コンテンツにスキップ

アンノウン (雑誌)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アンノウン
Unknown
ジャンル ファンタジー、SF
刊行頻度 月刊(1939年3月 - 1940年12月)、隔月刊(1940年12月 - 1943年10月)
発売国 アメリカ合衆国
言語 英語
出版社 Street & Smith
編集長 ジョン・W・キャンベル
刊行期間 1939年 - 1943年
テンプレートを表示

アンノウン』(Unknown)は、1939年から1943年にかけて発行されたアメリカ合衆国パルプ・マガジンファンタジー小説誌であり、ジョン・W・キャンベルによって編集されていた。 『アンノウン』は、同じくキャンベル編集の『アスタウンディング』誌と密接な提携関係にあり、多くの小説家やイラストレーターが両方の雑誌に寄稿をしていた。

SF誌『アスタウンディング』との関係を踏まえて、『アンノウン』に載る作品は単なるファンタジーでなくSFとの混合的なスタイルが取られた。 多くの作品は2つの類型に分けられる。 第一が、「伝統的なファンタジーの創造物が予期せぬ状況(ユーモラスな状況が設定されることもしばしばであった)に置かれたらどうなるか」を話作りの土台とするもの。 第二が、異世界(ただし異常な世界ではない)を描き出すことを主題とするものであった。 例えばディ・キャンプの"Nothing in the Rules"はある水泳団のマネージャーが人魚をチームに入れて試合に勝とうとする物語である。

伝統的なファンタジーの設定を、それとは正反対の科学と論理を用いて表現しようとする作品もあった。 ディ・キャンプの「ハロルド・シェイ」シリーズは北欧神話などの伝統的なファンタジーの世界を舞台とするが、そこを支配する規則は数理論理学である。

『アンノウン』は、伝統的なファンタジーの主題を使ったSFも掲載している。 例えばジャック・ウィリアムスンの『エデンの黒い牙』は狼男の実在を物語の前提としているが、この作品における狼男は超自然の存在ではなく、伝説的な知見が全て合理的に説明されるのである。

出版歴

[編集]

1939年の創刊号から1940年末まで、『アンノウン』は月刊を基本に刊行された。1941年2月号から隔月刊となる。 1940年2月号から1941年8月の間は『アンノウン・ファンタジー・フィクション』(Unknown Fantasy Fiction)の題で刊行され、その後は『アンノウン・ワールズ』(Unknown Worlds)として知られた。 最後の数号は経費節約のために表紙絵を省かれた。 戦時の紙不足により、1943年10月号を最後に廃刊を余儀なくされた。累計号数は40となった。

代表的な掲載作品

[編集]

また『アンノウン』はライバーを"Two Sought Adventure"で、スタージョンを「裏庭の神様」で、ジェイムズ・H・シュミッツを「緑の顔」で、デビューさせた雑誌でもある。

なおキャンベル門下生の一人であるアイザック・アシモフも何度も本誌に投稿したがなかなか採用されず、ようやく採用された作品「著者よ!著者よ!」(『アシモフ初期作品集3 母なる地球』所収)も雑誌廃刊により掲載に至らず、後年アンノウン傑作選アンソロジーでようやく日の目を見たという逸話がある。

関連項目

[編集]

推薦資料

[編集]
  • Mike Ashley, "Unknown" in the Encyclopedia of Fantasy (1997).
  • Malcolm J. Edwards, "Unknown" in the Encyclopedia of Science Fiction (1993).
  • Stefan R. Dziemianowicz, The Annotated Guide to "Unknown" and "Unknown Worlds" (1991).
  • Fred Smith, Once There Was a Magazine: A Personal View of "Unknown" and "Unknown Worlds" (2002).

外部リンク

[編集]