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ハートに火をつけて (アルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ハートに火をつけて』
ドアーズスタジオ・アルバム
リリース
録音 1966年
ジャンル ロック
時間
レーベル エレクトラ・レコード
プロデュース ポール・A・ロスチャイルド
専門評論家によるレビュー
Allmusic link
チャート最高順位
  • 2位(アメリカ[2]
ドアーズ アルバム 年表
ハートに火をつけて
(1967年)
まぼろしの世界
(1967年)
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ハートに火をつけて(原題:The Doors)は、アメリカロックバンドドアーズのデビュー・アルバム

収録曲の「ハートに火をつけて」が、ファンの強い要望によってシングル・カットされ、ビルボード・チャートで1位を記録した。「ジ・エンド」は、映画『地獄の黙示録』にも使用された。

概要

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後にロック文学とも形容される革新的で難解な詩と、トリップしたような音楽の組み合わせが特徴的なアルバムである。歌詞自体は多くの評論家に特徴のなさを指摘されるも、音楽や容姿などはベトナム戦時下当時のヒッピー層を中心に熱狂的に受け入れられた。その結果、反戦・反体制の象徴とされ、政治的な発言を求められるようになったバンドは、遂にアメリカ国内にて保守層の攻撃対象とされた。

やがてジム・モリソンの死を経て、90年代に彼らの映画が制作され、歌詞が見直されるようになったことでドアーズは普遍的な評価を得るに至った。デビューまでにモリソンが長年にわたり書き続けた詩や、バンドが毎晩クラブやバーに出演しつつ磨いた演奏技術、政治や薬物、酒などの影響下になかったため、本作は彼らのデビュー作にして最高傑作であると評される。

ジョン・デンスモアは後の著書で、本作の録音にあたり使用したスタジオのレコーダーのトラック数が少なかったため、ドラムとベース及びギターは同一トラックに録音したと語っている。

ローリング・ストーン』誌が選んだ「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」と「オールタイム・ベスト・デビュー・アルバム100」に於いて、それぞれ42位[3]と34位[4]にランクイン。

曲目

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  1. ブレイク・オン・スルー - Break on Through (To the Other Side)
    1曲目にして、バンドの方向性を示した曲であるとされる。ここで"other side"というのは現実ではない世界。モリソン曰く"sub consciousness"の側である。発表当時は"she gets high"の"high"が問題ありとして消去されていたが、1999年の『コンプリート・スタジオ・レコーディングス』で"high"の入ったバージョンが発表された。以後はこのバージョンがCDにおいて標準仕様となり、インターネット最大手の音楽配信サイトのiTunes StoreにおけるNew Stereo Mixもこのバージョンが配信されている。
  2. ソウル・キッチン - Soul Kitchen
    ライブでは、歌詞の一部を変えて歌われる事が多い[5]
  3. 水晶の舟 - Crystal Ships
    刹那的な恋愛を描いた作品。デンスモアは、バンドそのものを描いた曲であると自伝の中で発言している。
  4. 20世紀の狐 - Twentieth Century Fox
    狐とは、英語で美人美男子のこと。
  5. アラバマ・ソング - Whisky bar(Alabama Song)
    ブロードウェイミュージカルから引用した、とメンバーが発言。元は、ベルトルト・ブレヒトクルト・ヴァイルのドイツ・オペラ『マハゴニー市の興亡英語版』(1930年)からのナンバー。英語で歌われている。
  6. ハートに火をつけて - Light My Fire
    ドアーズ最大のヒット作。ギタリストのロビー・クリーガーによる作品で、歌詞も元々彼が書いたものをジムが書き換えたとされる(ドアーズの曲でこのようにして作られた曲はあまり多くない)。間奏が3分以上もあり、マンザレクとロビーのインタープレイがあるが、シングルではカットされた。40周年バージョン(2007年)はピッチが高くなっており、6'57"で終わる[6]
  7. バック・ドア・マン - Back Door Man
    ウィリー・ディクスンのカバー。ライブでは「アラバマ・ソング」とのメドレーで取り上げられる事が多かった。
  8. 君を見つめて - I Looked at You
  9. エンド・オブ・ザ・ナイト - End of the Night
  10. チャンスはつかめ - Take it as it Comes
  11. ジ・エンド - The End
    問題作であり、ドアーズの代名詞とされる。エディプス王の有名な逸話をもとにしているとされており、特に曲後半の歌詞については、未だに議論を呼んでいる。レコーディングでは、ジムやバンドのテンションが上がりすぎてしまい、ひとつのテイクで満足できる演奏が得られなかった為、複数のテイクを編集して1曲にまとめており、よく聴くと途中で編集箇所が分かる。ライブにおいては、この曲が一つのクライマックスであり、演奏を始める前から、ジムが観客の緊張を高める様に煽り立て、やがて静かに演奏が始まっていった。間奏のシャッフル部分では、ジムが回りながら踊り、最後に倒れこむ事が度々あり、それを楽しみにコンサートにやってきていた者も多かったという。これは演出ともいわれるが、実際にシャーマン的な陶酔感で本人が気絶してしまったこともあったという。

40周年バージョン(2007年)ボーナス・トラック

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  1. 月光のドライブ - Moonlight Drive (recorded 1966, version 1)
  2. 月光のドライブ - Moonlight Drive (recorded 1966, version 2)
  3. インディアン・サマー - Indian Summer (recorded August 19, 1966, vocal, this track would later appear on the album Morrison Hotel)

脚注

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  1. ^ The Doors – Album Details”. Thedoors.com. September 7, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。July 20, 2020閲覧。
  2. ^ The Doors - The Doors : Awards : AllMusic
  3. ^ The Doors, 'The Doors' - 500 Greatest Albums of All Time | Rolling Stone - 2014年10月5日閲覧
  4. ^ 'The Doors' - The 100 Best Debut Albums of All Time | Rolling Stone
  5. ^ 「Well the clock says its time to close now(時計は(酒場の)閉店を告げている」という箇所を、「Well the cops says its time to close now(警官は(コンサートの)終了を告げている)」と歌った。当時、警官とのトラブルが多かったモリソンの身辺を反映している
  6. ^ The Very Best Of The Doors / ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ザ・ドアーズ : 40周年記念ミックス”. WARNER MUSIC JAPAN. 2016年7月9日閲覧。

外部リンク

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