尾上菊之助 (5代目)
ごだいめ おのえ きくのすけ 五代目 尾上菊之助 | |
屋号 | 音羽屋 |
---|---|
定紋 | 重ね扇に抱き柏 |
生年月日 | 1977年8月1日(47歳) |
本名 | 寺嶋 和康[1][2] |
襲名歴 | 1. 六代目 尾上丑之助 2. 五代目 尾上菊之助 |
出身地 | 日本・東京都 |
血液型 | B型 |
祖父 | 七代目尾上梅幸 |
父 | 七代目尾上菊五郎 |
母 | 富司純子 |
兄弟 | 寺島しのぶ(姉) |
妻 | 瓔子(二代目中村吉右衛門の四女) |
子 | 七代目尾上丑之助[3] 寺嶋知世 |
当たり役 | |
歌舞伎 『青砥稿花紅彩画』の弁天小僧菊之助 『摂州合邦辻』の玉手御前 新作歌舞伎 『NINAGAWA十二夜』の琵琶姫、獅子丸 演劇 『グリークス』の オレステス | |
主な作品 | |
ドラマ 『下町ロケット2』(伊丹大 役) 『グランメゾン東京』(丹後学 役) 『刑事アフター5』(主演/広橋航 役) | |
五代目 尾上菊之助(ごだいめ おのえ きくのすけ、1977年〈昭和52年〉8月1日[2] - )は、日本の俳優、歌舞伎役者。屋号は音羽屋。定紋は重ね扇に抱き柏、替紋は四つ輪。歌舞伎名跡「尾上菊之助」の当代。 本名は寺嶋 和康[2](てらしま かずやす)。青山学院大学中退[2]。公称身長173cm[4]。
来歴・人物
[編集]松濤幼稚園、青山学院初等部、青山学院中等部、青山学院高等部を経て青山学院大学文学部中退。
可憐な美貌と清潔な色気で女方も二枚目も魅力的に演じる。現代の歌舞伎を担う若手スターのひとり。また、歌舞伎以外にも蜷川幸雄の舞台などにも積極的に出演している。その縁で、2005年にシェイクスピアの戯曲『十二夜』を歌舞伎演目として蜷川に演出を依頼している(2007年に再演、2009年には英国ロンドンで公演)。
市川崑監督のリメイク版『犬神家の一族』(2006年公開)では犬神松子の長男・犬神佐清役で出演したが、犬神松子役は実母である富司純子が演じ、スクリーン上での親子共演となった。
父は歌舞伎役者の七代目尾上菊五郎、母は女優の富司純子、姉は女優の寺島しのぶ。
生後2か月の時徹子の部屋に母親と共に「出演」している。2009年12月7日に菊之助が単独で出演した際には「最年少ゲスト」と呼ばれた。
2013年2月、二代目中村吉右衛門の四女・瓔子(ようこ、30歳)と結婚し[5][6]、11月28日に第1子(長男)が誕生した[7]。2015年7月14日には第2子(長女)[8]、2017年9月4日には第3子(次女)が誕生[9]。
2019年5月3日、令和元年5月大歌舞伎『團菊祭』の「絵本丑若丸」に於いて長男が初舞台を踏み、自身の前名である尾上丑之助を七代目として襲名した[10]。
2025年5月、歌舞伎座五月大歌舞伎「京鹿子娘二人道成寺」の白拍子花子、「弁天娘女男白浪」の弁天小僧菊之助、六月大歌舞伎「菅原伝授手習鑑 寺子屋」の松王丸、「連獅子」の狂言師右近で八代目尾上菊五郎を襲名する予定。
年譜
[編集]- 1977年8月1日 - 東京都に生まれる[2]。
- 1984年2月 - 東京・歌舞伎座『絵本牛若丸』の牛若丸で六代目尾上丑之助を襲名し初舞台。
- 1996年3月 - 青山学院高等部卒業。翌月青山学院大学文学部へ入学(後に中退[2])。
- 1996年5月 - 歌舞伎座『弁天娘女男白浪』の弁天小僧ほかで五代目尾上菊之助を襲名。
- 2000年 - 歌舞伎座『源氏物語』で紫の上をつとめ大人気となる。七代目市川新之助(現・十三代目團十郎)、二代目尾上辰之助(現・四代目松緑)と「平成の三之助」と呼ばれ、新たな歌舞伎ブームを起こす。
- 2004年10月 - パリのシャイヨー宮劇場で十一代目市川海老蔵襲名披露に出演。
- 2005年 - シェイクスピアの戯曲『十二夜』の歌舞伎版を企画。演出には蜷川幸雄を迎え、『NINAGAWA十二夜』として公演、主役の琵琶姫(ヴァイオラ)、獅子丸(シザーリオ)をつとめる。
- 2008年11月 - 東京・新橋演舞場の花形歌舞伎夜の部『伽羅先代萩』通し狂言で通常は立役がつとめる乳人・政岡を戦後では最年少の31歳3ヶ月で初役[11]。
- 2009年3月 - ロンドンのバービカン・シアターで『NINAGAWA十二夜』公演[12]。
- 2010年5月 - 大阪・松竹座の團菊祭 昼の部で、祖父・七代目尾上梅幸、父・七代目尾上菊五郎が当り役としてきた『摂州合邦辻』の玉手御前を初役。
- 2010年12月 - 東京・日生劇場『摂州合邦辻』通し狂言で玉手御前をつとめる。
- 2016年3月 - 『中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露 三月大歌舞伎』にて七代目尾上菊五郎が体調不良により休演したため、初日から11日まで「鎌倉三代記」の三浦之助義村 役の代役を務める[13][14]。
受賞歴
[編集]- 歌舞伎・芸能活動
- 1985年 『京鹿子娘道成寺』の所化喜観坊で国立劇場特別賞
- 1987年 『実録先代萩』の千代松で国立劇場特別賞
- 1992年 歌舞伎座賞
- 1993年 『人情噺文七元結』の娘お久で国立劇場奨励賞
- 1996年 浅草芸能大賞新人賞・十三夜会奨励賞
- 1998年 『仮名手本忠臣蔵』「大序」の足利直義で松竹会長賞
- 1999年 『春輿鏡獅子』で松竹会長賞
- 2000年 『弁天娘女男白浪』の弁天小僧菊之助で松竹会長賞
- 2003年 第24回松尾芸能賞演劇賞・新人賞
- 2005年 『京鹿子娘二人道成寺』『児雷也豪傑譚話』『助六由縁江戸桜』ほかで読売演劇大賞杉村春子賞
- 2005年 『NINAGAWA十二夜』など歌舞伎の可能性を広げる活動で朝日舞台芸術賞寺山修司賞
- 2005年 重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる[15]。
- 2005年 芸術選奨新人賞
- 2011年 『摂州合邦辻』通し狂言で読売演劇大賞優秀男優賞
- 2023年 第44回松尾芸能賞優秀賞[16]
- 2023年 第73回芸術選奨文部科学大臣賞(演劇部門)[17][18]
- その他
主な出演作
[編集]歌舞伎の当り役
[編集]新作歌舞伎
[編集]- 『NINAGAWA十二夜』の琵琶姫/獅子丸
- 『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』の迦楼奈/シヴァ神
- 『風の谷のナウシカ』のナウシカ[注 1]
- 『ファイナルファンタジーX』のティーダ
その他の舞台
[編集]- 『ライル』(1990年) - ジョッシュ役
- 『グリークス』(2000年) - オレステス役
- 『疾風のごとく』(2002年) - 日野小太郎役
- 『若き日のゴッホ』(2003年) - フィンセント・ファン・ゴッホ役
- 『わが魂は輝く水なり』(2008年) - 斎藤五郎役
映画
[編集]- 『水の旅人 侍KIDS』(1993年) - 一寸法師役
- 『四十七人の刺客』(1994年) - 大石主税役
- 『犬神家の一族』(2006年) - 犬神佐清役
- シネマ歌舞伎『日高川入相花王』(2006年) - 人形遣い役
- シネマ歌舞伎『京鹿子娘二人道成寺』(2007年) - 白拍子花子役
- 『怪談』(2007年) - 新吉役
- 『ナルニア国物語/第2章: カスピアン王子の角笛』(2008年) - カスピアン王子役(吹き替え)
- 『THE CODE/暗号』(2009年) - 探偵507役
- 『ナルニア国物語/第3章: アスラン王と魔法の島』(2011年) - カスピアン王子役(吹き替え)[22]
- 『映画 イチケイのカラス』(2023年) - 三田村武晴 役[23]
テレビドラマ
[編集]- 大河ドラマ(NHK総合)
- 坂の上の雲(2009年 - 2011年、NHK総合) - 明治天皇 役[25]
- 鬼平犯科帳 THE FINAL(2016年12月2日・3日、フジテレビ) - 石動虎太郎 役 [26]
- オリガミの魔女と博士の四角い時間(2017年3月12日 - 、NHK教育) - オリガミの魔女 役(声の出演)[27]
- 下町ロケット2(2018年10月 - 12月、TBS) - 伊丹大 役[28]
- 下町ロケット 特別編(2019年1月2日)
- グランメゾン東京(2019年10月20日 - 12月29日、TBS) - 丹後学 役[29]
- スペシャルドラマ グランメゾン東京(2024年冬放送予定、TBS)[30]
- 刑事アフター5(2020年10月1日、テレビ朝日) - 主演・広橋航 役[31]
- 連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ(2021年11月1日 - 2022年4月8日、NHK総合) - 桃山剣之介、桃山団五郎 役(一人二役)[32]
- 家電侍スペシャル ストップ! 忠臣蔵(2023年1月4日、BS松竹東急) - 大石内蔵助良雄 役
- 探偵ロマンス(2023年1月21日 - 2月11日、NHK総合) - 住良木平吉 役[33]
CM
[編集]- ライオン 「ホワイト&ホワイトライオン」(1983年 - 1987年) ※両親・姉と出演
- ペリエ・ジャポン
- 日本総合信用
- ソニー
- ハウス食品
- アサヒビール「アサヒスーパードライ」
- ヤクルト「ヤクルト1000」
ナレーション
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “古典的で新しい冒険 尾上菊之助 - 歌舞伎 - 文化・芸能”. 朝日新聞 (2007年6月29日). 2012年3月3日閲覧。
- ^ a b c d e f 『読売年鑑2005 別冊.分野別人名録』(読売新聞東京本社,2005年3月13日発行,ISBN 4643050012)p.437より
- ^ “菊之助「カムカム」モモケン「朝ドラで知っていただけて良かった」”. デイリースポーツ online (2022年2月11日). 2022年2月11日閲覧。
- ^ 月刊演劇界発行『最新歌舞伎俳優名鑑』 ①2006年2月特別増刊 のP.174には 身長173cm・体重60kg・血液型B型/②2015年9月号特別付録 のP.28には 身長173cm・体重67kg・血液型B型 と各々掲載
- ^ “尾上菊之助が神田明神で挙式「最高におめでたい婚です」ファン500人が祝福”. マイナビニュース (2013年2月27日). 2017年2月5日閲覧。
- ^ “尾上菊之助:波野瓔子さんと神田明神で結婚式”. 毎日新聞デジタル. (2013年2月26日) 2021年12月29日閲覧。
- ^ “尾上菊之助、愛息誕生に歓喜 「和史」と命名”. ORICON NEWS (2013年11月29日). 2017年2月5日閲覧。
- ^ “尾上菊之助に第2子長女誕生”. ORICON NEWS (2015年7月17日). 2015年7月17日閲覧。
- ^ “尾上菊之助に第3子誕生!次女新ちゃんは父親似?”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2017年9月5日) 2017年9月5日閲覧。
- ^ “「令和の丑之助誕生です」尾上菊之助の長男、堂々の初舞台 歌舞伎座で7代目襲名”. スポーツ報知. 報知新聞社. (2019年5月3日) 2019年5月3日閲覧。
- ^ “<歌舞伎>尾上菊之助 31歳で大役『先代萩』乳人政岡 ひたすら耐えためる演技を”. 東京新聞 (2008年10月18日). 2008年12月21日閲覧。
- ^ “歌舞伎とシェークスピアの融合=「NINAGAWA十二夜」ロンドン公演”. 時事ドットコム (2009年3月24日). 2009年3月27日閲覧。
- ^ “尾上菊五郎が体調不良で歌舞伎座休演 今後は未定”. 日刊スポーツ. 日刊スポーツ新聞社 (2016年3月3日). 2016年3月3日閲覧。
- ^ “尾上菊五郎が舞台復帰 3日から休養、「胃潰瘍」と説明”. スポニチアネックス. スポーツニッポン新聞社 (2016年3月13日). 2016年3月14日閲覧。
- ^ “会員一覧 | 伝統歌舞伎保存会”. www.kabuki.or.jp. 2020年10月30日閲覧。
- ^ “第44回松尾芸能賞の大賞は市村正親、優秀賞に天海祐希・尾上菊之助ら”. ステージナタリー. ナターシャ (2023年2月13日). 2023年2月14日閲覧。
- ^ 令和4年度(第73回)芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞の決定について
- ^ “尾上菊之助さんに芸術選奨文部科学大臣賞”. 歌舞伎on the web (日本俳優協会及び伝統歌舞伎保存会). (2023年3月3日) 2023年3月31日閲覧。
- ^ “波瑠、W受賞の快挙 プライベートでの素顔は?<第46回ベストドレッサー賞>”. モデルプレス. (2017年11月29日) 2018年4月20日閲覧。
- ^ “尾上菊之助は左肘の一部の亀裂骨折「幸い、大事には至っておらず」”. サンスポ (産経デジタル). (2019年12月8日) 2021年10月19日閲覧。
- ^ “肘骨折の尾上菊之助が翌日に復帰、観客から大拍手”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2019年12月9日) 2021年10月19日閲覧。
- ^ “ナルニア国物語/第3章: アスラン王と魔法の島”. 金曜ロードSHOW!. 2016年7月16日閲覧。
- ^ “映画『イチケイのカラス』吉田羊・宮藤官九郎・津田健次郎・田中みな実ら出演”. ORICON NEWS (oricon ME). (2022年11月8日) 2022年11月8日閲覧。
- ^ “大河『西郷どん』新キャスト発表 錦戸亮、又吉直樹らが初出演”. ORICON NEWS. 株式会社oricon ME (2017年10月3日). 2017年10月3日閲覧。
- ^ “日本の命運決定!坂の上の雲御前会議撮影”. nikkansports.com (日刊スポーツ新聞社). (2009年8月31日) 2021年10月19日閲覧。
- ^ “尾上菊之助、義父・中村吉右衛門と映像初共演「しびれました」”. ORICON STYLE. (2016年9月2日) 2016年9月2日閲覧。
- ^ “滝藤賢一、Eテレドラマ「オリガミの魔女と博士の四角い時間」制作発表で大喜び”. サンスポ (産経デジタル). (2017年3月6日) 2021年10月19日閲覧。
- ^ “尾上菊之助『下町ロケット』新シリーズで社長役”. ORICON NEWS. オリコン (2018年9月13日). 2018年9月13日閲覧。
- ^ “キスマイ玉森、木村拓哉と初共演 日曜劇場キャストに尾上菊之助、及川光博、沢村一樹ら”. ORICON NEWS (oricon ME). (2019年8月19日) 2021年10月19日閲覧。
- ^ “木村拓哉主演「グランメゾン東京」完全新作SPドラマ放送、鈴木京香・玉森裕太ら再集結”. 映画ナタリー. ナターシャ (2024年3月13日). 2024年3月13日閲覧。
- ^ “尾上菊之助:ドラマ初主演で刑事役に初挑戦 残業ゼロでタンゴ習うニュータイプ刑事に”. まんたんウェブ (株式会社MANTAN). (2020年9月14日) 2021年10月19日閲覧。
- ^ “尾上菊之助がNHK朝ドラ初出演「カムカムエヴリバディ」で銀幕スター役”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2021年10月19日) 2021年10月19日閲覧。
- ^ “濱田岳が江戸川乱歩に 『カムカム』チーム集結のドラマ『探偵ロマンス』2023年1月放送”. Real Sound映画部 (blueprint). (2022年11月1日) 2022年11月1日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 音羽屋 尾上菊五郎・菊之助 公式サイト - 2023年10月、菊五郎・菊之助両名の名前により「音羽屋Official Home Pageは休止いたします。長きにわたりご覧いただきありがとうございました。」の言葉を残し、公式サイトが閉鎖された(2023年10月30日閲覧にて確認)。
- 歌舞伎俳優名鑑 現在の俳優篇 / 尾上菊之助(五代目) - 歌舞伎 on the web
- 尾上菊之助 (@onoekikunosuke) - Instagram
- 尾上菊之助 - NHK人物録
- 尾上菊之助 - 日本タレント名鑑