スマートフォンのバッテリーの劣化を抑え、寿命を延ばす方法

スマートフォンを長く使っているとバッテリーが経年劣化し、持続時間が短くなってしまう。これを防ぐ設定方法を紹介しよう。
Charging cable plugged into a smartphone that is on red carpet
Photograph: Cappi Thompson/Getty Images

スマートフォンは賢くなるばかりだ。バッテリーの充電方法も例外ではなく、AndroidとiOSはどちらも端末のバッテリーの寿命を延ばす機能を搭載している。

バッテリーの問題は、スマートフォンに内蔵されているリチウムイオンバッテリーが科学的に劣化してしまう点にある。つまり、新品から使い始めて1年が経ったバッテリーの持続時間は、経年劣化によって短くなっているわけだ。

バッテリーの状態はすぐに確認できる。例えばサムスンのスマートフォンなら、「設定」から「バッテリーとデバイスケア」→「診断」→「端末の診断」→「バッテリーの状態」でチェックする。iPhoneなら「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」から確認できる。

バッテリーの劣化には、動作中の温度や完全充電されている時間などが影響してくる。そこで役立つのが、“スマート充電機能”だ。この機能の名称はスマートフォンによって異なるが、基本的には同じことをしている。

具体的には、ユーザーの日々の使い方をモニタリングして、端末を電源に長時間にわたって接続した状態が続くと予測される場合(例えば夜間やオフィスにいるときなど)は、満充電になるタイミングを遅らせるのだ。まだこの機能を有効にしていない人のために、設定の変更方法を紹介していこう。

iPhoneの場合

まず「設定」を開き、「バッテリー」を選ぶ。ここでは過去10日または過去24時間のバッテリー残量の推移と使用状況が表示される。さらに「バッテリーの状態と充電」をタップして、端末の充電方法を最適化するために「バッテリー充電の最適化」を有効にしよう。

この機能は初期設定では有効になっているはずだが、必要ならこの画面でオン・オフを切り替えられる(「バッテリー充電の最適化」機能が起動するときにメッセージが画面に表示される)。例えば「iPhone 15」なら、選択肢は「バッテリー充電の最適化」「上限80%」「なし」の3つが表示される。「上限80%」の選択肢は、iPhone 15以前のモデルにはない。

フル充電する頻度を極力減らしてバッテリーの寿命を延ばしたいなら「上限80%」を選択しよう。電源に接続されている間に端末は80%で充電を停止し、75%に減ったら再び充電を開始する。ただし非常にまれなことだが、バッテリーの推定寿命を正確に保つために端末がフル充電されることもある。

iPhoneの「バッテリー充電の最適化」の機能は初期設定で有効になっている。

Apple via David Nield

グーグル「Pixel」シリーズの場合

グーグルの「Pixel」シリーズのスマートフォンには、「アダプティブ充電」と呼ばれる機能がある。これはiPhoneの「バッテリー充電の最適化」と同じような機能だ。「Pixel」シリーズでもこの機能は初期設定で有効になっており、端末が充電中で「アダプティブ充電」が機能するときにメッセージが画面に表示される。

バッテリーを長もちさせるために「アダプティブ充電」を有効にしておくことを推奨するが、端末のバッテリーをできるだけ早く100%まで充電したいときもあるだろう。その場合は「設定」を開き、「バッテリー」の「アダプティブ充電」から設定を変更できる。

グーグルのスマートフォン「Pixel」シリーズでは「アダプティブ充電」の仕組みに関する情報が表示される。

Google via David Nield

サムスン「Galaxy」シリーズの場合

この便利な機能はサムスンの「Galaxy」シリーズのスマートフォンにも搭載されており、機能の名称は「バッテリーを保護」だ。グーグルとアップルの端末と同様に初期設定で有効になっている。Galaxyの場合、充電の上限値が通常は85%に設定されている。この機能を無効にしない限り、85%の上限を超えて充電されることはない。

設定を変更したい場合は、「設定」から「バッテリーとデバイスケア」、「バッテリー」、「その他のバッテリー設定」に進み、「バッテリーを保護」へと進む。端末によっては機能が初期設定で有効になっていない場合があるので、念のために設定を変更してほしい。また、この機能が有効になっているときに画面にメッセージが表示されることはない。

サムスンのスマートフォン「Galaxy」シリーズでは、充電の上限を85%に設定できる。

Samsung via David Nield

(Originally published on wired.com, translated by Nozomi Okuma, edited by Daisuke Takimoto)

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