日比野克彦/本明秀文/大原大次郎/中野信子
奇しくも巻頭で稲見昌彦が同じ言葉を使っていた。露骨にうれしいタイプの共時性、わたしはわたしの必要性に駆られて定義しておいたのである。アカデミアと拡張現実の現場では、時空間の及ぼす範囲も異なるであろう。例えば先史時代に描かれた洞窟画、2万年前の最新テクノロジーといえば炎であったはずで、それを駆使した絵の鑑賞には揺らぎがあったはずだ。空間コンピューティングがやがて提供する新しい商取引は、大航海時代のようなダイナミズムをもって新しい地平線を見せてくれるのかもしれない。産業革命によって印刷や流通が爆発的に進化して現代におけるグラフィックデザインにつながる基礎ができ上がったわけだが、新しい空間利器を使い続けることで識字率が上がるように空間把握能力が格段に上がってゆくのは自明である。現代に於いては、読解力の意味さえ変質してゆくだろう。4人の識者とともにこの真新しい分野を開拓、論理化、文章化、可視化してゆく。