緊急事態宣言下、執筆者も編集者も誰一人として顔を合わせずに作られたという本誌は、いつもとは違って、縦書きにこそならなかったもののまるで文芸誌のような装いで、この先の未来予想を「SF小説」に頼る。どんなに優れた思想家が歴史を辿っても、どんなに優れた科学者がデータを解析しても、どんなに優れた政治家が夢を語っても批判(という名の粗探し)の絶えない世の中に、せめて小説の中だけは自由に妄想させてくれよ、という姿勢が人間本来の想像力を掻き立てる。
名だたる小説家たちは各々の妄想の中で、政府の行動監視に免疫力で抗い(津久井五月氏)、踊るために独立国家を作り上げ(樋口恭介氏)、愛のために腐敗した物理世界を捨て(上田岳弘氏)、仮想世界の中で全人類的なつながりを得る(石川善樹氏)。それらの未来の共通点は、まだ人類がウィルスを撲滅できていないということ。今が人類の歴史上の大きなターニングポイントにあることは間違いない。
この事実を受け入れ、まさか自分が立ち会えたことにワクワクできる方(おそらくWIREDの定期読者)は本書を手に取るべきだろう。本誌に描かれている世界がディストピアかユートピアかは、読み手の判断に委ねられている。『三体』の続編や『コルヌトピア』、『構造素子』の文庫版が発売され、密かに訪れているSFブームには、きっと必然性がある。
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WIRED(ワイアード)VOL.37 (6月23日発売) 雑誌 – 2020/6/23
Condé Nast Japan (コンデナスト・ジャパン)
(著),
WIRED編集部
(編集)
◆SPECIAL FEATURE
BRAVE NEW WORLD
特集: Sci-Fiプロトタイピング
新しい世界がやってきた。必殺の概念や素型や行動がもはや通用しない、見通しの利かない世界が。
しかし、そんないまこそSF作家の言葉に耳を傾けたい。
彼/彼女らが生み出す「虚構性を孕んだナラティヴ」は、
混迷の時代を攪拌する未来からの視線に溢れているからだ。
かつてSFの父ジュール・ヴェルヌは「人間が想像できることは、
人間が必ず実現できる」と語ったが、ありうる未来を準備(=プロトタイピング)した
今号を実装せしめるのは、あなたかもしれない。
『WIRED』日本版VOL.37は、
フィクションがもつ大胆かつ精緻な想像力から未来を構想する「Sci-Fiプロトタイピング」を総力特集。
誰も予想できない未来へと現実が分岐したいま、ありきたりな将来分析にもはや価値はない。
SF的想像力こそが、FUTURES LITERACY(未来のリテラシー)の必須条件となったのだ。
ウィリアム・ギブスン、齋藤精一、藤井太洋、柞刈湯葉、樋口恭介、
津久井五月、吾奏伸、石川善樹、北村みなみ、ナシーム・ニコラス・タレブ、
ステファノ・マンクーゾ、ドミニク・チェン、塩浦一彗、山形浩生、水口哲也、
パラグ・カンナ、篠原雅武、ジュリエン・ノリン、川田十夢、水野祐、筒井康隆、ほかが登場。
◆INTERVIEW
-HAVE YOU EVER IMAGINED THE 22nd CENTURY br> ウィリアム・ギブスンINTERVIEW BY 齋藤精一
なぜ“22世紀"は見当たらないのか──
◆STORIES
-LIFE'S FLOWING ALONG A WATERFALL
藤井太洋╱滝を流れゆく
-RNA SURVIVOR
柞刈湯葉╱RNAサバイバー
-REVOLUTION, AND KEEP ON DANCING
樋口恭介╱踊ってばかりの国
-UNDERGROUND WIND, ROOFTOP'S SOIL
津久井五月╱地下に吹く風、屋上の土
-THE FAIR CHAINS ver.1.51
吾奏 伸╱美しき鎖
-THE OVERCONNECTED GENERATION
石川善樹╱つながりすぎた人類
◆COMIC
-CHILDHOOD'S END
北村みなみ╱来るべき世界
◆THE KITCHEN EXPLORER
-STAY HUNGRY, STAY BRAVE
ワイアードからのご提案!
おいしいニューノーマル・イン・ザ・ハウス
◆INTERVIEW
-THE PANDEMIC ISN'T A BLACK SWAN
ナシーム・ニコラス・タレブ
このパンデミックはブラック・スワンではない
◆INTERVIEWS
-NEW WORLD, NEW PERSPECTIVES
分岐した世界、描き換えられた生存戦略
-分散ネットワーク
ステファノ・マンクーゾ
人間は植物になり、植物はコンピューターになる
-コミュニケーション
ドミニク・チェン
来るリモートネイティヴたちと「個」を重ね合うために
-都市と住居
塩浦一彗
都市の緩やかな分散、緩やかなグラデーション
-格差
山形浩生
次なる危機への備えが、格差を是正する
-エクスペリエンス
水口哲也
肉体と魂を重ねた祝祭体験の「これから」
-地政学
パラグ・カンナ
医療のグリーンゾーンに向かう、新たなる「移民」の出現
-エコロジー
篠原雅武
「エコロジカル・アウェアネス」による分断の始まり
◆VISUALS
-CHOOSING PATHS TO AN IDEAL FUTURE
ジュリエン・ノリン
2030年、更新された世界の片鱗
◆WIRED SERIES EXTRA SESSION
-SOMEWHERE BETWEEN ALL AND NOTHING
対談:川田十夢×水野 祐
失われた3密。ミドルテンポの熱狂
◆INTERVIEW
-THE YEAR OF JACKPOT
筒井康隆
「大当たりの年」の顛末は、遺言がわりに書くつもりです
BRAVE NEW WORLD
特集: Sci-Fiプロトタイピング
新しい世界がやってきた。必殺の概念や素型や行動がもはや通用しない、見通しの利かない世界が。
しかし、そんないまこそSF作家の言葉に耳を傾けたい。
彼/彼女らが生み出す「虚構性を孕んだナラティヴ」は、
混迷の時代を攪拌する未来からの視線に溢れているからだ。
かつてSFの父ジュール・ヴェルヌは「人間が想像できることは、
人間が必ず実現できる」と語ったが、ありうる未来を準備(=プロトタイピング)した
今号を実装せしめるのは、あなたかもしれない。
『WIRED』日本版VOL.37は、
フィクションがもつ大胆かつ精緻な想像力から未来を構想する「Sci-Fiプロトタイピング」を総力特集。
誰も予想できない未来へと現実が分岐したいま、ありきたりな将来分析にもはや価値はない。
SF的想像力こそが、FUTURES LITERACY(未来のリテラシー)の必須条件となったのだ。
ウィリアム・ギブスン、齋藤精一、藤井太洋、柞刈湯葉、樋口恭介、
津久井五月、吾奏伸、石川善樹、北村みなみ、ナシーム・ニコラス・タレブ、
ステファノ・マンクーゾ、ドミニク・チェン、塩浦一彗、山形浩生、水口哲也、
パラグ・カンナ、篠原雅武、ジュリエン・ノリン、川田十夢、水野祐、筒井康隆、ほかが登場。
◆INTERVIEW
-HAVE YOU EVER IMAGINED THE 22nd CENTURY br> ウィリアム・ギブスンINTERVIEW BY 齋藤精一
なぜ“22世紀"は見当たらないのか──
◆STORIES
-LIFE'S FLOWING ALONG A WATERFALL
藤井太洋╱滝を流れゆく
-RNA SURVIVOR
柞刈湯葉╱RNAサバイバー
-REVOLUTION, AND KEEP ON DANCING
樋口恭介╱踊ってばかりの国
-UNDERGROUND WIND, ROOFTOP'S SOIL
津久井五月╱地下に吹く風、屋上の土
-THE FAIR CHAINS ver.1.51
吾奏 伸╱美しき鎖
-THE OVERCONNECTED GENERATION
石川善樹╱つながりすぎた人類
◆COMIC
-CHILDHOOD'S END
北村みなみ╱来るべき世界
◆THE KITCHEN EXPLORER
-STAY HUNGRY, STAY BRAVE
ワイアードからのご提案!
おいしいニューノーマル・イン・ザ・ハウス
◆INTERVIEW
-THE PANDEMIC ISN'T A BLACK SWAN
ナシーム・ニコラス・タレブ
このパンデミックはブラック・スワンではない
◆INTERVIEWS
-NEW WORLD, NEW PERSPECTIVES
分岐した世界、描き換えられた生存戦略
-分散ネットワーク
ステファノ・マンクーゾ
人間は植物になり、植物はコンピューターになる
-コミュニケーション
ドミニク・チェン
来るリモートネイティヴたちと「個」を重ね合うために
-都市と住居
塩浦一彗
都市の緩やかな分散、緩やかなグラデーション
-格差
山形浩生
次なる危機への備えが、格差を是正する
-エクスペリエンス
水口哲也
肉体と魂を重ねた祝祭体験の「これから」
-地政学
パラグ・カンナ
医療のグリーンゾーンに向かう、新たなる「移民」の出現
-エコロジー
篠原雅武
「エコロジカル・アウェアネス」による分断の始まり
◆VISUALS
-CHOOSING PATHS TO AN IDEAL FUTURE
ジュリエン・ノリン
2030年、更新された世界の片鱗
◆WIRED SERIES EXTRA SESSION
-SOMEWHERE BETWEEN ALL AND NOTHING
対談:川田十夢×水野 祐
失われた3密。ミドルテンポの熱狂
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「大当たりの年」の顛末は、遺言がわりに書くつもりです
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商品の説明
著者について
WIRED
1993年に米国で創刊し、現在4カ国で展開する、世界で最も影響力のあるテクノロジーメディア『WIRED』の日本版として、2011年6月にウェブサイトと雑誌を同時にスタートしました。『WIRED』日本版は、テクノロジーの進化を通して、ライフスタイルからビジネス、カルチャー、エンターテインメントまで、その明確な未来へのインサイトを人々に提示し、イノヴェイターたちをインスパイアするメディアです。
1993年に米国で創刊し、現在4カ国で展開する、世界で最も影響力のあるテクノロジーメディア『WIRED』の日本版として、2011年6月にウェブサイトと雑誌を同時にスタートしました。『WIRED』日本版は、テクノロジーの進化を通して、ライフスタイルからビジネス、カルチャー、エンターテインメントまで、その明確な未来へのインサイトを人々に提示し、イノヴェイターたちをインスパイアするメディアです。
登録情報
- ASIN : B087R3VZPR
- 出版社 : プレジデント社 (2020/6/23)
- 発売日 : 2020/6/23
- 言語 : 日本語
- Amazon 売れ筋ランキング: - 12位環境(工学・工業)関連雑誌
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
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2020年8月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まだ途中ですが思った以上に内容がいいです。
2021年1月11日に日本でレビュー済み
WIRED Vol.37読了。まるまるSF短編だった。未来をプロットするにはSFはとても参考になるのか最近流行りになっているように思え興味深くはあるが少し胡散臭い感じがしていた。ところがここの作品には今の延長線上で想像された世界のみでなくその中で過ごす彼らの情景が見事に描かれているものが多く単純に読み物としてよかった。
2020年7月17日に日本でレビュー済み
SFで未来をプロトタイピングするというのに魅かれて本誌を購入。元々とがった雑誌であり、どんな未来を見せてくれるのかと期待した。つまらなくはないのだが、なんとなくコロナ禍の中、急いで原稿執筆をしたような気がして、深堀が足らないように感じた。特に短編小説はそのような傾向を感じた。執筆陣は良いので余計に残念である。あと1か月ほど余裕があれば、ものすごく幸福な未来かとんでもない不幸な世界を作品として世に出せたのかなと思った。一番面白かったのは巻頭のウィリアム・ギブスンのインタビュー記事だった。私も「22世紀を想像する」をToDoリストに追加した。
2020年7月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まず装丁にビックリです。判型はかなり小さくなり、いわゆる文芸誌と同じサイズに。それだけに凝ったデザインコンシャスなページが減り、文字を中心に読ませるようになっています。個人的には前号までのWiredはそもそもデザインに凝りすぎて文字が読みにくく、内容そのものにたどり着く前に挫折していたので、これだけでも高感度アップです。中身はコロナをベースに、SF小説といったフィクション、テクノロジーや哲学的視点から未来を洞察するものが中心です。冒頭のウィリアム・ギブスンの22世紀予想から終わりの筒井康隆のコロナ作品論まで、全てではないにせよ、読み応えのある記事のオンパレードで楽しませていただきました。