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Gaia BH1

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Gaia BH1
星座 へびつかい座[1]
見かけの等級 (mv) 恒星:13.77(G等級)[注 1][2]
分類 主系列星ブラックホール
位置
元期:J2000
赤経 (RA, α)  17h 28m 41.0966126056s[3]
赤緯 (Dec, δ) −00° 34′ 51.523377959z″[3]
視線速度 (Rv) 23.03±2.63 km/s[3]
固有運動 (μ) 赤経: −7.70±0.020 ミリ秒/[2]
赤緯: −25.85±0.027 ミリ秒/年[2]
年周視差 (π) 2.09 ± 0.02ミリ秒[2]
(誤差1%)
距離 1560 ± 10 光年[注 2]
(478 ± 5 パーセク[注 2]
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 1.40±0.01 au[2]
離心率 (e) 0.451±0.005[2]
公転周期 (P) 185.59±0.05 [2]
軌道傾斜角 (i) 126.6°±0.4°[2]
近点引数 (ω) 12.8°±1.1°[2]
昇交点黄経 (Ω) 97.8°±1.0°[2]
物理的性質
半径 恒星:0.99±0.05 R[2]
質量 恒星:0.93±0.05 M[2]
ブラックホール:9.62±0.18 M[2]
表面重力 恒星:4.55±0.16 cgs[2]
自転速度 恒星:<3.5 km/s[2]
スペクトル分類 恒星:G[2]
光度 恒星:1.06±0.04 L[2]
表面温度 恒星:5850±50 K[2]
金属量[Fe/H] 恒星:−0.2±0.05[2]
他のカタログでの名称
Gaia BH1, Gaia DR3 4373465352415301632[2]
Template (ノート 解説) ■Project

Gaia BH1(Gaia DR3 4373465352415301632)とは、太陽系からへびつかい座の方向に約1,560 光年離れた位置に存在するG型主系列星恒星質量ブラックホールからなる連星系である。Gaia BH1は、2022年10月の時点でブラックホールの存在がほぼ確実であるとされる最も近い既知の恒星系であり、A0620-00がそれに続く[2]

恒星とブラックホールは、周期185.59日、軌道離心率0.45の軌道で互いに公転している。恒星は、約0.93太陽質量 (M)、約0.99太陽半径 (R) 、有効温度は約5,850 Kと、太陽に似た特徴を持つ。ブラックホールの質量は約9.62 Mとされる[2]。この質量から、ブラックホールのシュワルツシルト半径は約28 キロメートルとされる。

発見

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Gaia BH1の想像図。左下に太陽に似たG型主系列星、右上にブラックホールが描かれている。

Gaia BH1は、2022年にガイアによる観測によって発見され、視線速度も観測された。このブラックホールを発見した研究チームは、観測されたG型主系列星の運動がブラックホールの存在以外の天体物理学的シナリオで説明することができないことを示した。この連星系は、ブラックホールの証拠が恒星の質量や軌道の傾きに依存せず、質量移動の証拠がないという点で、LB-1HR 6819系で観測された「偽物のブラックホール(連星内の恒星の動きから周囲にブラックホールが存在すると見られたが実際には存在していなかったという事例)」とは異なるとしている[2]。発見チームはまた、別の天文学者チームによって報告されていた、ブラックホール候補が存在している可能性のある2番目の連星系として Gaia DR3 5870569352746779008 の発見も報告している[2][4]

ブラックホールは、わずかに異なるパラメータを発見した別のチームによっても独立して検出された[5]

脚注

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注釈

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  1. ^ ガイア計画の観測波長として用いられている可視光~近赤外線の波長帯における見かけの等級で一般的な視等級であるV等級とは異なるがおおむね近い値となる
  2. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

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  1. ^ Finding the constellation which contains given sky coordinates”. djm.cc (2 August 2008). 28 September 2022閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x El-Badry, Kareem; Rix, Hans-Walter; Quataert, Eliot; Howard, Andrew W; Isaacson, Howard; Fuller, Jim; Hawkins, Keith; Breivik, Katelyn et al. (2022-11-02). “A Sun-like star orbiting a black hole”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, Advance Access (Oxford University Press (OUP)). arXiv:2209.06833. Bibcode2022MNRAS.tmp.2933E. doi:10.1093/mnras/stac3140. ISSN 0035-8711. 
  3. ^ a b c Gaia Collaboration. “Gaia DR3 Part 1. Main source”. VizieR On-line Data Catalog: I/355/gaiadr3. Bibcode2022yCat.1355....0G. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ636b9b491072b3&-out.add=.&-source=I/355/gaiadr3&-c=262.17120727596%20-00.58109196267,eq=ICRS,rs=2&-out.orig=o. 
  4. ^ Tanikawa, Ataru; Hattori, Kohei; et al. (September 2022). "Search for a Black Hole Binary in Gaia DR3 Astrometric Binary Stars with Spectroscopic Data". arXiv:2209.05632 [astro-ph.SR]。
  5. ^ Chakrabarti, Sukanya; Simon, Joshua D.; et al. (October 2022). "A non-interacting Galactic black hole candidate in a binary system with a main-sequence star". arXiv:2210.05003 [astro-ph.GA]。

関連項目

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