マクロン仏大統領、「数日以内」に新首相を任命と 自身の辞任は否定
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は5日、ミシェル・バルニエ首相が議会での不信任投票を受けて辞任したことを受け、「数日以内に」新しい首相を任命すると発表した。
国民への演説の中でマクロン大統領は、野党の辞任要求を拒否し、2027年の任期終了まで「完全に」職務を全うすると誓った。
マクロン氏は、短期間ではあったものの、バルニエ氏の首相としての献身に感謝を表明した。また、フランスの極右と極左が政府を倒すために「反共和主義の戦線」で協力していると非難した。
フランス議会は4日、バルニエ氏の解任を圧倒的多数で可決した。同氏の首相就任期間はわずか3カ月だった。
同国議会が内閣不信任案を可決したのは60年以上ぶり。マクロン大統領はこれを「前例のないこと」と表現した。
これに対し、極右政党「国民連合(RN)」の指導者マリーヌ・ル・ペン氏はソーシャルメディアに「憲法の保証人であるべきマクロン大統領への小さなメモ:不信任は反共和主義ではなく、第五共和制の憲法で規定されている」と投稿した。
バルニエ政権を倒した不信任投票は、左派連合「新人民戦線(NFP)」とルペン氏のRNによって提出された。
バルニエ氏は先に、予算を投票なしで強行採決するために特別権限を使用。これを受け両党は、政府に対する不信任の表明で団結した。
バルニエ氏に対する不信任の動議には331人の議員が賛成し、可決に必要な288人を大きく上回った。
バルニエ氏は5日に辞任し、予算案は自動的に撤回された。新しい首相が任命され新内閣が発足するまで、バルニエ氏は他の閣僚らとともに暫定的に職務を続ける。マクロン大統領の役割には影響はない。
「私の決定は理解されなかった」とマクロン氏
マクロン大統領は、7月に解散総選挙を決定したことで厳しく批判されており、これが議会の行き詰まりと政治危機の悪化を招いた。
マクロン氏は、「私の決定は理解されなかった」と認め、「多くの人が私を非難し、今も多くの人が私を非難している。それは事実であり、私の責任だ」と述べた。
有権者に直接語りかける中で、マクロン大統領は一部の政治的対立者が「責任よりも混乱を選んだ」と指摘。こうした人たちは「有権者であるあなたたちのことを考えていない」と指摘し、次の大統領選に焦点を当てていることを示唆した。
一方で、次の首相が誰になるかについては言及しなかった。ただ、新政権の当面の焦点は2025年の予算になるだろうと述べた。
次期首相の候補としては、セバスティアン・ルコルニュ国防相、ブブルーノ・ルタイロー内相、そして中道派の元大統領候補フランソワ・バイル氏などが挙げられている。
しかし、膠着(こうちゃく)状態にある議会の多数派から支持を得られる人物を見つけるのは難しいかもしれない。これは、7月の選挙後にガブリエル・アッタル前首相が2カ月間、暫定的に留任を求められた時と同じ状況だ。
次のフランス政府が6日までに発足するかどうかは不明だ。この日は、ドナルド・トランプ次期米大統領を含む各国指導者らが、再建されたパリのノートルダム大聖堂の開堂式に出席する予定。
ノートルダム大聖堂は2019年4月の火災で壊滅的な被害を受けた。その後5年余りでの再建は世界中から称賛を集めている。
マクロン大統領は、荒廃した大聖堂の再建と2024年パリ・オリンピック(五輪)の成功が「私たちが偉大なことを成し遂げられる証拠だ」と述べた。
「私たちは不可能を可能にすることができる」、「世界はそのために私たちを称賛している」と、マクロン氏は語った。