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戦国武将の上杉謙信・景勝親子の愛刀として知られる国宝「太刀 無銘 一文字(山鳥毛)」を所蔵する岡山県瀬戸内市を、上杉家ゆかりの新潟県上越市の小田基史副市長や職員ら4人が訪れ、来年100回記念となる上越市の夏祭り「謙信公祭」の目玉として展示するため、武久顕也・瀬戸内市長に借用を願い出た。
上越市は瀬戸内市同様、個人が所蔵していた山鳥毛購入を模索したが、所有者と金額面で折り合いがつかず断念。刀が作られた瀬戸内市が2020年3月に約5億円で購入した。
上越市の一行は12日に瀬戸内市役所を訪問。武久市長に、「祭りは大正15年から途絶えることなく受け継がれ、来年100回を迎える」とし、「謙信公の愛刀『山鳥毛』を借用し、展示したい」と伝えた。
武久市長は「ゆかりある地に貸し出し、上越市民にも見ていただきたい」とし、今年末頃をめどに、文化庁と、貸出期間や展示方法などの詳細について協議を重ねて結論を出すとしている。貸し出しが決まれば、瀬戸内市が所蔵後初の県外貸し出しとなる。
一行はその後、備前長船刀剣博物館の夏季特別展で展示中の山鳥毛を見学。小田副市長は「借りられれば、刀目当てに来る人も多くなるので、相当盛り上がります」と期待を膨らませていた。
山鳥毛(刃長79・1センチ)は、鎌倉時代中期、備前国福岡の地で活動していた刀工集団「福岡一文字派」が製作したとされる名刀。豪壮な太刀姿と華やかな刃文が特徴的で、製作当初の鎌倉時代の姿を残した貴重な作例と評価されている。