「旅行ビジネス論」の授業は、観光・旅行関連産業を将来の進路の選択肢にしている多くの学生が履修しています。旅行市場等に関する基礎知識や専門知識が体系的に身につくだけでなく、コロナ禍後に展開されている旅行産業の現状に焦点をあて、業界の最新情勢も学ぶことができます。
7月8日に実施した授業では、業界第2位の近畿日本ツーリストから、2名のゲストスピーカーをお招きし、多岐にわたる話題を提供していただきました。
日本の旅行業界の現状
昨年度と同じく、法人MICE事業部部長の蛭間雅人氏の講義から始まりました。日本の主要な旅行業者の旅行取扱状況や、近畿日本ツーリストが所属するKNT-CTホールディングスのグループ会社の紹介、団体旅行、個人旅行、教育旅行、MICEなどの旅行形態に関する最新情報をお話しいただきました。
旅行業界は時代とともにビジネスモデルが劇的に変化しており、現在はBPO(Business Process Outsourcing)と呼ばれる事務局業務や事務作業を、中央省庁や民間企業から委託されるケースが増えています。その他、MICE※などの場面で事務局業務やプロモーション業務、調査・研究・分析業務に加え、コンサルタント派遣、講師派遣、コールセンター、会議運営、コンテンツ作成といった専門分野も拡大しています。こうしたグループ企業ごとの専門業務について詳細な説明がありました。
※MICE(Meeting:会議、総会、研修、セミナー / Incentive:報奨旅⾏、招待旅⾏、⾒学旅⾏ / Convention:年次⼤会、学会 / Exhibition:展⽰会)
地域経済を支える観光業と日本遺産の可能性
旅行業は裾野の広い業界です。観光は地方創生の基盤とされており、「地域経済の活性化」は現在の日本が抱える大きな課題の一つです。地域の経済活動を活性化するためには、交流人口の拡大が必要です。今年度はその一環として公務営業支店で活躍中の杉山奈津美氏にもお話をいただきました。
杉山氏は大学で観光を学んだ後、2016年に新卒で入社し、ワークライフバランスを実践しながらいきいきと働いています。その姿勢は学生にもストレートに伝わったようです。
「世界遺産」は有名ですが、実は、文化庁が認定する「日本遺産(Japan Heritage)」という制度もあります。これは地域の歴史的魅力や特徴を通じて、日本の文化・伝統を語るストーリーとして認定されるものです。地域が主体となって有形・無形の文化財群を整備・活用し、国内外に発信することで地域活性化を図ることを目的としています。千葉県でも「北総四都市江戸紀行」という素敵な日本遺産<ストーリー>が認定されています。
杉山氏はこの日本遺産を軸に、全国的に開催されるプロモーションイベントの企画や、国内最大級の観光イベントであるツーリズムEXPOジャパンでの日本遺産ブースを担当するほか、日本遺産に関連したイベントや企画を進める業務を担当されています。
杉山氏のキャリアパスとお仕事について
杉山氏は中学・高校の頃から「働くこと」に興味を持っており、とりわけ地元を盛り上げられる仕事がしたい、空港で働いてみたいといった希望を元に航空・観光の両方を学べる環境で大学生活を送りました。ゼミではビジネスプランコンテストに参加するなど積極的に活動していました。就職活動前には旅行業界に進路を絞ることを決断したそうです。
入社後、「地元を盛り上げる仕事」である日本遺産の担当に就けたのも、志望理由にぶれがなかったからこそだと思いました。講義では、具体的な1日の仕事の内容や、学生時代にやっておくべきことなどを明確ににアドバイスしてくださり、学生にも大きな反響がありました。これにより、多くの学生が旅行業界に興味を持ったことはとても嬉しく思います。
観光産業の中での旅行業界の位置付け
観光・旅行業界を動かすと経済が動き、国が豊かになります。旅行業界は、観光によって交流人口・関係人口を拡大し、日本全体の経済活動を向上させるという大きな使命を担っています。観光客を多数呼び込むことで、地域活性化のきっかけとなります。旬な話題をお二人から提供いただき、「旅行ビジネス論」の授業自体が引き締まった感覚を覚えました。
観光マネジメントコースは情報マネジメント学部に引っ越します!
2025年度から情報マネジメント学部が新設され、国際学部の観光マネジメントコースはそのまま情報マネジメント学部に引っ越します。日本の観光・旅行業界は、アウトバウントからインバウントに劇的に変化を遂げています。世界中に日本の魅力をPRするには「情報」と「マネジメント」は今後、ますます重要なキーワードとなるでしょう。
これまで観光マネジメント専攻では多数の学生が旅行業界、宿泊業界、航空業界への内定を獲得しています。現在の「観光マネジメントコース」以上にパワーアップしたカリキュラムとなっていますので、「観光人材」を目指す皆さん、ぜひ情報マネジメント学部にいらしてください!