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ジメチルジスルフィド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジメチルジスルフィド
識別情報
略称 DMDS
CAS登録番号 624-92-0 チェック
PubChem 12232
ChemSpider 11731 チェック
UNII 3P8D642K5E チェック
ChEBI
特性
化学式 C2H6S2
モル質量 94.2 g mol−1
外観 無色の液体
密度 1.06 g/cm3[2]
融点

-85 °C, 188 K, -121 °F [2]

沸点

110 °C, 383 K, 230 °F [2]

への溶解度 2.5 g/L (20 °C)[2]
蒸気圧 3.8 kPa (at 25 °C) Arkema data sheet
危険性
引火点 15 °C (59 °F; 288 K) [2]
発火点 370 °C (698 °F; 643 K) [2]
半数致死量 LD50 190 mg/kg (経口, ラット)[3]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ジメチルジスルフィド(Dimethyl disulfide、DMDS)、別名(二硫化メチル、二硫化ジメチル(Methyl disulfide)、ジメチルペルジスルフィド(Dimethyl perdisulfide)、2,3-ジチアブタン(2,3-Dithiabutane))は、有機硫黄化合物ジスルフィド)である。

刺激性が強く、ニンニクに似た特有の硫黄臭を持ち、特定悪臭物質に指定されている。一方で、タマネギキャベツなどの食品用香料として使用される。消防法に定める第4類危険物 第1石油類に該当する[4]

性質

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引火性(引火点24℃)、爆発性(爆発限界1.1~16v/v%)があり、人体に有害。強酸化剤、強還元剤、強塩基と激しく反応する。オクタノール水分配比が1.77、水への溶解度は0.25g/100mLと難溶性。エタノールエーテルほか有機溶媒に易溶。

存在

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コチなど一部の魚、アブラナ科の植物、ニンニクなどに含まれ、特に腐敗すると誘導体の分解により発生する。

中国北京市で作られている、豆腐ケカビを付け、塩漬けして発酵させた「青腐乳」(別名「臭豆腐」、「青方」)にはインドールフェノールジメチルトリスルフィド酢酸エチルトリメチルヒドラジンなど[5][6]と共に含まれており、刺激性ある臭気成分が独特の風味として作用している。

用途

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脱硫触媒用の初期硫化剤、農薬製造の中間体、硫黄の溶剤、チオメチル化剤、食品の香料。

工学用途では、略称のDMDSがよく使われる。オレフィンの構造異性体をGC(ガスクロマトグラフィー)分析する際、オレフィン部位のDMDS化を行うと分離能が向上する[7]

有害性

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急性毒性があるが、慢性毒性、発ガン性、蓄積性はないか、低いとみられる。水生生物毒性があり、生物分解されない(BOD/TOD比=0%)

  • LD50 190mg/kg (経口 ラット)
  • LC50 1.1mg/L/96H (メダカ)

出典

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  1. ^ a b Nomenclature of Organic Chemistry : IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 708. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4 
  2. ^ a b c d e f Record 労働安全衛生研究所(IFA)英語版発行のGESTIS物質データベース
  3. ^ [1], EPA DMDS Fact Sheet
  4. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  5. ^ 馬艶莉 他、「青方腐乳關鍵揮發性風味物質研究」『現代食品科技』2015年5期pp316-321、広州、華南理工大学 [2]
  6. ^ 劉玉平 他、「臭豆腐中揮發性香成分提取与分析」『食品科学』、2011年32巻24期pp228-231、北京、中国食品雑志社
  7. ^ Dimethyl Disulfide Adducts

関連項目

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外部リンク

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