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オニキンメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オニキンメ科から転送)
オニキンメ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: キンメダイ目 Beryciformes
: オニキンメ科 Anoplogastridae
: オニキンメ属 Anoplogaster
: オニキンメ A. cornuta
学名
Anoplogaster cornuta
(Valenciennes, 1833)
和名
オニキンメ(鬼金目)
英名
common fangtooth

オニキンメ(鬼金目、学名:Anoplogaster cornuta)は、オニキンメ科に属する深海魚。世界中の温帯および熱帯の海に分布し、水深2-5,000m、成魚は通常500-5,000mに生息し、幼魚は通常海面近くで見られる。全長約18cmに達する。外洋性の肉食魚に捕食され、漁業の対象ではない。

分布と生息地

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大西洋インド洋太平洋の熱帯および温帯海域に分布する。アメリカ大陸の西海岸沖では、ブリティッシュコロンビアから赤道の南まで記録されている。水深2-5,000mの外洋に生息し、成魚は水深500-5,000mで見られる。成魚は水深2,000m付近のトロール網で漁獲されることが多い。幼魚は表層で浮遊生活を行うプランクトンである[2]

形態

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頭部は全長の1/3にも及ぶ

全長は最大18cmに達し、その形態は異様である。成魚の体色は暗褐色から黒色で、頭部は非常に大きく、硬い骨盤状となっており、棘は無い。目は小さく、鰓耙は基部が骨質化しており、形は歯のようである。体高は頭部のすぐ後方が最も高く、尾柄に向かって急速に細くなる。口には上下に6-8本ずつ鋭い牙が並び、皮膚は細かい鱗で覆われる。牙が大きいため口を閉じることができない。背鰭は16-20軟条、臀鰭は7-9軟条、胸鰭は13-16軟条、腹鰭は7軟条から成る。椎骨数は25-28。側線が切り裂かれた溝のようになっており、鱗によって覆われる部分もある。本種は深海魚では珍しくを持つ[2][3]

幼魚は成魚と見た目が大きく異なり、一時期は別種だと考えられていた[2]。1833年にフランス動物学者であるアシル・ヴァランシエンヌは、幼魚を Anoplogaster cornuta として記載し、50年後に成魚が Caulolepis longidens として記載された。1955年にこれらは同一種であることが認識された。幼魚は体色が薄く、断面は三角形に近い。頭部には和名の由来にもなった数本の長い角状突起があり、目は大きく、鰓耙は細長く尖っており、歯は小さく、成魚のような牙は無い[2][3]。皮膚は大部分が無色で、腹部には暗色の鱗から成る黒い斑点を持つ。成魚になると鱗が黒くなり、体色が大きく変化する[4]。天敵の中には生物発光により獲物を探す種も存在するため、本種は効率的に光を吸収している。メラニン色素胞に集まっており、真皮のほぼ全体を覆っている。これにより入射光のほぼすべてを吸収し、横に散乱した残りの光は隣接する色素胞に吸収される。全体として光の吸収効率は99.5%であり、自然の生息地で撮影することは難しい[5]

生態

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小魚、甲殻類頭足類を捕食する。ツナカジキビンナガなどの大型魚に捕食される。単独で見られる場合もあるが、小さな群れで見られることが多い。北アメリカ大陸西海岸沖では夏季に繁殖する。卵生であり、幼生はプランクトンである[3]耳石の分析によると、寿命は3年以上である[2]。水圧などの環境に応じて呼吸器系を調節することができ、呼吸速度は体の大きさに比例する[6]

脚注

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  1. ^ Iwamoto, T. (2015). Anoplogaster cornuta. IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T18123960A21910070. doi:10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T18123960A21910070.en. https://www.iucnredlist.org/species/18123960/21910070 2024年11月17日閲覧。. 
  2. ^ a b c d e Fitch, John E.; Lavenberg, Robert J. (1968). Deep-water Teleostean Fishes of California. University of California Press. pp. 94–96. GGKEY:8SEC4LN8T3G. https://archive.org/details/deepwaterteleost00fitc 
  3. ^ a b c Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Anoplogaster cornuta" in FishBase. November 2024 version.
  4. ^ Lee, Milton Oliver; Llano, George Albert (1964). Biology of the Antarctic Seas. American Geophysical Union. p. 213. ISBN 978-0-87590-105-3. https://books.google.com/books?id=6PYofJXWMJ0C&pg=PA213 
  5. ^ Ouellette, Jennifer (2020年7月18日). “Scientists unlocked the secret of how these ultrablack fish absorb light”. Ars Technica. 2024年11月18日閲覧。
  6. ^ Meek, Robert P.; Childress, James J. (1973). “Respiration and the effect of pressure in the mesopelagic fish Anoplogaster cornuta (Beryciformes)”. Deep Sea Research and Oceanographic Abstracts 20 (12): 1111–1112. Bibcode1973DSRA...20.1111M. doi:10.1016/0011-7471(73)90024-7. 

関連項目

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