JP2002031075A - 流体加熱用ロータおよび該ロータを備えた流体加熱装置、流体加熱方法 - Google Patents

流体加熱用ロータおよび該ロータを備えた流体加熱装置、流体加熱方法

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JP2002031075A
JP2002031075A JP2000216412A JP2000216412A JP2002031075A JP 2002031075 A JP2002031075 A JP 2002031075A JP 2000216412 A JP2000216412 A JP 2000216412A JP 2000216412 A JP2000216412 A JP 2000216412A JP 2002031075 A JP2002031075 A JP 2002031075A
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rotor
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Takahiro Moroi
隆宏 諸井
Masami Niwa
正美 丹羽
Shigeru Suzuki
鈴木  茂
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    • F01PCOOLING OF MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; COOLING OF INTERNAL-COMBUSTION ENGINES
    • F01P3/00Liquid cooling
    • F01P3/20Cooling circuits not specific to a single part of engine or machine
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タービンポンプ型の流体加熱装置において、
流体の高い発熱効果を得ることができる合理的な流体加
熱技術を提供する。 【解決手段】 車両用空調システムの冷却液循環回路に
おいて用いられる加熱用ポンプ10は、ハウジング1
1、ロータ20等により構成されている。またロータ本
体24の両側面には等間隔に配置された複数のブレード
21が立設されている。溝部23を構成する溝部構成面
26は曲面状(略円弧状)に形成され、外周端26aに
おける溝高さt1は、内周端26bにおける溝高さt2
よりも低く(t1<t2)設定されている。本発明者ら
は、試験を行うことで、ロータ20の回転速度と冷却液
の温度上昇に伴う発熱量Qとの間の相関関係は、溝部構
成面26の形状によって異なり、溝部構成面26を図中
に示す曲面状(略円弧状)に形成した場合が冷却液の高
い発熱効果が得られることを確認した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体を加熱する流
体加熱装置に係り、詳しくはタービンポンプ型の流体加
熱装置において効率的に流体の加熱を行う技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、米国特許第3,720,372
号公報には、タービンポンプ型の流体加熱装置が開示さ
れている。この種の流体加熱装置は、流体を圧送するポ
ンプと、ポンプの吐出側の流体絞り手段とを用いること
によって流体の温度を上昇させる(加熱する)ように構
成されている。上記従来の流体加熱装置の概略構成を、
図7および図8に基づいて説明する。ここで、図7は従
来の流体加熱装置におけるポンプの横断面図である。ま
た、図8は図7中のロータの部分断面図である。
【0003】図7に示すように、ポンプ110は、ハウ
ジング111内で矢印130方向へ回転するロータ12
0を備えている。このロータ120の両側面(周面)に
は、回転中心122側から径方向に延びる複数のブレー
ド121が設けられ、ブレード121間には溝部123
が形成されている。また、ハウジング111には、吸入
口113と吐出口114とを仕切るストリッパ(仕切隔
壁)115が設けられている。図8に示すように、溝部
123を構成する溝部構成面126は曲面状(略円弧
状)に形成され、溝部構成面126の外周端126aと
内周端126bとは同じ高さに構成されている。また、
ロータ120には溝部123の外周側を遮へいする壁部
124が形成されている。そして、ロータ120が回転
することで、流体はブレード121間の溝部123の作
用によって加圧され吐出側へ圧送される。また、吐出口
114の下流には絞り弁(図示省略)を有し、この絞り
弁によって流体を絞ることでロータ120によって圧送
された流体にブレーキを付与するように構成されてい
る。これにより、吸入口113から吸入した流体を吐出
口114から吐出する過程で、ポンプ仕事の一部を流体
の内部エネルギーの上昇に変換し、その結果として流体
の温度を上昇させることができる。このように、上記構
成の流体加熱装置は、流体を移送する流体移送機能と、
流体を加熱する流体加熱機能の両方の機能を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記構成による流体加
熱技術は、簡単な構成において、流体を移送する流体移
送機能と、流体を加熱する流体加熱機能の両方の機能を
もたらすことができるという点において極めて有効であ
る。ところが、上記構成の流体加熱装置において、より
合理的に流体を加熱するために、ポンプ110自体の構
造を更に工夫した流体加熱技術は確立していなかった。
そこで、本発明者らは、流体の加熱を考慮したポンプ構
造についての技術を確立することができれば、合理的に
流体を加熱することができる等のメリットが大きいと考
え、この種のポンプの構造に着目し、ポンプを構成する
各部材の形状等が流体の加熱に与える影響について鋭意
検討した。その結果、本発明者らは、ロータ120のブ
レード間に形成される溝部123の形状と、流体の温度
上昇にともなう発熱量との間に相関関係があり、溝部1
23を流体の発熱量を考慮した好適な形状に構成するこ
とで、流体の高い発熱効果を得ることができることを見
出す事に成功した。そこで本発明は、タービンポンプ型
の流体加熱装置において、流体の高い発熱効果を得るこ
とができる合理的な流体加熱技術を提供することを課題
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の流体加熱用ロータは、請求項1〜5に記載
の通りに構成され、また、該ロータを備えた流体加熱装
置は、請求項6に記載の通りに構成されている。また、
本発明の流体加熱方法は、請求項7に記載の通りであ
る。なお、本発明では、流体加熱装置を構成するロータ
の形状に着目し、ロータの羽根部材間に形成される溝部
を好適な形状に構成することで、流体の高い発熱効果を
得ることができる技術を実現するものである。ここで、
各請求項及び発明の詳細な説明に記載した用語について
は、特に限定的要件を加えない限り以下のように解釈す
る。 (1)「流体」には、減熱剤(冷却水や潤滑油等)又は
作動油のみならず熱伝導可能な各種の流体が含まれる。
【0006】請求項1に記載の流体加熱用ロータにおい
て、羽根部材間の溝部構成面の外周端における溝高さ
は、溝部構成面の内周端における溝高さよりも低く設定
されている。そして、吐出側が絞られた流体の流通経路
内においてロータ本体を回転させることによって、流体
の内部エネルギーが高められ、該流体が加熱される。な
お、本発明者らは、溝部構成面の形状を種々変更した際
の、例えば冷却液(エンジンクーラント)の発熱量変化
を測定する試験を行い、その試験の結果、羽根部材間の
溝部構成面の外周端における溝高さを、溝部構成面の内
周端における溝高さよりも低く設定することで、冷却液
の比較的高い発熱効果が得られることを確認することが
できた。従って、請求項1に記載の流体加熱用ロータに
よれば、羽根部材間の溝部構成面の外周端における溝高
さを、溝部構成面の内周端における溝高さよりも低く設
定しているため、流体を効率よく加熱することができ、
流体の高い発熱効果を得ることができる。なお、本発明
でいう「羽根部材間」とは、ロータ本体の周面に立設す
る羽根部材と羽根部材との間であって、これら羽根部材
とロータ本体とで囲まれる箇所をいう。
【0007】また、本発明者らは、上記試験において、
溝部構成面の外周端と内周端との間に、溝高さの最も低
い最下点を形成させることによって、冷却液の更に高い
発熱効果が得られることを確認することができた。従っ
て、請求項2に記載の流体加熱用ロータによれば、溝部
構成面の外周端と内周端との間に、溝高さの最下点を設
けることで、流体の更に高い発熱効果を得ることができ
る。
【0008】また、本発明者らは、上記試験において、
溝部構成面を曲面状に形成することで、冷却液の最も高
い発熱効果が得られることを確認することができた。従
って、請求項3に記載の流体加熱用ロータによれば、溝
部構成面を外周端から内周端に渡って曲面状に形成する
ことで、流体の更に高い発熱効果を得ることができる。
【0009】また、請求項4に記載の流体加熱用ロータ
は、ロータ本体の両側面に羽根部材および溝部が設けら
れている。これにより、例えば、ロータ本体の片面側に
羽根部材を設ける場合に比して、コンパクトな構成によ
って所定の流体加熱能力を有する流体加熱用ロータを実
現することができる。
【0010】また、請求項5に記載の流体加熱用ロータ
において、ロータ本体の周面に設けられた羽根部材はロ
ータ本体の回転中心側から放射状に延びる形状に形成さ
れている。これにより、羽根部材の形状は例えば四角形
状の板片となり、したがって羽根部材の加工が容易であ
る。
【0011】請求項6に記載の流体加熱装置において、
ハウジングの吸入口から吸入した流体内で流体加熱用ロ
ータを回転させ、また流体絞り手段によって流体の吐出
側を絞ることで、該流体が加熱される。そして、流体加
熱用ロータにおける溝部構成面は、流体の高い発熱効果
を得ることができる形状に形成されている。これによ
り、簡単な構成によって流体の高い発熱効果を得ること
ができる流体加熱装置を実現することができる。
【0012】請求項7に記載の流体加熱方法において、
ハウジング内に収容されたロータを回転させる際に、流
体の吐出側を絞ることで、吸入した流体の内部エネルギ
ーを高め、該流体を加熱する。そして、溝部構成面の外
周端における溝高さを、溝部構成面の内周端における溝
高さよりも低くなるように設定する。なお、本発明者ら
は、溝部構成面の形状を種々変更した際の、例えば冷却
液(エンジンクーラント)の発熱量変化を測定する試験
を行い、その試験の結果、羽根部材間の溝部構成面の外
周端における溝高さを、溝部構成面の内周端における溝
高さよりも低く設定することで、冷却液の比較的高い発
熱効果が得られることを確認することができた。従っ
て、請求項7に記載の流体加熱方法によれば、羽根部材
間の溝部構成面の外周端における溝高さを、溝部構成面
の内周端における溝高さよりも低く設定しているため、
流体を効率よく加熱することができ、流体の高い発熱効
果を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の流体加熱装置の
構成を図1〜図4を用いて説明する。ここで、図1は車
両用空調システムにおける冷却液循環回路の概略構成を
示す図である。図2は本発明の第1実施の形態の流体加
熱装置における加熱用ポンプの横断面図である。また、
図3は図2中のIII−III線断面矢視図である。ま
た、図4は図3中のロータの部分拡大図である。
【0014】図1に示すように、車両のエンジンEは、
ウォータジャケット50と、そのジャケット50へ冷却
液(エンジンクーラント)を圧送するウォータポンプ5
2とを備えている。冷却液は、例えば水とエチレングリ
コール等とからなる不凍液である。この冷却液の循環回
路は、エンジンEの他に、ラジエータ6、サーモスタッ
ト弁7、ヒータコア8、電磁バルブ8a、逆止弁9およ
び流体加熱装置H、並びに、それらをつなぐ複数の配管
1〜5によって構成されている。これら配管は、ウォー
タジャケット50の下流側にあたる三つの配管1,2,
3と、ウォータジャケット50の上流側にあたる二つの
配管4,5とに大別される。配管4は、ラジエータ6お
よびサーモスタット弁7を経由してウォータポンプ52
に戻る流入側の径路を構成する。配管5は、電磁バルブ
8aおよびヒータコア8を経由してウォータポンプ52
に戻る流入側の径路を構成する。配管1は、ウォータジ
ャケット50からサーモスタット弁7に至る流入側の径
路を構成する。つまりサーモスタット弁7は、配管1と
配管4との分岐点に設けられている。配管2は、ウォー
タジャケット50を逆止弁9を経由して両配管4,5に
つなぐ流出側の径路を構成する。配管2および3は、ウ
ォータジャケット50と配管4,5との間において並列
関係にある。
【0015】ウォータポンプ52は、エンジンEのクラ
ンク軸(出力軸)にVベルト等を介して作動連結されて
おり、エンジンEの駆動力を利用して作動する。ウォー
タジャケット50の入口近傍に配設されたウォータポン
プ52は、配管1,4,5を経由して帰還する冷却液を
ウォータジャケット50内へ圧送する。この圧送力こそ
が冷却液が循環回路を流通する際の主たる駆動力とな
る。
【0016】ラジエータ6は、冷却液から外気への放熱
用熱交換器として機能する。サーモスタット弁7は、配
管1または4を経由してエンジンEから流れてきた冷却
液の温度を検出し、その検出温度に応じて配管1および
4のいずれか一方をウォータポンプ52に連通させる。
つまりサーモスタット弁7での検出温度が設定温度(例
えば80℃)未満の場合には、配管1をウォータポンプ
52に接続して冷却液の循環回路を短絡させ、エンジン
廃熱による冷却液の昇温を図る。他方、サーモスタット
弁7での検出温度が設定温度以上の場合には、配管4を
ウォータポンプ52に接続することで配管1経由の回路
短絡を中止して冷却液の降温を図る。なお、ラジエータ
6、サーモスタット弁7および配管4は、その他の回路
要素および配管とともに冷却液を選択的に冷却するため
のエンジン冷却回路を構成する。
【0017】ヒータコア8は、配管5を流れる冷却液の
熱量を利用して車室内の空気を暖める暖房用熱交換器と
して機能する。電磁バルブ8aは、車両用空調システム
の冷暖房の状況に応じてエンジンEからヒータコア8へ
冷却液の供給および遮断を制御するON/OFF弁(単
純開閉弁)である。尚、ヒータコア8、電磁バルブ8a
および配管5は、その他の回路要素および配管ととも
に、車両用空調システムの暖房回路を構成する。
【0018】逆止弁9は、ウォータジャケット50から
配管4および5に向かう流出方向の流れのみを許容す
る。逆止弁9は主に、サーモスタット弁7により配管1
経由の流出が止められた状況の下(つまりラジエータ6
の有効時)、配管3経由の流出量が大きく絞られたとき
に開弁し、配管4および/または5における冷却液の流
通を常時確保する。
【0019】タービンポンプ型の流体加熱装置Hは、図
1に示すように、配管3に沿って直列に設けられた加熱
用ポンプ10と絞り弁40(本発明の流体絞り手段に対
応している)とによって構成されている。そして、両者
の協働により、ポンプ的機能と加熱装置的機能とのバラ
ンスをとりながら二つの能力を同時に(又は選択的に)
発揮することができる。
【0020】次に、加熱用ポンプ10の内部構造につい
て図2〜図4を参照しながら詳細に説明する。図2およ
び図3に示すように、加熱用ポンプ10は、ハウジング
11、このハウジング11内において図2中の矢印30
方向へ回転するロータ20(本発明における流体加熱用
ロータに対応している)等により構成されている。ハウ
ジング11には、本発明の流体としての冷却液を吸入す
る吸入口13、吸入した冷却液をロータ20を介して吐
出する吐出口14、また、吸入口13と吐出口14とを
仕切るストリッパ15が設けられている。このストリッ
パ15のロータ20に対応する位置は、ほぼ一様の厚み
Wを有する形状に形成されている。また、ハウジング1
1には、ロータ20を収容する箇所に略環状の作動室2
5が形成され、この作動室25は、吸入口13を介して
配管3の上流側に連結されるとともに、吐出口14を介
して配管3の下流部(または絞り弁40)に連結されて
いる。作動室25内には、一体化された駆動軸22およ
びロータ20が回転可能に配設されている。駆動軸22
の端部には、ハウジング11の外においてプーリ16が
固着され、このプーリ16はVベルト(図1参照)等を
介してエンジンEのクランク軸(出力軸)に作動連結さ
れている。なお、この作動室25が本発明における流通
経路に対応している。
【0021】ロータ20は、円板状に形成されたロータ
本体24を有し、ロータ本体24の両側面(周面)には
等間隔に配置された複数(本実施の形態では14個)の
ブレード21が立設されている。このブレード21は、
ロータ本体24の回転中心側から放射状に延びる四角形
状の板片(径方向の長さt)で、ブレードとブレードと
の間であって、これらブレードとロータ本体24とで囲
まれる箇所(本発明における羽根部材間に対応してい
る)には、ロータ本体24の両側面に凹状の溝部23が
形成されている。また、ブレード21は、1片のブレー
ド片によって、ロータ本体24の両面のブレード機能を
兼ねており、したがってブレード21の数が少なくてす
む。また、図4に示すように、溝部23を構成する溝部
構成面26は外周端26aから内周端26bに渡って曲
面状(略円弧状)に形成され、外周端26aにおける溝
高さt1は、内周端26bにおける溝高さt2よりも低
く(t1<t2)設定されている。すなわち、溝部23
の外周側はロータ本体24によって完全に遮へいされて
おらず、外周端26aにおける溝高さt1分だけが遮へ
いされている。また、溝部構成面26における外周端2
6aと内周端26bとの間に、溝高さの最も低い最下点
26cが形成されている。この溝部構成面26は、全て
の溝部23について同形状に形成されている。なお、ブ
レード21が本発明における羽根部材に対応している。
【0022】上記構成の加熱用ポンプ10において、エ
ンジンEの駆動力を利用して駆動軸22およびロータ2
0が回転することで、そのポンプ的作用により、吸入口
13から吸入された冷却液が作動室25内を巡って吐出
口14から吐出される。すなわち、ロータ20の回転に
よって、ロータ20と対向するハウジング11に形成さ
れる断面半円形状の溝部11aと、ロータ20の溝部2
3とで形成される領域に、図4中の矢印で示すような流
れ(二次渦流)が形成される。そして、各溝部に形成さ
れる流れと作動室25内の冷却液の主流との合流が繰り
返されることで、冷却液の圧力が徐々に増幅される。こ
の意味で加熱用ポンプ10は、前記ウォータポンプ52
と同様の流体移送機能を有し、ウォータポンプ52を補
助する補助ポンプとしての役目を果たし得る。なお、加
熱用ポンプ10が作動する際には、ハウジング11のス
トリッパ15とロータ20の溝部23とに間に隙間が形
成され、この隙間を介して相対的に高圧な吐出口14か
ら相対的に低圧な吸入口13に向けて冷却液の内部漏洩
(内部リーク)が生じ、これにより加熱用ポンプ10で
の発熱が促進される。
【0023】更に、加熱用ポンプ10は流体移送機能に
加え、流体加熱機能をも有する。すなわち、加熱用ポン
プ10は、例えば作動室25の内径とロータ20の外径
との差を微少化する等、冷却液の流通経路を構成する部
材または部位間に流通抵抗となる隙間を確保するように
構成されており、これによりロータ20の回転時には作
動室25の冷却液にポンプ仕事が付与され、冷却液の内
部エネルギーの高まりによる発熱を生じる。従って、プ
ーリ16から駆動軸22およびロータ20に付与される
動力は、ロータ20が冷却液の強制圧送のためになす仕
事と、動力損失の結果として生じる熱とに変換される。
また、加熱用ポンプ10の吐出口14の下流に設けられ
た絞り弁40の弁開度を絞り冷却液を流れにくくするこ
とで、ロータ20で圧送された冷却液にブレーキ力を付
与し、冷却液の発熱効果を高めることができる。従っ
て、加熱用ポンプ10によって冷却液を加熱することが
できる。
【0024】上記流体移送機能と上記流体加熱機能とは
互いに相反するため、絞り弁40による冷却液の絞り度
を大きくすると、冷却液をより高温に加熱することがで
きるが、この場合には冷却液の移送量は低下する。一
方、絞り弁40による冷却液の絞り度を小さくすると、
比較的多くの冷却液を移送することができるが、この場
合には冷却液の温度は上昇しにくくなる。
【0025】なお、溝部23を構成する溝部構成面26
の形状は、図4に示す以外に、例えば図5に示すように
形成することもできる。ここで、図5は他の実施の形態
のロータの部分断面図である。図5に示すように、溝部
23を構成する溝部構成面26は外周端26aから内周
端26bに渡って曲面状に形成され、外周端26aにお
ける溝高さt1は、内周端26bにおける溝高さt2よ
りも低く(t1<t2)設定されている。すなわち、溝
部23の外周側はロータ本体24によって完全に遮へい
されてはいない。また、図5では溝部構成面26におけ
る外周端26aが溝高さの最も低い最下点となるように
構成されている。
【0026】ところで、本発明者らは、ロータ20の溝
部構成面26の形状を変更することで、加熱用ポンプ1
0での発熱が変化することに着目し、溝部構成面26の
形状について鋭意検討した。その結果、本発明者らは、
ロータ20の回転速度と冷却液の温度上昇に伴う発熱量
Qとの間の相関関係は、溝部構成面26の形状によって
異なることを見出した。そして、本発明者らは、溝部構
成面26を、それぞれ図4、図5、図8に示す形状に構
成し、ロータ20の回転速度を変化させた際の冷却液の
発熱量Q(3パターン)の測定を繰り返す試験を行い、
図6に示すようなグラフを得た。ここで、図6は冷却液
の発熱量Q[kW]とロータ20の回転速度[r/mi
n]との相関を、溝部構成面の形状毎に示すグラフであ
る。なお、図6において、溝部構成面が図4に示す形状
の場合を○プロット、図5に示す形状の場合を□プロッ
ト、図8に示す形状の場合を△プロットとしている。
【0027】図6に示すように、冷却液の発熱量Qは、
ロータ20の回転速度の上昇に伴って高くなる。そし
て、3パターンの中で溝部構成面が図4に示す形状の場
合が最も冷却液の発熱効果が高く、溝部構成面が図4、
図5に示す形状のいずれの場合も、溝部構成面が図8に
示す形状の場合よりも冷却液の高い発熱効果を得ること
ができた。従って、溝部構成面26を図4や図5に示す
ような形状に形成することで、図8のように溝部の外周
側を完全に遮へいする場合に比して溝部における冷却水
の流れ(二次渦流)を円滑化することができる。
【0028】以上のように、本実施の形態によれば、溝
部23を構成する溝部構成面26を、図4や図5に示す
ような形状に形成することで、冷却液の比較的高い発熱
効果を得ることができる。また、本実施の形態によれ
ば、ロータ本体24の両側面にブレード21および溝部
23が設けられているため、例えば、ロータ本体24の
片面側にブレード21を設ける場合に比して、コンパク
トな構成によって所定の加熱能力を有するロータ20を
実現することができる。また、本実施の形態では、ロー
タ本体24に設けられたブレード21はロータ本体24
の回転中心側から放射状に延びる四角形状の板片である
ため、ブレード21の加工が容易である。
【0029】なお、本発明は上記の実施の形態のみに限
定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられ
る。例えば、上記実施の形態を応用した次の形態を実施
することもできる。以上の実施の形態では、溝部23を
構成する溝部構成面26を曲面状に形成する場合につい
て記載したが、外周端26aにおける溝高さt1が内周
端26bにおける溝高さt2よりも低くなっていれば、
溝部構成面26の形状は曲面に限定されず、必要に応じ
て種々変更可能である。また、以上の実施の形態では、
ブレード21をロータ本体24の両側面に設ける場合に
ついて記載したが、ブレード21をロータ本体24の片
側面のみに設けることもできる。また、以上の実施の形
態では、溝部構成面26は、全ての溝部23について同
形状に形成する場合について記載したが、ロータ本体2
4の片側面について各溝部構成面を異なる形状に形成す
ることもできる。また、ロータ本体24の片側面につい
ての各溝部構成面の形状は同じで、一方の片側面の溝部
構成面の形状が他方の片側面の溝部構成面の形状と異な
る(左右非対称)ように構成することもできる。また、
以上の実施の形態では、流体として水とエチレングリコ
ールからなる冷却液を用いる場合について記載したが、
この冷却液にかえて熱伝導可能な各種の流体を用いるこ
ともできる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
タービンポンプ型の流体加熱装置において、流体の高い
発熱効果を得ることができる合理的な流体加熱技術を実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用空調システムにおける冷却液循環回路の
概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態の流体加熱装置における
加熱用ポンプの横断面図である。
【図3】図2中のIII−III線断面矢視図である。
【図4】図3中のロータの部分拡大図である。
【図5】他の実施の形態のロータの部分断面図である。
【図6】冷却液の発熱量Q[kW]とロータ20の回転
速度[r/min]との相関を、溝部構成面の形状毎に
示すグラフである。
【図7】従来の流体加熱装置におけるポンプの横断面図
である。
【図8】図7中のロータの部分断面図である。
【符号の説明】
10…加熱用ポンプ 11…ハウジング 13…吸入口 14…吐出口 15…ストリッパ 20…ロータ 21…ブレード 23…溝部 24…ロータ本体 26…溝部構成面、26a…外周端、26b…内周端 40…絞り弁 E…エンジン H…流体加熱装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータ本体と、該ロータ本体の周面に立
    設する複数の羽根部材と、該羽根部材間に形成される溝
    部とを有し、 吐出側が絞られた流体の流通経路内において前記ロータ
    本体を回転させることで、該流体を加熱する流体加熱用
    ロータであって、 前記溝部を構成する溝部構成面の外周端における溝高さ
    は、前記溝部構成面の内周端における溝高さよりも低く
    なるように構成されていることを特徴とする流体加熱用
    ロータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の流体加熱用ロータであ
    って、 前記外周端と前記内周端との間に、前記溝部構成面にお
    ける溝高さの最下点が形成されていることを特徴とする
    流体加熱用ロータ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の流体加熱用ロ
    ータであって、 前記溝部構成面は前記外周端から前記内周端に渡って曲
    面状に形成されていることを特徴とする流体加熱用ロー
    タ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の流体加
    熱用ロータであって、 前記羽根部材は、前記ロータ本体の両側面に設けられて
    いることを特徴とする流体加熱用ロータ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の流体加
    熱用ロータであって、 前記羽根部材は、前記ロータ本体の回転中心側から放射
    状に延びる形状に形成されていることを特徴とする流体
    加熱用ロータ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の流体加
    熱用ロータを備えた流体加熱装置であって、 流体の吸入口および吐出口を有し前記流体加熱用ロータ
    を収容するハウジングと、前記流体の吐出側に設けられ
    た流体絞り手段とを有し、 吸入した流体内において前記流体加熱用ロータを回転さ
    せるとともに流体絞り手段によって流体の吐出側を絞る
    ことで、該流体を加熱するように構成されていることを
    特徴とする流体加熱装置。
  7. 【請求項7】 ロータ本体と、該ロータ本体の周面に立
    設する複数の羽根部材と、該羽根部材間に形成される溝
    部とを設け、該溝部を構成する溝部構成面の外周端にお
    ける溝高さを、前記溝部構成面の内周端における溝高さ
    よりも低くなるように設定し、 流体の流通経路内において前記ロータ本体を回転させ、
    流体の吐出側を絞り、該流体を加熱することを特徴とす
    る流体加熱方法。
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