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スペースワン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スペースワン株式会社
SPACE ONE CO., LTD
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
105-0011
東京都港区芝公園3-5-10
北緯35度39分35秒 東経139度44分41.6秒 / 北緯35.65972度 東経139.744889度 / 35.65972; 139.744889座標: 北緯35度39分35秒 東経139度44分41.6秒 / 北緯35.65972度 東経139.744889度 / 35.65972; 139.744889
設立 2018年7月
業種 商業宇宙輸送サービス
法人番号 8010401132607
事業内容 小型衛星用の宇宙輸送システムの開発
宇宙輸送サービスの事業化 他
代表者 豊田正和
資本金 71億円(2022年12月末時点)
決算期 12月
主要株主
外部リンク https://www.space-one.co.jp/
テンプレートを表示

スペースワン株式会社: SPACE ONE CO., LTD.)は、東京都港区に本社を置く、宇宙関連企業。専用の射場から人工衛星搭載ロケットの打ち上げを行う日本初の民間企業[1]

概要

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人工衛星を搭載する小型ロケットの開発から打上げまでを一貫して担う企業として、2018年7月にキヤノン電子清水建設IHIエアロスペース日本政策投資銀行の4社の出資によって発足。[2][3]

和歌山県串本町の自社運営のロケット打上げ射場「スペースポート紀伊」を整備し、打ち上げ事業を実施する。固体ロケットの特性を活かした高い即応性、低価格、高信頼性、機動性ある民間射場を強みとした小型衛星用の商業宇宙輸送サービスの事業化を目指す[4][5][6][7][8][1]

スペースポート紀伊は、日本国内のロケット発射場としては3カ所目となる。これまでJAXA鹿児島県に所有する「種子島宇宙センター」と「内之浦宇宙空間観測所」の2カ所しかなかったのは、民間企業が宇宙ビジネスに参入するための法整備が進んでいなかった上に、民間の打ち上げ需要が乏しかったためである[9]。「国内には民間でロケットを打ち上げたいというニーズがなく、発射場を増やす必要性がなかった」(スペースワン関係者)という[9]

2018年11月に人工衛星や打ち上げ輸送ロケットに政府の許可を義務付ける「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律(通称「宇宙活動法」)」が施行され、企業による宇宙活動のルールが整備された[9]。小型衛星の需要が高まってきたため、スペースワンが射場を建設し、輸送サービス事業に参入した[9]宇宙産業英語版界では、「スペースワンの成功が、今後の日本の宇宙ビジネスを大きく左右する」(業界関係者)と見られている[9]

事業内容

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  • 新世代小型ロケットおよび関連機器の開発・製造・販売
  • 人工衛星の打上げ事業
  • ロケット射場の開発および運営事業
  • その他これらに付随・関連する事業

沿革

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  • 2017年7月19日:キヤノン電子株式会社、清水建設株式会社、株式会社IHIエアロスペース、株式会社日本政策投資銀行の共同出資により「新世代小型ロケット開発企画株式会社」として設立され、法人番号を取得[10]
  • 2018年6月1日:「スペースワン株式会社」に商号を変更[10]
  • 2018年7月2日:商号を変更し、事業会社化したことを公表[11]
  • 2019年4月:国内初の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」建設工事着工[12][13][14][15][16]
  • 2021年2月:株式会社紀陽銀行が3億円(出資比率2.9%)を出資参加[17]
  • 2022年6月:太陽工業株式会社とTSP太陽株式会社(共同)、関西電力株式会社が出資参加[18][19]
  • 2022年12月:株式会社三菱UFJ銀行、株式会社オークワが出資参加[20][21]
  • 2023年夏ころ:「スペースポート紀伊」より、初号機打ち上げ予定(2023年2月予定を延期)[22][23][24][25][26][27][28][29]
  • 2020年代半ば:年間目標打ち上げ回数20回[30]
  • 2024年1月:2022年の打ち上げを予定していたがコロナウイルスの影響で延期となっていた「カイロスロケット」初号機を2024年3月9日午前11時〜正午頃にスペースポート紀伊より打ち上げると発表[31]
  • 2024年3月9日:午前11時過ぎ、カイロスの打ち上げは予定時刻の直後に延期が告げられた[32]。スペースワンは理由について「海上警戒区域に打ち上げの10分前になっても船舶が残留したため」と説明し、打ち上げ予定を3月13日11時1分12秒へと変更した[33][34][35]
  • 2024年3月13日:午前11時1分2秒、カイロスはリフトオフしたが、リフトオフの5秒後に空中で自立飛行安全システムが破壊指令を出したため爆発しスペースポート紀伊の敷地内に墜落した[36][37]

発射場

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和歌山県東牟婁郡串本町田原地区の浦神半島に所在する日本初の民間ロケット射場。敷地は隣接する和歌山県東牟婁郡那智勝浦町浦神地区にまたがる[38]

ロケット打ち上げ射点、ロケット組立棟、総合司令塔などからなり、総合司令塔は国道42号線から望むことができる。2019年11月19日に起工し、株主である清水建設株式会社が施工を担当した[39]

ロケット

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KAIROS
Kii-based Advanced & Instant Rocket System
基本データ
運用国 日本
射場 スペースポート紀伊
物理的特徴
段数 固体燃料3段式
+軌道変更用液体エンジン(PBS)
総質量 約23 トン
全長 約18 m
直径 1.35 m(代表径)
1.55 m(PLF径)
軌道投入能力
低軌道 250 kg
500 km / 33度
太陽同期軌道 150 kg
500 km / 97度
テンプレートを表示

ロケットは「Kii-based Advanced & Instant ROcket System」の頭文字からKAIROS(カイロスと命名された。[40]

カイロスはギリシャ神話に登場する「時間」および「機会」の神。同社は「世界で最も契約から最短で、頻繁にロケットを打ち上げる」宇宙輸送サービスを目指していて、「時間を味方に市場を制する」との意思を示したという。また、カイロスにはギリシャ語で「チャンス」の意味があり、好機をとらえて事業を成功に導くという思いも込めた。[41]

経済効果

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和歌山県の試算により、スペースワン社が建設を進めているロケット発射場「スペースポート紀伊」は、10年間で670億円程度の経済波及効果があると見込まれている。[42]

経済効果は、建設投資効果や射場運営効果、観光消費効果の合計。地域においては、観光振興が進んでおり、串本町・那智勝浦町両町共同運営の観光案内多言語ウェブサイト「ロケットのある町SpaceTown串本町・那智勝浦町」が開設された。


脚注

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  1. ^ a b 和歌山に日本初の民間ロケット場 21年度に運用開始”. 西日本新聞me. 2022年12月31日閲覧。
  2. ^ 宇宙に一番近い県へ / ニュース和歌山. 2022年11月30日閲覧。
  3. ^ 宇宙教育の推進で協定 県とスペースワン / わかやま新報. 2022年11月30日閲覧。
  4. ^ 紀南周遊 ロケットで推進 / 2020年8月8日付 日経新聞
  5. ^ ロケット見学場、準備着々 / 2020年8月25日付 日経産業新聞
  6. ^ 串本町 ロケット発射に向け / 2020年8月29日付 紀伊民報
  7. ^ 田原海水浴場 プレミアム見学場に / 2020年12月12日付 紀伊民報
  8. ^ 宇宙シンポジウム串本町 / 2020年9月24日付 熊野新聞
  9. ^ a b c d e 日経ビジネス電子版. “日本初の民間ロケット発射場、なぜ本州最南端に”. 日経ビジネス電子版. 2024年3月9日閲覧。
  10. ^ a b (法人名)の情報|国税庁法人番号公表サイト”. www.houjin-bangou.nta.go.jp. 2024年3月9日閲覧。
  11. ^ プレスリリース: 小型ロケット打上げ事業の実施に向けた事業会社化について”. スペースワン株式会社 (2018年7月2日). 2024年3月9日閲覧。
  12. ^ ロケット名「カイロス」に/民間初発射場から21年度 / SHIKOKU NEWS(四国新聞WEB版). 2022年11月30日閲覧。
  13. ^ 宇宙ベンチャー、「脱ロシア」模索 国内ロケット確保急務に / JIJI.COM. 2022年11月30日閲覧。
  14. ^ 関西電力、宇宙事業ベンチャーに初出資 ロケット打ち上げを支援 / 朝日新聞DIGITAL . 2022年11月30日閲覧。
  15. ^ 関電、宇宙事業会社と資本提携 / 毎日新聞(WEB版). 2022年11月30日閲覧。
  16. ^ 飛べ!ロケット1 夢の宇宙 地域に光 / 読売新聞オンライン(地域版). 2022年11月30日閲覧。
  17. ^ 小型ロケットによる商業宇宙輸送サービスの事業化をめざす「スペースワン株式会社」への出資について”. 株式会社紀陽銀行. 2022年12月21日閲覧。
  18. ^ 太陽グループが小型ロケット打ち上げのスペースワンへ出資”. 太陽工業株式会社. 2022年12月21日閲覧。
  19. ^ スペースワン株式会社と資本業務提携を締結”. 関西電力株式会社. 2022年12月21日閲覧。
  20. ^ スペースワン株式会社への出資について”. 株式会社オークワ. 2022年12月21日閲覧。
  21. ^ スペースワン株式会社への出資について”. 株式会社三菱UFJ銀行. 2022年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月21日閲覧。
  22. ^ 和歌山・串本のロケット発射、来年2月末ごろに延期 / THE NIKKEI NEWS. 2022年12月1日閲覧。
  23. ^ ロケット初打ち上げ再延期 和歌山県串本、来年2月末ごろに / AGARA紀伊民報. 2022年12月1日閲覧。
  24. ^ 和歌山 民間ロケット発射場整備進む串本町で宇宙シンポジウム / NHK WEB NEWS(和歌山 NEWS WEB). 2022年12月1日閲覧。
  25. ^ スペースワンの記事 / 宙畑(SORABATAKE). 2022年12年1日閲覧。
  26. ^ 小型ロケットの機体名称について. 2022年12年1日閲覧。
  27. ^ CORPORATE PROFILE スペースワン株式会社. 2022年12年1日閲覧。
  28. ^ 都会を出て暮らそうよ BEYOND TOKYO 【和歌山県串本町・ロケット移住って!?】 / BSテレビ東京. 2022年12月16日閲覧。
  29. ^ 日本放送協会. “串本町 民間ロケット打ち上げ ことし夏ごろに 延期は3回目|NHK 和歌山県のニュース”. NHK NEWS WEB. 2023年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月2日閲覧。
  30. ^ 本州最南端で「ロケット最先端のまち」を目指す”. 新・公民連携最前線|PPPまちづくり. 2024年3月13日閲覧。
  31. ^ スペースワン、「カイロスロケット」初号機を打ち上げ”. 2024年1月26日閲覧。
  32. ^ 日本放送協会. “和歌山 串本町 民間企業の小型ロケット打ち上げ 直前に延期|NHK 和歌山県のニュース”. NHK NEWS WEB. 2024年3月9日閲覧。
  33. ^ 船舶残留で打ち上げ延期 ロケット「カイロス」、13日以降に―スペースワン:時事ドットコム”. 時事ドットコム (2024年3月9日). 2024年3月9日閲覧。
  34. ^ 読売テレビ (2024年3月12日). “民間ロケット『カイロス』再挑戦!打ち上げ日程を今月13日午前11時1分に再設定 運営会社が発表”. 日テレNEWS NNN. 2024年3月12日閲覧。
  35. ^ 【速報】「カイロス」打ち上げ直後に爆発、墜落して炎上 「飛行中断措置」行う 和歌山・串本町の“日本初”民間ロケット発射場|YTV NEWS NNN”. 日テレNEWS NNN. 2024年3月13日閲覧。
  36. ^ 【速報】民間小型ロケット「カイロス」が打ち上げ失敗 数秒後に爆発|FNNプライムオンライン”. FNNプライムオンライン (2024年3月13日). 2024年3月13日閲覧。
  37. ^ 民間ロケット「カイロス」打ち上げ直後に爆発し墜落|日テレNEWS NNN”. 日テレNEWS NNN. 2024年3月13日閲覧。
  38. ^ スペースポート紀伊 · 日本、〒649-4112 和歌山県東牟婁郡串本町田原” (日本語). スペースポート紀伊 · 日本、〒649-4112 和歌山県東牟婁郡串本町田原. 2022年12月21日閲覧。
  39. ^ 【スペースポート紀伊】日本初!民間企業が建設 ロケット打ち上げ射場 起工式を開催 スペースワン”. 建設通信新聞Digital (2019年11月19日). 2022年12月21日閲覧。
  40. ^ スペースワンの「カイロスロケット初号機」、3/9にスペースポート紀伊より打上げ”. SPACE Media (2024年1月29日). 2024年3月9日閲覧。
  41. ^ ロケットの名は「カイロス」 スペースワン発表:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2021年6月20日). 2022年12月21日閲覧。
  42. ^ 県民の友1月号|和歌山県ホームページ”. www.pref.wakayama.lg.jp. 2023年2月2日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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