米スペースXの民間宇宙船、打ち上げ成功 野口聡一さんら搭乗
ジョナサン・エイモス、BBC科学担当編集委員
日本の野口聡一さんとアメリカの3人の宇宙飛行士が搭乗した米スペースXの新型宇宙船「クルードラゴン」が15日夜(日本時間16日午前)、米フロリダ州から国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられた。
スペースXが、ロケットと宇宙飛行士らが乗り込むカプセルを提供したのは、これが2回目。
米航空宇宙局(NASA)は、地球低軌道の旅を民間企業が実施する、新たな時代に入ったと述べた。
今回搭乗したのは、アメリカ人のマイケル・ホプキンスさん、ヴィクター・グローヴァーさん、シャノン・ウォーカーさんと、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の経験豊富な宇宙飛行士、野口さんの4人。
野口さんは、種類の異なる3つの宇宙船によって宇宙飛行をした、3人目の人物となった。これまで、ソユーズとスペースシャトルに搭乗していた。
ロケット「ファルコン」とカプセル「ドラゴン」は、米東部時間15日午後7時27分(日本時間16日午前9時27分)に、南部フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。
ISSには1日ほどで到着する。ドッキングは日本時間17日午後1時に予定されている。4人はISSに半年間滞在する。
アメリカのジョー・バイデン次期大統領は、「今日の打ち上げについて、NASAとスペースXに祝意を表する。科学の力と、技術革新、創意工夫、固い決意によって何を成し遂げられるかを証明している。すべてのアメリカ人と日本の人々とともに、宇宙飛行士たちの旅の成功を祈念している」とツイートした。
ISSには現在、NASAのケイト・ルービンスさんと、ロシアの国営宇宙公社ロスコスモスのセルゲイ・リジコフさん、セルゲイ・クド=スヴェルチコフさんが滞在している。
地球から410キロ離れたISSの滞在者が7人になることで、特殊な微小重力環境で実施される科学実験が3倍に増える。
スペースXの乗組員らは、少なくとも4回の船外活動を予定している。うち1回では、イギリスで開発された通信機器をISSのヨーロッパ研究モジュールに設置する。ISSの宇宙飛行士らが地球の科学者や家族らと、ブロードバンドの速度で通信できるようになるという。
スペースXはNASAと30億ドル超の契約を交わしており、宇宙飛行士の「タクシー」サービスの開発と試験を進め、実施するとしている。
その一環として、今年5月には宇宙飛行士2人をISSに運び、無事に帰還させるデモ飛行を実施した。
契約には、6回の運用レベルの飛行も含まれており、今回はその最初となる。
NASAは米ボーイングとも同様の契約を結んでいる。同社の開発は、スペースXより1年以上遅れを取っている。
NASAは宇宙飛行を外注することで、数十億ドルを節約できるとしている。節約した分は、月と火星の探査に当てる意向だ。
スペースXは、米電気自動車メーカー、テスラの最高経営責任者(CEO)を務める起業家のイーロン・マスク氏が設立した。