ギリシャの森林火災、焼け跡から18人の遺体 移民の可能性も
ギリシャ北東部で22日、森林火災が4日間にわたり発生していた地域で18人の遺体が発見された。消防当局が発表した。ギリシャでは強風と高い気温のため、複数地域で大規模な火災が発生している。22日には、複数の地点で気温が40度を超えた。
トルコとの国境に近い北東部エヴロス県ではこのところ、大規模な山火事が続いている。ギリシャの気象当局によると、エヴロス県だけで過去3日間で約1500平方キロメートルが焼けた。
複数情報によると、同県アヴァンタス村の近くで22日、焼失した建物を消防隊が調査していたところ、18人の遺体を発見した。
第一報によると、18人は移民だった可能性がある。ダディア自然公園に近い現場には、検視官と調査チームが向かっている。
未確認情報では、遺体は2つのグループに分かれた状態で発見された。犠牲者の数は増えるかもしれないと懸念されており、消防当局は、山火事が広がった地域の調査を続けているという。
18人が遺体となって発見される前にも、この地域で移民と思われる死者が報告されていた。
消防当局のイアニス・アルトピオス報道官は、行方不明者の報告がないことから、発見された犠牲者がギリシャに不法入国した可能性を調べていると話した。
シリアやアジア各地から欧州連合(EU)を目指す移民の多くは、トルコ側からエヴロス川を渡り、EU加盟国のギリシャに入る。そうしてエヴロス県に入る移民は多く、ダディアの森もまた、そうした移動ルートのひとつとして知られている。
アルトピオス報道官は、この地域で使われる全ての携帯電話に緊急メッセージを送信したと述べ、外国の通信回線も対象に含まれていたと強調した。
移民支援団体「アラーム・フォン」は、火災からの救助を必要とする多くの移民と連絡を取っていると述べた。すでに9人のグループが国境を越えたほか、別の250人がエヴロス川の2つの小島に取り残されているという。
エヴロス県で続く森林火災のため、ダディア自然公園の南にあるアレクサンドルポリスの病院は避難を余儀なくされ、新生児や集中治療室の患者らが、港のフェリーに搬送された。
広大なダディア自然公園では21日以降、火災が急速に広がったとみられている。緊急サービスは周辺地域の住民に、携帯電話のテキストメッセージで避難を呼びかけた。
ギリシャの他の地域でも強風と高い気温にあおられ、大規模な火災が相次ぎ発生し、消防隊が対応に追われている。22日には、複数の地点で気温が40度を超えた。当局は、アテネ北西部のアノリオシアの一部地域から離れるよう、数万人に呼びかけている。
アテネ北郊のパルニサ山では、歴史的な修道院近くで山火事が発生し、修道女50人が取り残されているとの報道がある。
中部のエヴィア島やヴィオティア県の村でも、避難が始まっている。
アテネの西、アスプロピルゴスの工業地帯ではいくつかの倉庫が炎に包まれ、アッティカ高速道路の近くでは、空は目や鼻をつく刺激性のある煙が充満し、空が暗くなった。
22日正午には、この高速道路の反対側にあるフィーリ村で2件目の大規模火災が発生した。住民たちの携帯電話には、この地域から避難するよう、救急当局のメッセージが届いた。