優れたアートは未来を予言する、とよくいわれる。例えば「将来、誰でも15分間は有名になれる」というアンディ・ウォーホルの言葉は、SNSがたやすくバズる現代にあっては宣託どころか一般常識だし、反復して多量に“生成”された缶スープやセックスシンボルのプリントは、そのまま生成AI によるイメージのようですらある。
というわけで、わたしたちは優れたアートを体感し続けるべきで、開催が目前に迫った「Tokyo Gendai」はその重要な選択肢になる。初開催となった昨年は3日間で20,000人を超える入場者を記録。今回は70のギャラリーが世界の18カ国から出展し、そのなかにはペースギャラリーといったメガギャラリーもある。
そのほかにも“世界水準”の理由がある。例えば出展されるアーティストや作品、ギャラリーの選出についても厳正な審査を経ている。フェアディレクターの高根枝里は語る。
「わたしたちは国際的に活躍するギャラリーで組織した選考委員会の相互評価を行ないます。作品の質はもちろん 、作家の文化的アイデンティティ、ジェンダーなども評価することで、グローバルなプレゼンテーションとなることを期待しています。10,000m²もの会場の広さ、設備や空間の設計も世界水準の質を追求したものです」
その経済規模に比べると、日本のアートマーケットが小さ過ぎることは長らく指摘されてきた。Tokyo Gendaiが注目されるのは、それを変化させる可能性を宿すからだ。そのために必要なのは「自分らしく楽しく経験してもらう」ことだと高根は語った。
「パブリックプログラムはさらに充実し、特別な展示も多くご用意しています。わたしたちは日本 やアジアは成長の余地がまだまだあると考えています。そのためにもアートの基盤を着実につくっていくことを大切にしたいのです」
TOKYO GENDAI
国際的な現代アートギャラリーが出展し作品の展示・販売を行なうアートフェア。特設展覧会やアートトーク、子ども向けのワークショップなどパブリックプログラムも豊富だ。日本、アジア、世界をつなぐ新しいアートのプラットフォームとなりつつある。主催 は世界トップクラスのアートイベントを 数多く創設してきたThe Art Assembly。
- 会期:2024年7月5日〜7日(7月4日は VIPプレビュー/ヴェルニサージュ)
- 会場:横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)ホールC/D
- チケット:ArtStickerにて販売中。
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