JP3929321B2 - Highly slidable coating and method for producing the same - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に建築用窓ガラス、車両用窓ガラス、鏡、その他産業用ガラス等に用いることが可能な、極めて優れた滑水性(水滴滑落性)を示す高滑水性被膜およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水滴滑落性を改善する試みとしては、シリコーン系ワックス、オルガノポリシロキサン、界面活性剤などを含む組成物について提案されており、例えば、特公昭50-15473号公報では、アルキルポリシロキサンおよび酸よりなる組成物、特開平5-301742号公報では、アミノ変性シリコーンオイルと界面活性剤とを含有する組成物が開示されており、30゜傾斜において約15μl程度の水滴量で滑落するものが得られている。また、特開平11-181412号公報では、−(CH23(CF27CH3等の基がオルガノシロキサン単位を形成するケイ素原子に直接結合した単位、および−(CH23SiCl3等の基がオルガノシロキサン単位を形成するケイ素原子に直接結合した単位を必須とする含フッ素シリコーン化合物および/または該化合物の部分加水分解物生成物、を含むことを特徴とする表面処理剤が開示されており、50μlの水滴が約10°の傾斜で滑落するものが得られている。また、特開2000-144056号公報では、末端に加水分解可能な官能基を有するシリコーン化合物、または末端に加水分解可能な官能基を有し他端にフルオロアルキル基を併せ持つシリコーン化合物と、酸と水とを溶剤に溶解後、混合撹拌によって得られた混合液を、基材表面に塗布し、ついで乾燥させることにより得られる機能層が、基材表面とシロキサン結合により化学的に結合されてなることを特徴とする水滴滑落性に優れた表面処理基材が開示されており、50μlの水滴が約1°の傾斜で滑落するものが得られている。なお、これらの表面処理剤は、滑水成分を基材上に直接処理して滑水層を形成させており、本願発明のように、滑水成分とマトリックス成分をハイブリッド化した透明被膜を基材上に形成させるというものではない。
【0003】
滑水成分とマトリックス成分からなる透明被膜を基材上に形成させる方法としては、特開平8-12375号公報にフルオロアルキル基含有シラン化合物と、ジメチルシリコーンおよび/またはその誘導体の混合物を溶媒中で加水分解して得られた溶液と、アルコキシシラン化合物を溶媒中で加水分解して得られた溶液とを混合し、この混合液を基材表面に塗布することにより形成された、フルオロアルキル基およびメチル基が塗膜の内層よりも外側表面層において高い濃度で存在する撥水性物品が開示されている。また、特開2000-26758号公報には、滑水性被膜を形成可能な被覆組成物として、水酸基含有ビニルポリマー、エポキシ末端シロキサンポリマー、スルホン酸化合物およびブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物及びメラミン樹脂から選ばれる少なくとも1種の架橋剤成分および特定のジアルキルスルホコハク酸塩及びアルキレンオキシドシランから選ばれる界面活性剤を含有する滑水性被膜を形成可能な被覆組成物により、水滴量10μlでの転落角が5°以下と非常に優れた性能を示すことが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特開平8-12375号公報記載の撥水性物品は、水滴滑落性が50μlの水滴が約16°の傾斜で滑落するレベルであり、自動車用ウィンドウとして良好な雨滴除去を目的とする場合には、十分とは言い難いレベルである。また、前記特開2000-26758号公報記載の撥水性物品は、透明性が低く、塗料としての用途に限られている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、アルコキシ基が結合したケイ素原子とジメチルシロキサン鎖末端のケイ素原子が酸素またはメチレン基を介して結合したジメチルシリコーン組成物を滑水成分として用いると、マトリックス中の滑水成分の保持性が向上し、さらに、該マトリックス中に耐久性に優れたフルオロアルキルシランを導入すれば、高耐久性の高滑水性被膜が形成できることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明の高滑水性被膜は、シリカマトリックス中に、一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンと一般式[2]で表されるフルオロアルキルシランとの混合物が滑水成分として分散されてなることを特徴とする。
【0007】
【化3】
【0008】
ここで、Xは−ORまたは−R'Si(OR)r(CH3)3-r(Rは1価のアルキル基、R'は2価のアルキレン基、rは1〜3の整数)で表されるアルコキシ基またはアルコキシ基含有基、p、qは1〜3の整数、nは2000以下の整数を示す。
【0009】
【化4】
【0010】
ここで、sは0〜11の整数、tは1〜3の整数、Zは加水分解性基を示す。
また、本発明の高滑水性被膜は、前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンのアルコキシ基の数が3個以上であることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の高滑水性被膜は、前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンの平均重合度nが5〜1000であることを特徴とする。
【0012】
またさらに、本発明の高滑水性被膜は、前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンは、マトリックスとしてのシリカに対して1〜200重量%の範囲で存在してなることを特徴とする。
【0013】
さらにまた、本発明の高滑水性被膜は、前記一般式[2]で表されるフルオロアルキルシランは、前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンに対して10〜2000モル%の範囲で存在してなることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の高滑水性被膜は、シリカマトリックス中に、前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンと前記一般式[2]で表されるフルオロアルキルシランが結合してなる成分が分散していることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の高滑水性被膜の製造方法は、下記の工程により行うことを特徴とする。
(1)アルコキシシランを加水分解および重縮合させることによってマトリックス成分としてのシリカゾルを調製する工程、
(2)前記一般式[1]式で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンと前記一般式[2]式で表されるフルオロアルキルシランと上記(1)で調製したシリカゾルを混合して塗布液を調製する工程、
(3)基材表面に前記塗布液を塗布したのち熱処理を行う工程。
【0016】
さらに、本発明の高滑水性被膜の製造方法は、前記熱処理は、600℃以下の温度で行うことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の高滑水性被膜は、シリカマトリックス中に、一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンと一般式[2]で表されるフルオロアルキルシランとの混合物が滑水成分として分散されてなることを特徴とする。
【0018】
【化5】
【0019】
ここで、Xは−ORまたは−R'Si(OR)r(CH3)3-r(Rは1価のアルキル基、R'は2価のアルキレン基、rは1〜3の整数)で表されるアルコキシ基またはアルコキシ基含有基、p、qは1〜3の整数、nは2000以下の整数を示す。
【0020】
【化6】
【0021】
ここで、sは0〜11の整数、tは1〜3の整数、Zは加水分解性基を示す。
高滑水性被膜の膜構成成分であるマトリックスとしてのシリカは、例えば、アルコキシシランの加水分解および重縮合反応を進めることにより形成されるシリカゾルを調製したものを用いることができ、該シリカゾルの調製は、例えば、アルコキシシラン(例えば、テトラエトキシシラン〔Si(OC25)4〕)と溶媒を所定量混合、攪拌(例えば、約30分程度)し溶液Aを得る。なお、溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールや、それらの混合溶媒が望ましいが、その他にもエーテル類やケトン類を用いることができる。一方、酸性水溶液と前記溶媒を混合、攪拌(例えば、約30分程度)して溶液Bを得る。次いで、溶液Aと溶液Bを混合後、長時間(例えば、約15時間程度)室温で攪拌してアルコキシシランの加水分解および重縮合反応を進めシリカゾルを得る。以上のようにアルコキシシランの加水分解は、前記アルコキシシランを出発原料として、少量の水と塩酸、硝酸、酢酸などの酸触媒を添加し行うことができ、その加水分解物を室温または加熱しながら攪拌することにより重縮合させ、シリカゾルを得ることができる。なお、シリカゾルの調製法としては、上記の方法に限定されるものではないが、上記のようなアルコキシシランを溶媒で希釈したものに、溶媒で希釈した酸性水溶液を徐々に混合する方法は、急激な反応を避けることができ、より均質な反応が得られるので、好ましい。
【0022】
なお、アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、またはジアルコキシシラン類等を用いることができる。なお上記アルコキシシランの中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシランが好ましい。
【0023】
次に、前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンのRは炭素数1〜6の1価のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のものを用いることができる。なお、これらの中でもメチル基またはエチル基が好ましい。また、R'は炭素数2〜4の2価のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基等のものを用いることができるが中でもエチレン基が好ましい。
なお、前記の一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンの平均重合度nは2000以下であり、特に5〜1000の範囲が好ましい。2000以上であるとシリカゾルとの相溶性が低下して、透明な被膜の形成が困難となる。
【0024】
また、前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンは、シリカマトリックスや一般式[2]で表されるフルオロアルキルシランと結合できるアルコキシ基を各末端に少なくとも1個以上持っているものを用いることができる。なお、該アルコキシ末端ジメチルシリコーンが持つアルコキシ基の数は3個以上が好ましく、2個以下であると、シリカゾルとの相溶性が低下して成膜性が低下したり、シリカ膜中のシリコーンの保持量が減少して高滑水性被膜の耐久性が低下する。
【0025】
さらに、前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンは、塗布液中において、シリカに対して1〜200重量%の範囲で存在させることが好ましい。1重量%以下であると、シリカ膜中のシリコーンの存在量が少なくなり高滑水性被膜の滑水性が低下する。また、200重量%以上であると、シリカゾルとの相溶性が低下して透明な被膜の形成が困難となる。
【0026】
次に、前記一般式[2]で表されるフルオロアルキルシランとしては、例えばCF3(CF211CH2CH2SiCl3、CF3(CF211CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF211CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF29CH2CH2SiCl3、CF3(CF29CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF29CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF27CH2CH2SiCl3、CF3(CF27CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF27CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF25CH2CH2SiCl3、CF3(CF25CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32Cl、CF3CH2CH2SiCl3、CF3CH2CH2SiCH3Cl2、CF3CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF211CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF211CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF211CH2CH2Si(CH32(OCH3)、CF3(CF29CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF29CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF29CH2CH2Si(CH32(OCH3)、CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF27CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF27CH2CH2Si(CH32(OCH3)、CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32(OCH3)、CF3CH2CH2Si(OCH33、CF3CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3CH2CH2Si(CH32(OCH3)、等をはじめ、フルオロアルキルエトキシシラン類、フルオロアルキルプロポキシシラン類、フルオロアルキルイソシアネートシラン類なども用いることができる。また、前記一般式[2]のZで表される加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、または、クロロ基やイソシアネート基等のものを用いることができる。
【0027】
また、前記一般式[2]で表されるフルオロアルキルシランは、塗布液中においてアルコキシ末端ジメチルシリコーンに対して10〜2000モル%の範囲で存在させることが好ましい。10モル%以下であると、シリカ膜中のフルオロアルキルシランの存在量が少なく高滑水性被膜の耐久性が低下する。また、2000モル%以上であると、シリカゾルとの相溶性が低下して透明な被膜の形成が困難となる。
【0028】
次に、本発明の高滑水性被膜の製造方法について説明する。
【0029】
本発明の高滑水性被膜は下記の工程により製造することができる。
(1)アルコキシシランを加水分解および重縮合させることによってマトリックス成分としてのシリカゾルを調製する工程、
(2)前記一般式[1]式で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンと前記一般式[2]式で表されるフルオロアルキルシランと上記(1)で調製したシリカゾルを混合して塗布液を調製する工程、
(3)基材表面に前記塗布液を塗布したのち熱処理を行う工程。
すなわち、高滑水性被膜用の塗布液は、一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンと一般式[2]で表されるフルオロアルキルシランを前記シリカゾルに添加、混合することにより得ることができる。
【0030】
上記で用いる溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶媒類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系溶媒やそれらの混合物を用いることが好ましい。
【0031】
次に、上記で得られた塗布液を基材表面に塗布する。
塗布方法としては、手塗り、ノズルフローコート法、ディッピング法、スプレー法、リバースコート法、フレキソ法、印刷法、フローコート法あるいはスピンコート法、ならびにそれらの併用等既知の被覆手段など各種被覆法が適宜採用し得る。また、簡易なタイプのスプレー式撥水処理剤などとしても使用することができる。
【0032】
次に、基材表面に塗布した塗布液を熱処理し基材表面に被膜を固着させる。
熱処理は、風乾により自然乾燥させてもよいし、乾燥後または乾燥と同時に室温を越え600℃以下の温度で熱処理を行うことも出来る。なお、600℃を越えると滑水成分が熱分解して滑水性が著しく低下するので好ましくない。
【0033】
基材としては、ガラス、プラスチック等特に限定されるものではないが、例えば、ガラス基板の場合には、建築用窓ガラスや自動車用窓ガラス等に通常使用されているフロ−トガラスあるいはロ−ルアウト法で製造されたガラス等無機質の透明性がある板ガラスが好ましく、無色または着色、ならびにその種類あるいは色調、他の機能性膜との組み合わせ、ガラスの形状等に特に限定されるものではなく、さらに曲げ板ガラスとしてはもちろん各種強化ガラスや強度アップガラス、平板や単板で使用できるとともに、複層ガラスあるいは合わせガラスとしても使用できる。また、被膜はガラス基板の両面に成膜しても構わない。
【0034】
なお、滑水液が塗布される基材表面は、金属酸化物よりなる下地層が設けられていてもよい。例えば、ガラス基板の場合には、下地層は、ケイ素酸化物等の金属酸化物を主成分とする酸化物薄膜が好ましく、その上に前記塗布液を塗布して高滑水性被膜を被覆することにより、高耐久性を有する高滑水性ガラスを得ることが出来る。
【0035】
以上に述べたように、本発明の高滑水性被膜は、シリカマトリックスと結合することができるアルコキシ基が結合したケイ素原子とジメチルシロキサン鎖末端のケイ素原子が酸素またはメチレン基を介して結合したアルコキシ末端ジメチルシリコーンを使用しているため、シリカマトリックス中の該成分の保持性が向上し、耐久性を向上させることができる。さらに、該被膜中に耐久性に優れたフルオロアルキル基を導入することによって、耐久性を向上させることができる。
【0036】
なお、本発明における滑水性とは、後述の実施例の評価方法で述べるような方法、すなわち、サンプル表面上に50μlの純水を滴下した後、該サンプルを徐々に傾けていき、水滴が動き始める時点の傾斜角度を測定することで評価した。なお、該傾斜角度を転落角(°)とし、転落角は協和界面科学製CA−A型を用いて大気中(約25℃)で測定した。なお、本発明の高滑水性とは、転落角が10°以下のものをいう。
【0037】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、高滑水性被膜の評価方法を以下に示す。
【0038】
〔高滑水性被膜の評価〕
高滑水性被膜の評価方法を以下に記す。
(1)接触角
高滑水性被膜を有するサンプル表面に、純水約2μlを置いたときの水滴とサンプル表面とのなす角を接触角計で測定した。なお、接触角計には協和界面科学製CA−X型を用い、大気中(約25℃)で測定した。
(2)転落角
サンプルを水平に保持した状態で、サンプル表面上に50μlの純水を滴下した後、サンプルを徐々に傾けていき、水滴が動き始める時点の傾斜角度を転落角(°)とした。なお、転落角は協和界面科学製CA−A型を用いて大気中(約25℃)で測定した。なお、転落角が10°以下を合格とした。
(3)耐酸性試験
サンプル表面上に1mlの25%硫酸水溶液を滴下し、約25℃で24h放置した。次いで、水道水で表面を洗浄し、風乾させた後、接触角および転落角を評価した。
(4)セリア研摩試験
10wt%のガラス用研摩剤ミレークE(三井金属鉱業製)を水道水に分散させた懸濁液を染み込ませた綿布で、サンプル表面を約1.5kg/cm2の強さで研摩した。研摩範囲の70%が親水化するまでの研摩回数(往復)を評価した。
【0039】
実施例1
(1)フルオロアルキルシランとアルコキシ末端ジメチルシリコーンの混合溶液の調製
フルオロアルキルシラン(CF3(CF2)7CH2CH2SiCl3、C8FASCと略す)とアルコキシ末端ジメチルシリコーンの混合溶液は、フルオロアルキルシランとアルコキシ末端ジメチルシリコーンを混合することによって得た。図1に、フルオロアルキルシラン(C8FASC)とアルコキシ末端ジメチルシリコーンの混合溶液の調製手順と各成分の混合割合(重量比)を示す。
先ず、酢酸エチルで10wt%に希釈した平均重合度nが150のアルコキシ末端ジメチルシリコーン〔(CH3O)3SiO[Si(CH3)2O]150Si(OCH3)3〕溶液;3.70gと酢酸エチル;20.00gおよび0.1mol/lの硝酸水溶液;0.02gを混合し、約5時間室温で攪拌後、モレキュラーシーブ(ユニオン昭和製、4AXH−5 8×12);4.00gを添加した後、室温で約20h静置して反応溶液中の水分を除去した溶液Aを得た。次いで、溶液A;22.20gとヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2SiCl3:C8FASC、信越化学工業製、HFTCS〕;0.04gを混合し、室温で約24h攪拌することによってフルオロアルキルシランとアルコキシ末端ジメチルシリコーンからなる混合溶液Xを得た。
【0040】
(2)シリカゾルの調製
シリカゾルは、テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4:TEOS〕の加水分解および重縮合反応を進めることにより調製した。図2に、シリカゾルの調製手順と各成分の混合割合(重量比)を示す。
先ず、TEOS;312.5gとエキネンF1(90重量%のエタノールと10重量%のイソプロピルアルコールからなる低級アルコールの混合物);450.0gを混合し、約30分間攪拌し溶液Bを得た。また、0.1mol/lの硝酸水溶液;7.5g、H2O;210.0gおよびエキネンF1;20.0gを混合し、約30分間攪拌し溶液Cを得た。次いで、溶液Bと溶液Cを混合後、約15時間室温で攪拌することによってシリカゾルYを得た。
【0041】
(3)塗布液の調製
塗布液は、上記フルオロアルキルシランとアルコキシ末端ジメチルシリコーンからなる混合溶液Xと上記シリカゾルYを混合することによって得た。図3に塗布液の調製手順と各薬液の混合割合(重量比)を示す。
先ず、上記フルオロアルキルシランとアルコキシ末端ジメチルシリコーンからなる混合溶液X;2.5gとメチルエチルケトン;7.00gとイソプロピルアルコール;7.00gを混合し、約5分間攪拌した。次いで、上記シリカゾルY;0.78gを添加し、約15時間室温で攪拌した。次いで、メチルエチルケトン;26.5gとイソプロピルアルコール;26.5gを添加し、30分間攪拌した。以上の方法により、シリカ濃度が0.1重量%、シリカに対するアルコキシ末端ジメチルシリコーンの重量比(以降、「シリコーン濃度」と記載する)が37.5重量%、アルコキシ末端ジメチルシリコーンに対するフルオロアルキルシランのモル比(以降、「FAS濃度」と記載する)が250モル%の塗布液を得た。
【0042】
(4)ガラス基板の洗浄
300mm×300mm×2mm(板厚)サイズのフロートガラスの表面を研摩液を用いて研摩し、ガラス洗浄機(当所製作品)にて水洗および乾燥した。なお、ここで用いた研摩液は、約1%のガラス用研摩剤ミレークE(三井金属鉱業製)を水に混合した懸濁液を用いた。
【0043】
(5)高滑水性被膜の被覆
上記(3)で調製した塗布液をスピンコート法により上記(4)で準備したガラス基板上に塗布した。先ず、スピンコーター上に塗膜用ガラス基板である上記ガラス基板を設置し、回転速度が100rpmの速度で回転させながら約25〜30mlの塗布液を滴下し、30秒間回転速度を維持して塗膜の乾燥を行い、良好な成膜性の透明ゲル膜を得た。次いで、280℃で10分間熱処理を行い、室温まで冷却させた後、流水中、ネル(綿300番)で水洗後、風乾して高滑水性被膜付きガラスサンプルを得た。
【0044】
上記[滑水性被膜の評価]に記載した要領により得られた高滑水性被膜付きガラスサンプルの初期性能および耐久性を評価した結果、初期接触角は104°、初期転落角は8°と良好な水滴転落性を示し、耐酸性試験後の接触角は99°と高い撥水性を維持していた。さらに、セリア研摩試験においても、70%を親水化させるのに35往復を要し、良好な耐久性を示した。
なお、実施例および比較例で作製したサンプルの作製条件を表1に、また初期性能、耐久性試験結果を表2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
実施例2
平均重合度nが200のアルコキシ末端ジメチルシリコーン〔(CH3O)3SiCH2CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]200Si(CH3)2CH2CH2Si(OCH3)3〕を用い、シリコーン濃度を50重量%、FAS濃度を200モル%とした以外はすべて実施例1と同じとした。
結果、初期接触角は103°、初期転落角は8°と良好な水滴転落性を示し、耐酸性試験後の接触角は93°と高い撥水性を維持していた。さらに、セリア研摩試験においても、70%を親水化させるのに35往復要し、良好な耐久性を示した。
【0048】
実施例3
平均重合度nが250のアルコキシ末端ジメチルシリコーン〔(CH3O)3SiO[Si(CH3)2O]250Si(OCH3)3〕を用いた以外はすべて実施例2と同じとした。結果、初期接触角は106°、初期転落角は8°と良好な水滴転落性を示し、耐酸性試験後の接触角は89°と高い撥水性を維持していた。さらに、セリア研摩試験においても、70%を親水化させるのに35往復要し、良好な耐久性を示した。
【0049】
実施例4
平均重合度nが300のアルコキシ末端ジメチルシリコーン〔(C2H5O)3SiCH2CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]300Si(CH3)2CH2CH2Si(OC2H5)3〕を用いた以外はすべて実施例2と同じとした。
結果、初期接触角は105°、初期転落角は7°と良好な水滴転落性を示し、耐酸性試験後の接触角は88°と高い撥水性を維持していた。さらに、セリア研摩試験においても、70%を親水化させるのに35往復要し、良好な耐久性を示した。
【0050】
実施例5
平均重合度nが100のアルコキシ末端ジメチルシリコーン〔(CH3O)3SiCH2CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]100Si(CH3)2CH2CH2Si(OCH3)3〕を用い、シリコーン濃度を25重量%、FAS濃度を150モル%とした以外はすべて実施例1と同じとした。
結果、初期接触角は105°、初期転落角は8°と良好な水滴転落性を示し、耐酸性試験後の接触角は97°と高い撥水性を維持していた。さらに、セリア研摩試験においても、70%を親水化させるのに35往復要し、良好な耐久性を示した。
【0051】
実施例6
平均重合度nが50のアルコキシ末端ジメチルシリコーン〔(CH3O)3SiCH2CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]50Si(CH3)2CH2CH2Si(OCH3)3〕を用いた以外はすべて実施例5と同じとした。
結果、初期接触角は105°、初期転落角は9°と良好な水滴転落性を示し、耐酸性試験後の接触角は93°と高い撥水性を維持していた。さらに、セリア研摩試験においても、70%を親水化させるのに40往復要し、良好な耐久性を示した。
【0052】
比較例1
上記「実施例1(1)フルオロアルキルシランとアルコキシ末端ジメチルシリコーンの混合溶液の調製」の図1において、C8FASCの添加量を0gとした以外は全て実施例1と同じとした。すなわち、塗布液中にフルオロアルキルシランが含まれていないことを示す。
結果、初期接触角は105°、初期転落角は7°と高い水滴転落性を示したが、耐酸性試験後の接触角は76°と耐久性は悪かった。さらに、セリア研摩試験においても、10往復の研摩で70%が親水化し、耐久性は悪かった。
【0053】
比較例2
上記「実施例1(1)フルオロアルキルシランとアルコキシ末端ジメチルシリコーンの混合溶液の調製」で得た混合溶液X;4.0mlをガラス基板上に滴下し、綿布(商品名;ベンコット)でガラス全面に十分引き伸ばした後、5分程度風乾した。その後、マッフル炉で80℃、10分間の熱処理を行い、白濁して残った余剰な滑水剤をiPAで拭き上げて透明なサンプルを得た。すなわち、本比較例では、シリカマトリックスのない被膜を作製した。
結果、初期接触角は105°と高い撥水性を示したが、初期転落角は19°と悪く、耐酸性試験後の接触角も35°と耐久性も悪かった。さらに、セリア研摩試験においても、5往復以下の研摩で70%が親水化した。
【0054】
比較例3
上記「実施例1(1)フルオロアルキルシランとアルコキシ末端ジメチルシリコーンの混合溶液の調製」の図1において、アルコキシ末端ジメチルシリコーンの添加量を0gとした以外は全て実施例1と同じとした。すなわち、塗布液中にアルコキシ末端ジメチルシリコーンが含まれていないことを示す。
結果、初期接触角は88°、初期転落角は13°と悪く、耐酸性試験後の接触角も70°と耐久性も悪かった。さらに、セリア研摩試験においても、10往復の研摩で70%が親水化した。
【0055】
比較例4
平均重合度nが2500のアルコキシ末端ジメチルシリコーン〔(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]2500Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)(OCH3)2〕を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。
結果、透明な被膜は得られなかった。
【0056】
【発明の効果】
本発明の高滑水性被膜は、高い撥水耐久性と優れた滑水性を兼ね備えているので、例えば、車両用の窓ガラス等に用いた場合には、雨天時に前方、側方、後方の視界確保が容易となりドライビングの安全性が向上し、さらにこの効果が長期間にわたり維持できる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるフルオロアルキルシランとアルコキシ末端ジメチルシリコーンの混合溶液Xの調製手順を示す図である。
【図2】実施例1におけるシリカゾルYの調製手順を示す図である。
【図3】実施例1における塗布液の調製手順を示す図である。
[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
TECHNICAL FIELD The present invention relates to a highly water-slidable coating film that exhibits extremely excellent water slidability (water droplet slidability) and can be used particularly for architectural window glass, vehicle window glass, mirrors, and other industrial glass, and a method for producing the same. .
[0002]
[Prior art]
As an attempt to improve water drop sliding properties, a composition containing a silicone-based wax, an organopolysiloxane, a surfactant and the like has been proposed. For example, Japanese Patent Publication No. 50-15473 includes an alkylpolysiloxane and an acid. JP-A-5-301742 discloses a composition containing an amino-modified silicone oil and a surfactant, and a composition that slides with a water droplet amount of about 15 μl at a 30 ° inclination is obtained. Yes. JP-A-11-181212 discloses a unit in which a group such as — (CH 2 ) 3 (CF 2 ) 7 CH 3 is directly bonded to a silicon atom forming an organosiloxane unit, and — (CH 2 ) 3 SiCl. A surface treatment agent comprising a fluorine-containing silicone compound having a unit in which a group such as 3 is directly bonded to a silicon atom forming an organosiloxane unit as an essential component and / or a partial hydrolyzate product of the compound. It is disclosed that 50 μl of water droplets slide down with an inclination of about 10 °. Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-144056 discloses a silicone compound having a hydrolyzable functional group at the terminal, or a silicone compound having a hydrolyzable functional group at the terminal and a fluoroalkyl group at the other end, and an acid. A functional layer obtained by dissolving water in a solvent, applying the mixed solution obtained by mixing and stirring to the substrate surface, and then drying it is chemically bonded to the substrate surface by a siloxane bond. A surface-treated substrate excellent in water droplet sliding property, which is characterized by the above, is disclosed, in which 50 μl of water droplets slide down at an inclination of about 1 °. These surface treatment agents form a water slidable layer by directly treating the water slidable component on the base material, and are based on a transparent film in which the water slidable component and the matrix component are hybridized as in the present invention. It is not something that is formed on the material.
[0003]
As a method for forming a transparent film comprising a water-sliding component and a matrix component on a substrate, JP-A-8-12375 discloses a mixture of a fluoroalkyl group-containing silane compound and dimethyl silicone and / or a derivative thereof in a solvent. A solution obtained by hydrolysis and a solution obtained by hydrolyzing an alkoxysilane compound in a solvent are mixed, and the mixture is applied to the surface of the substrate. A water-repellent article is disclosed in which methyl groups are present in a higher concentration in the outer surface layer than in the inner layer of the coating. Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-26758 discloses a hydroxyl group-containing vinyl polymer, an epoxy-terminated siloxane polymer, a sulfonic acid compound, an optionally blocked polyisocyanate compound, and a melamine resin as a coating composition capable of forming a water slidable film. With a coating composition capable of forming a water-slidable film containing at least one crosslinking agent component selected from the group consisting of a surfactant selected from the group consisting of a specific dialkylsulfosuccinate and an alkylene oxide silane, the falling angle at a water droplet volume of 10 μl is reduced. It is disclosed that a very excellent performance of 5 ° or less is exhibited.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, the water-repellent article described in the above-mentioned JP-A-8-12375 has a water droplet sliding property of 50 μl of water droplets that slide at an inclination of about 16 °, and is intended to remove raindrops well as an automobile window. This level is not enough. Further, the water-repellent article described in JP-A-2000-26758 has low transparency and is limited to use as a paint.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
The present invention has been made in view of the above problems, and a dimethyl silicone composition in which a silicon atom to which an alkoxy group is bonded and a silicon atom at the end of a dimethylsiloxane chain is bonded through an oxygen or methylene group is used as a water-sliding component. As a result, it was found that the retention property of the water-sliding component in the matrix is improved, and further, if a fluoroalkylsilane having excellent durability is introduced into the matrix, a highly durable high water-sliding film can be formed. .
[0006]
That is, in the highly water-slidable coating film of the present invention, a mixture of an alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] and a fluoroalkylsilane represented by the general formula [2] is used as the water-sliding component in the silica matrix. It is characterized by being distributed.
[0007]
[Chemical 3]
[0008]
Here, X is at -OR or -R'Si (OR) r (CH 3 ) 3-r (R is a monovalent an alkyl group, R 'is an divalent alkylene group, r is an integer of 1 to 3) The alkoxy group or alkoxy group-containing group represented, p and q are integers of 1 to 3, and n is an integer of 2000 or less.
[0009]
[Formula 4]
[0010]
Here, s represents an integer of 0 to 11, t represents an integer of 1 to 3, and Z represents a hydrolyzable group.
The highly water-slidable coating film of the present invention is characterized in that the number of alkoxy groups in the alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] is 3 or more.
[0011]
Furthermore, the highly water-slidable coating film of the present invention is characterized in that the average degree of polymerization n of the alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] is 5 to 1000.
[0012]
Furthermore, the high water-sliding film of the present invention is characterized in that the alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] is present in an amount of 1 to 200% by weight based on silica as a matrix. And
[0013]
Furthermore, in the highly water-resistant coating film of the present invention, the fluoroalkylsilane represented by the general formula [2] is 10 to 2000 mol% with respect to the alkoxy-terminated dimethylsilicone represented by the general formula [1]. It is characterized by being present in a range.
[0014]
Further, the highly water-slidable coating film of the present invention is a component formed by bonding an alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] and a fluoroalkylsilane represented by the general formula [2] in a silica matrix. Are dispersed.
[0015]
Moreover, the manufacturing method of the highly water-slidable film of this invention is characterized by performing by the following process.
(1) preparing a silica sol as a matrix component by hydrolyzing and polycondensing alkoxysilane;
(2) A coating solution is prepared by mixing the alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1], the fluoroalkylsilane represented by the general formula [2], and the silica sol prepared in the above (1). The process of
(3) A step of applying a heat treatment after applying the coating solution on the surface of the substrate.
[0016]
Furthermore, the method for producing a highly water-slidable coating film of the present invention is characterized in that the heat treatment is performed at a temperature of 600 ° C. or lower.
[0017]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In the highly water-slidable coating of the present invention, a mixture of an alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] and a fluoroalkylsilane represented by the general formula [2] is dispersed as a water-sliding component in a silica matrix. It is characterized by.
[0018]
[Chemical formula 5]
[0019]
Here, X is at -OR or -R'Si (OR) r (CH 3 ) 3-r (R is a monovalent an alkyl group, R 'is an divalent alkylene group, r is an integer of 1-3) The alkoxy group or alkoxy group-containing group represented, p and q are integers of 1 to 3, and n is an integer of 2000 or less.
[0020]
[Chemical 6]
[0021]
Here, s represents an integer of 0 to 11, t represents an integer of 1 to 3, and Z represents a hydrolyzable group.
For example, silica prepared as a silica sol formed by advancing hydrolysis and polycondensation reaction of alkoxysilane can be used as the matrix which is a film constituent of the high water-sliding coating. For example, a predetermined amount of alkoxysilane (for example, tetraethoxysilane [Si (OC 2 H 5 ) 4 ]) and a solvent are mixed and stirred (for example, about 30 minutes) to obtain a solution A. In addition, as a solvent, lower alcohols, such as ethyl alcohol and isopropyl alcohol, and those mixed solvents are desirable, However, Ethers and ketones can also be used. On the other hand, the aqueous solution and the solvent are mixed and stirred (for example, about 30 minutes) to obtain a solution B. Next, after mixing the solution A and the solution B, the mixture is stirred for a long time (for example, about 15 hours) at room temperature to proceed hydrolysis and polycondensation reaction of alkoxysilane to obtain a silica sol. As described above, hydrolysis of alkoxysilane can be carried out by adding a small amount of water and an acid catalyst such as hydrochloric acid, nitric acid, acetic acid, etc., using alkoxysilane as a starting material, and heating the hydrolyzate at room temperature or while heating. A silica sol can be obtained by polycondensation by stirring. The method for preparing the silica sol is not limited to the above method, but the method of gradually mixing an acidic aqueous solution diluted with a solvent into a solution obtained by diluting the alkoxysilane as described above with a solvent is abrupt. This is preferable because a more homogeneous reaction can be obtained.
[0022]
Examples of the alkoxysilane include tetraalkoxysilanes such as tetramethoxysilane, tetraethoxysilane, tetrapropoxysilane, and tetrabutoxysilane, methyltriethoxysilane, methyltrimethoxysilane, ethyltrimethoxysilane, and ethyltriethoxysilane. , Trialkoxysilanes such as propyltrimethoxysilane and propyltriethoxysilane, or dialkoxysilanes can be used. Among the above alkoxysilanes, trialkoxysilanes such as tetramethoxysilane, tetraethoxysilane, methyltriethoxysilane, methyltrimethoxysilane, ethyltrimethoxysilane, and ethyltriethoxysilane are preferable.
[0023]
Next, R in the alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] is a monovalent alkyl group having 1 to 6 carbon atoms, and includes a methyl group, an ethyl group, a propyl group, an isopropyl group, a butyl group, and pentyl. A group, a hexyl group, a cyclohexyl group, or the like can be used. Of these, a methyl group or an ethyl group is preferable. R ′ is a divalent alkylene group having 2 to 4 carbon atoms, and an ethylene group, a propylene group, an isopropylene group, a butylene group, or the like can be used. Among them, an ethylene group is preferable.
The average degree of polymerization n of the alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] is 2000 or less, and particularly preferably in the range of 5 to 1000. When it is 2000 or more, the compatibility with silica sol is lowered, and it becomes difficult to form a transparent film.
[0024]
The alkoxy-terminated dimethylsilicone represented by the general formula [1] has at least one alkoxy group at each end that can be bonded to the silica matrix or the fluoroalkylsilane represented by the general formula [2]. Can be used. The number of alkoxy groups possessed by the alkoxy-terminated dimethyl silicone is preferably 3 or more, and if it is 2 or less, the compatibility with silica sol is lowered, and the film formability is lowered. The holding amount is reduced and the durability of the highly water-slidable coating is lowered.
[0025]
Furthermore, the alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] is preferably present in the coating solution in an amount of 1 to 200% by weight based on silica. When the content is 1% by weight or less, the amount of silicone present in the silica film is reduced, and the water slidability of the highly water slidable coating is lowered. On the other hand, if it is 200% by weight or more, the compatibility with the silica sol is lowered and it becomes difficult to form a transparent film.
[0026]
Next, examples of the fluoroalkylsilane represented by the general formula [2] include CF 3 (CF 2 ) 11 CH 2 CH 2 SiCl 3 , CF 3 (CF 2 ) 11 CH 2 CH 2 SiCH 3 Cl 2 , CF 3 (CF 2 ) 11 CH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 Cl, CF 3 (CF 2 ) 9 CH 2 CH 2 SiCl 3 , CF 3 (CF 2 ) 9 CH 2 CH 2 SiCH 3 Cl 2 , CF 3 (CF 2 ) 9 CH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 Cl, CF 3 (CF 2 ) 7 CH 2 CH 2 SiCl 3 , CF 3 (CF 2 ) 7 CH 2 CH 2 SiCH 3 Cl 2 , CF 3 (CF 2 ) 7 CH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 Cl, CF 3 (CF 2 ) 5 CH 2 CH 2 SiCl 3 , CF 3 (CF 2 ) 5 CH 2 CH 2 SiCH 3 Cl 2 , CF 3 ( CF 2) 5 CH 2 CH 2 Si (CH 3) 2 Cl, CF 3 CH 2 CH 2 SiCl 3 , CF 3 CH 2 CH 2 SiCH 3 Cl 2 , CF 3 CH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 Cl, CF 3 (CF 2 ) 11 CH 2 CH 2 Si (OCH 3 ) 3 , CF 3 (CF 2 11 CH 2 CH 2 SiCH 3 (OCH 3 ) 2 , CF 3 (CF 2 ) 11 CH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 (OCH 3 ), CF 3 (CF 2 ) 9 CH 2 CH 2 Si (OCH) 3 ) 3 , CF 3 (CF 2 ) 9 CH 2 CH 2 SiCH 3 (OCH 3 ) 2 , CF 3 (CF 2 ) 9 CH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 (OCH 3 ), CF 3 (CF 2 ) 7 CH 2 CH 2 Si (OCH 3 ) 3 , CF 3 (CF 2 ) 7 CH 2 CH 2 SiCH 3 (OCH 3 ) 2 , CF 3 (CF 2 ) 7 CH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 ( OCH 3), CF 3 (CF 2) 5 CH 2 CH 2 Si (OCH 3) 3, CF 3 (CF 2) 5 CH 2 CH 2 SiC 3 (OCH 3) 2, CF 3 (CF 2) 5 CH 2 CH 2 Si (CH 3) 2 (OCH 3), CF 3 CH 2 CH 2 Si (OCH 3) 3, CF 3 CH 2 CH 2 SiCH 3 In addition to (OCH 3 ) 2 , CF 3 CH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 (OCH 3 ), etc., fluoroalkylethoxysilanes, fluoroalkylpropoxysilanes, fluoroalkylisocyanatosilanes, etc. can also be used. . Moreover, examples of the hydrolyzable group represented by Z in the general formula [2] include an alkoxy group such as a methoxy group, an ethoxy group, a propoxy group, an isopropoxy group, and a butoxy group, or a chloro group and an isocyanate group. Things can be used.
[0027]
The fluoroalkylsilane represented by the general formula [2] is preferably present in the coating solution in an amount of 10 to 2000 mol% with respect to the alkoxy-terminated dimethylsilicone. When the amount is 10 mol% or less, the amount of fluoroalkylsilane in the silica film is small and the durability of the highly water-slidable coating film is lowered. On the other hand, if it is 2000 mol% or more, the compatibility with silica sol is lowered and it becomes difficult to form a transparent film.
[0028]
Next, the manufacturing method of the highly water-slidable coating film of the present invention will be described.
[0029]
The highly water-slidable coating film of the present invention can be produced by the following process.
(1) preparing a silica sol as a matrix component by hydrolyzing and polycondensing alkoxysilane;
(2) A coating solution is prepared by mixing the alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1], the fluoroalkylsilane represented by the general formula [2], and the silica sol prepared in the above (1). The process of
(3) A step of applying a heat treatment after applying the coating solution on the surface of the substrate.
That is, a coating solution for a highly water-slidable coating is obtained by adding and mixing an alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] and a fluoroalkylsilane represented by the general formula [2] into the silica sol. Can do.
[0030]
Solvents used above include lower alcohols such as ethyl alcohol and isopropyl alcohol, ketones such as methyl ethyl ketone and methyl isobutyl ketone, esters such as ethyl acetate and butyl acetate, and aromatic hydrocarbon solvents such as toluene, benzene and xylene. It is preferable to use ethers such as diethyl ether and diisopropyl ether, chlorinated solvents such as chloroform and carbon tetrachloride, and mixtures thereof.
[0031]
Next, the coating solution obtained above is applied to the surface of the substrate.
Various coating methods such as hand coating, nozzle flow coating method, dipping method, spray method, reverse coating method, flexo method, printing method, flow coating method or spin coating method, and known coating means such as combinations thereof are applied. Can be adopted as appropriate. It can also be used as a simple type spray-type water repellent agent.
[0032]
Next, the coating solution applied to the substrate surface is heat-treated to fix the coating on the substrate surface.
The heat treatment may be naturally dried by air drying, or after the drying or simultaneously with the drying, the heat treatment may be performed at a temperature exceeding room temperature and 600 ° C. or less. If the temperature exceeds 600 ° C., the water-sliding component is thermally decomposed and the water-sliding property is remarkably lowered.
[0033]
The base material is not particularly limited, such as glass and plastic. For example, in the case of a glass substrate, a float glass or a roll-out that is usually used for architectural window glass or automobile window glass is used. Inorganic transparent plate glass such as glass produced by the method is preferred, and it is not particularly limited to colorless or colored, as well as its type or color tone, combination with other functional films, glass shape, etc. As a bent plate glass, of course, it can be used as various tempered glasses, strength-enhanced glass, flat plate or single plate, and can also be used as double-layer glass or laminated glass. The coating may be formed on both sides of the glass substrate.
[0034]
In addition, the base layer which consists of a metal oxide may be provided in the base-material surface where a synovial fluid is apply | coated. For example, in the case of a glass substrate, the underlying layer is preferably an oxide thin film containing a metal oxide such as silicon oxide as a main component, and the coating liquid is applied thereon to cover the highly water-slidable film. Thus, a highly lubricious glass having high durability can be obtained.
[0035]
As described above, the highly water-slidable coating of the present invention has an alkoxy group in which a silicon atom bonded to an alkoxy group capable of bonding to a silica matrix and a silicon atom at the end of a dimethylsiloxane chain are bonded via an oxygen or methylene group. Since terminal dimethyl silicone is used, the retention of the component in the silica matrix is improved, and the durability can be improved. Furthermore, durability can be improved by introducing a fluoroalkyl group having excellent durability into the coating.
[0036]
In the present invention, the water slidability is a method as described in the evaluation method of the examples described later, that is, after dropping 50 μl of pure water on the sample surface, the sample is gradually tilted, and the water droplets move. Evaluation was made by measuring the angle of inclination at the beginning. In addition, this inclination angle was made into the fall angle (degree), and the fall angle was measured in air | atmosphere (about 25 degreeC) using Kyowa Interface Science CA-A type | mold. In addition, the high lubricity of this invention means a thing with a fall angle of 10 degrees or less.
[0037]
【Example】
Examples of the present invention will be described below. The present invention is not limited to these examples. In addition, the evaluation method of a highly lubricious coating film is shown below.
[0038]
[Evaluation of high water-sliding film]
The evaluation method of the highly water-slidable coating is described below.
(1) Contact angle The angle formed by the water droplet and the sample surface when about 2 μl of pure water was placed on the sample surface having a highly water-slidable coating was measured with a contact angle meter. In addition, the CA-X type made from Kyowa Interface Science was used for the contact angle meter, and it measured in air | atmosphere (about 25 degreeC).
(2) Falling angle With the sample held horizontally, after dropping 50 μl of pure water onto the sample surface, the sample is gradually tilted, and the tilt angle at the time when the water droplet starts to move is defined as the falling angle (°). did. The sliding angle was measured in the atmosphere (about 25 ° C.) using Kyowa Interface Science CA-A type. A falling angle of 10 ° or less was regarded as acceptable.
(3) Acid resistance test 1 ml of 25% sulfuric acid aqueous solution was dropped on the surface of the sample and left at about 25 ° C. for 24 hours. Next, the surface was washed with tap water and air-dried, and then the contact angle and the falling angle were evaluated.
(4) Ceria polishing test A cotton cloth in which a suspension of 10% by weight glass abrasive Milleak E (Mitsui Mining Co., Ltd.) dispersed in tap water is impregnated and the surface of the sample is a strong 1.5 kg / cm 2 . Now it was polished. The number of times of polishing (reciprocation) until 70% of the polishing range became hydrophilic was evaluated.
[0039]
Example 1
(1) fluoroalkyl silane and preparing fluoroalkyl silane mixed solution of alkoxy-terminated dimethyl silicone (CF 3 (CF 2) 7 CH 2 CH 2 SiCl 3, abbreviated as C8FASC) and mixed solution of alkoxy-terminated dimethyl silicone, fluoroalkyl It was obtained by mixing silane and alkoxy terminated dimethyl silicone. FIG. 1 shows the procedure for preparing a mixed solution of fluoroalkylsilane (C8FASC) and alkoxy-terminated dimethylsilicone and the mixing ratio (weight ratio) of each component.
First, an alkoxy-terminated dimethyl silicone [(CH 3 O) 3 SiO [Si (CH 3 ) 2 O] 150 Si (OCH 3 ) 3 ] solution having an average degree of polymerization n of 150 diluted to 10 wt% with ethyl acetate; 70 g and ethyl acetate; 20.00 g and 0.1 mol / l nitric acid aqueous solution; 0.02 g were mixed, stirred for about 5 hours at room temperature, and then molecular sieve (manufactured by Union Showa, 4AXH-5 8 × 12); After adding 00 g, the solution A was obtained by removing the water in the reaction solution by allowing to stand at room temperature for about 20 hours. Next, solution A; 22.20 g and heptadecafluorodecyltrichlorosilane [CF 3 (CF 2 ) 7 CH 2 CH 2 SiCl 3 : C8FASC, manufactured by Shin-Etsu Chemical Co., Ltd., HFTCS]; By stirring for 24 hours, a mixed solution X composed of fluoroalkylsilane and alkoxy-terminated dimethylsilicone was obtained.
[0040]
(2) Preparation of silica sol Silica sol was prepared by advancing hydrolysis and polycondensation reaction of tetraethoxysilane [Si (OC 2 H 5 ) 4 : TEOS]. FIG. 2 shows the silica sol preparation procedure and the mixing ratio (weight ratio) of each component.
First, TEOS; 312.5 g and Echinen F1 (mixture of lower alcohol composed of 90 wt% ethanol and 10 wt% isopropyl alcohol); 40.0 g were mixed and stirred for about 30 minutes to obtain Solution B. Moreover, 0.1 mol / l nitric acid aqueous solution; 7.5 g, H 2 O; 210.0 g and echinene F1; 20.0 g were mixed and stirred for about 30 minutes to obtain a solution C. Next, after mixing Solution B and Solution C, silica sol Y was obtained by stirring at room temperature for about 15 hours.
[0041]
(3) Preparation of coating solution The coating solution was obtained by mixing the mixed solution X composed of the fluoroalkylsilane and the alkoxy-terminated dimethyl silicone and the silica sol Y. FIG. 3 shows the procedure for preparing the coating solution and the mixing ratio (weight ratio) of each chemical solution.
First, mixed solution X consisting of the above fluoroalkylsilane and alkoxy-terminated dimethyl silicone; 2.5 g, methyl ethyl ketone; 7.00 g and isopropyl alcohol; 7.00 g were mixed and stirred for about 5 minutes. Next, 0.78 g of the above silica sol Y was added and stirred at room temperature for about 15 hours. Then, 26.5 g of methyl ethyl ketone and 26.5 g of isopropyl alcohol were added and stirred for 30 minutes. By the above method, the silica concentration was 0.1% by weight, the weight ratio of alkoxy-terminated dimethyl silicone to silica (hereinafter referred to as “silicone concentration”) was 37.5% by weight, and the fluoroalkylsilane to alkoxy-terminated dimethyl silicone was A coating solution having a molar ratio (hereinafter referred to as “FAS concentration”) of 250 mol% was obtained.
[0042]
(4) Cleaning of glass substrate The surface of a float glass having a size of 300 mm × 300 mm × 2 mm (plate thickness) was polished with a polishing liquid, washed with water and dried with a glass cleaning machine (produced by our company). In addition, the polishing liquid used here was a suspension obtained by mixing approximately 1% of a glass polishing agent Mille E (manufactured by Mitsui Mining Co., Ltd.) with water.
[0043]
(5) Coating of highly water-slidable coating film The coating solution prepared in (3) above was applied on the glass substrate prepared in (4) above by spin coating. First, the glass substrate, which is a glass substrate for a coating film, is placed on a spin coater, and about 25 to 30 ml of coating solution is dropped while rotating at a rotation speed of 100 rpm, and the coating is applied while maintaining the rotation speed for 30 seconds. The film was dried to obtain a transparent gel film having good film formability. Next, heat treatment was performed at 280 ° C. for 10 minutes, and the mixture was cooled to room temperature, then washed with running water (Cotton No. 300) and air-dried to obtain a glass sample with a highly lubricious coating film.
[0044]
As a result of evaluating the initial performance and durability of the glass sample with a highly water slidable film obtained by the procedure described in [Evaluation of water slidable film], the initial contact angle was 104 ° and the initial sliding angle was 8 °, which was favorable. It showed water-dropping property and maintained a high water repellency with a contact angle of 99 ° after the acid resistance test. Further, in the ceria polishing test, 35 reciprocations were required to make 70% hydrophilic, and good durability was exhibited.
The production conditions of the samples produced in Examples and Comparative Examples are shown in Table 1, and the initial performance and durability test results are shown in Table 2.
[0045]
[Table 1]
[0046]
[Table 2]
[0047]
Example 2
Alkoxy-terminated dimethyl silicone having an average degree of polymerization of 200 [(CH 3 O) 3 SiCH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 O [Si (CH 3 ) 2 O] 200 Si (CH 3 ) 2 CH 2 CH 2 Si (OCH 3 ) 3 ] was used, and everything was the same as Example 1 except that the silicone concentration was 50 wt% and the FAS concentration was 200 mol%.
As a result, the initial contact angle was 103 °, the initial drop angle was 8 °, showing good water drop slidability, and the contact angle after the acid resistance test was 93 °, maintaining high water repellency. Further, in the ceria polishing test, 35 reciprocations were required to make 70% hydrophilic, and good durability was exhibited.
[0048]
Example 3
The procedure was the same as in Example 2 except that alkoxy-terminated dimethyl silicone [(CH 3 O) 3 SiO [Si (CH 3 ) 2 O] 250 Si (OCH 3 ) 3 ] having an average polymerization degree n of 250 was used. As a result, the initial contact angle was 106 ° and the initial drop angle was 8 °, indicating good water droplet fallability, and the contact angle after the acid resistance test was 89 °, maintaining high water repellency. Further, in the ceria polishing test, 35 reciprocations were required to make 70% hydrophilic, and good durability was exhibited.
[0049]
Example 4
Alkoxy-terminated dimethyl silicone having an average polymerization degree n of 300 [(C 2 H 5 O) 3 SiCH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 O [Si (CH 3 ) 2 O] 300 Si (CH 3 ) 2 CH 2 CH 2 Si was (OC 2 H 5) 3] the same as in example 2 except for using.
As a result, the initial contact angle was 105 °, the initial drop angle was 7 °, and the water droplet tumbling property was good, and the contact angle after the acid resistance test was 88 °, maintaining high water repellency. Further, in the ceria polishing test, 35 reciprocations were required to make 70% hydrophilic, and good durability was exhibited.
[0050]
Example 5
Alkoxy-terminated dimethyl silicone having an average degree of polymerization of 100 [(CH 3 O) 3 SiCH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 O [Si (CH 3 ) 2 O] 100 Si (CH 3 ) 2 CH 2 CH 2 Si (OCH 3 ) 3 ] was used, and everything was the same as Example 1, except that the silicone concentration was 25 wt% and the FAS concentration was 150 mol%.
As a result, the initial contact angle was 105 °, the initial drop angle was 8 °, showing good water drop slidability, and the contact angle after the acid resistance test was 97 °, maintaining high water repellency. Further, in the ceria polishing test, 35 reciprocations were required to make 70% hydrophilic, and good durability was exhibited.
[0051]
Example 6
Alkoxy-terminated dimethyl silicone having an average degree of polymerization n of 50 [(CH 3 O) 3 SiCH 2 CH 2 Si (CH 3 ) 2 O [Si (CH 3 ) 2 O] 50 Si (CH 3 ) 2 CH 2 CH 2 Si All were the same as Example 5 except that (OCH 3 ) 3 ] was used.
As a result, the initial contact angle was 105 °, the initial drop angle was 9 °, and the water droplet tumbling property was good, and the contact angle after the acid resistance test was 93 °, maintaining high water repellency. Furthermore, in the ceria polishing test, it took 40 reciprocations to make 70% hydrophilic, and showed good durability.
[0052]
Comparative Example 1
In FIG. 1 of “Example 1 (1) Preparation of mixed solution of fluoroalkylsilane and alkoxy-terminated dimethylsilicone” above, all were the same as Example 1 except that the amount of C8FASC added was 0 g. That is, it shows that fluoroalkylsilane is not contained in the coating solution.
As a result, the initial contact angle was 105 ° and the initial drop angle was 7 °, which was a high drop drop property, but the contact angle after the acid resistance test was 76 ° and the durability was poor. Furthermore, in the ceria polishing test, 70% of the polishing was made hydrophilic by 10 reciprocations, and the durability was poor.
[0053]
Comparative Example 2
4.0 ml of the mixed solution X obtained in the above "Example 1 (1) Preparation of mixed solution of fluoroalkylsilane and alkoxy-terminated dimethylsilicone" was dropped on a glass substrate, and the entire surface of the glass with a cotton cloth (trade name: Bencott). After being fully stretched, it was air-dried for about 5 minutes. Thereafter, a heat treatment was carried out at 80 ° C. for 10 minutes in a muffle furnace, and the surplus water lubricant remaining cloudy was wiped off with iPA to obtain a transparent sample. That is, in this comparative example, a film without a silica matrix was produced.
As a result, the initial contact angle was as high as 105 °, but the initial sliding angle was as bad as 19 °, and the contact angle after the acid resistance test was also 35 ° and the durability was also poor. Further, in the ceria polishing test, 70% of the surface was hydrophilized by polishing 5 cycles or less.
[0054]
Comparative Example 3
In FIG. 1 of “Example 1 (1) Preparation of mixed solution of fluoroalkylsilane and alkoxy-terminated dimethylsilicone” above, all were the same as Example 1 except that the addition amount of alkoxy-terminated dimethylsilicone was 0 g. That is, it shows that the alkoxy-terminated dimethyl silicone is not contained in the coating solution.
As a result, the initial contact angle was 88 °, the initial sliding angle was as bad as 13 °, and the contact angle after the acid resistance test was also 70 ° as poor as durability. Further, in the ceria polishing test, 70% of the polishing was made hydrophilic by 10 reciprocations.
[0055]
Comparative Example 4
Alkoxy-terminated dimethyl silicone having an average polymerization degree n is 2500 [(CH 3 O) 2 (CH 3) SiCH 2 CH 2 Si (CH3) 2 O [Si (CH 3) 2 O] 2500 Si (CH 3) 2 CH 2 All were the same as Example 1 except that CH 2 Si (CH 3 ) (OCH 3 ) 2 ] was used.
As a result, a transparent film was not obtained.
[0056]
【The invention's effect】
Since the high water-sliding film of the present invention has both high water repellency durability and excellent water slidability, for example, when used in a window glass for a vehicle, the front, side, and rear visibility during rainy weather It is easy to secure and improves the safety of driving, and further, such effects can be maintained over a long period of time.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a procedure for preparing a mixed solution X of a fluoroalkylsilane and an alkoxy-terminated dimethylsilicone in Example 1.
2 is a view showing a preparation procedure of silica sol Y in Example 1. FIG.
3 is a diagram showing a procedure for preparing a coating liquid in Example 1. FIG.

Claims (7)

シリカマトリックス中に、一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンと一般式[2]で表されるフルオロアルキルシランとの混合物が滑水成分として分散されてなり、一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンのアルコキシ基の数が3個以上であることを特徴とする高滑水性被膜。
ここで、Xは−ORまたは−R'Si(OR)r(CH3)3-r(Rは1価のアルキル基、R'は2価のアルキレン基、rは1〜3の整数)で表されるアルコキシ基またはアルコキシ基含有基、p、qは1〜3の整数、nは2000以下の整数を示す。
ここで、sは0〜11の整数、tは1〜3の整数、Zは加水分解性基を示す。
In the silica matrix, Ri mixture of fluoroalkyl silane represented by the general formula [1] with an alkoxy-terminated dimethyl silicone and the general formula represented [2] Na are dispersed as water slip component, the general formula [1] The number of alkoxy groups of the alkoxy terminal dimethyl silicone represented by these is 3 or more, The highly lubricious coating film characterized by the above-mentioned.
Here, X is at -OR or -R'Si (OR) r (CH 3 ) 3-r (R is a monovalent an alkyl group, R 'is an divalent alkylene group, r is an integer of 1 to 3) The alkoxy group or alkoxy group-containing group represented, p and q are integers of 1 to 3, and n is an integer of 2000 or less.
Here, s represents an integer of 0 to 11, t represents an integer of 1 to 3, and Z represents a hydrolyzable group.
前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンの平均重合度nが5〜1000であることを特徴とする請求項記載の高滑水性被膜。High planing coat according to claim 1, wherein the average polymerization degree n of the alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] is characterized in that 5 to 1000. 前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンは、マトリックスとしてのシリカに対して1〜200重量%の範囲で存在してなることを特徴とする請求項1又は2記載の高滑水性被膜。The high water-sliding property according to claim 1 or 2, wherein the alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] is present in an amount of 1 to 200% by weight based on silica as a matrix. Coating. 前記一般式[2]で表されるフルオロアルキルシランは、前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンに対して10〜2000モル%の範囲で存在してなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか記載の高滑水性被膜。The fluoroalkylsilane represented by the general formula [2] is present in a range of 10 to 2000 mol% with respect to the alkoxy-terminated dimethylsilicone represented by the general formula [1]. Item 4. The highly water-slidable coating film according to any one of Items 1 to 3 . シリカマトリックス中に、前記一般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンと前記一般式[2]で表されるフルオロアルキルシランが結合してなる成分が分散していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか記載の高滑水性被膜。A component formed by bonding an alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1] and a fluoroalkylsilane represented by the general formula [2] is dispersed in a silica matrix. Item 5. The highly water-slidable coating film according to any one of Items 1 to 4 . 下記の工程により行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに高滑水性被膜の製造方法。
(1)アルコキシシランを加水分解および重縮合させることによってマトリックス成分としてのシリカゾルを調製する工程、
(2)前記一般式[1]式で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンと前記一般式[2]式で表されるフルオロアルキルシランと上記(1)で調製したシリカゾルを混合して塗布液を調製する工程、
(3)基材表面に前記塗布液を塗布したのち熱処理を行う工程。
The method for producing a highly water-slidable coating film according to any one of claims 1 to 5, which is performed by the following steps.
(1) preparing a silica sol as a matrix component by hydrolyzing and polycondensing alkoxysilane;
(2) A coating solution is prepared by mixing the alkoxy-terminated dimethyl silicone represented by the general formula [1], the fluoroalkylsilane represented by the general formula [2], and the silica sol prepared in the above (1). The process of
(3) A step of applying a heat treatment after applying the coating solution on the surface of the substrate.
前記熱処理は、600℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項記載の高滑水性被膜の製造方法。The method for producing a highly water-slidable coating film according to claim 6 , wherein the heat treatment is performed at a temperature of 600 ° C. or less.
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