オーストラリア、日本などと「隔離なし渡航」を検討
オーストラリア政府は11日、隔離措置を伴わない渡航を数カ国との間で検討していることを明らかにした。ヨーロッパとアメリカは対象外だとしている。
スコット・モリソン豪首相は、最初の「隔離なし渡航」の合意は、ニュージーランドとの間で成立するだろうと述べた。
その後、日本、シンガポール、韓国、他の太平洋諸国との間にも広がる可能性があるとした。
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オーストラリアは、新型コロナウイルスの世界的流行初期の3月に国境を閉鎖した。
新型ウイルスの影響は他の国々と比べて小さいが、最近は南東部ヴィクトリア州で感染の第2波が起きている。
州都メルボルンと周辺地域では再びロックダウンを実施。以来、感染者数は急激に減っている。
「慎重に進める」
オーストラリアのニューサウスウェールズ州、首都特別地域、ノーザンテリトリーには、ニュージーランド人は16日以降、隔離なしに渡航できる。ただし、ニュージーランドに帰国する際には、ホテルでの隔離が義務付けられている。
ニュージーランドでは11日、最大都市オークランドのホテルで隔離中の1人が新型ウイルス検査で陽性と判定された。前日の10日には4人の感染者が確認されたが、全員国外からの渡航者だった。
オーストラリア人はまだ、ニュージーランドへの渡航は認められていない。
モリソン首相は、日本、韓国、太平洋諸国と渡航の安全圏をつくることを検討しているとした上で、「慎重に進めなくてはならない。(新型ウイルス感染症の)COVID-19はいなくなっていない。まだいる。半年前に比べて威力も落ちていない」と述べた。
一方、サイモン・バーミンガム観光相は、アメリカやヨーロッパなどのハイリスク地域との間の渡航は、来年後半まで実現しないかもしれないとの見通しを表明。ワクチン開発や感染対策の目覚しい前進があるかにかかっていると説明した。
オーストラリアの状況
メルボルンではここ数週間、感染者数が減っており、ロックダウンが緩和されている。19日までに、市内のすべての商店が営業を再開し、屋外での飲食が可能になると期待されている。
しかし、ヴィクトリア州のダニエル・アンドリューズ首相は、新規感染者数の減り方がまだ、規制を全面緩和するレベルまで達していないとしている。同州では11日、12人の感染と1人の死亡が報告された。
クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州の境界も閉鎖が続いている。
クイーンズランド州政府は9日、今月末に州境の開放を検討すると発表した。同州では同日で28日連続、州内での伝染が確認されていない。
西オーストラリア州も州境を閉鎖している。地元の報道によると、州政府は来年4月まで開放しない可能性があるとしているという。