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乗鞍スカイライン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
乗鞍岳の大黒岳から望む乗鞍スカイライン
岐阜県道5号標識

乗鞍スカイライン(のりくらスカイライン)は、岐阜県高山市丹生川町平湯峠乗鞍岳畳平を結ぶ山岳観光道路である[1]岐阜県道5号乗鞍公園線の一部となっている。11月1日から5月14日までは積雪のため通行止め[2]、開通期間はマイカー規制が行われており一般車両は通行できない[2]

概要

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乗鞍スカイライン
乗鞍鶴ヶ池駐車場と恵比寿岳
夏期の逆側
猫岳付近は雪の壁ができる

標高1,684 mの平湯峠を起点とし、標高2,702 mの畳平を終点とする[3]、岐阜県東部の乗鞍岳に向かう延長14.4 kmの山岳観光道路であり[1][4][5]、かつては岐阜県道路公社が管理する有料道路であったが、2002年平成14年)10月31日に無料開放された[6]

日本一の高度を走ることのできる雲上のスカイラインとして名高く、景観も格別で、夏季は観光客のマイカーで溢れかえり渋滞が続いていた[7]。付近は高山植物の宝庫でもあることから、マイカーによる著しい排気ガスによる自然破壊の進行が問題となっており[5]、さらにはマイカー客による高山植物の摘み取り行為やゴミの持ち込み行為[8]鳥類など動物への威嚇行為(マイカー客が連れ込んだペットによる威嚇も含む)などの問題もあり、自然保護が叫ばれていた。

この渋滞解消と自然保護の観点から、乗鞍岳は中部山岳国立公園の特別保護区域に指定されて規制が厳しくなったため、2003年(平成15年)5月15日からは(実質的には無料開放されたと同時に)通年マイカー規制となり[3][5][8]、一般車両は通年走行することができなくなった。

沿革

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路線状況

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償還を終えた2002年度(平成14年)の利用台数は約22万6千台、無料化となった2003年度(平成15年度)の利用台数は約23万9千台となった[4]

冬季閉鎖があり、10月下旬から5月中旬まで(運用上は11月1日から5月14日まで)の期間は通行することはできない[2][6]。マイカー規制のため、一般車両の乗り入れは禁止されており、バスタクシー自転車のみ通行可能である[5][6]。このため、通行する自動車は皆無に近い状況であるが、マウンテンサイクリングには絶好の道路であり、自転車で往来する自転車ヒルクライマーがよく見られる[6]

有料道路時代は長らく自転車の通行は禁止されていたが、2003年(平成15年)からは自転車の通行が許可された。2004年(平成16年)からは乗鞍スカイライン・サイクルヒルクライムサイクルロードレース)が開催されている。

規制

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いずれも全線(平湯峠ゲート・鶴ヶ池ゲート間)で規制される。

山頂駐車場

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終点には山頂駐車場(乗鞍鶴ヶ池駐車場または畳平駐車場)がある。乗鞍スカイラインおよび乗鞍エコーラインがマイカー規制されている現在、これらを通行可能な車両が駐車する際には駐車料金と合わせて乗鞍環境保全税が徴収される(緊急車両は除く)。

  • 大型バス:10,000円
  • マイクロバス:4,500円
  • タクシー:2,000円

路線バス

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運行ダイヤ・運賃の詳細は、濃飛バスの公式サイトを参照。

乗鞍スカイラインへは、濃飛乗合自動車(濃飛バス)の路線バスが連絡している。かつてはアルピコ交通との共同運行となっていたが[14]、現在は濃飛バスの単独運行となっている。平湯バスターミナルからほうのき平駐車場(マイカーはここに駐車することになる)を経由して畳平までを結び[5]、片道約1時間10分(ほうのき平からは約45分)で運行されている[3][5][6]

通行料金(有料道路時代)

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2002年(平成14年)当時、普通車の通行料金は1,570円[4]、二輪車は1,100円であった。

地理

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最高点の標高はおよそ2,710メートル。終点畳平駐車場の標高は2,702メートル[2][3][5]。なお、乗鞍岳畳平地域の公共交通機関の車両が走行する最高地点は乗鞍スカイラインではなく乗鞍エコーラインの長野県・岐阜県県境地点の標高2,716メートル地点で[14][15]、この地点が車の走る道路としての日本最高地点であり[7]、日本の公共交通機関車両が到達できる最高地点でもある。桔梗ヶ原付近は長野県域を通行するため、全線が岐阜県に属しているわけではない(県道については岐阜県道5号乗鞍公園線を参照)。

森林限界を超えており、背の高い木は生えておらず、雲の上の景色を見ることができる[6]。山々のピークを避けながら緩やかなカーブが続くワインディングロードで、遠方には穂高連峰を望むことができる[6]

魔王岳より 背後に穂高連峰

接続道路

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乗鞍スカイラインの区間と接続している道路は以下の通り。

脚注

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  1. ^ a b c d “乗鞍スカイライン、1年ぶり営業再開…豪雨災害から復旧”. 読売新聞オンライン. (2021年7月23日). オリジナルの2021年7月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210723033223/https://www.yomiuri.co.jp/national/20210723-OYT1T50084/ 2022年6月10日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f g h 岐阜県観光公式サイト「岐阜の旅ガイド」 乗鞍岳・乗鞍スカイライン - 岐阜県観光連盟
  3. ^ a b c d e 平湯温泉・ほおのき平から乗鞍岳へ - 濃飛バス公式サイト
  4. ^ a b c d e f 県税の概要 検討結果(乗鞍スカイライン)”. 岐阜県税務課 (2015年8月27日). 2022年6月10日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h “【日本再発見 たびを楽しむ】バスで走れる日本一高い場所にある道路~乗鞍スカイライン(岐阜県高山市)”. 産経ニュース. (2018年7月16日). https://www.sankei.com/article/20180716-2BUJAVBGLRNTJGNWSNSDMQZN7U/ 2022年6月10日閲覧。 
  6. ^ a b c d e f g 小川・栗栖・田宮 2016, p. 55.
  7. ^ a b 浅井建爾 2001, p. 48.
  8. ^ a b c 乗鞍スカイラインで電気自動車の乗り入れ実験開始-モニターを一般募集”. 飛騨経済新聞 (2012年8月17日). 2022年6月10日閲覧。
  9. ^ a b c d 岐阜県道路公社 37年の歩み” (PDF). 岐阜県道路公社. p. 12 (2012年7月). 2014年3月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月10日閲覧。
  10. ^ 台風余波・豪雨や竜巻 土石流、民家を直撃『朝日新聞』1979年(昭和54年)8月23日朝刊 3版 23面
  11. ^ 「乗鞍スカイライン」復旧に伴うバスの運行について”. 岐阜県中部山岳国立公園活性化推進協議会 (2021年7月7日). 2021年9月27日閲覧。
  12. ^ 復旧の乗鞍スカイライン、再び路面崩落 全面通行止めに”. 毎日新聞 (2022年9月9日). 2022年9月11日閲覧。
  13. ^ 乗鞍スカイラインが2年ぶりに開通 路面崩落から復旧、一部片側交互通行で」『中日新聞』2024年8月20日。2024年8月20日閲覧。
  14. ^ a b 乗鞍岳、「山頂」より高い「標高2716m」とは? 「日本一高い」バス停がふたつのワケ”. 乗りものニュース (2017年8月27日). 2022年6月10日閲覧。
  15. ^ “日本一高いバス停 乗鞍岳線に「標高2716メートル」”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(信濃毎日新聞). (2017年7月4日). https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000011276 2022年6月10日閲覧。 

参考文献

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  • 浅井建爾『道と路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2001年11月10日。ISBN 4-534-03315-X 
  • 小川秀夫、栗栖国安、田宮徹 著「乗鞍スカイライン」、中村純一編 編『ニッポン絶景ロード100』枻出版社〈エイムック〉、2016年4月10日、54-55頁。ISBN 978-4-7779-3980-0 

関連項目

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外部リンク

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