JP4284082B2 - Brake control device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者が制動操作を行って車両を停止させた後、ブレーキペダルからアクセルペダルに踏み替えたときに車両が移動するのを防止する、いわゆるヒルホールド制御を実行するブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、坂道に停車して運転者がブレーキペダルからアクセルペダルに足を踏み替えた際に、ホイールシリンダにおける制動圧を維持させて車両が後退するのを防止する、いわゆるヒルホールド制御を実行するブレーキ装置が、例えば、特許文献1などにより知られている。
このようなブレーキ制御装置においては、車両停止時には、アイドリングストップし、アクセルON信号に基づきエンジンを再始動し、エンジン回転数が所定回転数に到達したときにヒルホールド制御を解除している。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−313253号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、下記に示す問題があった。すなわち、アイドルストップ車両にあっては、エンジン再始動直後はエンジンの状態が不安定な場合がある。すなわち、一度エンジン再始動したとしても、吸入空気量不足等によりエンジンがストールする虞がある。このような場合は、例え一旦エンジン回転数が所定回転数に到達したとしても、エンジンの駆動力が得られず、車両が後退してしまうという問題があった。
【0005】
本願発明は、上述の従来の問題点に着目して成されたもので、ヒルホールド制御を解除する際、車両の後退を確実に防止することが可能なブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、急勾配等においてブレーキペダルからアクセルペダルへの踏み替え操作が素早いときは、マスタシリンダ圧にかかわらずヒルホールド制御を開始することが可能となり、車両の後退等を防止することができる。また、ヒルホールド終了判断閾値を越えてから第1設定時間経過後にヒルホールド制御を解除することで、確実に駆動力を得ることが可能な状態で初めて制動力を解除することが可能になり、車両の後退等を防止することができる。また、停車時に検出されたマスタシリンダ圧に応じて許可閾値を設定することで、ヒルホールド制御の開始タイミングを早めることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0008】
(実施の形態1)
図1は本発明実施の形態1のブレーキ制御装置を示す全体図である。なお、このブレーキ制御装置は、エンジンの回転がトルクコンバータを介して入力され、さらに遊星歯車を用いて変速して出力する、いわゆる自動変速機を有した車両に搭載されているものとする。
図において、MCは制動圧発生手段としてのマスタシリンダでありブレーキペダルBPを踏み込むと2系統のブレーキ回路1,2を介して流体としてのブレーキ液を制動力発生手段としてのホイールシリンダWCに向けて供給する周知のタンデム型のものである。なお、マスタシリンダMCにはブレーキ液を貯留するリザーバRESが設けられている。
【0009】
前記ブレーキ回路1,2はいわゆるX配管と呼ばれる接続構造となっている。すなわち、ブレーキ回路1は、分岐点1bで分岐されて左前輪のホイールシリンダWC(FL)と右後輪のホイールシリンダWC(RR)とを結び、ブレーキ回路2は、分岐点2bで分岐されて右前輪のホイールシリンダWC(FR)と左後輪のホイールシリンダWC(RL)とを結ぶよう構成されている。
【0010】
本実施の形態では、ヒルホールド制御を実施可能な装置を構成するにあたり、既存のABSユニットABSUを用いて構成している。
その構成について説明すると、前記ブレーキ回路1,2において分岐点1b,2bよりも下流(ホイールシリンダWC側)の途中には、ソレノイド駆動の常開のON・OFF弁からなる流入弁5,5が設けられている。
さらに、各流入弁5よりも下流位置とリザーバ7とを結ぶドレーン回路10の途中にはソレノイド駆動の常閉のON・OFF弁からなる流出弁6が設けられている。
これらの流入弁5と流出弁6とは、ホイールシリンダWCの減圧・保持・増圧を行うもので、流入弁5を開弁して流出弁6を閉弁させれば、ブレーキ回路1,2においてその上流と下流との流通を許す増圧状態となり、両弁5,6を閉弁させれば、ホイールシリンダWCに制動液圧を封じ込めた保持状態となり、流入弁5を閉弁させて流出弁6を開弁させれば、ホイールシリンダWC内の制動圧をリザーバ7に逃がす減圧状態となる。
【0011】
また、従来、ABS制御を実行するブレーキ装置にあっては、ABS制御を実行して流入弁5を閉じている状態であっても、運転者が制動操作を解除した場合には、瞬時にブレーキ液をマスタシリンダ側に戻すように、バイパス回路およびこの戻しのみを可能とする一方弁が設けられているが、本実施の形態では、ヒルホールド制御を可能とすべく、このバイパス回路および一方弁を廃止して、装置の構成の簡略化を図っている。
【0012】
さらに、前記ブレーキ回路1,2には、ポンプ4が接続されている。
このポンプ4は、ABS制御によりリザーバ7に逃がしたブレーキ液を吸入回路41から吸い込み、吐出回路43を介してブレーキ回路1,2に戻す作動を行うもので、本実施の形態では、モータ8により駆動するプランジャポンプを用いている。
【0013】
したがって、本実施の形態にあっては、制動時に車輪ロックが生じそうになったときには、必要に応じて、流入弁5ならびに流出弁6を作動させてホイールシリンダWCの増圧・保持・減圧を行って制動液圧を最適に制御するとともに、リザーバ7に逃がしたブレーキ液は、随時、ブレーキ回路1,2に戻すABS制御を実行することができる。
【0014】
このようなABS制御におけるモータ8(ポンプ4)の駆動および各流入弁5および流出弁6の駆動は、コントロールユニットCUにより制御される。
このコントロールユニットCUは、走行状態を検出するセンサ群SGに接続されている。このセンサ群SGには、マスタシリンダMCの圧力を検出する圧力センサ、車速を検出する車速センサ、各車輪速度を検出する車輪速センサなどが含まれている。
【0015】
上記コントロールユニットCUは、上述のABS制御に加えてヒルホールド制御を実行する。そこで、このヒルホールド制御について説明する。
すなわち、自動変速機には、通常トルクコンバータが搭載されており、エンジンが駆動している状態では、いわゆるトルクコンバータのクリープ現象により前進方向にトルクが発生し、ブレーキペダルBPを操作していない状態でも車両の停止状態を維持することができる。
【0016】
それに対して、エンジンをアイドリング状態として停車したときに、エンジンを停止させるアイドルストップ制御を実行する車両にあっては、このクリープ現象が得られなくなることから、制動操作を解除して制動力が無くなると、車両が移動することになる。
そこで、このような場合に、制動力を発生させて車両が移動しないようにして、運転者に違和感を与えないようにするヒルホールド制御を実行するようにしている。
【0017】
図2はヒルホールド制御の実施と解除の判断を行うヒルホールド判断制御の流れを示すフローチャートである。
【0018】
ステップ101では、エンジン始動履歴処理を実行する。尚、詳細については後述する。
【0019】
ステップ102では、始動履歴があるかどうかを判断し、始動履歴があるときはステップ103へ進み、それ以外はステップ111へ進む。
【0020】
ステップ103では、アイドルストップ中であるか否か判断し、アイドルストップ中であればステップ104に進み、アイドルストップ中でなければステップ111に進む。なお、アイドルストップとは、前述したように、エンジンをアイドリング状態で車両を停止した場合に、その後、運転者の発進意志が示されるまでの間、エンジンを停止させる制御である。
【0021】
ステップ104では、アイドルストップ中で、車両が停止中であるか否か判断し、停止中であればステップ105に進み、停止中でなければステップ111に進む。
【0022】
ステップ105では、ヒルホールド開始判断閾値可変処理を実行する。
このヒルホールド開始判断閾値可変処理は、路面勾配に応じてヒルホールド開始判断閾値(許可閾値)を設定するもので、本実施の形態では、図3に示すように、テーブルを参照して、その時点のマスタシリンダ圧に応じて、ヒルホールド開始判断閾値(許可閾値)を設定するようにしている。また、本実施の形態では、ヒルホールド開始判断閾値として、マスタシリンダ圧に対応したヒルホールド開始判断閾値1(許可閾値1)とマスタシリンダ圧微分値に対応したヒルホールド開始判断閾値2(許可閾値2)との2通りの閾値を設定しており、各閾値1,2を、マスタシリンダ圧に応じて高圧時、中圧時、低圧時と3段階に設定するようにしている。
【0023】
ステップ106では、液圧経験履歴処理を実行する。尚、液圧経験履歴処理については後で詳述する。
【0024】
ステップ107では、液圧経験履歴が有るかどうかを判断し、液圧経験履歴が有るときはステップ108へ進み、それ以外はステップ116へ進む。
【0025】
ステップ108では、マスタシリンダ圧力が許可閾値1未満であるか否か判断し、マスタシリンダ圧力<許可閾値1の場合にはステップ110に進み、マスタシリンダ圧力≧許可閾値1の場合にはステップ109に進む。
なお、このヒルホールド許可閾値1は、運転者がブレーキペダルBPから足を離したことを検出するもので、かつ、この圧力は車両を停止させることのできるホイールシリンダ圧力に設定されている。すなわち、高圧時許可閾値1は、所定の急坂道においてブレーキペダルBPから足を離したことを検出するとともに車両を停止させることができる圧力に、中圧時許可閾値1は、所定の中程度傾斜の坂道においてにおいてブレーキペダルBPから足を離したことを検出するとともに車両を停止させることができる圧力に、低圧時許可閾値1は、所定の緩傾斜の坂道においてにおいてブレーキペダルBPから足を離したことを検出するとともに車両を停止させることができ圧力に設定されているもので、これらの許可閾値1は、実験を繰り返して、車種および坂道の傾斜角度に応じた最適値を設定する。
【0026】
ステップ109では、マスタシリンダ圧力変化率(この変化率は、圧力低下時であるのでマイナスの値である)が予め設定された許可閾値2未満であるか否か判断し、マスタシリンダ圧力変化率<許可閾値2の場合には、ステップ110に進み、マスタシリンダ圧力変化率≧許可閾値2の場合には、ステップ116へ進む。
なお、許可閾値2も、ブレーキペダルBPからアクセルペダルへの踏替操作を検出するもので、実験に基づいて最適値が設定されている。これらの各許可閾値2も、急・中・緩の各傾斜の坂道においてブレーキペダルBPを離したときのマスタシリンダ圧力変化率に設定されている。すなわち、平坦路に比べて坂道が急になるほどブレーキペダルBPからアクセルペダルへの踏み替え操作が素早くなり、これに伴ってマスタシリンダ圧の変化率も小さくなる(この場合、圧力は減少方向であるので変化率はマイナスの値であり、その絶対値は大きくなる)。したがって、マスタシリンダ圧力変化率に基づいて、ステップ105において判断した坂道の傾斜角度に応じた踏み替え操作を検出することができる。
【0027】
ステップ110では、ヒルホールド制御実施処理を実行する。本実施の形態にあっては、このヒルホールド制御実施処理は、流入弁5をONとして閉弁させる。よって、流入弁6は常閉であるので、ホイールシリンダWCの液圧が封入されて、停止状態を維持できる。したがって、アイドルストップ中であり、かつ、車両停止中であるときに、さらに、マスタシリンダ圧力が許可閾値1未満である場合、あるいは、マスタシリンダ圧力が許可閾値1以上であっても、マスタシリンダ圧力変化率が許可閾値2未満である場合には、ヒルホールド制御実施処理を実行する。
【0028】
ステップ111では、エンジン始動後であるか否か判断し、エンジン始動後の場合には、ステップ112に進む。
【0029】
ステップ112では、液圧経験履歴解除を実行する。
【0030】
ステップ113では、ヒルホールド制御解除処理を実行する。
【0031】
ステップ114では、ヒルホールド解除判断を行い、ヒルホールド解除と判断されたときはステップ115に進み、それ以外はステップ116へ進む。
【0032】
ステップ115では、ヒルホールド制御解除を実行する。具体的には流入弁5をOFFとして開弁させる。
【0033】
ステップ116では、石踏み防止処理を実行する。尚、石踏み防止処理については後で詳述する。
【0034】
ステップ117では、PWM制御実行処理を実行する。尚、PWM制御実行処理については後で詳述する。
【0035】
(エンジン始動履歴処理)
次に、ステップ101において実行されるエンジン始動履歴処理について説明する。図4はエンジン始動履歴処理の制御内容を表すフローチャートである。
【0036】
ステップ201では、エンジン始動済みかどうかを判断し、エンジン始動済みで有ればステップ202へ進み、それ以外は処理を終了する。具体的には、エンジン始動検出後、所定時間が経過したときにエンジン始動済みと判断する。これにより、エンジン始動ミス等があった場合は始動済みと判断することが無く、確実にエンジン始動を検出することができる。尚、エンジン始動検出はエンジン回転数に基づいて検出しても良いし、エンジンにより生成される負圧の高さに基づいて検出しても良いし、もしくは、エンジンにより駆動されるオルタネータの出力電圧に基づいて検出しても良い。
【0037】
ステップ202では、エンジン始動済みであるとして始動履歴をセットする。
【0038】
すなわち、本実施の形態のようにするアイドルストップ車両にあっては、イグニッションがONとなった状態におけるエンジン停止状態として、運転者のスタータ操作によるエンジン始動前における完全停止状態と、エンジン始動後、所定の条件が成立したときにエンジンのアイドリングが自動停止するアイドルストップ状態とが存在する。
【0039】
この完全停止状態とアイドルストップ状態を区別しないまま、仮にイグニッションをONとした状態で車両を放置し完全停止状態が発生する場合を想定する。このとき、ヒルホールド制御はエンジン停止時に液圧を保持するため、流入弁5をONとし、ソレノイドに対して通電することとなる。このまま長時間車両を放置すると、ソレノイドが過度に高温になり劣化の原因となる。そこで、エンジン始動履歴を確認することで、完全停止状態とアイドルストップ状態とを区別する。これにより、例えイグニッションがONであったとしても、ヒルホールド制御の必要がある場合と、必要のない場合を確認することが可能となり、ソレノイドの劣化を防止することができる。
【0040】
(液圧経験履歴処理)
次に、ステップ106において実行される液圧経験履歴処理について説明する。図5は液圧経験履歴処理の制御内容を表すフローチャートである。
【0041】
ステップ301では、マスタシリンダ圧力が許可閾値1以上かどうかを判断し、条件を満たしたときはステップ302へ進み、それ以外は本処理を終了する。
【0042】
ステップ302では、液圧経験履歴をセットする。
【0043】
すなわち、本実施の形態におけるヒルホールド制御の実行条件として、エンジンが停止状態、かつ、マスタシリンダ内液圧が許可閾値1未満(ステップ108参照)であった場合としている。このとき、運転者がブレーキペダルを踏み込んでいない、もしくはヒルホールドに必要とされる制動力(許可閾値1)を発生させていない場合のアイドルストップ時にヒルホールド制御を実行してしまい、ヒルホールド制御が作動し続ける可能性がある。
【0044】
ヒルホールド制御は、運転者が発生させたマスタシリンダ圧をホイルシリンダ内に封じ込めることでブレーキの制動力を保持し、車両の不用意な移動を防止する制御である。しかしながら、マスタシリンダ圧がヒルホールドに必要な制動力を保持できうる圧力まで上昇していない場合の作動は無意味である。
【0045】
そこで、マスタシリンダ圧がヒルホールド制御開始条件である許可閾値1(ステップ108参照)以上に一旦上昇したことを検知し、この上昇履歴をセットすることで、無駄なヒルホールド制御を回避することが可能となり、ソレノイドの劣化を防止することができる。
【0046】
(ヒルホールド解除判断処理)
次に、ステップ113において実行されるヒルホールド解除判断処理について説明する。図6はヒルホールド解除判断処理の制御内容を表すフローチャートである。
【0047】
ステップ401では、エンジン始動後のヒルホールド制御の延長を表す保持延長カウンタのカウントアップを開始する。
【0048】
ステップ402では、保持延長カウンタ値が延長用設定値1以上経過したかどうかを判断し、延長用設定値1以上経過しているときはステップ407へ進み、それ以外はステップ403へ進む。
【0049】
ステップ403では、保持延長カウンタ値が延長用設定値1よりも短い延長用設定値2以上経過したかどうかを判断し、延長用設定値2以上経過しているときはステップ406へ進み、それ以外はステップ404へ進む。
【0050】
ステップ404では、保持延長カウンタ値が延長用設定値2よりも短い延長用設定値3以上経過したかどうかを判断し、延長用設定値3以上経過しているときはステップ405へ進み、それ以外は本処理を繰り返す。
【0051】
ステップ405では、前輪側の流出弁5をONとする。
【0052】
ステップ406では、後輪側の流出弁5をONとする。
【0053】
ステップ407では、前輪側及び後輪側の流出弁5をOFFとする。
【0054】
ステップ408では、ヒルホールド解除判断をセットする。
【0055】
尚、上記延長用設定値1は例えば150msecから200msecの間で適宜設定され、延長用設定値3は例えば50msecとし、延長用設定値2は例えば100msecとして設定する。
【0056】
以下、具体的にヒルホールド解除判断処理を説明する。ヒルホールド制御は車両停止時にブレーキ液圧が閾値1未満になったときに開始し、その後アクセルペダルが踏まれ、ブレーキ力が解除されることでヒルホールド制御も解除される。また、本実施の形態におけるアイドルストップを行う車両の場合、アイドルストップ時にブレーキ液圧が閾値1未満になったときにヒルホールド制御を開始し、その後アクセルペダルが踏まれ、エンジンを再始動し、車両が所定の駆動力を回復したとき、またはエンジン回転数が所定回転数に達したときにブレーキ力を減少させ、ヒルホールド制御も解除される。
【0057】
このとき、エンジン始動直後はエンジンの状態が不安定な場合があり、一度始動したとしても、吸入空気量不足等によりエンジンがストールする可能性がある。このときは、エンジンの駆動力が得られず、車両が後退してしまう。
【0058】
そこで、エンジン始動を確実に確認してからヒルホールド制御を解除するために保持延長カウンタを設け、この保持延長カウンタ値が延長用設定値1を経過する間に徐々に保持された液圧を下げ、流出弁5をOFF(閉じる)とすることで、車両の不用意な移動(後退等)を防止することができる(請求項1,3に対応)。
【0059】
また、上記ヒルホールド解除判断処理では、まず、延長用設定値3経過後に前輪側の流出弁5をONとすることで、前輪側に保持された液圧を下げる。次に、延長用設定値2経過後に後輪側の流出弁5をONとすることで、後輪側に保持された液圧を下げる。このように、前後輪で制動力をずらして解除することで、運転者の感性にあったヒルホールド解除を達成することができる。また、徐々に制動力が失われることでアクチュエータ作動時の異音を低減することができる。尚、本実施の形態では前輪側→後輪側の順序で液圧を下げたが、各輪をそれぞれずらして液圧を下げても良い(請求項2に対応)。
【0060】
(石踏み防止処理)
次に、ステップ116において実行される石踏み防止処理について説明する。図7は石踏み防止処理の制御内容を表すフローチャートである。
【0061】
ステップ501では、ヒルホールド制御中であるかどうかを判断し、ヒルホールド制御中の時はステップ502へ進み、それ以外は本処理を終了する。
【0062】
ステップ502では、マスタシリンダ圧力がヒルホールド解除閾値1以上かどうかを判断し、解除閾値1以上の時はステップ504へ進み、それ以外はステップ503へ進む。
【0063】
ステップ503では、マスタシリンダ圧力変化がヒルホールド解除閾値2以上かどうかを判断し、解除閾値2以上の時はステップ504へ進み、それ以外は本処理を終了する。
【0064】
ステップ504では、ヒルホールド制御解除処理を実行し、流入弁5をOFFとする。具体的には、流入弁5をON状態から徐々にOFF状態に切り換える。
【0065】
以下、上記石踏み防止処理について具体的に説明する。例えば、ヒルホールド制御中に傾斜に対する制動力が不足している場合がある。このとき、車両が後退する虞があるため運転者はこれを防止するためにブレーキペダルを踏み込むことがある。このとき、ヒルホールド制御中は流入弁5がONとされ、マスタシリンダ側とホイルシリンダ側が遮断されているため、運転者がブレーキペダルを踏み込んだとしても、踏み込むことができず、所謂石踏み状態となる。
【0066】
そこで、ステップ502において、ヒルホールド制御中にマスタシリンダ圧がヒルホールド解除閾値1以上のときは、運転者が再度ブレーキペダルを踏み込む意図があると判断してヒルホールド制御を解除する。また、ステップ503において、例えヒルホールド解除閾値1未満であったとしても、マスタシリンダ圧力変化がヒルホールド解除閾値2以上であれば、運転者はかなり急激にブレーキペダルを踏み込んでいる状態であり、ヒルホールド解除閾値1に到達する前にヒルホールド制御を解除する必要があると判断する。
【0067】
そして、電磁弁である流入弁5に対しONデューティ比を徐々に減少させることで、OFF状態から徐々にON状態へ移行させる。このように、ヒルホールド制御を解除することで、運転者によりホイルシリンダへの制動力が付与される。よって、坂道等での後退を確実に防止することが可能となり、また、運転者の意図に即したブレーキ踏み込みによる制動力を確保することができる。また、徐々に流入弁5をON状態とすることで、マスタシリンダ圧と制動力維持時の圧力との差を滑らかになくすことが可能となり、ペダル違和感を防止することができる。
【0068】
(PWM制御実行処理)
次に、ステップ117において実行されるPWM制御実行処理について説明する。図8はPWM制御実行処理の制御内容を表すフローチャートである。
【0069】
ステップ601では、ヒルホールド制御実施中かどうかを判断し、実施中で有ればステップ602へ進み、それ以外は本処理を終了する。
【0070】
ステップ602では、ヒルホールド制御実施処理カウンタのカウントを開始する。
【0071】
ステップ603では、ヒルホールド制御実施カウンタ値がPWM制御用設定値1以上で、かつPWM制御用設定値2未満かどうかを判断し、PWM制御用設定値1以上、PWM制御用設定値2未満の時はステップ604へ進む。
【0072】
ステップ604では、PWM制御を実行する。
【0073】
ステップ605では、ヒルホールド制御実施カウンタ値がPWM制御用設定値2以上かどうかを判断し、PWM制御用設定値2以上のときはステップ606へ進み、それ以外はPWM制御用設定値1未満であると判断してステップ608へ進む。
【0074】
ステップ606では、液圧経験履歴を解除する。
【0075】
ステップ607では、ヒルホールド制御解除処理を実行し、流入弁5をOFFとする。具体的には、流入弁5をON状態から徐々にOFF状態に切り換える。
【0076】
ステップ608では、ONデューティ100%のPWM制御信号を出力する。
【0077】
以下、上記PWM制御実行処理について具体的に説明する。例えば、ヒルホールド制御を実施しているときは、電磁弁である流入弁5をON(通電)することでホイルシリンダ内のブレーキ液圧を封入する。このとき、車両がすぐに発進すればよいが、長時間ヒルホールド制御を実施すると、消費電力が多くなり、バッテリ負荷が大きくなる。また、アイドルストップ中に流入弁5のソレノイドが過度に高温になり劣化の原因になる虞がある。そこで、ヒルホールド制御の開始からカウントされるヒルホールド制御実施カウンタ値がPWM制御用設定値1未満の時は、ステップ608において、ONデューティ100%で駆動する。これにより、まず確実に車両に制動をかける。次に、ヒルホールド制御実施カウンタ値がPWM制御用設定値1以上でPWM制御用設定値2未満の時は、ステップ604において、ONデューティ100%未満のPWM制御を実行する。これにより、流入弁5のソレノイドの加熱を防止し、耐久性の向上を図ると共に、静粛性の向上を図ることができる。また、PWM制御により消費電力の低減を図ることが可能となり、バッテリ寿命の向上を図ることも可能である。
【0078】
基本的には、PWM制御を継続するが、あまりに車両停止時間が長いような場合は、PWM制御を実行していたとしてもやはりソレノイドの加熱が懸念されるため、PWM制御用設定値2以上のときは、ステップ302においてセットされた液圧経験履歴を解除すると共に、ヒルホールド制御の解除を実行する。これにより、長時間の車両停止時であっても確実にソレノイドを保護することができる。
【0079】
次に、図9のタイムチャートによりヒルホールド制御を実施した場合の作動の一例を説明する。
【0080】
時刻t1において、イグニッションがONとされ、時刻t2においてスタータモータが駆動され、エンジン始動が開始される。このとき、時刻t1〜t2の間においてエンジン始動履歴及び液圧経験履歴がセットされておらず、ヒルホールド制御は実施されない。フローチャートとしては、ステップ101(ステップ201)→ステップ102→ステップ111→ステップ116(ステップ501)→ステップ117(ステップ601)へと進む処理である。
【0081】
時刻t2において、スタータモータが駆動され所定時間が経過すると、時刻t3において、エンジンのアイドル回転数が安定しステップ202で説明したエンジン始動履歴がセットされる。フローチャートとしては、ステップ101(ステップ201→ステップ202)→ステップ102→ステップ103→ステップ111→ステップ116(ステップ501)→ステップ117(ステップ601)へと進む処理である。
【0082】
時刻t4において、運転者によりブレーキペダルが踏み込まれ、アイドルストップ作動閾値を超えると、アイドルストップ制御が実行される。フローチャートとしては、ステップ101(ステップ201→ステップ202)→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ105→ステップ106(ステップ301)→ステップ107→ステップ116(ステップ501)→ステップ117(ステップ601)へと進む処理である。
【0083】
時刻t5において、ヒルホールド許可閾値1以上になると、ステップ302で説明した液圧経験履歴がセットされる。フローチャートとしては、ステップ101(ステップ201→ステップ202)→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ105→ステップ106(ステップ301→ステップ302)→ステップ107→ステップ108→ステップ109→ステップ116(ステップ501)→ステップ117(ステップ601)へと進む処理である。
【0084】
運転者によりブレーキペダルが踏み込まれた後、運転者がブレーキペダルを急激に緩めたためヒルホールド許可閾値1未満になる手前の時刻t6において、マスタシリンダ圧変化が許可閾値2未満(ステップ109:図3参照)となり、流入弁5をON(閉じる)としてホイルシリンダ内の液圧を保持するヒルホールド制御が開始される。フローチャートとしては、ステップ101(ステップ201→ステップ202)→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ105→ステップ106(ステップ301→ステップ302)→ステップ107→ステップ108→ステップ109→ステップ110→ステップ116(ステップ501→ステップ502→ステップ503)→ステップ117(ステップ601→ステップ602→ステップ605→ステップ608)へと進む処理である。
【0085】
時刻t7において、運転者が再度ブレーキをペダルを踏み込み、時刻t8において、ステップ502におけるヒルホールド解除閾値1を越えると、石踏み防止処理として流入弁5をOFF(開く)とし、ヒルホールド制御が解除される。フローチャートとしては、ステップ101(ステップ201→ステップ202)→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ105→ステップ106(ステップ301→ステップ302)→ステップ107→ステップ108→ステップ109→ステップ110→ステップ116(ステップ501→ステップ502→ステップ504)→ステップ117(ステップ601)へと進む処理である。
【0086】
時刻t9におて、運転者が再度ブレーキペダルの踏み込みを弱め始め、時刻t10において、マスタシリンダ圧変化率がヒルホールド許可閾値2を下回ると、再度ヒルホールド制御を開始する。フローチャートとしては、ステップ101(ステップ201→ステップ202)→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ105→ステップ106(ステップ301→ステップ302)→ステップ107→ステップ108→ステップ109→ステップ110→ステップ116(ステップ501→ステップ502→ステップ503)→ステップ117(ステップ601→ステップ602→ステップ605→ステップ608)へと進む処理である。
【0087】
ホイルシリンダ内の液圧が保持された状態で、運転者が更にブレーキペダルの踏み込みを弱め、時刻t11において、マスタシリンダ圧がアイドルストップ作動閾値を下回ると、スタータモータを駆動し、エンジン再始動を開始する。
【0088】
時刻t11においてエンジン再始動が開始され、時刻t12において、アイドリングが安定したと判断されると、ステップ112において液圧経験履歴が解除され、ステップ401においてヒルホールド延長カウンタのカウントが開始される。フローチャートとしては、ステップ101(ステップ201→ステップ202)→ステップ102→ステップ103→ステップ111→ステップ112→ステップ113(ステップ401→ステップ402→ステップ403→ステップ404)→ステップ114→ステップ116(ステップ501→ステップ502→ステップ503)→ステップ117(ステップ601→ステップ602→ステップ603→ステップ604もしくはステップ605→ステップ608)へと進む処理である。
【0089】
時刻t13において、ステップ404で判断される設定値3に到達すると、前輪側の流出弁6をONとし、前輪側のホイルシリンダ内のブレーキ液を下げる。フローチャートとしては、ステップ101(ステップ201→ステップ202)→ステップ102→ステップ103→ステップ111→ステップ112→ステップ113(ステップ401→ステップ402→ステップ403→ステップ404→ステップ405)→ステップ114→ステップ116(ステップ501→ステップ502→ステップ503)→ステップ117(ステップ601→ステップ602→ステップ603→ステップ604もしくはステップ605→ステップ608)へと進む処理である。
【0090】
次に、時刻t14において、ステップ403で判断される設定値2に到達すると、後輪側の流出弁6をONとし、後輪側のホイルシリンダ内のブレーキ液を下げる。フローチャートとしては、ステップ101(ステップ201→ステップ202)→ステップ102→ステップ103→ステップ111→ステップ112→ステップ113(ステップ401→ステップ402→ステップ403→ステップ406)→ステップ114→ステップ116(ステップ501→ステップ502→ステップ503)→ステップ117(ステップ601→ステップ602→ステップ603→ステップ604もしくはステップ605→ステップ608)へと進む処理である。
【0091】
時刻t15において、ステップ402で判断される設定値1に到達すると、前輪側及び後輪側の両方の流出弁6をOFFとし、一旦保持状態を形成する。そして、ステップ115において、流入弁5をOFFとし、ヒルホールド制御を終了する。フローチャートとしては、ステップ101(ステップ201→ステップ202)→ステップ102→ステップ103→ステップ111→ステップ112→ステップ113(ステップ401→ステップ402→ステップ407→ステップ408)→ステップ114→ステップ115→ステップ116(ステップ501)→ステップ117(ステップ601)へと進む処理である。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態のブレーキ制御装置にあっては、エンジン始動を確実に確認してからヒルホールド制御を解除するために保持延長カウンタを設け、この保持延長カウンタ値が延長用設定値1(例えば150msec〜200msec)を経過する間に徐々に保持された液圧を下げ、流出弁5をOFF(閉じる)とすることで、車両の不用意な移動(後退等)を防止することができる(請求項1,3に対応)。
【0093】
また、上記ヒルホールド解除判断処理では、まず、延長用設定値3(例えば50msec)経過後に前輪側の流出弁5をONとすることで、前輪側に保持された液圧を下げる。次に、延長用設定値2(例えば100msec)経過後に後輪側の流出弁5をONとすることで、後輪側に保持された液圧を下げる。このように、前後輪で制動力をずらして解除することで、運転者の感性にあったヒルホールド解除を達成することができる。また、徐々に制動力が失われることでアクチュエータ作動時の異音を低減することができる。尚、本実施の形態では前輪側→後輪側の順序で液圧を下げたが、各輪をそれぞれずらして液圧を下げても良い(請求項2に対応)。
【0094】
さらに、実施の形態では、制動力発生手段としては、マスタシリンダ圧により作動するホイールシリンダを示したが、これに限定されるものではなく、いわゆるブレーキバイワイヤと呼ばれ、運転者の制動操作に応じてポンプなどの液圧発生手段を用いてホイールシリンダに制動液圧を供給するブレーキ装置を用いてもよいし、あるいは、運転者の制動操作に応じてモータによりブレーキパッドを作動させるブレーキ装置に適用してもよい。要は、検出した路面勾配に応じてヒルホールド開始判断閾値を変更する構成であればよい。
また、ホイールシリンダを作動させる流体としてはブレーキ液(油)を用いるものを示したが、エアなど気体を用いる構造にも適用可能である。
【0095】
また、実施の形態にあっては、AT車に適用した例を示したが、本発明は、マニュアル式の変速機や無断変速機を搭載した車両に適用することもできる。
さらに、実施の形態では、圧力制御弁として、流入弁と流出弁2つの弁を用いたが、上流と下流を結びドレーン回路は遮断した第1ポジション、上流側を遮断し下流とドレーン回路を結んだ第2ポジション、上流、下流、ドレーン回路をそれぞれ遮断した第3ポジションの3つのポジションに切替可能なタイプの1つの圧力制御弁を用いてもよい。この場合、制御解除処理時には、第2ポジションに切り替えることで対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のブレーキ制御装置を示す全体図である。
【図2】実施の形態1におけるヒルホールド制御を表すフローチャートである。
【図3】実施の形態1におけるヒルホールド閾値設定処理を示す説明図である。
【図4】実施の形態1におけるエンジン始動履歴処理を表すフローチャートである。
【図5】実施の形態1における液圧経験履歴処理を表すフローチャートである。
【図6】実施の形態1におけるヒルホールド解除判断処理を表すフローチャートである。
【図7】実施の形態1における石踏み防止処理を表すフローチャートである。
【図8】実施の形態1におけるPWM制御実行処理を表すフローチャートである。
【図9】実施の形態1におけるヒルホールド制御の制御例を表すタイムチャートである。
【符号の説明】
1,2 ブレーキ回路
4 ポンプ
5 流入弁
6 流出弁
7 リザーバ
10 ドレーン回路
41 吸入回路
43 吐出回路
CU コントロールユニット(ヒルホールド制御手段)
MC マスタシリンダ
WC ホイールシリンダ(制動力発生手段)[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a brake control device that performs so-called hill hold control that prevents a vehicle from moving when a driver performs a braking operation to stop the vehicle and then switches from a brake pedal to an accelerator pedal. .
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a brake that performs so-called hill hold control, which maintains the braking pressure in the wheel cylinder and prevents the vehicle from moving backward when the driver stops on a slope and switches his foot from the brake pedal to the accelerator pedal. An apparatus is known, for example, from US Pat.
In such a brake control device, when the vehicle is stopped, idling is stopped, the engine is restarted based on the accelerator ON signal, and the hill hold control is released when the engine speed reaches a predetermined speed.
[0003]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 2000-313253
[Problems to be solved by the invention]
However, the above-described prior art has the following problems. That is, in an idle stop vehicle, the engine state may be unstable immediately after engine restart. That is, even if the engine is restarted once, the engine may stall due to a shortage of intake air. In such a case, even if the engine speed once reaches a predetermined speed, there is a problem that the driving force of the engine cannot be obtained and the vehicle moves backward.
[0005]
The present invention has been made paying attention to the above-mentioned conventional problems, and an object of the present invention is to provide a brake control device that can reliably prevent the vehicle from moving backward when releasing the hill hold control. To do.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above-mentioned purpose, when the change-over operation from the brake pedal to the accelerator pedal is quick on a steep slope or the like, it becomes possible to start the hill hold control regardless of the master cylinder pressure, and to reverse the vehicle. Can be prevented. In addition, by releasing the hill hold control after the first set time has elapsed after exceeding the hill hold end determination threshold, it becomes possible to release the braking force for the first time in a state where it is possible to reliably obtain the driving force, It is possible to prevent the vehicle from moving backward. Moreover, the start timing of hill hold control can be advanced by setting a permission threshold according to the master cylinder pressure detected when the vehicle is stopped.
[0007]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the drawings.
[0008]
(Embodiment 1)
FIG. 1 is an overall view showing a brake control device according to
In the figure, MC is a master cylinder as a braking pressure generating means, and when the brake pedal BP is depressed, brake fluid as a fluid is directed toward a wheel cylinder WC as a braking force generating means through two
[0009]
The
[0010]
In the present embodiment, when an apparatus capable of performing hill hold control is configured, an existing ABS unit ABSU is used.
The configuration will be described. In the
Further, an
The
[0011]
Further, conventionally, in a brake device that executes ABS control, even when ABS control is executed and the
[0012]
Further, a
The
[0013]
Therefore, in the present embodiment, when wheel lock is likely to occur during braking, the
[0014]
The driving of the motor 8 (pump 4) and the driving of each
The control unit CU is connected to a sensor group SG that detects a traveling state. The sensor group SG includes a pressure sensor that detects the pressure of the master cylinder MC, a vehicle speed sensor that detects the vehicle speed, a wheel speed sensor that detects each wheel speed, and the like.
[0015]
The control unit CU performs hill hold control in addition to the ABS control described above. Therefore, this hill hold control will be described.
That is, the automatic transmission is normally equipped with a torque converter, and when the engine is driven, torque is generated in the forward direction due to the creep phenomenon of the so-called torque converter and the brake pedal BP is not operated. However, the stop state of the vehicle can be maintained.
[0016]
On the other hand, in a vehicle that executes idle stop control that stops the engine when the engine is stopped in an idling state, this creep phenomenon cannot be obtained, so that the braking operation is canceled and the braking force is lost. Then, the vehicle will move.
Therefore, in such a case, the hill hold control is performed so that the braking force is generated so that the vehicle does not move and the driver does not feel uncomfortable.
[0017]
FIG. 2 is a flowchart showing the flow of hill hold determination control for determining whether to perform hill hold control and canceling it.
[0018]
In
[0019]
In
[0020]
In
[0021]
In
[0022]
In
This hill hold start determination threshold variable process is to set a hill hold start determination threshold (permission threshold) according to the road surface gradient. In the present embodiment, as shown in FIG. A hill hold start determination threshold (permission threshold) is set according to the master cylinder pressure at the time. Further, in the present embodiment, as the hill hold start determination threshold, the hill hold
[0023]
In
[0024]
In
[0025]
In
The hill hold
[0026]
In
The
[0027]
In
[0028]
In
[0029]
In
[0030]
In
[0031]
In
[0032]
In
[0033]
In
[0034]
In
[0035]
(Engine start history processing)
Next, the engine start history process executed in
[0036]
In
[0037]
In
[0038]
That is, in the idle stop vehicle as in the present embodiment, as the engine stop state in the state where the ignition is turned on, the complete stop state before the engine start by the driver starter operation, and after the engine start, There is an idle stop state in which engine idling automatically stops when a predetermined condition is satisfied.
[0039]
It is assumed that the complete stop state occurs when the vehicle is left with the ignition turned on without distinguishing between the complete stop state and the idle stop state. At this time, since the hill hold control maintains the hydraulic pressure when the engine is stopped, the
[0040]
(Hydraulic experience history processing)
Next, the hydraulic pressure experience history process executed in
[0041]
In
[0042]
In
[0043]
In other words, the execution condition of the hill hold control in the present embodiment is that the engine is stopped and the hydraulic pressure in the master cylinder is less than the permission threshold 1 (see step 108). At this time, the hill hold control is executed during idling stop when the driver does not depress the brake pedal or the braking force (permission threshold 1) required for the hill hold is not generated. May continue to operate.
[0044]
The hill hold control is a control that prevents the vehicle from inadvertently moving by holding the braking force of the brake by confining the master cylinder pressure generated by the driver in the wheel cylinder. However, the operation when the master cylinder pressure has not increased to a pressure that can maintain the braking force necessary for the hill hold is meaningless.
[0045]
Therefore, it is possible to avoid useless hill hold control by detecting that the master cylinder pressure has once risen above the allowable threshold 1 (see step 108), which is the hill hold control start condition, and setting this rise history. This makes it possible to prevent deterioration of the solenoid.
[0046]
(Hill hold release determination process)
Next, the hill hold cancellation determination process executed in
[0047]
In
[0048]
In
[0049]
In
[0050]
In
[0051]
In
[0052]
In step 406, the rear wheel
[0053]
In step 407, the front wheel side and rear wheel
[0054]
In
[0055]
The extension set
[0056]
Hereinafter, the hill hold cancellation determination process will be specifically described. The hill hold control is started when the brake fluid pressure becomes less than the
[0057]
At this time, the engine state may be unstable immediately after the engine is started, and even if the engine is started once, the engine may stall due to insufficient intake air amount or the like. At this time, the driving force of the engine cannot be obtained and the vehicle moves backward.
[0058]
Therefore, a holding extension counter is provided in order to release the hill hold control after confirming that the engine has been started, and the hydraulic pressure gradually held while the holding extension counter value exceeds the set value for
[0059]
In the hill hold release determination process, first, the hydraulic pressure held on the front wheel side is lowered by turning on the
[0060]
(Stepping prevention treatment)
Next, the stepping prevention process executed in
[0061]
In
[0062]
In
[0063]
In
[0064]
In
[0065]
Hereinafter, the above-mentioned stone step prevention process will be specifically described. For example, there is a case where the braking force against the inclination is insufficient during the hill hold control. At this time, since the vehicle may move backward, the driver may step on the brake pedal to prevent this. At this time, during the hill hold control, the
[0066]
Therefore, in
[0067]
Then, the ON duty ratio is gradually decreased with respect to the
[0068]
(PWM control execution process)
Next, the PWM control execution process executed in
[0069]
In
[0070]
In
[0071]
In
[0072]
In
[0073]
In
[0074]
In
[0075]
In
[0076]
In
[0077]
Hereinafter, the PWM control execution process will be specifically described. For example, when the hill hold control is performed, the brake fluid pressure in the wheel cylinder is sealed by turning on (energizing) the
[0078]
Basically, the PWM control is continued. However, if the vehicle stop time is too long, even if the PWM control is executed, there is a concern about heating of the solenoid. When the hydraulic pressure experience history set in
[0079]
Next, an example of the operation when the hill hold control is performed will be described with reference to the time chart of FIG.
[0080]
At time t1, the ignition is turned on, the starter motor is driven at time t2, and engine start is started. At this time, the engine start history and the hydraulic pressure experience history are not set between times t1 and t2, and the hill hold control is not performed. In the flowchart, the process proceeds from step 101 (step 201) →
[0081]
When the starter motor is driven at time t2 and a predetermined time elapses, the engine idling speed is stabilized at time t3, and the engine start history described in
[0082]
At time t4, when the driver depresses the brake pedal and exceeds the idle stop operation threshold, idle stop control is executed. As a flowchart, go to step 101 (step 201 → step 202) →
[0083]
When the hill hold
[0084]
After the brake pedal is depressed by the driver, the master cylinder pressure change is less than the
[0085]
At time t7, the driver depresses the brake pedal again. When the hill hold
[0086]
At time t9, the driver starts to weaken the depression of the brake pedal again. When the master cylinder pressure change rate falls below the hill hold
[0087]
With the hydraulic pressure in the wheel cylinder maintained, the driver further depresses the brake pedal, and when the master cylinder pressure falls below the idle stop operating threshold at time t11, the starter motor is driven to restart the engine. Start.
[0088]
When the engine restart is started at time t11 and it is determined that idling is stable at time t12, the hydraulic pressure experience history is canceled at
[0089]
When the set value 3 determined in
[0090]
Next, at time t14, when the
[0091]
When the
[0092]
As described above, in the brake control device of the present embodiment, the holding extension counter is provided to release the hill hold control after confirming the engine start, and the holding extension counter value is used for extension. By gradually lowering the hydraulic pressure held during the elapse of the set value 1 (for example, 150 msec to 200 msec), the
[0093]
In the hill hold cancellation determination process, first, the hydraulic pressure held on the front wheel side is lowered by turning on the
[0094]
Furthermore, in the embodiment, a wheel cylinder that is operated by the master cylinder pressure is shown as the braking force generating means. However, the present invention is not limited to this, and it is called a so-called brake-by-wire, depending on the driver's braking operation. A brake device that supplies brake hydraulic pressure to the wheel cylinder using hydraulic pressure generating means such as a pump may be used, or applied to a brake device that operates a brake pad by a motor in accordance with a driver's braking operation. May be. In short, any configuration may be used as long as the hill hold start determination threshold is changed according to the detected road surface gradient.
Moreover, although what used brake fluid (oil) was shown as a fluid which operates a wheel cylinder, it is applicable also to the structure using gas, such as air.
[0095]
Further, in the embodiment, an example in which the present invention is applied to an AT vehicle has been described. However, the present invention can also be applied to a vehicle equipped with a manual transmission or a continuously variable transmission.
Furthermore, in the embodiment, two valves, an inflow valve and an outflow valve, are used as pressure control valves. However, the first position where the drain circuit is connected to the upstream and the downstream, the upstream side is blocked, and the downstream and the drain circuit are connected. However, it is also possible to use one pressure control valve of a type that can be switched to three positions of the second position, the upstream position, the downstream position, and the third position where the drain circuit is shut off. In this case, the control release process can be handled by switching to the second position.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an overall view showing a brake control device according to a first embodiment.
FIG. 2 is a flowchart showing hill hold control in the first embodiment.
FIG. 3 is an explanatory diagram showing a hill hold threshold value setting process in the first embodiment.
FIG. 4 is a flowchart showing an engine start history process in the first embodiment.
FIG. 5 is a flowchart showing hydraulic pressure experience history processing in the first embodiment.
FIG. 6 is a flowchart showing a hill hold release determination process in the first embodiment.
FIG. 7 is a flowchart showing a stepping prevention process in the first embodiment.
FIG. 8 is a flowchart showing a PWM control execution process in the first embodiment.
FIG. 9 is a time chart illustrating a control example of hill hold control in the first embodiment.
[Explanation of symbols]
1, 2
MC Master cylinder WC Wheel cylinder (braking force generating means)
Claims (7)
車両状態を検出する車両状態検出手段と、
停車時に車両状態検出手段が検出するマスタシリンダ圧が第1の許可閾値未満となったとき、もしくはマスタシリンダ圧変化率が第2の許可閾値未満となったときに、運転者が制動操作を終了しても制動力発生手段により車両状態を維持する制動力を発生させて車両が移動しないようにするヒルホールド制御を開始し、
車両状態検出手段が検出するヒルホールド制御に関する所定の検出値がヒルホールド終了判断閾値を越えると、第1設定時間経過後にヒルホールド制御を解除するヒルホールド制御手段と、
を備え、
前記許可閾値を、停車時に検出されたマスタシリンダ圧が高いほど高い値に設定することを特徴とするブレーキ制御装置。Braking force generating means for generating braking force;
Vehicle state detection means for detecting the vehicle state;
The driver finishes the braking operation when the master cylinder pressure detected by the vehicle state detection means when the vehicle stops is less than the first permission threshold or when the master cylinder pressure change rate is less than the second permission threshold. Even if the braking force generating means generates a braking force that maintains the vehicle state, the hill hold control is started so that the vehicle does not move,
A hill hold control means for canceling the hill hold control after the first set time has elapsed when a predetermined detection value related to the hill hold control detected by the vehicle state detection means exceeds a hill hold end determination threshold ;
With
The brake control device , wherein the permission threshold is set to a higher value as the master cylinder pressure detected at the time of stopping is higher .
前記制動力発生手段は、各輪それぞれ独立にブレーキ液圧を制御可能なブレーキ系統を有し、
前記ヒルホールド制御手段は、前記ヒルホールド終了判断閾値を越えてから、各輪のブレーキ系統の少なくとも一箇所を前記第1設定時間と異なる第2設定時間経過後にヒルホールド制御を解除することを特徴とするブレーキ制御装置。The brake control device according to claim 1,
The braking force generating means has a brake system capable of controlling the brake fluid pressure independently for each wheel,
The hill hold control means cancels the hill hold control after a second set time that is different from the first set time elapses in at least one part of the brake system of each wheel after the hill hold end determination threshold is exceeded. Brake control device.
前記ブレーキ制御装置を備えた車両を、停車時に車両停止状態検出手段が検出する所定の検出値が成立したときはエンジンのアイドリングを停止するアイドルストップ車両とし、
前記ヒルホールド終了判断閾値を、エンジンの完爆信号としたことを特徴とするブレーキ制御装置。The brake control device according to claim 1 or 2,
A vehicle equipped with the brake control device is an idle stop vehicle that stops idling of the engine when a predetermined detection value detected by the vehicle stop state detection means is established when the vehicle is stopped,
The brake control device according to claim 1, wherein the hill hold end determination threshold value is an engine complete explosion signal.
前記ブレーキ制御装置を備えた車両を、停車時に車両停止状態検出手段が検出する所定の検出値が成立したときはエンジンのアイドリングを停止するアイドルストップ車両とし、
イグニッションがONとなった状態におけるエンジン停止状態として、運転者のスタータ操作によるエンジン始動前における完全停止状態と、エンジン始動後のアイドルストップ状態とを判別し、完全停止状態のときはヒルホールド制御を禁止し、アイドルストップ状態のときはヒルホールド制御を許可することを特徴とするブレーキ制御装置。The brake control device according to any one of claims 1 to 3,
A vehicle equipped with the brake control device is an idle stop vehicle that stops idling of the engine when a predetermined detection value detected by the vehicle stop state detection means is established when the vehicle is stopped,
As the engine stop state when the ignition is turned on, the complete stop state before the engine start by the driver's starter operation and the idle stop state after the engine start are discriminated. When the engine is in the complete stop state, the hill hold control is performed. A brake control device that prohibits and permits hill hold control in an idle stop state.
マスタシリンダとホイルシリンダとを結ぶブレーキ回路の途中に介装され、非通電時は解放状態、通電時はホイルシリンダ内の液圧を保持状態に維持可能なソレノイドバルブを備え、 Provided in the middle of the brake circuit that connects the master cylinder and the wheel cylinder, equipped with a solenoid valve that can be released when not energized, and maintain the hydraulic pressure in the wheel cylinder when energized,
前記ヒルホールド制御は、前記ソレノイドバルブに通電してホイルシリンダ内の液圧を保持することでヒルホールド制御を開始し、前記ソレノイドバルブにONデューティ100%以下のPWM制御信号を出力しつつ前後輪で制動力をずらしてヒルホールド制御を解除することを特徴とするブレーキ制御装置。 The hill hold control starts the hill hold control by energizing the solenoid valve to hold the hydraulic pressure in the wheel cylinder, and outputs a PWM control signal with an ON duty of 100% or less to the solenoid valve while The brake control device is characterized in that the hill hold control is canceled by shifting the braking force.
前記ヒルホールド制御は、ヒルホールド制御開始から所定時間の間、前記ソレノイドバルブにONデューティ100%のPWM制御信号を出力し、前記所定時間経過後は前記ソレノイドバルブにONデューティ100%未満のPWM制御信号を出力することを特徴とするブレーキ制御装置。 The hill hold control outputs a PWM control signal with an ON duty of 100% to the solenoid valve for a predetermined time from the start of the hill hold control, and after the predetermined time has elapsed, the PWM control with an ON duty of less than 100% is output to the solenoid valve. A brake control device that outputs a signal.
前記ヒルホールド制御は、前記所定時間よりも長い第2の所定時間経過したときは、前記ソレノイドバルブを非通電とし、ヒルホールド制御を解除することを特徴とするブレーキ制御装置。 In the hill hold control, when a second predetermined time longer than the predetermined time elapses, the solenoid valve is de-energized and the hill hold control is released.
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