JP2010202723A - ブロック共重合体及びその製造方法 - Google Patents

ブロック共重合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ミクロ又はナノ相分離し、ミクロ又はナノパターン形成することが可能な自己組織化ブロック共重合体を提供することを目的とする。
【解決手段】酸素含有炭化水素基置換スチレンの骨格を持つ繰り返し単位と弗素含有α置換アクリル酸エステルの骨格を持つ繰り返し単位とからなるブロック共重合体であり、例えば、p−(1−エトキシエトキシ)スチレンと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートとをリビングラジカル重合することにより得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は酸素含有炭化水素基置換スチレンの骨格を持つ繰り返し単位と弗素含有α置換アクリル酸エステルの骨格を持つ繰り返し単位とからなるブロック共重合体に関するものである。
近年、半導体製造プロセスのリソグラフィー微細加工技術としてArF露光、EVU露光、液浸、電子線直接描画等の技術が開発されているが、10nm以下のパターン形成は困難な状況となっている。
そこで、秩序だったミクロ相分離構造、またはナノ相分離構造を有する自己組織化ブロック共重合をリソグラフィー技術に変わる簡便で経済的なパターン形成法として、半導体デバイス製造プロセスに適用する試みが成されている。
例えば、ポリスチレンとポリメタクリル酸メチルのブロック共重合体を用いて20nmのトレンチに5nm以下の繰り返し単位を有する交互ラメラ構造を形成する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、重量平均分子量20000以下のポリヒドロキシスチレンとポリメタクリル酸メチルのブロック共重合体を用いてミクロドメイン構造を20nm未満とすることが提案されている(例えば特許文献2参照)。
しかしながら、これらの自己組織化ブロック共重合体は、分子量および分子量分布の制御が不十分であって、条件によっては、ミクロ相分離しなかったり、相分離したミクロドメインサイズが大きいといった問題や、形成パターンの均一性、再現性、制御性に関し、不十分である等の課題を抱えていた。
特開2007−208255号公報 特開2007−246600号公報
本発明の課題は、ミクロ又はナノ相分離することでミクロ又はナノパターン形成することが可能な自己組織化ブロック共重合体を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解決するために酸素含有炭化水素基置換スチレンと、弗素含有α置換アクリル酸エステルとの共重合体について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明の態様は以下の通りである。
(1)下記一般式(1)及び(2)で示される繰り返し単位からなるブロック共重合体。
Figure 2010202723
(1)
(式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基を表す)
Figure 2010202723
(2)
(Rは、水素原子もしくは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜20の弗素含有炭化水素基を表す。)
(2)Rの酸素含有炭化水素基がアルコキシアルキル基であり、Rの炭化水素基がアルキル基であり、Rの弗素含有炭化水素基がフルオロアルキル基であることを特徴とする(1)記載のブロック共重合体。
(3)Rがエトキシエチル基であり、Rがメチル基であり、Rが2,2,2−トリフルオロエチル基であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のブロック共重合体。
(4)重量平均分子量が20000以上かつ重量平均分子量/数平均分子量の比が2.0未満であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のブロック共重合体。
(5)下記一般式(3)
Figure 2010202723
(3)
(式中、Rは前記に同じ)で示される酸素含有炭化水素基置換スチレンと下記一般式(4)
Figure 2010202723
(4)
(式中、R、Rは前記に同じ)で示される弗素含有α置換アクリル酸エステルとを、リビングラジカル重合することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のブロック共重合体の製造方法。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の共重合体は下記一般式(1)、(2)で示される繰り返し単位よりなるブロック共重合体である。
Figure 2010202723
(1)
(式中、Rは前記に同じ)
Figure 2010202723
(2)
(式中、R、Rは前記に同じ)
上記一般式(1)のRは、炭素数1〜20の炭化水素基または酸素含有炭化水素基であり、特に好ましくは、炭素数1〜10の飽和または不飽和炭化水素基であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれの構造を有してもよい。
が炭化水素基である例としては、炭素数1〜20のものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルケニル基、アリールアルケニル基、アルケニルアリール基、アルキニル基、アリールアルキニル基、アルキニルアリール基等であり、酸素含有炭化水素基の例としては炭素数1〜20のアルコキシアルキル基、アシル基等を挙げることができる。
が炭化水素基であるときの具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、tert.−アミル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル等のアルキル基、フェニル、ジフェニル、ナフチル等のアリール基、ベンジル、メチルベンジル等のアリールアルキル基、o−トルイル、m−トルイル、p−トルイル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、o−エチルフェニル、m−エチルフェニル、p−エチルフェニル等のアルキルアリール基、ビニル、アリル、1−プロペニル、1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、1−シクロペンテニル、2−シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、1−ヘキセニル、1−シクロヘキセニル、2,4−シクロヘキサジエニル、2,5−シクロヘキサジエニル、2,4,6−シクロヘプタトリエニル、5−ノルボルネン−2−イル等のアルケニル基、2−フェニル−1−エテニル等のアリールアルケニル基、o−スチリル,m−スチリル,p−スチリル等のアルケニルアリール基、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル,2−ブチニル,3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のアルキニル基、2−フェニル−1−エチニル等のアリールアルキニル基、2−エチニル−2フェニル等のアルキニルアリール基を挙げることができる。
また、Rが酸素含有炭化水素基であるときの具体的な例としては、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、1−メトキシエチル、2−メトキシエチル、1−エトキシエチル、2−エトキシエチル、1−プロポキシシエチル、2−プロポキシエチル、1−イソプロポキシシエチル、2−イソプロポキシエチル、1−メトキシプロピル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、1−エトキシプロピル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、1−メトキシブチル、2−メトキシブチル、3−メトキシブチル、4−メトキシブチル、1−エトキシブチル、2−エトキシブチル、3−エトキシブチル、4−エトキシブチル、1−プロポキシブチル、2−プロポキシブチル、3−プロポキシブチル、4−プロポキシブチル、1−イソプロポキシブチル、2−イソプロポキシブチル、3−イソプロポキシブチル、4−イソプロポキシブチル等のアルコキシアルキル基、アセチル基等のアシル基等を挙げることができる。
として特に好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基、酸素含有炭化水素基である、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチル、メトキシメチル、エトキシメチル、1−メトキシエチル、2−メトキシエチル、1−エトキシエチル、アセチルである。
また、OR基はスチレン残基のo位、m位、p位のいずれの位置にあっても良い。
一般式(2)のRは、水素原子もしくは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれの構造を有してもよい。
の例としては、水素原子もしくは炭素数1〜10の炭化水素基であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルケニル基、アリールアルケニル基、アルケニルアリール基、アルキニル基、アリールアルキニル基、アルキニルアリール基等の炭化水素基を挙げることができる。
の炭化水素基であるときの具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、tert.−アミル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル等のアルキル基、フェニル、ジフェニル、ナフチル等のアリール基、ベンジル、メチルベンジル等のアリールアルキル基、o−トルイル、m−トルイル、p−トルイル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、o−エチルフェニル、m−エチルフェニル、p−エチルフェニル等のアルキルアリール基、ビニル、アリル、1−プロペニル、1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、1−シクロペンテニル、2−シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、1−ヘキセニル、1−シクロヘキセニル、2,4−シクロヘキサジエニル、2,5−シクロヘキサジエニル、2,4,6−シクロヘプタトリエニル、5−ノルボルネン−2−イル等のアルケニル基、2−フェニル−1−エテニル等のアリールアルケニル基、o−スチリル,m−スチリル,p−スチリル等のアルケニルアリール基、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル,2−ブチニル,3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のアルキニル基、2−フェニル−1−エチニル等のアリールアルキニル基、2−エチニル−2フェニル等のアルキニルアリール基等を挙げることができる。
として特に好ましくは、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基である、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、フェニルである。
は、炭素数1〜20の弗素含有炭化水素基を表す。好ましくは、炭素数1〜10の飽和または不飽和の弗素含有炭化水素基であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれの構造を有してもよい。
の例としては、炭素数1〜20の弗素含有炭化水素基であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、フルオロアリール基、フルオロアリールアルキル基、フルオロアルケニルアリール基、フルオロアルキニルアリール基、フルオロアルキルアリール基、フルオロアルケニルアルキル基、フルオロアルキニルアルキル基等の弗素含有炭化水素基を挙げることができる。
の具体的な例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、1,2,2,2−テトラフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、パーフルオロプロピル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、パーフルオロイソプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、パーフルオロブチル、5−フルオロペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル、パーフルオロペンチル、6−フルオロヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシル、パーフルオロヘキシル、7−フルオロヘプチル、7,7,7−トリフルオロヘプチル、ペーフルオロペプチル、8−フルオロオクチル、8,8,8−トリフルオロオクチル、パーフルオロオクチル、フルオロシクロヘキシキル、フルオロノルボルニル、フルオロアダマンチル等のフルオロアルキル基、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロフェニル、2,3,5−トリフルオロフェニル、2,3,6−トリフルオロフェニル、2,4,5−トリフルオロフェニル、3,4,5−トリフルオロフェニル、2,3,4,5−テトラフルオロフェニル、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、2,4−ジフルオロトルイル、2,5−ジフルオロトルイル、2,6−ジフルオロトルイル、3,4−ジフルオロトルイル、2,3,5,6−テトラフルオロトルイル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロトルイル等のフルオロアリール基、4−フルオロフェネチル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンシル、等のフルオロアリールアルキル基、3−フルオロ−4−エテニルフェニル等のフルオロアルケニルアリール基、3−フルオロ−4−ビニルフェニル等フルオロアルキニルアリール基、α,α,α−トリフルオロトルイル等のフルオロアルキルアリール基、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル等のフルオロアルケニルアルキル基、3,3−ジフルオロ−2−プロピニル等のフルオロアルキニルアルキル基等を挙げることができる。
として特に好ましくは、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、6,6,6−トリフルオロヘキシル、7,7,7−トリフルオロヘプチル、8,8,8−トリフルオロオクチル等の炭化水素基の末端がトリフルオロメチル基である弗素含有炭化水素基が好ましい。炭化水素基の末端がトリフルオロメチル基である弗素含有炭化水素基を有する一般式(2)の弗素含有α置換アクリル酸エステルを使用した場合、100nm未満のドメインサイズを有する相分離ブロック共重合体をより容易に得ることができるからである。
本発明の一般式(1)及び(2)で示される繰り返し単位からなるブロック共重合体は3元ブロック共重合体であっても自己組織化するが、形成パターンの均一性がより優れる点から2元ブロック共重合体であることが望ましい。
本発明のブロック共重合体は一般式(1)の連鎖ブロック[A]と一般式(2)の連鎖ブロック[B]をそれぞれ少なくとも1個以上有する構造であり、ジブロック(A−B)、トリブロック(A−B−A)、テトラブロック(A−B−A−B)、ペンタブロック(A−B−A−B−A又はB−A−B−A−B)あるいはブロック数が6個以上のものを含むが、ジブロック又はトリブロックであることが好ましい。
本発明に係るブロック共重合体は式(1)の繰り返し単位と式(2)の繰り返し単位の割合は1:0.001〜1:1000であることが好ましく、1:0.1〜1:100であることがより好ましい。
また、本発明に係るブロック共重合体はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は20000以上であることが好ましく、であることがより好ましい。重量平均分子量が小さすぎると自己組織化されない場合がある。
更に、本発明のブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は2.0未満であることが好ましく、1.5未満であることがより好ましい。分子量分布が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、自己組織化により形成されたミクロドメイン構造のパターンの均一性や規則性の悪化などの性能低下を引き起こす場合がある。
共重合を行う際の方法としては、ブロック共重合体製造のために通常のアニオン重合、カチオン重合、配位アニオン重合のいずれであっても使用することができるが、分子量分布が狭いブロック共重合体を製造する為には、リビングラジカル重合を用いることが好ましい。
具体的な製造方法の一例としては下記一般式(3)
Figure 2010202723
(3)
(式中、Rは前記に同じ)で示される酸素含有炭化水素基置換スチレンと下記一般式(4)
Figure 2010202723
(4)
(式中、R、Rは前記に同じ)で示される弗素含有α置換アクリル酸エステルとを、リビングラジカル重合する製造方法が挙げられる。
上記一般式(3)で表される酸素含有炭化水素基置換スチレンとしては、前記したRを有するOR基がベンゼン環に結合したスチレンであり、その具体例としては例えば、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−プロポキシスチレン、p−イソプリポキシスチレン、p−tert.−ブトキシスチレン、p−1−エトキシエトキシスチレン、p−アセトキシスチレン等を挙げることができる。
上記一般式(4)で表される弗素含有α置換アクリル酸エステルとしては、前記したR及びRを含んでなるα置換アクリル酸エステルであり、その具体例としては、1,1,1−トリフルオロメチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、1,1,1−トリフルオロメチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
共重合は、気相中または液相中で行うことができる。重合を液相中で行う場合は、一般式(3)で示される酸素含有炭化水素基置換スチレンと(4)で示される弗素含有α置換アクリル酸エステルそれ自身を反応媒体としてもよいが、不活性溶媒を反応媒体として用いることもできる。この不活性溶媒は、当該技術分野で通常用いられるものであれば使用することができるが、共重合により生成した共重合体が溶解する溶媒であることが好ましい。
使用できる溶媒の例としては、炭化水素系溶媒としては、4〜20個の炭素原子を有するアルカン、シクロアルカン、例えばイソブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等、芳香族系溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。また、ヘテロ原子を有する溶媒としては、当該技術分野で用いられるジエチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、テトラジドロフラン、アニソール、ジメトキシベンゼン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチル炭酸、プロピレンカーボネート等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ターシャリーブタノール、イソアミルアルコール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、N,N−ジメチルホルミアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、臭化プロピル等のハロゲン化炭化水素類、及び、水等を挙げることができる。
リビングラジカル共重合の際、用いる重合開始剤については、当該技術分野で通常用いられるものであれば使用することができる。
例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)等のニトロキシル系開始剤、フェニルチオカルボニルチオベンジル等のチオカルボニルチオエステル系開始剤、4,4’−ジヘプチル−2,2’−ビビリジル銅(I)等の遷移金属錯体系開始剤を挙げることができる。
なお、リビングラジカル共重合を行う場合、重合を促進する目的で上記のアゾ系ラジカル開始剤、過酸化物系ラジカル開始剤、無水酢酸、カンファースルホン酸を添加してもよい。
重合反応条件は、重合体の融点未満の反応温度で行われる限り特に限定されないが、通常反応温度−80〜100℃、大気圧〜50kg/cmGに選ばれる。
重合工程において使用する反応器は、当該技術分野で通常用いられるものであれば、適宜使用することができる。攪拌槽型反応器、流動床型反応器、または循環式反応器を用いて、重合操作を連続方式、半回分方式及び回分方式のいずれかの方式で行うことができる。更に異なる重合の反応条件で2段階以上に分けて行うことも可能である。
本発明に係る共重合体はミクロ又はナノ相分離し、ミクロ又はナノパターン形成することが可能な自己組織化ブロック共重合体を提供できる。
以下に実施例を示すが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、重合体の分子量分布(Qw=Mw/Mn)の測定は、GPC(東ソー社製、商品名「HPLC−2010」、カラムは同社製、商品名「TSK−GEL G5000HHR」)により、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、35℃で測定した。なお、標準物質としてポリスチレン(最大Mw=8.42×10)を用い、その他ポリエチレン、C3266を用いて校正曲線を作成し、これを用いて測定した。
(実施例1)
(1)ポリ[(p−1−エトキシエトキシ)スチレン]の合成
電磁式攪拌装置を備えた30mlのシュレンク管をアルゴン置換し、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン12.9g(67.0mmol)、過酸化ベンゾイル30.4mg(0.126mmol)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル22.5mg(0.144mmol)を仕込み、アルゴン雰囲気下、80℃で6時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、無水酢酸0.0756g(0.741mmol)を加え、アルゴン雰囲気下125℃で3時間攪拌した。
反応終了後、反応溶液をヘキサン150mlに加え、析出したポリ[(p−1−エトキシエトキシ)スチレン]をろ過により回収した。回収した重合体をキシレンに溶解し、ヘキサンに加え、ポリマーを析出させる操作を3回行い、未反応のモノマーやオリゴマーを除去し、精製したポリ[(p−1−エトキシエトキシ)スチレン]を得た。
得られた精製ポリ[(p−1−エトキシエトキシ)スチレン]は、ベンゼンに溶解させ、凍結乾燥した。乾燥した重合体の重量は、3.33gであった。
単離したポリ[(p−1−エトキシエトキシ)スチレン]の分子量及び分子量分布をGPCにより測定した結果は、以下の通りであった。
重量平均分子量(Mw)=3.20×10
分子量分布(Mw/Mn)=1.37
(2)(p−1−エトキシエトキシ)スチレンと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートのブロック共重合体の合成
電磁式攪拌装置を備えた100mlのシュレンク管をアルゴン置換し、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート7.77g(47.2mmol)、キシレン6.58ml、上記で合成した精製したポリ[(p−1−エトキシエトキシ)スチレン]1.11g、無水酢酸0.0648g(0.635mmol)を仕込み、アルゴン雰囲気下、125℃で6時間攪拌した。
反応終了後、反応溶液をヘキサン150mlに加え、析出した(p−1−エトキシエトキシ)スチレンと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートのブロック共重合体をろ過により回収した。回収した重合体をキシレンに溶解し、ヘキサンに加え、ポリマーを析出させる操作を3回行い、未反応のモノマーやオリゴマーを除去し、精製したp−1−エトキシエトキシ)スチレンと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートのブロック共重合体を得た。
得られた精製した(p−1−エトキシエトキシ)スチレンと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートのブロック共重合体は、ベンゼンに溶解し、凍結乾燥した。乾燥したブロック共重合体の重量は、5.45gであった。
単離した(p−1−エトキシエトキシ)スチレンと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートのブロック共重合体の分子量及び分子量分布をGPCによりで測定し、核磁気共鳴(H−NMR及び13C−NMR)により、各モノマー成分の共重合組成比を測定した。
結果は、以下の通りであった。
重量平均分子量(Mw)=7.31×10
分子量分布(Mw/Mn)=1.54
(p−1−エトキシエトキシ)スチレン:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート=12:88(mol%)
本ブロック共重合体をテトラヒドロフランに溶解後、キャスト成膜した薄膜を四酸化オスミウムにより染色し、TEMにより75kVで観察した結果を図1に示す。
10〜30nmサイズのドメインを有する相分離が確認された。
(実施例2)
実施例1において、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート4.66g(27.8mmol)、キシレン3.95ml、上記で合成した精製したポリ[(p−1−エトキシエトキシ)スチレン]2.66g、無水酢酸0.0702g(0.688mmol)としたこと以外、実施例1と同様にして(p−1−エトキシエトキシ)スチレンと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートのブロック共重合体を共重合し、精製、乾燥した。
乾燥したブロック共重合体の重量は、2.41gであった。
単離した(p−1−エトキシエトキシ)スチレンと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートのブロック共重合体の分子量及び分子量分布、各モノマー成分の共重合組成比測定の結果は、以下の通りであった。
重量平均分子量(Mw)=7.74×10
分子量分布(Mw/Mn)=1.49
(p−1−エトキシエトキシ)スチレン:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート=66:34(mol%)
リソグラフィー技術に変わる簡便で経済的なパターン形成法として、半導体デバイス製造プロセスに適用できる可能性がある。
実施例1で得られた(p−1−エトキシエトキシ)スチレンと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートのブロック共重合体を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)及び(2)で示される繰り返し単位からなるブロック共重合体。
    Figure 2010202723
    (1)
    (式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基を表す)
    Figure 2010202723
    (2)
    (Rは、水素原子もしくは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜20の弗素含有炭化水素基を表す。)
  2. の酸素含有炭化水素基がアルコキシアルキル基であり、Rの炭化水素基がアルキル基であり、Rの弗素含有炭化水素基がフルオロアルキル基であることを特徴とする請求項1記載のブロック共重合体。
  3. がエトキシエチル基であり、Rがメチル基であり、Rが2,2,2−トリフルオロエチル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
  4. 重量平均分子量が20000以上かつ重量平均分子量/数平均分子量の比が2.0未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブロック共重合体。
  5. 下記一般式(3)
    Figure 2010202723
    (3)
    (式中、Rは前記に同じ)で示される酸素含有炭化水素基置換スチレンと下記一般式(4)
    Figure 2010202723
    (4)
    (式中、R、Rは前記に同じ)で示される弗素含有α置換アクリル酸エステルとを、リビングラジカル重合することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のブロック共重合体の製造方法。
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