トランプ氏の米大統領就任式、議事堂の外から議事堂内へ移動 「危険な」寒波のため

ドナルド・トランプ次期米大統領

画像提供, Getty Images

ワシントンの連邦議会議事堂で20日に行われるドナルド・トランプ次期米大統領(78)の就任式が、議事堂の外ではなく、議事堂内の広間で行われることになった。トランプ氏が17日、自らのソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で明らかにした。来週、ワシントンで危険な寒波の予報が出ているためという。

新大統領の就任演説をはじめ、他の演説が、議事堂のドーム天井下にある屋内のロタンダ(円形大広間)で行われることになった。就任パレードや3つの就任舞踏会は、ワシントン中心部にある屋内競技場「キャピタル・ワン・アリーナ」内で行われるという。

近年は議事堂外の階段で就任式が行われるのが恒例となっていたものの、1985年には当時のロナルド・レーガン大統領が議事堂内で就任宣誓をした。その時も寒波がワシントンに訪れていた。

トランプ氏はトゥルース・ソーシャルに声明を投稿し、極寒の中で「人々が傷ついたり、けがをしたりするのを見たくない」と書いた。

「何万人もの警官や救急隊員、警察犬、さらには騎馬警官の馬にとっても危険な状況」で、「何十万人もの」支持者にとっても同様だとトランプ氏は書いた。

「いずれにせよ、来ることにした場合は、暖かくして来てください」とも、次期大統領は付け加えた。

就任演説のライブビューイングのため、キャピタル・ワン・アリーナが開放される予定という。

トランプ氏は19日に同アリーナで集会を開く予定。議事堂で宣誓した後、アリーナを訪れる予定だという。

就任式後に予定されていたパレードは、形式が変更される。屋内で行われるのかどうかは不明。

就任式当日のワシントンでは極寒が予想され、最低気温は摂氏零下11度、最高気温は零下5度の見通し。風寒効果を考慮すると、体感温度はさらに低く感じられるものとされる。

同時期には極渦(北極及び南極上空にできる大規模な気流の渦)の影響で、アメリカ全土の気温が急降下するとみられており、ワシントンの極寒予報もその一部。

「全員が無事で、全員が幸せになる。そして、皆で一緒にアメリカを再び偉大にする」と、トランプ氏は書いた。

米連邦議会議事堂の見取り図

就任式を前に、主催者は議事堂の敷地で式典を観覧する人たちのため、約22万枚のチケットを配布すると発表していた。

チケットを持っていない人々も、議事堂前の広大な緑地「ナショナル・モール」で就任式を観覧できる予定になっていた。

式典のために数万人が首都を訪れるものと予想されていたが、議事堂内に入れない大勢は予定を変更することになる。

トランプ氏は、19日の集会や20日夜に予定されている3つの公式就任舞踏会など、他の就任イベントは予定通り行われると述べた。

就任式を議事堂内で行うことで、参加人数は大幅に制限されることになる。トランプ氏は公のイベントでの出席者数をしきりに注目することで知られている。

2017年1月の1回目の就任式の後には、ナショナル・モールに「150万人」が集まったと主張した。

しかし、群衆の規模に詳しい複数の専門家は、バラク・オバマ氏が2009年に就任した際に集まったのは推定80万人から100万人だったのに対し、トランプ氏の就任式に集まったのはその約3割だったと指摘している。

新型コロナウイルスのパンデミックの最中だった2021年1月に行われたジョー・バイデン大統領の就任式では、感染対策のため、議事堂敷地内に約1000人の出席者に制限された。

1841年3月4日には当時のウィリアム・ヘンリー・ハリソン大統領(68)が、寒い日の就任式で、アメリカ史上最も長い就任演説を行った。ハリソン氏は同月下旬に体調が悪化し、就任式からちょうど1カ月後の4月4日に死去。肺炎のためと発表された。アメリカ史上、最も就任期間の短い大統領となった。