ビジネス・就活に役立つ情報整理術|「新聞切り抜きノート」の活用法

「毎日、スマホでニュースを見ているはずなのに、仕事で必要な時に出てこない。ちゃんと理解できていないのかもしれない…」「『これが知りたかった!』という情報になかなか出会えない。ずっとスマホで情報収集しているはずなのに…」

情報のあふれる時代に生きている私たちは、情報を上手に整理し、活用する能力が求められています。しかし、膨大な情報量を前に、「効率的な情報収集法がわからない」「情報を活用しやすく整理できない」という悩みを抱える人も少なくありません。

この記事では、奥野宣之さんのインタビューを通して「情報整理術」の手法と活用法を探ります。奥野氏の著書「情報は1冊のノートにまとめなさい」(ダイヤモンド社、2013年)や最新の「ちゃんと『読む』ための本 人生がうまくいく231の知的習慣」(PHP研究所、2023年)を基に、情報整理術についてインタビューしました。後半では、現役大学生が体験した新聞スクラップワークを通じて、就活やビジネスにも役立つメモ術を紹介します。

 


ライター奥野宣之(おくの・のぶゆき)さんのプロフィール画像ライター 奥野宣之(おくの・のぶゆき)さん


SNS時代に必須のスキル「情報整理術」

 

情報整理術とは?

 

ーー奥野さんが提唱されている「情報整理術」について教えてください。

 

情報整理術とは、広大な「情報の海」のなかで自分に必要な情報を見つけ出し、整理・活用する技術のことです。現代は情報があふれているからこそ、自分にとって「本当に必要な情報」を見極める必要があります。また、見つけ出した情報をきちんと整理しておかないと、必要なタイミングで情報を活用することができません。

「情報整理術」というと難しいスキルのように思われがちですが、情報整理は、多くの人が必ず経験しています。学生時代を思い出してみてください。「明日の持ち物」を連絡帳にメモした経験はありませんか。テスト前にノートを整理しましたよね。これらも、情報整理の1つと言えます。

私がお話しする情報整理術のポイントは、「単に情報を持っているだけ」ではなく、「どう活用するか」です。集めた情報を自分の中で理解し、情報を有機的に結び付け、どのように自分のものにするかが重要です。

今はインターネットであらゆる情報が簡単に手に入る時代。だからこそ、「物知り」であることよりも、「情報の使い方」や情報を基にした「発想」が重視されるべきだと思うんです。そのためには、情報を集める目的や、収集法、そして、どんなアウトプットをしたいのかをしっかり考えた上で「情報整理術」を身につけるべきだと思います。


情報整理術とは広大な「情報の海」の中で自分に必要な情報を見つけ出し、整理・活用する技術。集めた情報を自分のなかで理解し、情報を有機的に結び付け、どのように自分のものにするかが重要。

 

情報整理術を身につけるには

 

ーー情報整理術を身につけるにはどうすればよいのでしょうか。

 

情報をためない

 

まずは「情報をためない」ことです。

例えば、デスクの上の未読の資料やメモ、「これは後で見る!」と思ってブックマークしたウェブページがどんどん積み上がっていくという経験はありませんか?未整理のまま積み上げられた情報は、実際には手つかずのまま放置してしまうことが多いのではないでしょうか。

情報をためてしまうと、必要な情報にすぐにアクセスできなかったり、重要な情報を見落としてしまったりするリスクが高まります。情報の取捨選択が正しくできていないと、情報過多になり脳が処理できなくなってしまうこともあります。これは日常的によく起こり得ることなので、注意しておきたいですね。

 

情報をきれいにまとめようとしない

 

集めた情報をきれいにまとめることにとらわれすぎてしまうと、本来の目的を見失うことがあります。

例えば、情報を見栄え良くノートにまとめることに注力しすぎると、時間をかけた割に、記憶に残らず、使いにくく感じるケースがあります。


集めた情報を細かく分類しすぎるのもお勧めしません。パソコンにあるデータフォルダを整理する際に細かくカテゴリーを分けてしまうと、本当に必要な情報を探す時、どこに保存したかわからなくなることがあります。

 

目的を持って情報収集する

 

目的が定まらない状態で、集める情報のジャンルを広げすぎてしまうのも良くありません。漫然と収集すると、情報の関連性が乏しくなり、いざ情報を整理しようと思っても、どこから手をつければ良いのかわからなくなります。

 

情報整理術を身につけるには情報をためない、情報を綺麗にまとめようとしない、目的を持って情報収集する

私は、情報を「プル型情報」と「プッシュ型情報」の2つに分類しています。簡単に集められるのは、テレビやSNSなどの「プッシュ型情報」。受け身で集めた情報なので、長期的に記憶に残りにくいことが多いです。反対に、本や新聞などの「プル型情報」は、能動的に動かないと得られないため、記憶に残りやすく、情報の質も安定しています。

普段、目的もなく「プッシュ型情報」のみ取り入れている人は、情報整理術が身についていないかもしれません。

 

プル型情報は能動的で知識として蓄積できるがプッシュ型情報は受動的で記憶に残りにくい

 

情報整理術のメリットと効果

 

ーー情報整理術を身につけるメリットや効果を教えてください。

 

新しい言葉や知識を取得、表現力が向上

 

情報を整理する過程で、新たな言葉や知識を取得できます。また、自分の頭のなかの情報が整理され、アウトプットしやすくなると日常やビジネスシーンでの判断力やコミュニケーション能力が格段にアップします。

具体的に言うと、新しいプロジェクトの提案をする時、以前読んだ記事や本からの情報を活用して、より説得力のあるプレゼンテーションができます。また、日常の業務でも、同僚や上司からの質問にスムーズに答えることができます。

 

ーー必要に応じてネットで検索すれば事足りるようにも感じますが、その点はいかがでしょうか。

 

確かに「難しいことは理解しなくても良い。わからないことがあれば、ネット検索でサクッと調べるから大丈夫」と思う方も多いかもしれません。しかし、検索してもすぐに答えが見つからなかったり、検索結果が多すぎて何が正しいのか判断しきれなかったりすることも考えられます。適切な検索ワードすら思い浮かばない可能性だってあります。

 

論理的思考が磨かれ、情報のフィルタリングができる

 

ーー他にはどのようなメリットがありますか。

 

情報整理をする最初のステップは「読む力」を磨くこと。この過程で「考える力(論理的思考)」が養われます。そして、身につけた知識を活用しながら、自分の言葉で「表現する力」が鍛えられていきます。情報整理の過程で身につく「読む力」「考える力」「表現する力」は、情報過多の現代社会で生き抜くための強力な武器と言えます。

 

読む力はすべてに通ずる。表現する(書く・話す)力、考える力、読む力。

 

情報をどう解釈し、どう組み合わせるかによって、客観的かつ論理的な思考が鍛えられるようになるのです。

手に入れた情報を自分の頭で考えながら整理する過程で、自分にとって必要な情報とそうでない情報が自ずと判断できるようになります。

このように情報のフィルタリングができるようになると、情報収集の時間を節約でき、関連性の高い情報に焦点を当てながら的確かつ迅速な意思決定が可能となります。また、情報過多の状態から起きるストレスを軽減することもできるでしょう。


情報整理術を身につけるメリットは「新しい言葉や知識を取得できる」「表現する力が向上する」「論理的思考が磨かれる」「情報のフィルタリングができる」

 

 

情報整理術の3つのステップ

 

ーー奥野さんが提唱されている情報整理術について教えていただけますか?

 

まず、情報収集・インプットの習慣を見直すこと。次に、情報の取捨選択をすること。最後に、知識や情報をアウトプットすることで身につけることができます。

それぞれ詳しく紹介していきますね。

 

情報収集・インプットの習慣を見直す

 

まずは、普段、どのように情報収集しているか、習慣を見直してみましょう。「プッシュ型情報」ばかり取り入れていませんか?本や新聞など能動的に情報を取りに行く「プル型情報」をうまく取り入れてみましょう。

「プル型情報」の中でも、紙の本や新聞を手に取って読む行為には、人間の五感の1つである「触覚」が刺激されるため、情報がより頭に残りやすくなるんですよ。


情報収集は、私たちの「読む力」が試される、言わばトレーニング。トレーニングには多少きつい面がないと、本当の意味でその人のためにはなりません。最初は、少しだけ背伸びをしても良いので、「読まず嫌い」からの脱却を目指してほしいと思います。まずは、読むためのコンディションを整えるために、日々の睡眠時間をしっかり確保してください。そして、スマホで情報を受信するだけではなく、1日5分で良いので、本や新聞の文章を読む習慣をつけてみましょう。いきなり全部を読み切ろうとせず、無理せず自分のペースで続けることがポイントです。


とはいえ、ネットやSNSなどの「プッシュ型情報」には、大量の情報を早く読めるという利点があります。そこで、ざっと効率的に読みたい場合は、デジタルを使い、デジタルだとなんとなく頭に入ってこない場合は、紙に切り替えるなど、自分に合う形でデジタルとアナログを使い分けてみることをお勧めします。

 

「ちゃんと読む」ための習慣改善は「ちゃんと寝る」「まずは毎日5分だけ」「“読まず嫌い”から抜け出す」「もっと紙と親しむ」「無理して読まない」

 

情報の取捨選択をする

 

次に、集めた情報の取捨選択をしてみましょう。「ブラウジング」を意識することをお勧めします。

ブラウジングとは、目的を持たずにウェブページや書籍などの情報をざっと見ること。できるだけ大量の情報にアクセスし、目を通した上でそのほとんどを捨てることを意識しましょう。テキストを前から順に読むのではなく、全体を俯瞰して「何についての話なのか」「どういうことが書いてあるのか」といった要旨を大まかに把握します。そして、興味ある内容があれば、じっくり読み込みます。

このブラウジングが「情報の取捨選択」において重要なのは、「情報の海」のなかから自分のニーズに合致する情報を素早くピックアップするのに有効だからです。情報の全体像やトレンドを把握し、価値のある情報とは何か、どの情報が自分の課題や疑問に答えてくれるのかを見極める能力が養われます。

インプットと取捨選択を繰り返すことで、情報を見極める力が磨かれ、有意義な情報収集ができるようになるのです。

 

知識や情報をアウトプットする

 

最後に、収集した情報を基にアウトプットしてみましょう。アウトプットは、情報の再利用ではなく情報を実際に自分のものとするための非常に重要な手段です。

仕事でのプレゼンや商談、ブログやSNSでの発信、家族や友人、会社の同僚間でのちょっとした意見交換も立派なアウトプットです。取り入れた知識や情報に対して、自分なりの意見や考えを加えて表現することがポイントです。

情報を整理するという行為は、収集した情報や知識を自分の頭の中で再構築し、自分なりの形や順序に再表現するプロセスのこと。アナログでもデジタルでもどちらでも良いので、情報を整理すると抽象的な思考が具体化され、新しい洞察や気づきが生まれるようになります。

 

情報整理術のステップは「情報収集・インプットの習慣を見直す」「情報の取捨選択をする」「知識や常識をアウトプットする」

 

情報の整理は、デジタル・アナログどちらで行うべき?

 

ーー情報はデジタルの方が整理しやすいでしょうか。ノートに整理する方がよいでしょうか。

 

デジタルは簡単に情報共有でき、クラウド上に保存すれば、パソコン、スマホ、タブレットなど複数のデバイスで簡単にアクセスできます。保存した情報をキーワードで瞬時に探せる検索性にも優れています。画像やリンクの挿入、音声メモや動画の保存、スケジュール管理など、多岐にわたる機能が使用できる利便性も挙げられます。

ノートは自由にレイアウトしながら整理できます。手を動かして書くと脳が活性化し、情報の理解や記憶の定着率が向上します。紙に直接文字を書くという行為は、頭では文章を考え、手では文字を書く必要があるため、必然的に集中力を維持しやすくなる特性もあります。電源やネット接続も不要なので、どこでもすぐに整理できるのも利点ですね。


整理したノートを1枚ずつスキャンしてデータ化して保存するなど、デジタルとアナログを併用する手法もあります。


デジタルとアナログのメリット・デメリットを考えつつ、自分のライフスタイルと情報整理の目的に合わせて適切に使い分けることをお勧めしています。

 

デジタルとアナログ(ノート)のメモ術の違いは「デジタルだと複数のデバイスで簡単に情報共有ができる、検索性に優れている、さまざまな機能が利用でき利便性が高い」「アナログ(ノート)だと脳がアクティブになり記憶に残りやすい、集中力を維持しやすい、どんな場所でもメモを取れる」

 

学生が新聞スクラップワークを体験!就活にもビジネスにも役立つ情報整理術(メモ術)とは?

 

 

5人の大学生に、奥野さんが監修する新聞スクラップワークを通して、情報整理術を体験してもらいました。

情報の理解や、記憶の定着に効果的な情報整理術を紹介します。

 

新聞スクラップワークに参加した5人

 

「新聞切り抜きノート」とは

 

ーー奥野さんお勧めの「新聞切り抜きノート」について教えてください。新聞を活用するのはなぜでしょうか。

 

情報を整理するには、まずは網羅的・能動的に情報収集することが必要です。その点で新聞は網羅性が高く、手頃な価格で常に新鮮な情報に出会えます。重要度の高い情報が前に来て、後ろに行くほど重要度が下がるシンプルな構成となっているため、情報のフィルタリングをする上でも効果的なツールだと言えます。

 

ーー新聞スクラップと同じようなイメージですか。

 

「新聞切り抜きノート」とは、読む・考える・切り抜く・振り返るといった一連の作業を通して、記憶の定着を図る情報の整理法です。A5サイズ程度の持ち歩けるノートのページに、頭に残したい記事を貼り、余白に出典や日付をメモします。

「スクラップ帳」と同じように思えるかもしれませんが、整理の目的と方法が異なります。「スクラップ帳」は後から見返し活用することが目的です。1つの記事をすべて切り抜き、後から参照できるように出典をまとめておくなど、見た目にこだわる傾向にあります。

「切り抜きノート」は、心に残る記事の部分だけをピックアップして貼るのが特徴です。ポイントは、特に自分の心に響いた記事の一部分を、できる限り小さく切り抜くこと。目的は、何度もそのメモに目を通すことで、情報を記憶にしっかり留めることです。

基本的に、興味のない情報は何度も読み返さないものです。そのため、新聞を読む際には、「どの記事が自分の心を揺さぶるか」「どの情報が未来の自分に役立つか」といった視点で、繰り返し読むようにお勧めしています。その過程で必要な情報を見つけ出し、それを切り抜くことが、記憶の定着に役立つのです。

 

奥野さんの「新聞切り抜きノート」の写真

切り抜きノートの目的は情報を頭に入れること、スクラップ帳の目的は情報をモノとして残すこと

 

新聞切り抜きノートを実践

 

大学生5人が実践したワークの流れに沿って、新聞切り抜きノートのやり方を紹介していきます。

まず、5分間を目安に新聞の全ページに目を通します。気になる記事があっても読み込まず、ブラウジングを意識して、全体を俯瞰しながら書かれている内容をざっと把握していきます。


ライターの奥野宣之さんの指導のもと、学生が新聞スクラップワークを体験している様子。

5人が気になった記事とそれを選んだ理由

 

次に、別の新聞を5分間でざっと読み、気になる記事をピックアップします。最初と同様に、気に入った記事とその選んだ理由を話してもらいます。

2つの新聞を比較した上で、読みたい記事をじっくり選びます。記事を選んだら、10分間程かけて読み込んでもらいます。そして、記事中で特に気になった部分だけを切り抜きます。

 

記事の切り取り方は「記事の要旨と図解」「記事の見出しと主な内容」「記事全体」など

ノートの余白には、切り貼りした日にちと読んだ新聞の情報(紙名・日付)をメモしておきます。後から記事全体を読み直したくなった時に、探す手がかりになります。


新聞スクラップワークの様子

最後に、切り抜いた記事を数日置いてから読み返してみます。繰り返し読んでも心が動かされる箇所は蛍光マーカーで色をつけるようにします。さらに数日後、数週間後、数か月後も同じように、印をつける、書き込むなど自由にメモしながら記事を読み返していくのがポイントです。

ここまでの工程をしっかり踏めば、取り入れた知識や情報を本当の意味で自分のものにできるのでしょう。


新聞切り抜きノートの手順は「新聞を5分間でブラウジング」「異なる新聞を5分間でブラウジング」「2紙を比べて読みたい記事を選ぶ」「記事を精読」「気になった箇所を切り抜く」「切り抜いた記事を数日置いてから眺める」

5人の学生たちには、数日後に読み返してもらいました。今回のワークを通じて、さまざまな気づきを得られたようです。


ワークを通した5人の気づきと感想

情報整理術における新聞の効果的な活用法

 

ーー新聞とノートを活用して情報を整理する意義を教えていただけますか。

 

情報整理術を身につける上で、新聞とノートの相性は抜群です。今回紹介した新聞切り抜きノートを習慣化することで、ビジネスや日常生活のあらゆるシーンで効果を発揮します。効率的な意思決定や時間管理、発想力や学習意欲を養う点で有効です。私の切り抜きノートの数は260冊を超えました。

今回のワークで取り上げたように、「自分にとってこの情報は大事だと思えるだろうか」と自問自答しながら、記事を切り抜き、読み返すことで、自分に必要な知識や情報を見いだせるようになります。

紙の新聞と電子版の両方を活用できるのも新聞の利点です。普段は電子版の新聞を読む。気に入った記事を見つけたら、紙の新聞を読むといった具合に、手軽にチェックしたい場合は「電子チェンジ」、じっくり読み込みたい場合は「紙チェンジ」をすることができます。

私の場合、普段は電子版を読んでいますが、週末は紙の新聞を読むようにしています。週末の新聞には、特集や解説、作家の寄稿、有識者や専門記者のオピニオン・インタビューなど深く掘り下げた記事が多く、読み応えがあるんですよ。

紙の新聞は「読む基礎体力」を養うためのトレーニングに最適なツールです。普段は習慣的に購読していない方でも、まずは週に1回を目安に紙の新聞を「ブラウジング」するところから始めてみることをお勧めします。就活や仕事で使いこなせる知識や情報が格段に上がりますよ。

 

新聞の効果的な活用法は「まずは流し読み。電子版で気になる記事を中心に気軽に読んでみる」「特集や寄稿、オピニオンなどの掘り下げた記事は紙の新聞でじっくり読む」「まずは週に1度を目安に、紙の新聞との付き合い方を体得する」

 

デジタルとアナログを上手に使いこなす

 

今回やってみたように、新聞の記事を切り抜いてノートに貼り、メモを取ることは、情報の理解や記憶の定着に役立ちます。このようなアナログのメモ術では、自由度の高いレイアウトで情報を整理できます。手を動かして書くことは脳の活性化を促すため、集中力を維持しやすくします。また、電源やネット接続の必要がないため、どこでもすぐに情報を整理できる点も魅力の1つでしょう。

一方で、デジタルのメモ術は、情報の共有とアクセスのしやすさが特長です。クラウドに保存することで、パソコンやスマホ、タブレットなどからいつでも簡単にアクセスできます。また、保存した情報を瞬時に探せる検索性や、画像やリンクの挿入、音声メモや動画の保存、スケジュール管理などの機能を使用できる利便性にも優れています。

これらの利点を併用する手法として、整理したノートを1枚ずつスキャンして画像に残すなどしてデータ化して保存することができます。そうすれば、アナログの強みだけでなく、情報の共有やアクセスのしやすさをはじめデジタルの利便性も上手く活かせるでしょう。

 

 

情報整理術で賢く情報を活用し、価値ある知識を手に入れよう

 

今回は「情報整理術」をテーマに、奥野宣之さんに話を聞きました。情報整理術とは、情報を適切に収集、選択、そして活用するための手法のこと。このスキルを身につけることで、新しい言葉や知識を効率的に吸収できるようになります。また、情報をより明確かつ論理的に表現できるようになるため、ビジネスシーンや就活に役立ちます。

情報整理術の基本的ステップは、情報収集の習慣を見直すこと、情報を取捨選択すること、そして得た情報や知識をアウトプットすることの3つです。アウトプットで、デジタルツールを使用するか、アナログのノートや紙を使用するかは、自身のスタイルや目的に合わせて選択すれば良いでしょう。


学生が行った切り抜きノートの例も、情報整理術の実践方法の一つ。奥野さんは「紙の新聞は『読む基礎体力』を養うためのトレーニングに最適なツール」と語ります。新聞切り抜きノートを習慣化することで、効率的な意思決定や時間管理、発想力や学習意欲が養われます。まずは週に1回を目安に、紙の新聞を読んでみてはいかがでしょうか。

 

ライターの奥野宣之さんのプロフィール写真ライター 奥野宣之(おくの・のぶゆき)さん

1981年大阪府生まれ。同志社大学文学部社会学科でジャーナリズムを専攻後、出版社、新聞社勤務を経て、フリーの著作家・ライターに。独自の情報整理術を公開した「情報は1冊のノートにまとめなさい」(Nanaブックス)、「読書は1冊のノートにまとめなさい」(同)、「人生は1冊のノートにまとめなさい」(ダイヤモンド社)のシリーズ3冊は累計50万部を超えるベストセラーとなる。最新刊は「ちゃんと『読む』ための本 人生がうまくいく231の知的習慣」(PHP研究所)。

 

2023年12月21日公開
※インタビュー中のトピックは取材時のものです