JP6750932B2 - 皮膚の触覚測定方法および化粧料の性能評価方法 - Google Patents

皮膚の触覚測定方法および化粧料の性能評価方法 Download PDF

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本発明は、振動を発生させる機器を用いた皮膚に対する触覚測定または触感提示方法、および振動を発生させる機器を用いた化粧料などの皮膚外用剤の性能評価方法に関する。
振動を人が認知するという現象は非常に重要なことであり、振動を用いた疾患の検査として振動障害の診断のための振動覚閾値検査が行われており、これ以外にも老化の指標としての振動覚閾値を利用した研究がある。
また近年振動を利用した触覚ディスプレイに代表される触覚を測定する技術の発展は著しい。特に、手指等で物に触れた時の感覚や皮膚に対する刺激を種々のデバイスを用いて定量化、ディスプレイ化する技術は数多く開発されている。例えば、OPTACON、皮膚表面に振動波長を与えて皮膚内部の深さの異なる場所に存在する機械受容器を選択的に刺激する方法(非特許文献1)、形状記憶合金ワイヤを用いた微振動アクチュエータを用いた触覚ディスプレイ(非特許文献2)、ICPFアクチュエータを多数配列した触覚ディスプレイ装置(非特許文献3)、圧電基板上に伝搬する弾性表面波を用いた触覚ディスプレイ(非特許文献4)、電流刺激を用いて感覚受容器を選択的に刺激する触覚ディスプレイ(非特許文献5)、電圧による静電吸引力を用いて機械的振動を発生させる触覚ディスプレイ(非特許文献6)などが知られている。
また、皮膚用製剤の機能を評価する方法としては、コルネオメーター(Courage+Khazaka社)などを使用した角層の水分量測定、テヴァメーター(Courage+Khazaka社)などを用いた経皮水分蒸散量の測定、インデントメーター(Courage+Khazaka社)などを用いた皮膚の硬さの測定、キュートメーター(Courage+Khazaka社)などを用いた皮膚粘弾性の計測、セブメーター(Courage+Khazaka社)などを用いた皮脂の計測、フリクシオメーター(Courage+Khazaka社)などを用いた皮膚の摩擦計測などを、皮膚外用剤適用の前後で行い、これらの測定値がどのように変化するかで皮膚外用剤の機能や性能を評価することが広く行われている。
Proc. IEEE Virtual Reality Annual International Symposium 98, 36/42(1998) IEEE, HSI 2013, Sopot. Poland, June 06-08, 2013 日本バーチャルリアリティ学会論文誌,6-4, 323/328(2001) Proc. IEEE VR2001, 13/20(2001) 電子情報逓信学会論文誌,J84-D-II-1, 120/128(2001) IEEE Trans. Man-Machine Systems, MMS-II-1, 72/79(1970) Opt Express. 2011 March 28; 19(7): 6623-6634
しかしながら、微弱な振動の認知(感度)は触覚受容体までの皮膚の物性に大きく影響を受ける。振動覚閾値検査などにおいて、測定の際のばらつきが大きくなる場合があるという問題点がある。特に触覚ディスプレイなどの微小な振動を認知させるデバイスにおいては、意図した触感が個人により異なって認知される場合がある。
従って、本発明の課題は振動覚閾値の測定や触覚デバイスによる触感提示を安定的に行う手段を提供することにある。
また、従来技術による化粧料などの皮膚外用剤の評価は、物理的特性を測定するもので、客観的ではあるものの、特定の物性を測定しているのみにすぎず、皮膚用製剤の皮膚全体への影響を必ずしも判定していない。そのため、複数の測定を組み合わせて評価することがしばしば行われており、測定が煩雑なものとなっていた。また、複数の測定を前後して行うと、皮膚外用剤成分の浸透や蒸発に伴う変化を追跡することが困難であった。
また、従来技術では、皮膚外用剤が皮膚に残っている場合や、水分が液滴として存在する場合には測定誤差が出やすいという問題点があった。
従って、本発明の課題は、皮膚の表面の状態に制約を受けることなく、皮膚外用剤の機能を客観的且つ簡便に評価する手段を提供するものである。
そこで本発明者は、皮膚の振動に対する応答性のばらつきの原因について検討したところ、微弱な振動の認知(感度)は触覚受容体までの皮膚の物性に大きく影響を受けることが明らかとなった。特に皮膚の最表層にある角層の影響が大きいと考えられる。先行研究として125Hzの振動を与えた際の指の内部変形の様子をOCTにより計測した結果、角層の膨潤により触覚受容体の存在する近傍の変形の様子が大きく異なっていることが報告されている(非特許文献7)。しかしながら、この文献では触覚に関する計測とは結び付けられていない。皮膚の膨潤状態と振動覚閾値の関係を調べると、ばらつきの原因は皮膚表面から皮膚内部の感覚受容器への振動等の刺激の伝達状態が個々に変化するためであること、さらにその刺激の伝達状態が角層表面の水分量や弾性率により変化するためであることを見出した。かかる知見に基づき、被測定皮膚に保湿成分含有組成物を塗布しておけば、角層水分量及び弾性率が一定になるため、測定値が変動せず安定し、正確な測定が可能になることを見出し、本発明を完成した。また、被測定皮膚に皮膚外用剤を適用する前後に、振動を発生させる機器を用いて振動の認知を測定すれば、皮膚外用剤の機能を客観的かつ簡便に評価できることも見出した。
すなわち、第一の本発明は、振動を発生させる機器を用いた皮膚に対する触覚測定または触感提示方法であって、被測定皮膚に保湿成分含有組成物を塗布した後に測定することを特徴とする皮膚に対する触覚測定または触感提示方法を提供するものである。
また、第二の本発明は、振動を発生させる機器を用いた皮膚外用剤の機能を評価する方法であって、皮膚外用剤の皮膚への適用の前後に振動の認知を測定することを特徴とする評価方法を提供するものである。
本発明の皮膚に対する触覚測定または触感提示方法を用いれば、環境因子や皮膚の状態に影響を受けずに、安定した測定または提示が可能となる。
また、本発明の皮膚外用剤の評価方法によれば、皮膚外用剤の機能を客観的且つ簡便に評価することができる。
摩擦係数測定に用いたSUS板を示す。
〔第一の発明〕
第一の本発明の振動を発生させる機器を用いた皮膚に対する触覚測定または触感提示方法においては、予め被測定皮膚に保湿成分含有組成物を塗布した後に測定または提示を行うことを特徴とする。
被測定または提示を行う皮膚としては、特に限定されず、手指、手のひら全体、手の甲、腕、顔、足、背中、腹部等が挙げられるが、手指又は手のひら全体、足裏、腕、顔がより好ましい。
本発明において、触覚および触感とは、触圧覚、温度感覚、痛覚及びこれらの総合感覚であるが、感覚受容器への刺激に基づく触覚としては力覚と皮膚感覚である。本発明で触覚ディスプレイ又は触覚デバイスというときは、この力覚ディスプレイ及び皮膚感覚ディスプレイの両者を意味するが、主に皮膚感覚ディスプレイを意味する。このような皮膚感覚ディスプレイで、最も重要な感覚は、手触り感、例えばつるつる、ざらざら、ぬるぬるなどの表面テクスチャ感、材質感である。
本発明に用いられる保湿成分含有組成物としては、保湿成分を含有し、皮膚に塗布することができる形態、すなわち皮膚外用剤の形態のものが挙げられる。保湿成分としては、通常皮膚化粧料において保湿成分として用いられる成分であればよく、例えば水、保湿剤、油剤(閉塞剤、柔軟剤)、皮膚バリア機能剤等が挙げられる。
保湿剤としては、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸、乳酸塩等の天然保湿因子(NMF);グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、スフィンゴシン、疑似スフィンゴシン、ソルビトール等の多価アルコール;ヒアルロン酸、マルチトール、マンニトールなどの糖類が挙げられる。油剤としては、エステル油、植物油、動物油、高級脂肪酸、高級アルコール、炭化水素油、シリコーン油、フッ素油等が挙げられる。皮膚バリア機能剤としては、スフィンゴシン、疑似スフィンゴシン、セラミド類等が挙げられ、これらの中でも、リジン、アルギニン、ヒスチジン、以下の化学式(A)又は(B)で示されるケラトNMF、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、スフィンゴシン、疑似スフィンゴシン、ソルビトール、ヒアルロン酸、マンニトール、チューベロース多糖体及びセラミド類から選ばれる1種以上が好ましい。
保湿成分含有組成物の形態としては、化粧水(水溶液)、乳液、ゲル剤、クリーム剤等が挙げられる。
これらの保湿成分含有組成物は、皮膚における通常の感覚を損なわない程度の量塗布するのが好ましい。
保湿成分含有組成物を塗布した皮膚に対する触覚測定または触感提示をする手段は、特に限定されない。振動覚閾値計測ではAU−02振動覚計(リオン社)、HVLab振動覚計(サザンプトン大学・音振動研究所)が代表的であるが同じ原理であれば限定はされない、触覚ディスプレイとしては、前記のように振動を利用した触覚ディスプレイで、OPTACONのような振動スピン型、皮膚に貼りつけた微小磁石を電磁石で駆動するもの、空気圧で刺激するもの、形状記憶合金ワイヤを用いた微振動アクチュエータを用いるもの、ICPFアクチュエータを用いるもの、弾性表面波を用いて振動を与えるもの、電圧による静電吸引力を用いて機械的振動を与えるもの等が挙げられる。
本発明のように保湿成分含有組成物を塗布した皮膚に対する触覚測定および触感提示を行うと、測定データや提示される触感が環境因子や皮膚の状態に影響を受けずに、安定する。
〔第二の発明〕
第二の本発明は、振動を発生させる機器を用いた皮膚外用剤の機能を評価する方法であって、皮膚外用剤の皮膚への適用の前後に振動の認知を測定することを特徴とする。
より具体的には、振動を発生させる機器を用いて被験者が振動を感じるか否かを判定し、かかる判定結果を用いて皮膚外用剤の機能を評価する方法であって、振動を皮膚に与える機器を用い、皮膚外用剤適用前後に振動の認知を調べる(振動覚閾値計測、触覚ディスプレイ)ことによる。
本発明に用いられる皮膚に振動を与える手段は、特に限定されない。振動覚閾値計測ではAU−02振動覚計(リオン社)、HVLab振動覚計(サザンプトン大学・音振動研究所)が代表的であるが同じ原理であれば限定はされない、触覚ディスプレイとしては、前記のように振動を利用した触覚ディスプレイで、OPTACONのような振動スピン型、皮膚に貼りつけた微小磁石を電磁石で駆動するもの、空気圧で刺激するもの、形状記憶合金ワイヤを用いた微振動アクチュエータを用いるもの、ICPFアクチュエータを用いるもの、弾性表面波を用いて振動を与えるもの、電圧による静電吸引力を用いて機械的振動を与えるもの等が挙げられる。
振動の周波数は、皮膚の感覚受容体が感じる程度であればよく、10Hz以上500Hz以下が好ましく、50Hz以上200Hz以下が更に好ましい。
第二の発明に用いられる皮膚外用剤は、特に限定されないが、一般にメークアップ化粧料のような皮膚内部に作用しない化粧料の機能は外観で容易に評価できるので、基礎化粧料、特に保湿成分含有組成物を用いるのが好ましい。このような保湿成分含有組成物としては、前記第一の発明に用いられる組成物が挙げられる。
測定を行う部位としては、特に限定されず、手指、手のひら全体、手の甲、腕、顔、足、背中、腹部等が挙げられるが、測定したい剤が液、ゲル、クリーム、固形(ワックス状など)の場合は手指又は手のひら全体、足裏、腕、顔がより好ましい。
振動の認知を調べる方法は、より具体的には、以下のとおりである。すなわち、測定部位の皮膚表面に振動素子、或いは振動伝達素子などの振動を与える手段を接触させたままで振動周波数および強度をゆっくりと変化させる。測定者(被験者)は記録装置に接続されたボタンを押すことで、振動を感じているか否かを記録する。この振動を感じているか否かの記録は、与えられている周波数及び強度とともに記録される。
なお、測定の目的や皮膚外用剤の種類に応じて変化させる周波数の範囲、強度の範囲を変えることができる。周波数のみ、あるいは強度のみを変化させてもよく、強度および周波数を一定とすることも可能である。
このような測定を例えば皮膚外用剤の適用の前後で行い、2つの測定結果を比較することで、皮膚外用剤の浸透度や皮膚外用剤が皮膚全体に与える影響を総合的に評価できる。また、皮膚外用剤の適用後の時間変化を知りたい場合も、例えば1分おき、2分おきという細かい時間間隔で測定を行うことができる。
次に実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
実施例1
SUS板に種々のブラスト加工を施し、そのSUS板を用いて摩擦計測を行った。摩擦計測は表面粗さを定量的にコントロールしたステンレス板の上で指を動かすことにより行った。この操作は、一定周期の微弱振動を指に与えていると考えることができる。PCが山の数なので周波数、RaもしくはRzは山の高さなので強度と取ることができると考えられる。この計測は摩擦力の計測であるが、角層の柔軟性の影響を大きく受ける。すなわち、柔軟性が高い角層ではRaに関わらず摩擦係数が大きく、逆に低い角層であれば同様に摩擦係数が低くなる。この際に、角層の物性が均一ならば、摩擦係数が近い値になると考えられる。
ブラスト加工により粗さを段階的に変更したサンプル作成
サンプル板 SUS304 60×90×1t
測定器 東京精密 SURFCOM FLEX−50A
評価長さ 4.0mm
測定速度 0.6mm/s
カットオフ値 0.8mm
SUS板を触感計(HEIDON Type:33)にセットし右手人差し指にて約0.5Nの荷重で擦過(手前に向い片道、距離5cm、速度3cm/sec)した際の接線力(X軸)を測定し摩擦係数を算出した。図1のように、中心に未加工板(対照)、周辺にブラスト板(処理)を配置し、未加工2回、その後、各1回(対照〜処理)を順次繰り返した。この試行を、健常な成人10名(男女各5名、年齢28−52)に化粧水1(表2)での保湿の有無で行った。
化粧水は計測の10分前に計測する指に適量塗布を行った。
結果を下図に示す。今回の試行では、計8回未加工板を擦過することになる。その際の摩擦係数を表3に示した。保湿により、標準偏差が減少し計測値のばらつきが減っていることが分かる。各粗さに関する結果を表4(保湿剤無し)、表5(保湿剤有り)に示す。各粗さに関しても保湿剤を塗布した場合は標準偏差が減少していることが明らかであった。表4と表5の、特に標準偏差を対比すると表6のようになるが、化粧水の保湿効果により、角層の物性の個人差が縮小し、振動の与える影響が均一化しているといえる。
以上の結果を踏まえると、振動覚閾値検査においても、化粧水1(表2)を塗布することで、各被験者において測定が安定し、かつ被験者間のばらつきも減少するものと予想できる。具体的な確認方法は以下の通りである。
振動覚閾値検査において異常の認められない、健常な成人にAU−02振動覚計を用い、125Hzで第2指を計測する。検査者が閾値を段階的に上げる上昇方にて、感知の有無を聞き、その操作を数回繰り返すことで閾値を決定する。計測は、20℃40%の恒温恒湿室にて30分の順化後行う。個人により一定の決められた時間に、5日間連続して行う。化粧水による保湿の影響を確認するため、被験者をランダムに2分してクロスオーバー形式で行う。
なお、有無の試験の間には1週間のブランク期間を置くものとし、化粧水は計測の10分前に計測する指に適量塗布を行う。
上記のような試験を実施することで予想される結果は、以下のごとくである。すなわち、被験者ごとの複数回の試行での標準偏差は、何れの被験者においても、保湿剤を塗布することで、振動覚閾値の測定での標準偏差が減少し、感覚受容器が安定して機能すると予想される。
また、全被験者の測定における標準偏差(表の最下欄)も、保湿剤を塗布することで減少し、保湿剤を塗布することで感触評価の被験者依存性が減少すると予想できる。
実施例2
振動を発生させる機器を用いて皮膚外用剤の機能を評価すると、外用剤間の差や経時的な効果が容易に計測できる。このような計測が有用であることを確認するための実験を行った。
SUS板に種々のブラスト加工を施し、そのSUS板を用いて摩擦計測を行った。摩擦計測は表面粗さを定量的にコントロールしたステンレス板の上で指を動かすことにより行った。この操作は、一定周期の微弱振動を指に与えていると考えることができる。PCが山の数なので周波数、RaもしくはRzは山の高さなので強度と考えることができる。この計測は摩擦力の計測であるが、角層の柔軟性の影響を大きく受ける。すなわち、柔軟性が高い角層ではRaに関わらず摩擦係数が大きく、逆に低い角層であれば同様に摩擦係数が低くなる。従って、外用剤による角層の柔軟性の変化を捉えることができると考えられる。
ブラスト加工により粗さを段階的に変更したサンプル作成
サンプル板 SUS304 60×90×1t
測定器 東京精密 SURFCOM FLEX−50A
評価長さ 4.0mm
測定速度 0.6mm/s
カットオフ値 0.8mm
SUS板を触感計(HEIDON Type:33)にセットし右手人差し指にて約0.5Nの荷重で擦過(手前に向い片道、距離5cm、速度3cm/sec)した際の接線力(X軸)を測定し摩擦係数を算出した。図1のように、中心に未加工板(対照)、周辺にブラスト板(処理)を配置し、未加工2回、その後、各1回(対照〜処理)を順次繰り返した。この試行を、健常な成人3名に水、さっぱりタイプ化粧水、しっとりタイプ化粧水を使用した際の変化を経時的に計測した。化粧水は指に適量塗布を行い、直後、5分後、30分後に計測を行った。
結果(摩擦係数の平均)を表8(未処理、水処理)、表9(さっぱり)、表10(しっとり)に示す。この計測ではRaに関わらず、摩擦係数が大きい場合は角層が柔軟であると考えられ、特にRaが大きい場合に摩擦係数が大きな場合は更に柔らかくなっていると考えることができる。そのため、各Raの摩擦係数の合計を角層の柔軟性の指標として用いた。水は直後に若干値が上がるものの、30分後には未処理と同等になっていた。さっぱりタイプは直後に大きくなるものの5分ほどで未処理に近い値になった。しっとりタイプは直後に大きくなり、その後30分まで大きな値を示していた。このことから、それぞれの処理の特徴が的確に反映されていると考えることができる。
以上の実験でもわかるように、PCあるいはRaをパラメータとして摩擦係数を用いることで化粧料の一定程度の性能評価はできる。
ところで、例えば、表8の水の5分後についてみると、Raが0.64から0.74に大きく増えているのに摩擦係数は変化していない。また、表9のさっぱりのRa0.64と0.85を見比べると30分後の摩擦係数はほとんど同じである。
これらのデータについて検討を重ねたところ、本発明者は、Raすなわち振動強度のみならずPCすなわち振動周波数の影響があることを見出した。例としてPCとRaの積をパラメータに、表8の水について並べなおしたものを表11に、表9のしっとりについて並べなおしたものを表12に示す。この表を見ると、例えばしっとりの30分後の摩擦係数は両者の積を反映していることが理解でき、また、摩擦係数はPCとRaの両者が複雑に影響を与えていることも理解できる。
そうであれば、逆に、化粧品の性能を測定するのに、摩擦係数を用いるのであれば、振動強度(Ra)だけでなく、振動周波数(PC)を変化させることも重要である。
このことから、周波数や強度の制御が容易な、例えば電気信号によりつくられた振動を皮膚に与えて、ヒトの感触を利用して計測することで、より詳細な化粧料の性能解析を行うことができる。

Claims (3)

  1. 振動を発生させる機器を用いた皮膚に対する触覚測定または触感提示方法であって、被測定皮膚に保湿成分含有組成物を塗布した後に振動周波数及び/又は振動強度の異なる振動を発生させる複数の機器に被測定皮膚を接触させ、振動覚の測定又は触覚デバイスによる触感の提示を行うことを特徴とする皮膚に対する触覚測定または触感提示方法。
  2. 前記保湿成分含有組成物が、リジン、アルギニン、ヒスチジン、以下の化学式(A)又は(B)で示されるケラトNMF、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、スフィンゴシン、疑似スフィンゴシン、ソルビトール、ヒアルロン酸、マンニトール、チューベロース多糖体及びセラミド類から選ばれる1種以上を含む組成物である請求項1記載の皮膚に対する触覚測定または触感提示方法。
  3. 測定する皮膚に対する触覚または触感が、皮膚の手触り感である請求項1又は2記載の皮膚に対する触覚測定または触感提示方法。
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