コンテンツにスキップ

フラネオール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フラネオール
Furaneol[1]
識別情報
略称 DMHF
CAS登録番号 3658-77-3 チェック
PubChem 19309
ChemSpider 18218 チェック
UNII 20PI8YZP7A チェック
特性
化学式 C6H8O3
モル質量 128.13 g mol−1
外観 無色の結晶[2]
匂い 果実香、あるいはカラメル香[2]
嗅覚閾値 0.04ppm[2]
融点

73-77 ℃

への溶解度 微溶
溶媒への溶解度 アルコール類に混和[2]
危険性
引火点 89℃[2]
半数致死量 LD50 1608 mg/kg(マウス、経口)[3]
関連する物質
関連するフラノン 2-フラノン
ソトロン
関連物質 C6H8O3を参照
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

フラネオール: Furaneol)は、化学式C6H8O3で表される有機化合物IUPAC命名法では4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルl-3-フラノンであり、フラネオールの名称はフィルメニッヒ英語版社の商標である[4]ストロベリーフラノンの別名を持ち、天然にはイチゴ[5]パイナップル[6]に含まれ、ソバ[7]トマト[8]の香り成分としても重要である。産業的には、イチゴなどの香りの食品用香料[4]香水原料として使用される[9]

性質

[編集]

ジャムあるいは調理したパイナップルを思わせる無色の結晶で、マルトースに似た甘味を有する。常温では不安定で、徐々に分解する。天然物からは1967年に、イチゴおよびパイナップルから発見された。その後、ラズベリーコーヒーポップコーン、焙煎したアーモンド醤油ローストビーフからも見出されている。パイナップル、イチゴ、ラズベリーやシュガータイプのフレーバーとして、最終製品時点で5.0~10.0ppmほど使用される[2]

立体異性体

[編集]

(R)-(+)-フラネオール と (S)-(−)-フラネオールのエナンチオマーがあり、 香りを有するのは(R)体である[10]

フラネオールの立体異性体
(S)-Furaneol
(S)-(−)-フラネオール
(R)-Furaneol
(R)-(+)-フラネオール

製法

[編集]

糖の誘導体からの製法や科学的合成法が研究されているが、工業的な製造法は確立していない。当初はL-ラムノースアマドリ転位で作られたが、原料の入手は容易ではなかった。次いで、他の6-デオキシヘキソースD-キノボースL-フコースを原料とする研究が行われた。このほか、3-ヘキシン-2,5-ジオール5-メチル-3,4-ジヒドロキシフル酸エチルwikidataを出発点とした化学的合成法も研究されている[2]

脚注

[編集]
  1. ^ 4-Hydroxy-2,5-dimethyl-3(2H)-furanone シグマアルドリッチ
  2. ^ a b c d e f g (合成香料編集委員会 2016, pp. 353–355)
  3. ^ 2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン”. 東京化成工業 (2022年3月19日). 2023年12月3日閲覧。
  4. ^ a b 持続性粉末香料-特開2001-152178(j-platpat)
  5. ^ Ulrich, D. et al. 1995. Analysis of strawberry flavour - Quantification of the volatile components of varieties of cultivated and wild strawberries. Z. Lebensm. UNters. Forsch. 200:217-220
  6. ^ Tokitomo Y, Steinhaus M, Büttner A, Schieberle P (2005). “Odor-active constituents in fresh pineapple (Ananas comosus [L.] Merr.) by quantitative and sensory evaluation”. Biosci. Biotechnol. Biochem. 69 (7): 1323–30. doi:10.1271/bbb.69.1323. PMID 16041138. 
  7. ^ Janes D, Kantar D, Kreft S, Prosen H (2008). “Identification of buckwheat (Fagopyrum esculentum Moench) aroma compounds with GC-MS”. Food Chemistry 112: 120. doi:10.1016/j.foodchem.2008.05.048. 
  8. ^ Buttery, R.G. et al. 2001. Analysis of furaneol in tomato using dynamic headspace sampling with sodium sulfate. J. Agric. Food Chem. 49:4349-4351
  9. ^ Strawberry furanone at thegoodscentscompany.com
  10. ^ Leffingwell,:John C. Chirality & Odour Perception – The Furaneols.

参考文献

[編集]