JP7074456B2 - ライセンスプレート用グラフィックフィルム、及び該グラフィックフィルムを使用したライセンスプレートの製造方法 - Google Patents
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Description
〈シクロヘキサノン吸収量〉
本開示のライセンスプレート用グラフィックフィルムは、少なくとも登録番号等の文字情報が印刷される印刷層が適用される表面保護層を有する。係る表面保護層表面にシクロヘキサノンを適用した場合のシクロヘキサノン吸収量が、約0.0017g/cm2以上かつ約0.0025g/cm2以下であり、かつ、150℃、10分での熱処理後の表面保護層表面にシクロヘキサノンを適用した場合のシクロヘキサノン吸収量は約0.0010g/cm2以下となるため、150℃以上の熱処理前は、登録番号等の印刷層に使用されるロールコートインク等との印刷適合性に優れ、インク垂れ、即ち、印刷層端部の白抜け等を防止し得る一方で、係る熱処理後には、耐薬品性等の耐久性能を向上させることができる。シクロヘキサノン吸収量が約0.0017g/cm2以上かつ約0.0025g/cm2以下であるグラフィックフィルムの表面保護層は、印刷適合性に優れるため、印刷層に限らず、加飾層を適用することもできる。上記シクロヘキサノン吸収量は、印刷適合性の観点から、約0.0018g/cm2以上であることがより好ましい。係る吸収量が増加すると、ロールコートインク等に対する印刷適合性が向上するが、吸収量が大きくなりすぎると、ロールコート用インクによって表面荒れやシワ発生等の不具合が生ずる場合がある。そこで、吸収量は、例えば、約0.0024g/cm2以下、又は約0.0023g/cm2以下であることがより好ましい。150℃、10分での熱処理後のグラフィックフィルムの表面保護層表面にシクロヘキサノンを適用した場合のシクロヘキサノン吸収量は、耐薬品性等の観点から、約0.0008g/cm2以下、又は約0.0007g/cm2以下となることがより好ましい。上記のシクロヘキサノン吸収量を満足する本開示のグラフィックフィルムの表面保護層は、これまでトレードオフの関係にあった溶剤耐性と印刷適合性とを両立させることができる。なお、シクロヘキサノンの吸収は主に表面保護層で生じるが、表面保護層のみで吸収される場合に限らず、表面保護層に隣接する他の層までシクロヘキサノンが浸透し、そこで吸収されてもよい。
表面保護層の厚さは様々であってよく、次のものに限定されないが、約1μm以上、約2μm以上又は約3μm以上、約100μm以下、約70μm以下又は約50μm以下にすることができる。以下で説明する支持層上に表面保護層を適用する場合には、係る表面保護層の厚さとしては、約1μm以上、約2μm以上又は約3μm以上、約20μm以下、約15μm以下又は約10μm以下にすることができる。
本開示の表面保護層は、グラフィックフィルムが上記のシクロヘキサノン吸収量を満足できるものであれば、如何なる材料も用いることができ、次のものに限定されないが、例えば、カルボキシル基及びシラノール基を含む樹脂、並びにカルボキシル基を含む樹脂及びシラノール基を含む樹脂の混合物から選択される少なくとも一種と、架橋剤とを含む材料を使用することができる。カルボキシル基とシラノール基の少なくとも二種類の架橋性官能基が含まれることにより、例えば、図7に示されるように、熱処理の温度条件で異なる架橋(硬化)部位が形成され、150℃、10分での熱処理前後で、架橋密度を相違させることができる。係る材料においては、少なくとも、150℃、10分での熱処理前は、未反応のシラノール基が残存しており、未反応のシラノール基の存在は、例えば、図8に示されるような赤外線分光法のグラフから確認することができる。係る表面保護層は、150℃、10分での熱処理前は、架橋密度が低くシクロヘキサノン吸収量が高い、即ち、耐薬品性及び耐ガソリン性等の溶剤耐性には劣るが、エンボス加工等に対する追従性及び印刷層等のインク吸収性に優れ、150℃、10分での熱処理後は、架橋密度が高くシクロヘキサノン吸収量が低い、即ち、インク吸収性には劣るが、耐薬品性等の溶剤耐性及び硬度等に優れるといった性能を呈することができる。なお、本開示においては、架橋と硬化を同義として用いる場合がある。
カルボキシル基及びシラノール基を含む樹脂としては、例えば、中和されたカルボキシル基を有する重合体セグメント(A)と、ポリシロキサンセグメント(B)とが化学結合してなる複合樹脂(AB)のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素原子数が1~3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素-酸素結合を介して結合している複合樹脂(ABC)などを使用することができる。より具体的には、例えば、ポリシロキサンセグメント(B)が中和されたカルボキシル基を有する重合体セグメント(A)の側鎖に化学的に結合したグラフト構造を有する複合樹脂;重合体セグメント(A)の末端にポリシロキサンセグメント(B)が化学的に結合したブロック構造を有する複合樹脂のポリシロキサンセグメント(B)と、アルキル基の炭素原子数が1~3のアルキルトリアルコキシシランの縮合物(c)由来のポリシロキサンセグメント(C)とが珪素-酸素結合を介して化学的に結合した構造を有する複合樹脂などが挙げられる。係る複合樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができ、任意に、ウレタン等の変性処理等が適用されていてもよい。
本開示の表面保護層は、上記の複合樹脂に限らず、カルボキシル基を含む樹脂と、シラノール基を含む樹脂との混合物などを使用することもできる。これらの樹脂の配合量については、相溶性、又は使用用途等に応じた所望の、印刷適合性、耐候性、耐薬品性等の性能が得られるように適宜調整することができる。
本開示の表面保護層の形成においては、架橋剤を使用することができ、特に、カルボキシル基及びシラノール基を含む樹脂、並びにカルボキシル基を含む樹脂及びシラノール基を含む樹脂の混合物から選択される少なくとも一種を用いる場合には、架橋剤を併用することが好ましい。架橋剤の種類及び配合量としては、相溶性、又は使用環境等に応じた所望の、印刷適合性、耐候性、耐薬品性等の性能が得られるように適宜選択及び調整することができる。
本開示の表面保護層の形成においては、任意成分として、顔料、染料、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、溶剤などの従来使用されている材料を使用することができる。
本開示のグラフィックフィルムは、表面保護層の下又その下方に、支持層、加飾インク受容層、加飾層、接着層、接合層、再帰性反射層、及び剥離ライナーからなる群から選択される少なくとも一種をさらに備えることができる。
本開示のグラフィックフィルムは、表面保護層の下又その下方に、支持層を適用することができる。特に、破断伸び率が約50%以上、約55%以上又は約60%以上の支持層は、グラフィックフィルムの耐衝撃性を向上させることができる。
支持層の厚さは様々であってよいが、耐衝撃性の観点から、約10μm以上又は約15μm以上、約50μm以下、約40μm以下又は約30μm以下とすることができる。
支持層は、表面保護層を支持し得る材であれば如何なるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、耐衝撃性の観点から、ポリウレタン系樹脂が好ましい。支持層はこれらの材料よりなる単一の層又は積層構成の層であってもよい。
本開示の支持層は、任意成分として、架橋剤(例えば、カルボジイミド系架橋剤)、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤(例えば、3-グリシドキキシプロピルトリメトキシシラン)などの従来使用されている添加剤を含んでもよい。
本開示のグラフィックフィルムは、図2及び図3に示されるように、表面保護層の下又その下方に、加飾インク受容層を適用することができる。係る受容層は、以下で説明する加飾層のインクを受容する層であり、加飾層は、受容層の片面又は両面に適用することができる。上述した支持層と同様に、受容層の破断伸び率を約50%以上、約55%以上又は約60%以上とすることで、耐衝撃性を向上させることができる。
加飾インク受容層の厚さは様々であってよいが、インクの受容性及びプレス加工時の追従性等の観点から、約5μm以上、又は約10μm以上、約100μm以下、約60μm以下、又は約50μm以下とすることができる。
加飾インク受容層は、加飾層のインクを受容する材であれば如何なるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーを使用することができる。(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノエチレン性不飽和モノマーは、一般には式CH2=CRiCOORii(式中、Riは水素又はメチル基であり、Riiは直鎖又は分岐状のアルキル基やフェニル基、アルコキシアルキル基、フェノキシアルキル基である)で表されるものの他、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル等のビニルエステル類も含まれる。このようなモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレートや2-メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートなどがあり、所望の、伸び特性、インク受容性等を得るために、その目的に応じて1種又は2種以上を使用することができる。
加飾インク受容層は、架橋剤を含むことができ、係る受容層は、架橋させることにより網目構造が形成され、耐薬品性等の性能が向上する。架橋剤としては、具体的には、ビスアミド系架橋剤(例えば、3M製RD1054)、アジリジン系架橋剤(例えば、日本触媒製ケミタイト(登録商標)PZ33、アビシア製NeoCryl(登録商標)CX-100)、カルボジイミド系架橋剤(例えば、日清紡製カルボジライトV-03,V-05,V-07)、エポキシ系架橋剤(例えば、綜研化学製E-AX,E-5XM,E5C)、イソシアネート系架橋剤(例えば、旭化成ケミカルズ製Duranate(登録商標)TPA-100)等を用いることができる。架橋剤は、所望の性能が得られる範囲で適宜配合することができるが、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して約0.01質量部以上、約5質量部以下の範囲で使用することができる。
本開示の加飾インク受容層は、インクの受容性を阻害しない範囲で、任意成分として、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤などの従来使用されている添加剤を含んでもよい。
加飾層は、グラフィックフィルムに装飾性又は意匠性を付与するために使用することができる。グラフィックフィルムがライセンスプレートに用いられた場合、ライセンスプレートの文字以外の背景部分に絵柄、パターン等が形成される場合がある。加飾層の例として、特殊な色合い、金属色などを呈するカラー層、木目、石目などの模様や、ロゴ、絵柄などを構造体に付与するパターン層などが含まれる。カラー層又はパターン層の材料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、光輝材などの顔料がバインダー樹脂に分散されたものを使用することができる。ある実施形態では、加飾層は、インクジェットプリンタ、スクリーン印刷、オフセット印刷等で形成することができる。
加飾層の厚さは様々であってよく、一般に、溶剤系インクを用いた場合は、約1μm以上、又は約2μm以上、約8μm以下、又は約5μm以下とすることができる。UV硬化型インクを用いた場合は、約1μm以上、又は約5μm以上、約50μm以下、又は約30μm以下とすることができる。
加飾層において使用される顔料は、1種で又は2種以上混合して使用することができる。顔料の使用量は、インク組成物100質量部に対して、一般に約1質量部以上、又は約2質量部以上、約30質量部以下、又は約25質量部以下とすることができる。
顔料として従来知られている有機顔料を使用することができる。有機顔料の具体例として、C.I.Pigment White 6、C.I.Pigment Black 7、C.I.Pigment Red 122、同202、同254、同255、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Violet 19、同23、C.I.Pigment Blue 15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、C.I.Pigment Brown 23、同25、C.I.Pigment Yellow 74、同109、同110、同128、C.I.Pigment Green 7、同36などの有機顔料が挙げられる。
顔料として従来知られている無機顔料を使用することもできる。無機顔料の具体例として、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタンなどの無機顔料が挙げられる。
インク組成物中での顔料の分散性を向上させるため、上記顔料を樹脂に担持させたスラリーを使用してもよい。そのようなスラリーとして、顔料を塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂に担時させた、Microlith(商標)Yellow 2040K、同Red3630K、同Magenta 4535K、同Blue 7080K、同Green 8750K、同Black 0066K、同White 0022K(BASF)などが挙げられる。
前述の顔料と一緒に使用する好適なバインダー樹脂としては、塩化ビニル単位及び酢酸ビニル単位を含む塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の少なくともいずれかを含むが、それらに限定されない。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は他の重合単位、例えばビニルアルコール単位、マレイン酸単位、ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル単位などを含んでもよい。そのようなバインダー樹脂の具体例として、SOLBIN(登録商標)C、SOLBIN(登録商標)CL、SOLBIN(登録商標)CNL(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、日信化学工業株式会社)、SOLBIN(登録商標)A、SOLBIN(登録商標)AL(塩化ビニル-酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合樹脂、日信化学工業株式会社)、UCAR(登録商標)Solution Vinyl Resin VYHH(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、ダウ・ケミカル日本株式会社)、UCAR(登録商標)Solution Vinyl Resin VAGH(塩化ビニル-酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合樹脂、ダウ・ケミカル日本株式会社)、UCAR(登録商標)Solution Vinyl Resin VMCH(塩化ビニル-酢酸ビニル-マレイン酸共重合樹脂、ダウ・ケミカル日本株式会社)、UCAR(登録商標)Solution Vinyl Resin VMCC(塩化ビニル-酢酸ビニル-マレイン酸共重合樹脂、ダウ-ケミカル日本株式会社)、UCAR(登録商標)Solution Vinyl Resin VMCA(塩化ビニル-酢酸ビニル-マレイン酸共重合樹脂、ダウ-ケミカル日本株式会社)、UCAR(登録商標)Solution Vinyl Resin VROH(塩化ビニル-酢酸ビニル-ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル共重合樹脂、ダウ-ケミカル日本株式会社)、VINNOL(登録商標)E15/45(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、Wacker Chemie AG)などが挙げられる。
a.溶剤
加飾層を形成するためのインク組成物は、作業性、塗工性などを改善するために、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテルなどの有機溶剤をさらに含んでもよいが、それらに限定されない。有機溶剤の使用量は、一般に、インク組成物100質量部に対して約1質量部以上、又は約5質量部以上、約90質量部以下又は約80質量部以下とすることができる。
インク組成物は、その他の任意成分として、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、レベリング剤などの従来使用されている添加剤を含んでもよい。
接着層に使用することができる接着剤として、次のものに限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系感圧接着剤、天然ゴム、合成ゴム、ポリエステル、ポリエーテル、シリコーン又は他のポリマーをベースとし、必要に応じて粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などの添加剤を含む、他の感圧接着剤を使用することができる。本開示において「感圧接着剤」とは、室温で恒久的に粘着性であり、軽い圧力で様々な表面に接着し、相変化(液体から固体へ)を呈さない接着剤を指す。接着剤は架橋剤によって熱架橋又は放射線(例えば電子線又は紫外線)で架橋されたものでもよい。
接着層の厚さは様々であってよく、一般に、約5μm以上、又は約10μm以上、約150μm以下、又は約50μm以下とすることができる。
a.白色顔料
接着層に白色顔料を配合することができる。白色顔料として、特に酸化チタンは、グラフィックフィルムが適用されるベースプレート(下地)の色を隠蔽する能力に優れる。酸化チタンとして、ルチル型とアナターゼ型のいずれも使用可能であり、市販品の例として、タイペーク(登録商標)R-820、同R-830、同R-930、同A-100、同A-220(石原産業株式会社)、タイピュア(登録商標)R-105、同R-960(デュポン株式会社)などが挙げられる。
接着層を基材に積層した積層体の基材側を、加飾インク受容層に直接又は以下で説明する接合層を介して適用してもよい。この場合には、接着層及び/又は基材に、上記白色顔料を配合することができる。
接合層は、グラフィックフィルムの各層を接合させるための層であり、必要に応じて各層間に配置してもよい。接合層は、従来知られている接着剤から形成することができ、被接合物の材質に応じて適宜選択される。接合層の接着剤(以下、「接合剤」という場合がある。)として、例えば、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などをベースとするものを使用することができ、上記接着層と同一の材料を使用することもできる。接合層の下位に、加飾層、再帰性反射層等を含む場合には、視認性に影響を与えないように、可視光に対して透明であることが好ましい。
接合層の厚みは特に限定されるものではないが、一般に、約5μm以上、又は約10μm以上、約150μm以下、又は約50μm以下とすることができる。
図4において例示される、第1の実施形態の再帰反射性グラフィックフィルム300は、概して平坦な主表面316と主表面の反対側に構造化表面314を有する再帰性反射層310を有する。構造化表面314は、複数のキューブコーナー素子312を有している。接着層330は再帰性反射層310に隣接して配置されている。接着層330は、接着剤332、及び1つ以上のバリア層334を含み、さらに以下で説明するシリコーン樹脂などで剥離処理されたPETフィルム、ポリエチレンフィルム、ラミネート紙などの剥離ライナー336を有してもよい。
再帰性反射層310は、入射した光を発光源に戻す方向に反射するように構成された、任意の好適なキューブコーナー素子312を含むことができる。キューブコーナー素子312は、再帰反射する機能を発揮するものであれば、任意の好適な構造を有していてよい。例えば、キューブコーナー素子は、完全な立方体(フルキューブ又はジオメトリーキューブと呼ばれる場合もある。)、切頭立方体、キューブコーナー型の三角錐、キューブコーナー型の空洞などであってよい。例えば、キューブコーナー素子は、相互に略直交する3つの側面を有する三面構造を含む。使用する際、再帰反射性グラフィックフィルム300は、通常、想定される観察者及び光源にその表示面を向けて配置される。表示面に入射する光は、再帰反射性グラフィックフィルム300に入射し、実質的に光源に向かう方向で表示面から出射するように、キューブコーナー素子312の3つの側面それぞれによって反射される。いくつかの実施態様では、キューブコーナー素子312は、より広範囲の入射光線角度で再帰反射特性が向上するように互いに対して傾斜している。キューブコーナーに基づく再帰性反射シートの例示的な実施態様は、米国特許第5,138,488号(Szczech)、同第5,387,458号(Pavelka)、同第5,450,235号(Smith)、同第5,605,761号(Burns)、同第5,614,286号(Bacon)、同第5,691,846号(Benson,Jr.)、及び同第7,422,334号(Smith)に開示されている。
再帰性反射層310に好適に使用される樹脂として、例えば、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、脂肪族ポリウレタン、及びエチレンコポリマー、並びにそれらのアイオノマー、上述した加飾インク受容層に使用される材料などが挙げられる。再帰性反射層310に含まれるキューブコーナー素子312は、例えば米国特許第5,691,846号(Benson,Jr.)に記述されるように、樹脂フィルム上に直接鋳造することによって形成することができる。再帰性反射層を放射線硬化により形成する場合、好適な樹脂として、例えば多官能(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル化ウレタンなどを含む放射線硬化性組成物の硬化物が挙げられる。上記樹脂は、例えば、熱安定性、環境安定性、透明性、工具又は成形型からの優れた剥離性、及び他の層との密着性などのいずれか又は複数について有利であり、透明性、熱安定性などの点でポリカーボネート、及びエポキシ(メタ)アクリレートの硬化物が特に有利である。
再帰性反射層の厚さは様々であってよく、一般に、約40μm以上、約50μm以上、又は約55μm以上、約150μm以下、約100μm以下、又は約60μm以下とすることができる。再帰性反射層の厚さとは、再帰性反射層の主表面と構造化表面の最も高い頂部の距離をいう。キューブコーナー素子の高さは様々であってよく、一般に、約50μm以上、約70μm以上、又は約80μm以上、約150μm以下、約120μm以下、又は約100μm以下とすることができる。キューブコーナー素子の高さとは、キューブコーナー素子を構成する側面の再帰反射に有効な領域の、再帰反射性グラフィックフィルムの面に対して垂直な方向における長さをいう。
バリア層334は、接着剤332が、構造化表面314とバリア層334との間に形成される低屈折率層338内に流れ込むのを防ぐのに十分な構造的一体性を有する。バリア層334は、キューブコーナー素子312の先端部と直接接触してもよく、キューブコーナー素子312の先端部から離間していてもよく、キューブコーナー素子312の先端部にわずかに押し込まれてもよい。バリア層の寸法及び間隔は様々であってもよい。ある実施態様では、バリア層は再帰反射性グラフィックフィルム上にグリッド、ストライプ、ドット、文字などのパターンを形成してもよい。
バリア層334の材料として、接着剤332がキューブコーナー素子312と接触すること、又は低屈折率層338内に入り込むことを防ぐ任意の材料を使用することができる。バリア層で使用される代表的な材料として、樹脂、紫外線硬化性ポリマー、フィルム、インク、染料、顔料、無機材料、粒子、及びビーズなどが挙げられる。
バリア層の厚さは様々であってよく、一般に、約2μm以上又は約3μm以上、約10μm以下、約8μm以下、又は約4μm以下とすることができる。
図4に示すように、低屈折率層338に隣接するキューブコーナー素子312に入射する光線350は再帰反射する。本開示において、低屈折率層338を含む再帰反射性グラフィックフィルム300の領域は光学的に活性な領域である。対照的に、低屈折率層338を含まない再帰反射性グラフィックフィルム300の領域は、図4に示すように入射する光線350を実質的に再帰反射しないため、光学的に不活性な領域である。
図4に例示される第1の実施形態の再帰反射性グラフィックフィルムの再帰性反射構造体の製造方法は、例えば、バリア層334を接着剤332上に配置する工程と、次いで、得られた接着層330を再帰性反射層310に積層する工程とを含む。バリア層334を備える接着層330は、以下の代表的な方法を含むが、これに限定されない様々な方法で形成することができる。1つの代表的な実施態様では、バリア層を形成する材料は接着剤上に印刷される。印刷方法は、非接触方法、例えばインクジェットプリンタを使用する印刷であってもよく、接触印刷方法、例えばフレキソ印刷であってもよい。他の代表的な実施態様では、バリア層を形成する材料は、例えばインクジェット又はスクリーン印刷方法を使用して平坦な剥離面上に印刷され、次いで平坦な剥離面から接着剤上に転写される。他の代表的な実施態様では、バリア層を形成する材料は、微細構造化表面を有するライナー上にフラッドコーティングされ、その上に接着剤を積層することによって、バリア層は微細構造化表面を有するライナーから接着剤に転写される。
図5において例示される、第2の実施形態の再帰反射性グラフィックフィルム400は、構造化表面414と構造化表面414に隣接する反射層435を含む再帰性反射層410を有する。ここでは、図4の低屈折率層338に代えて、反射層435が使用されている。反射層435は、例えば構造化表面414上のアルミニウムコーティングであってよい。反射層435に隣接して接着剤432を含む接着層430を再帰反射性グラフィックフィルム400に設けてもよく、接着層430は再帰性反射層410の反対側にさらに以下で説明する剥離ライナー436を有してもよい。構造化表面414は、複数のキューブコーナー素子412を含む。
図5に示すように、キューブコーナー素子412に入射する光線450は、反射層435とキューブコーナー素子412の組み合わせにより再帰反射する。反射層435がキューブコーナー素子412に隣接する再帰反射性グラフィックフィルム400の領域は光学的に活性な領域である。
(赤外線吸収材)
本開示の再帰反射性グラフィックフィルムは、赤外線吸収剤をさらに含んでもよい。この場合、赤外線吸収剤は、再帰反射性グラフィックフィルムに入射し、反射される光の行路上のいずれかの層に含まれる。例えば、再帰性反射層(例えば、再帰性反射素子、基体層(body layer)、シールフィルム、接着剤層など)、表面保護層、加飾インク受容層、加飾層、接合層、接着層に赤外線吸収剤が含まれてもよい。表面保護層と再帰性反射層の間に、赤外線吸収剤とバインダー樹脂とを含む赤外線吸収層(不図示)が配置されてもよい。一実施態様では、赤外線吸収剤は再帰性反射層に含まれる。赤外線吸収剤を含む層の波長800~1000nmの光についての平均透過率は、好ましくは約80%以下、約70%以下、又は約60%以下とすることができる。赤外線吸収剤を含む層の波長800~1000nmの光についての平均透過率が、約0.5%以上、約1%以上、又は約5%以上であってもよい。
赤外線吸収剤を再帰反射性グラフィックフィルムに含めると、再帰反射性グラフィックフィルムの白色度が低下することがある。これは、一般に用いられる多くの赤外線吸収剤が可視光領域において若干の吸収を示すからである。したがって、再帰反射性グラフィックフィルムの白色度を高めるために、所望により、酸化チタン、酸化亜鉛、又は蛍光増白剤などの白色度向上材料を再帰反射性グラフィックフィルム内に含めるか、又は再帰反射性グラフィックフィルムの層間に適用してもよい。白色度向上材料を用いることにより、再帰反射性グラフィックフィルムが日光の下で白く見えるようになる。
本開示の再帰反射性グラフィックフィルムは、シールフィルムをキューブコーナー素子の背面に貼ることもでき、それらは、例えば、米国特許第4,025,159号(McGrath)及び同第5,117,304号(Huang)に記載されており、いずれの記載も全てここに援用される。シールフィルムは、境界における全内部反射を可能にし、かつ汚れ及び/又は湿分のような汚染物質の進入を阻止する空気境界をキューブの背面に保持することができる。
本開示の再帰反射性グラフィックフィルムの再帰反射特性について、観測角0.2度、入射角5度における再帰反射係数(JIS Z 9117に準拠する)は、少なくとも約1cd/lx/m2とすることができる。ある好適な実施態様では、再帰反射係数は、約45cd/lx/m2以上、又は約50cd/lx/m2以上とすることができる。例えば、ISO7591:1982に規定される白については、約45cd/lx/m2以上、黄については約30cd/lx/m2以上であることが望ましい。JIS Z 9117の封入レンズ型タイプ1-B-bである場合、白については約35cd/lx/m2以上、黄については約25cd/lx/m2以上、赤については約10cd/lx/m2以上、黄赤については約13cd/lx/m2以上、緑については約5cd/lx/m2以上、青については約3cd/lx/m2以上であることが望ましい。
本開示のライセンスプレート用グラフィックフィルムは、接着層の転写、傷等からの保護などを目的として、接着層及び/又は表面保護層に対して剥離性のフィルム部材、例えば、剥離ライナーなどを適用することができる。
(破断強度)
本開示のライセンスプレート用グラフィックフィルムは、良好な耐久性の観点から、好ましくは約5N/25mm以上、約10N/25mm以上、又は約20N/25mm以上の破断強度を有していてもよく、製造容易性の観点から、好ましくは、約200N/25mm以下、約175N/25mm以下、又は約150N/25mm以下の破断強度を有していてもよい。本開示において、破断強度は、JIS Z 0237に準拠して測定される値である。
本開示のライセンスプレート用グラフィックフィルムは、エンボス加工又はデボス加工時のクラック発生の防止、及び被着体、例えばベースプレートからの浮き上がり防止の観点から、好ましくは、約30%以上、又は約35%以上の伸びを有していてもよく、良好な機械強度の観点から、好ましくは、約400%以下、又は約350%以下の伸びを有していてもよい。本開示において、伸びは、ASTM試験法D882-80aに準拠して測定される値である。
ライセンスプレート用グラフィックフィルムの製造方法について図1~3を参照しながら例示的に説明するが、グラフィックフィルムの製造方法はこれらに限られない。
本開示の一実施態様では、上記グラフィックフィルムを含むライセンスプレートが提供される。
ライセンスプレートのベースプレートは、一般に金属板又は樹脂板などを使用することができる。金属板として、アルミニウム板、ステンレス板、鉄板などが挙げられる。樹脂板として、ポリカーボネート板、ポリエステル板、塩化ビニル板などが挙げられる。必要に応じて、これらの板材をフレームなどの形状に成形加工してもよい。
ライセンスプレートは、一般に、数字、文字、グラフィック、パターン又はそれらの組み合わせを含むことができる。ある実施形態では、ライセンスプレートの外観は、政府及び/又は管轄地域で規定されている。別の実施形態では、表示部は、印刷層によって形成することができる。さらに別の実施形態では、例えばライセンスプレートにおいて、表示部をエンボス部(凸部)又はデボス部(凹部)と印刷層とを組み合わせて形成することもできる。エンボス部及びデボス部の深さは、一般にそれぞれ約1mm以上、約2mm以下であるが、この範囲に限定されない。
印刷層は、一般に、ロールコート用インクと呼ばれる溶剤系のインクを用いて形成されるものであり、上記の顔料、並びにメラミン樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、及びこれらの混合樹脂等のバインダーを含むインク組成物を、ロールコーティングなどにより表面保護層の上などに適用し、所定の温度及び時間で焼き付けることによって形成することができる。インク組成物として、具体的には、NSP-UP 401K-1 Green(日弘ビックス株式会社製)、一液加熱硬化型インキであるMEGスクリーンインキ(帝国インキ製造株式会社製)等を使用することができる。
本開示のライセンスプレートの製造方法を、図6A~6Eを参照しながら例示的に説明するが、ライセンスプレートの製造方法はこれに限られない。
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
本実施例において使用した材料を表1に示す。
(実施例1)
表面保護層用のコーティング液であるTL-1を、ルミラー(登録商標)T-60(東レ株式会社製:50μm厚のPETキャリアフィルム)上にナイフコーターを用いてコートし、100℃で10分間乾燥して、約30μm厚の表面保護層を備える積層フィルム1を作製した。ここで、TL-1は架橋剤であるカルボジライト(登録商標)V-02を含むため、カルボキシル基及びシラノール基含有樹脂のカルボキシル基が、100℃、10分の熱処理によって硬化し架橋する。
表面保護層用のコーティング液であるTL-1及び支持層用のコーティング液であるUS-1を、ルミラー(登録商標)T-60(東レ株式会社製:50μm厚のPETキャリアフィルム)上にナイフコーターを用いて順次コートし、100℃で10分間乾燥して、約10μm厚の表面保護層及び約25μm厚の支持層を備える積層フィルムaを作製した。実施例1における積層フィルム1に代えて積層フィルムaを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてライセンスプレート用グラフィックフィルム及びライセンスプレートを作製した。ここで、約35μm厚の支持層のみの破断伸びを、株式会社オリエンティック社製のテンシロンTC-1325Aを用いて測定した結果、その破断伸びは90%であった。
実施例1と同様に、表面保護層を備える積層フィルム1を作製し、係る積層フィルム1の表面保護層上にインクジェット印刷機(株式会社ミマキエンジニアリング社製:JV-33-130)で加飾層を印刷した。次いで、実施例1と同様に、白色接着層を備える積層フィルム4を作製し、積層フィルム1の表面保護層と、積層フィルム4の白色接着層とをラミネートしてライセンスプレート用グラフィックフィルムを作製したこと以外は、実施例1と同様にしてライセンスプレートを作製した。
積層フィルム1における熱処理を100℃、10分間から150℃、10分間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてライセンスプレート用グラフィックフィルム及びライセンスプレートを作製した。
印刷層を形成した後の熱処理を150℃、10分間から100℃、10分間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてライセンスプレート用グラフィックフィルム及びライセンスプレートを作製した。
積層フィルム1における表面保護層用のコーティング液をTL-1からTL-2に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてライセンスプレート用グラフィックフィルム及びライセンスプレートを作製した。
積層フィルム1における熱処理を100℃、10分間から150℃、10分間にさらに変更したこと以外は、比較例3と同様にしてライセンスプレート用グラフィックフィルム及びライセンスプレートを作製した。
積層フィルム1における表面保護層用のコーティング液をTL-1からTL-3に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてライセンスプレート用グラフィックフィルム及びライセンスプレートを作製した。
積層フィルム1における表面保護層用のコーティング液をTL-1からTL-4に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてライセンスプレート用グラフィックフィルム及びライセンスプレートを作製した。
グラフィックフィルム及び該フィルムを含むライセンスプレートの特性を、以下の試験方法を用いて評価した。
実施例1~3、及び比較例1~6のグラフィックライセンスプレートを4cm角にカットし、25℃の雰囲気下、係るライセンスプレートを精密化学天秤上に静置し、印刷層の緑インクの主溶剤であるシクロヘキサノンをスポイトで一滴(約19~約21mg)滴下し、表面保護層表面に適用する。15秒後、ベンコット(登録商標)等で液滴を吸い取り、速やかに、吸収されてライセンスプレートに残ったシクロヘキサノンの質量A(g)、即ち、(液滴吸い取り後のライセンスプレートの質量(g))-(液滴滴下前のライセンスプレートの質量(g))の値を記録する。略円形状のシクロヘキサノンの溶剤痕の直径B(cm)をノギス等で測定し、下記の式1から、ライセンスプレートのシクロヘキサノン吸収量を算出する。
作製したライセンスプレートの印刷層の外観変化を目視で観察する。外観に変化がないものを「良」、外観に変化が確認されたものを「不良」とする。ここで、「不良」の判断基準としては、印刷層の端部が、図9(a)及び図10(a)のように白抜けしているもの、並びに印刷インクの溶剤に伴う表面保護層の溶解及び/又は膨潤による表面荒れが発生しているもののうちの少なくとも一つが生じていることを基準としている。
ラッカーシンナー(三協化学株式会社製:RA-50)を染み込ませた布を、500gの圧力をかけながら、ライセンスプレートにおいて印刷層が形成されていない部分の表面保護層に対して30往復拭き擦る。次いで、係る表面保護層の外観変化の有無を目視で観察し、下記5段階の評価を行う。4点以上のグラフィックフィルムは、実使用上許容される。
5: 変化なし
4: かすかに擦り跡が残る
3: 僅かな表面荒れ
2: 明らかな表面荒れ及び損傷
1: 表面の溶解
作製したライセンスプレートに対して、JIS K-5600-5-3に準拠する耐衝撃試験を実施し、塗膜における割れ、剥がれ等の損傷を目視で観察する。
実施例1~3及び比較例1~6で得られたグラフィックフィルムを含むライセンスプレートの評価結果を表3に示す。ここで、「第1熱処理温度」とは、表面保護層を備える、積層フィルム1及び積層フィルムaに適用された熱処理の温度であり、「第2熱処理温度」とは、印刷層適用後にライセンスプレートに適用された熱処理の温度である。
10、110、210、330、430、520 接着層
20、120、220、342、442、542 加飾層
130、215、545 加飾インク受容層
40、140、240、348、448、544 表面保護層
230、344、444 接合層
300、400 再帰反射性グラフィックフィルム
310、410 再帰性反射層
312、412 キューブコーナー素子
314、414 構造化表面
316、416 主表面
320、420 再帰性反射構造体
332、432 接着剤
334 バリア層
435 反射層
336、436、536 剥離ライナー
338 低屈折率層
45、546 印刷層
350、450 光線
500 ライセンスプレート
560 アルミニウム板
570 ブランクプレスダイ
本発明の実施態様の一部を以下の[項目1]-[項目7]に記載する。
[項目1]
印刷層が適用される表面保護層を含む、ライセンスプレート用グラフィックフィルムであって、
前記表面保護層の表面にシクロヘキサノンを適用した場合のシクロヘキサノン吸収量が、0.0017g/cm 2 以上及び0.0025g/cm 2 以下であり、150℃、10分での熱処理後において、前記表面保護層の表面にシクロヘキサノンを適用した場合のシクロヘキサノン吸収量が、0.0010g/cm 2 以下となる、ライセンスプレート用グラフィックフィルム。
[項目2]
前記表面保護層が、カルボキシル基及びシラノール基を含む樹脂、並びにカルボキシル基を含む樹脂及びシラノール基を含む樹脂の混合物から選択される少なくとも一種と、架橋剤とを含み、未反応のシラノール基を有する、項目1に記載のライセンスプレート用グラフィックフィルム。
[項目3]
前記架橋剤が、エポキシ系架橋剤及びカルボジイミド系架橋剤から選択される少なくとも一種である、項目2に記載のライセンスプレート用グラフィックフィルム。
[項目4]
表面保護層の下又はその下方に、破断伸び率が50%以上の支持層をさらに備える、項目1~3の何れか一項に記載のライセンスプレート用グラフィックフィルム。
[項目5]
項目1~4の何れか一項に記載のライセンスプレート用グラフィックフィルム、及びベースプレートを備える、グラフィックフィルム積層プレート。
[項目6]
表面保護層を含むライセンスプレート用グラフィックフィルム前駆体を準備する工程と、
前記前駆体の表面保護層表面にシクロヘキサノンを適用した場合のシクロヘキサノン吸収量が、0.0017g/cm 2 以上及び0.0025g/cm 2 以下となるように、表面保護層を硬化させてライセンスプレート用グラフィックフィルムを形成する工程と、を備える、ライセンスプレート用グラフィックフィルムの製造方法。
[項目7]
ベースプレートを提供する工程と、
前記ベースプレートの上又はその上方に、項目1~4の何れか一項に記載のライセンスプレート用グラフィックフィルムを適用してグラフィックフィルム積層プレートを形成する工程と、
前記グラフィックフィルム積層プレートをエンボス加工又はデボス加工する工程と、
エンボス加工又はデボス加工された前記グラフィックフィルム積層プレートの凸部又は凹部に印刷層を適用する工程と、
ライセンスプレート用グラフィックフィルムの表面保護層表面にシクロヘキサノンを適用した場合のシクロヘキサノン吸収量が、0.0010g/cm 2 以下となるように、表面保護層を硬化させてライセンスプレートを形成する工程と、を含む、ライセンスプレートの製造方法。
Claims (6)
- 印刷層が適用される表面保護層を含む、ライセンスプレート用グラフィックフィルムであって、
前記表面保護層の表面にシクロヘキサノンを適用した場合のシクロヘキサノン吸収量が、0.0017g/cm2以上及び0.0025g/cm2以下であり、150℃、10分での熱処理後において、前記表面保護層の表面にシクロヘキサノンを適用した場合のシクロヘキサノン吸収量が、0.0010g/cm2以下となり、
前記表面保護層が、カルボキシル基及びシラノール基を含む樹脂、並びにカルボキシル基を含む樹脂及びシラノール基を含む樹脂の混合物から選択される少なくとも一種の樹脂材料と、架橋剤とを含み、未反応のシラノール基を有し、かつ、前記架橋剤が、エポキシ基、シクロカーボネート基、アミド基、水酸基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、又はヒドラジノ基を有する化合物である、
ライセンスプレート用グラフィックフィルム。 - 前記架橋剤が、エポキシ系架橋剤及びカルボジイミド系架橋剤から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載のライセンスプレート用グラフィックフィルム。
- 表面保護層の下又はその下方に、破断伸び率が50%以上の支持層をさらに備える、請求項1又は2に記載のライセンスプレート用グラフィックフィルム。
- 請求項1~3の何れか一項に記載のライセンスプレート用グラフィックフィルム、及びベースプレートを備える、グラフィックフィルム積層プレート。
- 表面保護層を含むライセンスプレート用グラフィックフィルム前駆体を準備する工程であって、前記表面保護層が、カルボキシル基及びシラノール基を含む樹脂、並びにカルボキシル基を含む樹脂及びシラノール基を含む樹脂の混合物から選択される少なくとも一種の樹脂材料と、架橋剤とを含み、未反応のシラノール基を有し、かつ、前記架橋剤が、エポキシ基、シクロカーボネート基、アミド基、水酸基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、又はヒドラジノ基を有する化合物である、前記工程と、
前記前駆体の表面保護層表面にシクロヘキサノンを適用した場合のシクロヘキサノン吸収量が、0.0017g/cm2以上及び0.0025g/cm2以下となるように、表面保護層を硬化させてライセンスプレート用グラフィックフィルムを形成する工程と、を備える、ライセンスプレート用グラフィックフィルムの製造方法。 - ベースプレートを提供する工程と、
前記ベースプレートの上又はその上方に、請求項1~3の何れか一項に記載のライセンスプレート用グラフィックフィルムを適用してグラフィックフィルム積層プレートを形成する工程と、
前記グラフィックフィルム積層プレートをエンボス加工又はデボス加工する工程と、
エンボス加工又はデボス加工された前記グラフィックフィルム積層プレートの凸部又は凹部に印刷層を適用する工程と、
ライセンスプレート用グラフィックフィルムの表面保護層表面にシクロヘキサノンを適用した場合のシクロヘキサノン吸収量が、0.0010g/cm2以下となるように、表面保護層を硬化させてライセンスプレートを形成する工程と、を含む、ライセンスプレートの製造方法。
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