪細胞の平均面積を計測した。
<結果>
標準食投与群では、野生型マウス(Wt)とBNP−Tgマウスの体重に差はなかったが、高脂肪食投与群では、BNP−Tgマウスの体重は野生型マウスに比較して高脂肪食投与開始3週後より有意に低値を示した(図1)。
また、高脂肪食投与群では、BNP−Tgマウスの肝重量と肝臓内の中性脂肪含量が野生型マウスに比較して有意に低い値を示した(図2および図3)。
高脂肪食投与群では、BNP−Tgマウスの皮下脂肪組織量、腸間膜脂肪組織量はそれぞれ正常マウスと比して少なかった。さらに、皮下脂肪組織と腸間膜脂肪組織を合計した脂肪組織総重量は、標準食、高脂肪食、いずれを給餌した場合においても、BNP−Tgマウスの方が少なかった(図4A−C)。さらに、高脂肪食投与群の腸間膜脂肪組織の脂肪細胞の平均面積は、BNP―Tgマウスの方が有意に少なかった。(図4D)
[試験例2]
10週齢以降の野生型マウス(12匹)およびBNP−Tgマウス(8匹)に熱量比で60%の高脂肪食(Research diet社、カタログ番号:D12492)をそれぞれ10週間与えた。24時間絶食後、ブドウ糖1.0g/kgを腹腔内に投与し、ブドウ糖投与前、投与後15分、30分、60分、120分における血糖値を測定した。
また、上記と同様に高脂肪食を与えたマウスを6時間絶食後、インスリン0.75U/kgを腹腔内に投与し、インスリン投与前、投与後15分、30分、60分、120分における血糖値を測定した。
血液は尾静脈より採取し、デキスターZII(バイエル社)を用いて血糖値を測定した。
<結果>
BNP−Tgマウスの血糖値は、野生型マウスに比較して、ブドウ糖投与後およびインスリン投与後に有意に低い値を示した(図5および図6)。この結果は、BNP−Tgマウスにおいて耐糖能およびインスリン感受性が改善されていることを示唆する。
[試験例3]
野生型マウスと全身性にcGMP依存性プロテインカイネースIを過剰発現させたマウス(以下、cGK−Tgマウス)に標準食と高脂肪食を与えて、脂肪肝の進展抑制作用を検討した。cGK−Tgマウスは、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,100巻、3404頁,2003年に記載の方法で作製した。
標準食と高脂肪食(熱量比で60%:Research diet社、カタログ番号:D12492)を10週齢以降の野生型マウスおよびcGK−Tgマウス(各12匹)にそれぞれ10週間与えた。体重は、6週齢から1週間ごとに測定した。高脂肪食投与終了後、肝臓を摘出し、その重量を測定した。また、肝臓をホモジナイズした後、クロロフォルム・メタノール法で脂質を抽出し、中性脂肪測定キット(和光純薬工業、カタログ番号:432−40201)を用いて肝臓内の中性脂肪含量を測定した。さらに、試験例1と同様の方法で、各脂肪組織の重量と脂肪細胞の平均面積を計測した。
<結果>
標準食投与群および高脂肪食投与群において、cGK−Tgマウスの体重は、野生型マウスに比較して有意に低い値を示した(図7)。
また、高脂肪食を投与したcGK−Tgマウスにおいては、野生型マウスに比較して肝重量と肝臓内の中性脂肪含量が有意に低い値を示した(図8および図9)。皮下脂肪組織重量、腸間膜脂肪組織重量さらにそれらの合計である、総脂肪組織重量いずれについても、食事の内容によらず、cGK−Tgマウスの方が低い値を示した(図10A−D)。
[試験例4]
10週齢以降の野生型マウスおよびcGK−Tgマウス(各8匹)に熱量比で60%の高脂肪食(Research diet社、カタログ番号:D12492)をそれぞれ10週間与えた。24時間絶食後、ブドウ糖1.0g/kgを腹腔内に投与し、ブドウ糖投与前、投与後15分、30分、60分、120分における血糖値を測定した。
また、上記と同様に高脂肪食を与えたマウスを6時間絶食後、インスリン0.75U/kgを腹腔内に投与し、インスリン投与前、投与後15分、30分、60分、120分における血糖値を測定した。
血液は尾静脈より採取し、デキスターZII(バイエル社)を用いて血糖値を測定した。
<結果>
cGK−Tgマウスの血糖値は、野生型マウスに比較して、ブドウ糖投与後およびインスリン投与後に有意に低い値を示した(図11および図12)。この結果は、cGK−Tgマウスにおいて耐糖能およびインスリン感受性が改善されていることを示唆する。
[試験例5]
野生型マウスおよびcGK−Tgを10週齢まで通常食(F−2,船橋農場)で飼育。10週齢から20週齢まで高脂肪食(60kcal% fat,D12492,Research Diet)で飼育した後、明期に自由摂食下で、ペントバルビタール麻酔下に解剖し、肩甲骨間褐色脂肪組織、大腿四頭筋組織、肝臓を摘出。直ちに液体窒素で凍結し、−80℃で保存した。凍結保存組織からRNeasy mini kit for lipid tissue(Qiagen)にてtotal RNAを抽出し、ExScript RT reagent kit(Takara BIO)にてcDNA化した。各遺伝子に特異的なプライマーセット(Takara BIO)とSyber Premix ExTaq(Takara BIO)を用いて、ABI7300 Real−Time PCR System(Applied Biosystems)にて遺伝子発現を検討した。
cGK−Tgの肩甲骨間褐色脂肪組織では、熱産生を亢進させてエネルギー消費を高めるperoxisome proliferators−activated receptor γ co−activator(PGC)−1αとuncoupling protein(UCP)−1の遺伝子発現が、野生型マウスの約3倍に亢進していた(図13)。cGK−Tgの骨格筋では、野生型と比較して、熱産生を亢進させてエネルギー消費を高める遺伝子群(PGC−1α、UCP−3)の発現亢進に加えて、脂肪酸酸化を活性化させるPPARαとPPARδの遺伝子発現にも亢進が認められた(図14)。cGK−Tgの肝臓においても、野生型と比較して、PPARδ遺伝子発現の亢進が認められた(図15)。以上より、GC−A系のエフェクター分子であるcGKの過剰発現による抗脂肪肝作用のメカニズムの少なくとも一部は、脂肪酸酸化の亢進を中心とした褐色脂肪組織、骨格筋、肝臓でのエネルギー消費の亢進によることが示唆された。
[試験例6]
野生型マウスおよびGC−Aヘテロノックアウトマウス(GC−A+/−)を8週齢まで通常食(F−2,船橋農場)で飼育。8週齢から20週齢まで高脂肪食(45kcal% fat,D12451,Research Diet)で飼育し、20週齢にて明期に自由摂食下にて解剖した。
14週齢以降でGC−A+/−マウスで野生型よりも有意に体重増加が亢進していた(図16)。20週齢ではGC−A+/−マウスで、野生型マウスと比較して、体重は有意に大きく、肝臓重量体重比と肝臓中性脂肪含量には大きい傾向が認められた(図17)。総脂肪重量はGC−A+/−マウスで、野生型よりも有意に増加していた(図18)。摂餌量には野生型マウスとGC−A+/−マウスの間に差は認められなかった(図19)。また、高脂肪食による耐糖能の悪化は、GC−A+/−マウスで野生型よりも増強していた(図20)。以上より、GC−A+/−マウスでは高脂肪食による肥満、脂肪肝形成が野生型マウスよりも大きく、耐糖能障害の程度も大きいことが示された。

Claims (52)

  1. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを投与することによる脂肪肝の予防方法および/または治療方法。
  2. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストがナトリウム利尿ペプチドである、請求項1に記載の予防方法および/または治療方法。
  3. ナトリウム利尿ペプチドが脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)である、請求項2に記載の予防方法および/または治療方法。
  4. ナトリウム利尿ペプチドが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である、請求項2に記載の予防方法および/または治療方法。
  5. cGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)の活性化剤を投与することによる脂肪肝の予防方法および/または治療方法。
  6. 脂肪肝がメタボリックシンドロームにより誘発される脂肪肝である、請求項1から5のいずれか1項に記載の予防方法および/または治療方法。
  7. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを投与することによるメタボリックシンドロームの予防方法および/または治療方法。
  8. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストがナトリウム利尿ペプチドである、請求項7に記載の予防方法および/または治療方法。
  9. ナトリウム利尿ペプチドが脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)である、請求項8に記載の予防方法および/または治療方法。
  10. ナトリウム利尿ペプチドが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である、請求項9に記載の予防方法および/または治療方法。
  11. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを投与することによる肥満の予防方法および/または治療方法。
  12. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストがナトリウム利尿ペプチドである、請求項11に記載の予防方法および/または治療方法。
  13. ナトリウム利尿ペプチドが脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)である、請求項12に記載の予防方法および/または治療方法。
  14. ナトリウム利尿ペプチドが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である、請求項12に記載の予防方法および/または治療方法。
  15. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有する脂肪肝の予防剤および/または治療剤。
  16. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストがナトリウム利尿ペプチドである、請求項15に記載の予防剤および/または治療剤。
  17. ナトリウム利尿ペプチドが脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)である、請求項16に記載の予防剤および/または治療剤。
  18. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である、請求項16に記載の予防剤および/または治療剤。
  19. ナトリウム利尿ペプチドの遺伝子を含有する脂肪肝の予防剤および/または治療剤。
  20. cGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)の活性化剤を含有する脂肪肝の予防剤および/または治療剤。
  21. cGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)の遺伝子を含有する脂肪肝の予防剤および/または治療剤。
  22. cGMPを含有する脂肪肝の予防剤および/または治療剤。
  23. 脂肪肝がメタボリックシンドロームにより誘発される脂肪肝である、請求項15から22のいずれか1項に記載の予防および/または治療剤。
  24. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含む脂肪肝の予防用および/または治療用のキット。
  25. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストがナトリウム利尿ペプチドである、請求項24に記載のキット。
  26. ナトリウム利尿ペプチドが脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)である、請求項25に記載のキット。
  27. ナトリウム利尿ペプチドが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である、請求項25に記載のキット。
  28. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有するメタボリックシンドロームの予防剤および/または治療剤。
  29. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストがナトリウム利尿ペプチドである、請求項28記載の予防剤および/または治療剤。
  30. ナトリウム利尿ペプチドが脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)である、請求項29に記載の予防剤および/または治療剤。
  31. ナトリウム利尿ペプチドが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である請求項29に記載の予防剤および/または治療剤。
  32. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストを含有する肥満の予防剤および/または治療剤。
  33. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストがナトリウム利尿ペプチドである、請求項32記載の予防剤および/または治療剤。
  34. ナトリウム利尿ペプチドが脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)である、請求項33に記載の予防剤および/または治療剤。
  35. ナトリウム利尿ペプチドが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である請求項33に記載の予防剤および/または治療剤。
  36. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストの、脂肪肝の予防剤および/または治療剤製造のための使用。
  37. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストがナトリウム利尿ペプチドである、請求項36に記載の使用。
  38. ナトリウム利尿ペプチドが脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)である、請求項37に記載の使用。
  39. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である、請求項37に記載の使用。
  40. ナトリウム利尿ペプチドの遺伝子の、脂肪肝の予防剤および/または治療剤製造のための使用。
  41. cGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)の活性化剤の、脂肪肝の予防剤および/または治療剤製造のための使用。
  42. cGMP依存性プロテインカイネースI(cGKI)の遺伝子の、脂肪肝の予防剤および/または治療剤製造のための使用。
  43. cGMPの、脂肪肝の予防剤および/または治療剤製造のための使用。
  44. 脂肪肝がメタボリックシンドロームにより誘発される脂肪肝である、請求項36から43のいずれか1項に記載の使用。
  45. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストの、メタボリックシンドロームの予防剤および/または治療剤製造のための使用。
  46. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストがナトリウム利尿ペプチドである、請求項45記載の使用。
  47. ナトリウム利尿ペプチドが脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)である、請求項46に記載の使用。
  48. ナトリウム利尿ペプチドが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である請求項46に記載の使用。
  49. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストの、肥満の予防剤および/または治療剤製造のための使用。
  50. ナトリウム利尿ペプチド受容体GC−Aのアゴニストがナトリウム利尿ペプチドである、請求項49記載の使用。
  51. ナトリウム利尿ペプチドが脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)である、請求項50に記載の使用。
  52. ナトリウム利尿ペプチドが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である請求項50に記載の使用。
JP2008534244A 2006-09-15 2007-09-13 脂肪肝の予防剤および/または治療剤 Pending JPWO2008032450A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006250529 2006-09-15
JP2006250529 2006-09-15
PCT/JP2007/000996 WO2008032450A1 (fr) 2006-09-15 2007-09-13 Agent prophylactique et/ou thérapeutique pour une stéatose hépatique

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2008032450A1 true JPWO2008032450A1 (ja) 2010-01-21

Family

ID=39183519

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008534244A Pending JPWO2008032450A1 (ja) 2006-09-15 2007-09-13 脂肪肝の予防剤および/または治療剤

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JPWO2008032450A1 (ja)
TW (1) TW200833356A (ja)
WO (1) WO2008032450A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2572694C2 (ru) 2009-07-23 2016-01-20 ИГИСУ Ко., Лтд. Композиция кожного препарата для наружного применения
WO2011024973A1 (ja) 2009-08-27 2011-03-03 株式会社 イギス 鼻炎治療剤
BR112013018679B1 (pt) 2011-01-21 2022-04-12 Igisu Co. Ltd. Agente para o tratamento da alopecia e uso de um peptídeo natriurético do tipo c
WO2016131943A1 (en) * 2015-02-20 2016-08-25 INSERM (Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale) Methods and pharmaceutical compositions for the treatment of obesity and complications arising therefrom including type 2 diabetes
CN107709352A (zh) 2015-05-29 2018-02-16 Igisu株式会社 环肽以及含有该环肽的药物、外用剂和化妆品

Also Published As

Publication number Publication date
WO2008032450A1 (fr) 2008-03-20
TW200833356A (en) 2008-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Pivonello et al. Complications of acromegaly: cardiovascular, respiratory and metabolic comorbidities
Wren et al. Gut hormones and appetite control
Møller et al. Effects of growth hormone on glucose, lipid, and protein metabolism in human subjects
Nagata et al. Common pathogenic mechanism in development progression of liver injury caused by non-alcoholic or alcoholic steatohepatitis
Nagaya et al. Chronic administration of ghrelin improves left ventricular dysfunction and attenuates development of cardiac cachexia in rats with heart failure
Clapham et al. Anti-obesity drugs: a critical review of current therapies and future opportunities
TWI619724B (zh) 新穎之調酸素衍生物及含有該衍生物之用於治療肥胖之醫藥組成物
Moller et al. Growth hormone and protein metabolism
Fang et al. Galanin peptide family regulation of glucose metabolism
Sonne et al. Mono and dual agonists of the amylin, calcitonin, and CGRP receptors and their potential in metabolic diseases
TW201202265A (en) Glucagon analogues
TW201247702A (en) Use of acylated glucagon analogues
Diaz-Melean et al. Mechanisms of adverse cardiometabolic consequences of obesity
JPWO2008032450A1 (ja) 脂肪肝の予防剤および/または治療剤
Duran-Ortiz et al. Tissue-specific disruption of the growth hormone receptor (GHR) in mice: An update
Ornan et al. Pulmonary clearance of adrenomedullin is reduced during the late stage of sepsis
Schutte et al. Leptin: a cardiovascular perspective
JP2008195630A (ja) アディポネクチン産生増強剤
EP1537875B1 (en) C-terminal globular domain of adiponectin for use in the treatment of arteriosclerosis
Yuan et al. Leptin reduces plasma ANP level via nitric oxide-dependent mechanism
Gorden et al. Syndromic insulin resistance: models for the therapeutic basis of the metabolic syndrome and other targets of insulin resistance
US11419917B2 (en) Treatment for SARS-CoV-2 and other coronaviruses
Katsarou et al. Current and experimental pharmacotherapy for the management of non-alcoholic fatty liver disease
JP2008127377A (ja) Ghs−r作動薬を含有してなるメタボリックシンドローム又は高血圧症の予防・治療剤。
Berg Leptin is a potent anti-diabetic in mice with lipodystrophy and insulin resistance