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国際連盟規約

提供:Wikisource

大正八年(一九一九)六月二八日

(既ニ改正セラレタル部分ニ付テハ其ノ傍ニ點ヲ附シテ之ヲ明ニシ參考トシテ舊條項ヲ新條項ノ後ニ附記シタリ)

締約國ハ

戰爭ニ訴ヘサルノ義務ヲ受諾シ

各國間ニ於ケル公明正大ナル關係ヲ規律シ

各國政府間ノ行爲ヲ律スル現實ノ規準トシテ國際法ノ原則ヲ確立シ

組織アル人民ノ相互ノ交涉ニ於テ正義ヲ保持シ且嚴ニ一切ノ條約上ノ義務ヲ尊重シ

以テ國際協力ヲ促進シ且各國間ノ平和安寧ヲ完成セムカ爲

茲ニ國際聯盟規約ヲ協定ス

第一條

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本規約附屬書列記ノ署名國及留保ナクシテ本規約ニ加盟スル該附屬書列記ノ爾餘諸國ヲ以テ國際聯盟ノ原聯盟國トス右加盟ハ本規約實施後二月以內ニ宣言書ヲ聯盟事務局ニ寄託シテ之ヲ爲スヘシ右ニ關シテハ一切ノ他ノ聯盟國ニ通吿スヘキモノトス

附屬書ニ列記セサル國、領地又ハ殖民地ニシテ完全ナル自治ヲ有スルモノハ其ノ加入ニ付聯盟總會三分ノ二ノ同意ヲ得ルニ於テハ總テ聯盟國ト爲ルコトヲ得但シ其ノ國際義務遵守ノ誠意アルコトニ付有效ナル保障ヲ與へ且其ノ陸海及空軍ノ兵力其ノ他ノ軍備ニ關シ聯盟ノ定ムルコトアルヘキ準則ヲ受諾スルコトヲ要ス

聯盟國ハ二年ノ豫吿ヲ以テ聯盟ヲ脱退スルコトヲ得但シ脱退ノ時迄ニ其ノ一切ノ國際上及本規約上ノ義務ハ履行セラレタルコトヲ要ス

第二條

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本規約ニ依ル聯盟ノ行動ハ聯盟總會及聯盟理事會竝附屬ノ常設聯盟事務局ニ依リテ之ヲ爲スヘキモノトス

第三條

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聯盟總會ハ聯盟國ノ代表者ヲ以テ組織ス

聯盟總會ハ聯盟本部所在地又ハ別ニ定ムルコトアルヘキ地ニ於テ定期ニ及必要ニ應シ隨時之ヲ開ク

聯盟總會ハ聯盟ノ行動範圍ニ屬シ又ハ世界ノ平和ニ影響スル一切ノ事項ヲ其ノ會議ニ於テ處理ス

聯盟國ハ聯盟總會ノ會議ニ於テ各一箇ノ表決權ヲ有スヘク且三名ヲ超エサル代表者ヲ出スコトヲ得

第四條

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聯盟理事會ハ主タル同盟及聯合國ノ代表者竝他ノ四聯盟國ノ代表者ヲ以テ之ヲ組織ス該四聯盟國ハ聯盟總會其ノ裁量ニ依リ隨時之ヲ選定ス聯盟總會カ第一次ニ選定スル四聯盟國ニ於テ其ノ代表者ヲ任命スル迄ハ白耳義國、伯刺西爾國、西班牙國及希臘國ノ代表者ヲ以テ聯盟理事會員トス

聯盟理事會ハ聯盟總會ノ過半數ノ同意アルトキハ聯盟理事會ニ常ニ代表者ヲ出スヘキ聯盟國ヲ追加指定スルコトヲ得聯盟理事會ハ同會ニ代表セシムル爲聯盟總會ノ選定スヘキ聯盟國ノ數ヲ前同樣ノ同意ヲ以テ增加スルコトヲ得

聯盟總會ハ聯盟理事會非常任代表國ノ選擧ニ關スル規則特ニ其ノ任期及再選ノ條件ニ關スル規則ヲ三分ノ二ノ多數ニ依リ定ムヘシ(大正十五年七月二十九日本項追加)

聯盟理事會ハ聯盟本部所在地又ハ別ニ定ムルコトアルヘキ地ニ於テ必要ニ應シ隨時ニ且少クトモ每年一回之ヲ開ク

聯盟理事會ハ聯盟ノ行動範圍ニ屬シ又ハ世界ノ平和ニ影響スル一切ノ事項ヲ其ノ會議ニ於テ處理ス

聯盟理事會ニ代表セラレサル聯盟各國ハ特ニ其ノ利益ニ影響スル事項ノ審議中聯盟理事會會議ニ理事會員トシテ列席スル代表者一名ノ派遣ヲ招請セラルヘシ

聯盟理事會ニ代表セラルル聯盟各國ハ聯盟理事會會議ニ於テ一箇ノ表決權ヲ有スヘク且一名ノ代表者ヲ出スコトヲ得

第五條

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本規約中又ハ本條約ノ條項中別段ノ明文アル場合ヲ除クノ外聯盟總會又ハ聯盟理事會ノ會議ノ議決ハ其ノ會議ニ代表セラルル聯盟國全部ノ同意ヲ要ス

聯盟總會又ハ聯盟理事會ノ會議ニ於ケル手續ニ關スル一切ノ事項ハ特殊事項調査委員ノ任命ト共ニ聯盟總會又ハ聯盟理事會之ヲ定ム此ノ場合ニ於テハ其ノ會議ニ代表セラルル聯盟國ノ過半數ニ依リテ之ヲ決定スルコトヲ得

聯盟總會ノ第一回會議及聯盟理事會ノ第一回會議ハ亞米利加合衆國大統領之ヲ招集スヘシ

第六條

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常設聯盟事務局ハ聯盟本部所在地ニ之ヲ設置ス聯盟事務局ニハ事務總長一名竝必要ナル事務官及屬員ヲ置ク

第一次ノ事務總長ハ附屬書ニ之ヲ指定シ爾後ノ事務總長ハ聯盟總會過半數ノ同意ヲ以テ聯盟理事會之ヲ任命ス

聯盟事務局ノ事務官及屬員ハ聯盟理事會ノ同意ヲ以テ事務總長之ヲ任命ス

事務總長ハ聯盟總會及聯盟理事會ノ一切ノ會議ニ於テ其ノ資格ニテ行動ス

聯盟ノ經費ハ聯盟總會ノ決定スル{前9文字に傍点}割合ニ從ヒ聯盟國之ヲ負擔ス

(大正十三年八月十三日本項改正)

聯盟事務局ノ經費ハ萬國郵便聯合總理局ノ經費分擔ノ割合ニ從ヒ聯盟國之ヲ負擔ス(舊第六條第五項)

第七條

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聯盟本部所在地ハ「ジュネーヴ」トス

聯盟理事會ハ何時タリトモ其ノ議決ニ依リ他ノ地ヲ以テ聯盟本部所在地ト爲スコトヲ得

聯盟ニ關シ又ハ之ニ附帶スル一切ノ地位ハ聯盟事務局ノ地位ト共ニ男女均シク之ニ就クコトヲ得

聯盟國代表者及聯盟職員ハ聯盟ノ事務ニ從事スル間外交官ノ特權及免除ヲ享有ス

聯盟、聯盟職員又ハ聯盟會議參列代表者ノ使用スル建物其ノ他ノ財產ハ之ヲ不可侵トス

第八條

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聯盟國ハ平和維持ノ爲ニハ其ノ軍備ヲ國ノ安全及國際義務ヲ協同動作ヲ以テスル强制ニ支障ナキ最低限度迄縮少スルノ必要アルコトヲ承認ス

聯盟理事會ハ各國政府ノ審議及決定ニ資スル爲各國ノ地理的地位及諸般ノ事情ヲ參酌シテ軍備縮少ニ關スル案ヲ作成スヘシ

該案ハ少クトモ十年每ニ再審議ニ付セラルヘク且更正セラルヘキモノトス

各國政府前記ノ案ヲ採用シタルトキハ聯盟理事會ノ同意アルニ非サレハ該案所定ノ軍備ノ限度ヲ超ユルコトヲ得ス

聯盟國ハ民業ニ依ル兵器彈藥及軍用器材ノ製造カ重大ナル非議ヲ免レサルモノナルコトヲ認ム仍テ聯盟理事會ハ該製造ニ伴フ弊害ヲ防遏シ得ヘキ方法ヲ具申スヘシ尤モ聯盟國中其ノ安全ニ必要ナル兵器彈藥及軍用器材ヲ製造シ得サルモノノ需要ニ關シテハ相當斟酌スヘキモノトス

聯盟國ハ其ノ軍備ノ規模、陸海及空軍ノ企畫竝軍事上ノ目的ニ供用シ得ヘキ工業ノ狀況ニ關シ充分ニシテ隔意ナキ報道ヲ交換スヘキコトヲ約ス

第九條

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第一條及第八條ノ規定ノ實行竝陸海及空軍問題全般ニ關シテハ聯盟理事會ニ意見ヲ具申スヘキ常設委員會ヲ設置スヘシ

第十條

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聯盟國ハ聯盟各國ノ領土保全及現在ノ政治的獨立ヲ尊重シ且外部ノ侵略ニ對シテ之ヲ擁護スルコトヲ約ス右侵略ノ場合又ハ其ノ脅威若ハ危險アル場合ニ於テハ聯盟理事會ハ本條ノ義務ヲ履行スヘキ手段ヲ具申スヘシ

第十一條

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戰爭又ハ戰爭ノ脅威ハ聯盟國ノ何レカニ直接ノ影響アルト否トヲ問ハス總テ聯盟全體ノ利害關係事項タルコトヲ茲ニ聲明ス仍テ聯盟ハ國際ノ平和ヲ擁護スル爲適當且有效ト認ムル措置ヲ執ルヘキモノトス此ノ種ノ事變發生シタルトキハ事務總長ハ何レカノ聯盟國ノ請求ニ基キ直ニ聯盟理事會ノ會議ヲ招集スヘシ

國際關係ニ影響スル一切ノ事態ニシテ國際ノ平和又ハ其ノ基礎タル各國間ノ良好ナル了解ヲ攪亂セムトスル虞アルモノニ付聯盟總會又ハ聯盟理事會ノ注意ヲ喚起スルハ聯盟各國ノ友誼的權利ナルコトヲ倂セテ茲ニ聲明ス

第十二條

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聯盟國ハ聯盟國間ニ國交斷絕ニ至ルノ虞アル紛爭發生スルトキハ當該事件ヲ仲裁裁判若ハ司法的解決{前7文字に傍点}又ハ聯盟理事會ノ審査ニ付スヘク且仲裁裁判官ノ判決若ハ司法裁判ノ判決{前9文字に傍点}後又ハ聯盟理事會ノ報吿後三月ヲ經過スル迄如何ナル場合ニ於テモ戰爭ニ訴ヘサルコトヲ約ス

本條ニ依ル一切ノ場合ニ於テ仲裁裁判官ノ判決又ハ司法裁判ノ判決{前9文字に傍点}ハ相當期間內ニ、聯盟理事會ノ報吿ハ紛爭事件付託後六月以內ニ之ヲ爲スヘシ

(大正十三年九月二十六日本條改正)

聯盟國ハ聯盟國間ニ國交斷絕ニ至ルノ虞アル紛爭發生スルトキハ當該事件ヲ仲裁裁判又ハ聯盟理事會ノ審査ニ付スヘク且仲裁裁判官ノ判決後又ハ聯盟理事會ノ報吿後三月ヲ經過スル迄如何ナル場合ニ於テモ戰爭ニ訴ヘサルコトヲ約ス

本條ニ依ル一切ノ場合ニ於テ仲裁裁判官ノ判決ハ相當期間內ニ、聯盟理事會ノ報吿ハ紛爭事件付託後六月以內ニ之ヲ爲スヘシ(舊第十二條)

第十三條

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聯盟國ハ聯盟國間ニ仲裁裁判又ハ司法的解決{前7文字に傍点}ニ付シ得ト認ムル紛爭ヲ生シ其ノ紛爭カ外交手段ニ依リテ滿足ナル解決ヲ得ルコト能ハサルトキハ當該事件全部ヲ仲裁裁判又ハ司法的解決{前7文字に傍点}ニ付スヘキコトヲ約ス

條約ノ解釋、國際法上ノ問題、國際義務ノ違反ト爲ルヘキ事實ノ存否竝該違反ニ對スル賠償ノ範圍及性質ニ關スル紛爭ハ一般ニ仲裁裁判又ハ司法的解決{前7文字に傍点}ニ付シ得ル事項ニ屬スルモノナルコトヲ聲明ス

審理ノ爲紛爭事件ヲ付託スヘキ裁判所ハ第十四條ノ規定ニ依リ設立セラレタル常設國際司法裁判所又ハ{前28文字に傍点}當事國ノ合意ヲ以テ定メ若ハ當事國間ニ現存スル條約ノ規定ノ定ムル裁判所タルヘシ{前7文字に傍点}

聯盟國ハ一切ノ判決{前2文字に傍点}ヲ誠實ニ履行スヘク且判決ニ服スル聯盟國ニ對シテハ戰爭ニ訴ヘサルコトヲ約ス判決ヲ履行セサルモノアルトキハ聯盟理事會ハ其ノ履行ヲ期スル爲必要ナル處置ヲ提議スヘシ

(大正十三年九月二十六日本條改正)

聯盟國ハ聯盟國間ニ仲裁裁判ニ付シ得ト認ムル紛爭ヲ生シ其ノ紛爭カ外交手段ニ依リテ滿足ナル解決ヲ得ルコト能ハサルトキハ當該事件全部ヲ仲裁裁判ニ付スヘキコトヲ約ス

條約ノ解釋、國際法上ノ問題、國際義務ノ違反ト爲ルヘキ事實ノ存否竝該違反ニ對スル賠償ノ範圍及性質ニ關スル紛爭ハ一般ニ仲裁裁判ニ付シ得ル事項ニ屬スルモノナルコトヲ聲明ス」{ママ}審理ノ爲紛爭事件ヲ付託スヘキ仲裁裁判所ハ當事國ノ合意ヲ以テ定メ又ハ當事國間ニ現存スル條約ノ規定ノ定ムル所ニ依ル

聯盟國ハ一切ノ仲裁判決ヲ誠實ニ履行スヘク且判決ニ服スル聯盟國ニ對シテハ戰爭ニ訴ヘサルコトヲ約ス判決ヲ履行セサルモノアルトキハ聯盟理事會ハ其ノ履行ヲ期スル爲必要ナル處置ヲ提議スヘシ(舊第十三條)

第十四條

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聯盟理事會ハ常設國際司法裁判所設置案ヲ作成シ之ヲ聯盟國ノ採擇ニ付スヘシ該裁判所ハ國際的性質ヲ有スル一切ノ紛爭ニシテ其ノ當事國ノ付託ニ係ルモノヲ裁判スルノ權限ヲ有ス尙該裁判所ハ聯盟理事會又ハ聯盟總會ノ諮問スル一切ノ紛爭又ハ問題ニ關シ意見ヲ提出スルコトヲ得

第十五條

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聯盟國間ニ國交斷絕ニ至ルノ虞アル紛爭發生シ第十三條ニ依ル仲裁裁判又ハ司法的解決{前7文字に傍点}ニ付セラレサルトキハ聯盟國ハ當該事件ヲ聯盟理事會ニ付託スヘキコトヲ約ス何レノ紛爭當事國モ紛爭ノ存在ヲ事務總長ニ通吿シ以テ前記ノ付託ヲ爲スコトヲ得事務總長ハ之カ充分ナル取調及審理ニ必要ナル一切ノ準備ヲ爲スモノトス(大正十三年九月二十六日本項改正)

聯盟國間ニ國交斷絕ニ至ルノ虞アル紛爭發生シ第十三條ニ依ル仲裁裁判ニ付セラレサルトキハ聯盟國ハ當該事件ヲ聯盟理事會ニ付託スヘキコトヲ約ス何レノ紛爭當事國モ紛爭ノ存在ヲ事務總長ニ通吿シ以テ前記ノ付託ヲ爲スコトヲ得事務總長ハ之カ充分ナル取調及審理ニ必要ナル一切ノ準備ヲ爲スモノトス(舊第十五條第一項)

此ノ目的ノ爲紛爭當事國ハ成ルヘク速ニ當該事件ニ關スル陳述書ヲ一切ノ關係事實及書類ト共ニ事務總長ニ提出スヘク聯盟理事會ハ直ニ其ノ公表ヲ命スルコトヲ得

聯盟理事會ハ紛爭ノ解決ニ力ムヘク其ノ努力效ヲ奏シタルトキハ其ノ適當ト認ムル所ニ依リ當該紛爭ニ關スル事實及說明竝其ノ解決條件ヲ記載セル調書ヲ公表スヘシ

紛爭解決ニ至ラサルトキハ聯盟理事會ハ全會一致又ハ過半數ノ表決ニ基キ當該紛爭ノ事實ヲ述へ公正且適當ト認ムル勸吿ヲ載セタル報吿書ヲ作成シ之ヲ公表スヘシ

聯盟理事會ニ代表セラルル聯盟國ハ何レモ當該紛爭ノ事實及之ニ關スル自國ノ決定ニ付キ陳述書ヲ公表スルコトヲ得

聯盟理事會ノ報吿書カ紛爭當事國ノ代表者ヲ除キ他ノ聯盟理事會員全部ノ同意ヲ得タルモノナルトキハ聯盟國ハ該報吿書ノ勸吿ニ應スル紛爭當事國ニ對シ戰爭ニ訴ヘサルヘキコトヲ約ス

聯盟理事會ニ於テ紛爭當事國ノ代表者ヲ除キ他ノ聯盟理事會員全部ノ同意アル報吿書ヲ得ルニ至ラサルトキハ聯盟國ハ正義公道ヲ維持スル爲必要ト認ムル處置ヲ執ルノ權利ヲ留保ス

紛爭當事國ノ一國ニ於テ紛爭カ國際法上專ラ該當事國ノ管轄ニ屬スル事項ニ付生シタルモノナルコトヲ主張シ聯盟理事會之ヲ是認シタルトキハ聯盟理事會ハ其ノ旨ヲ報吿シ且之カ解決ニ關シ何等ノ勸吿ヲモ爲ササルモノトス

聯盟理事會ハ本條ニ依ル一切ノ場合ニ於テ紛爭ヲ聯盟總會ニ移スコトヲ得紛爭當事國一方ノ請求アリタルトキハ亦之ヲ聯盟總會ニ移スヘシ但シ右請求ハ紛爭ヲ聯盟理事會ニ付託シタル後十四日以內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス

聯盟理事會ノ行動及權限ニ關スル本條及第十二條ノ規定ハ聯盟總會ニ移シタル事件ニ關シ總テ之ヲ聯盟總會ノ行動及權能ニ適用ス但シ紛爭當事國ノ代表者ヲ除キ聯盟理事會ニ代表セラルル聯盟各國代表者及爾餘過半數聯盟國ノ代表者ノ同意ヲ得タル聯盟總會ノ報吿書ハ紛爭當事國ノ代表者ヲ除キ他ノ聯盟理事會員全部ノ同意ヲ得タル聯盟理事會ノ報吿書ト同一ノ效力ヲ有スヘキモノトス

第十六條

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第十二條、第十三條又ハ第十五條ニ依ル約束ヲ無視シテ戰爭ニ訴ヘタル聯盟國ハ當然他ノ總テノ聯盟國ニ對シ戰爭行爲ヲ爲シタルモノト看做ス他ノ總テノ聯盟國ハ之ニ對シ直ニ一切ノ通商上又ハ金融上ノ關係ヲ斷絕シ自國民ト違約國國民トノ一切ノ交通ヲ禁止シ且聯盟國タルト否トヲ問ハス他ノ總テノ國ノ國民ト違約國國民トノ間ノ一切ノ金融上通商上又ハ個人的交通ヲ防遏スヘキコトヲ約ス

聯盟理事會ハ前項ノ場合ニ於テ聯盟ノ約束擁護ノ爲使用スヘキ兵力ニ對スル聯盟各國ノ陸海又ハ空軍ノ分擔程度ヲ關係各國政府ニ提案スルノ義務アルモノトス

聯盟國ハ本條ニ依リ金融上及經濟上ノ措置ヲ執リタル場合ニ於テ之ニ基ク損失及不便ヲ最少限度ニ止ムル爲相互ニ支持スヘキコト、聯盟ノ一國ニ對スル違約國ノ特殊ノ措置ヲ抗拒スル爲相互ニ支持スヘキコト竝聯盟ノ約束擁護ノ爲協力スル聯盟國軍隊ノ版圖內通過ニ付必要ナル處置ヲ執ルヘキコトヲ約ス

聯盟ノ約束ニ違反シタル聯盟國ニ付テハ聯盟理事會ニ代表セラルル他ノ一切ノ聯盟國代表者ノ聯盟理事會ニ於ケル一致ノ表決ヲ以テ聯盟ヨリ之ヲ除名スル旨ヲ聲明スルコトヲ得

第十七條

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聯盟國ト非聯盟國トノ間又ハ非聯盟國相互ノ間ニ紛爭ヲ生シタルトキハ此ノ種紛爭解決ノ爲聯盟國ノ負フヘキ義務ヲ該非聯盟國カ聯盟理事會ノ正當ト認ムル條件ヲ以テ受諾スルコトヲ之ニ勸誘スヘシ勸誘ノ受諾アリタル場合ニ於テハ第十二條乃至第十六條ノ規定ハ聯盟理事會ニ於テ必要ト認ムル修正ヲ加ヘテ之ヲ適用ス

前項ノ勸誘ヲ爲シタルトキハ聯盟理事會ハ直ニ紛爭事情ノ審査ヲ開始シ當該事情ノ下ニ於テ最善且最有效ト認ムル行動ヲ勸吿スヘシ

勸誘ヲ受ケタル國カ此ノ種紛爭解決ノ爲聯盟國ノ負フヘキ義務ノ受諾ヲ拒ミ聯盟國ニ對シ戰爭ニ訴フル場合ニ於テハ第十六條ノ規定ハ該行動ヲ執ル國ニ之ヲ適用ス

勸誘ヲ受ケタル紛爭當事國ノ雙方カ此ノ種紛爭解決ノ爲聯盟國ノ負フヘキ議務ノ受諾ヲ拒ム場合ニ於テハ聯盟理事會ハ敵對行爲ヲ防止シ紛爭ヲ解決スヘキ措置及勸吿ヲ爲スコトヲ得

第十八條

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聯盟國カ將來締結スヘキ一切ノ條約又ハ國際約定ハ直ニ之ヲ聯盟事務局ニ登錄シ聯盟事務局ハ成ルヘク速ニ之ヲ公表スヘシ右條約又ハ國際約定ハ前記ノ登錄ヲ了スル迄其ノ拘束力ヲ生スルコトナカルヘシ

第十九條

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聯盟總會ハ適用不能ト爲リタル條約ノ再審議又ハ繼續ノ結果世界ノ平和ヲ危殆ナラシムヘキ國際狀態ノ審議ヲ隨時聯盟國ニ慫慂スルコトヲ得

第二十條

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聯盟國ハ本規約ノ條項ト兩立セサル聯盟國相互間ノ義務又ハ了解カ各自國ノ關スル限リ總テ本條約ニ依リ廢棄セラルヘキモノナルコトヲ承認シ且今後本規約ノ條項ト兩立セサル一切ノ約定ヲ締結セサルヘキコトヲ誓約ス

聯盟國ト爲ル以前本規約ノ條項ト兩立セサル義務ヲ負擔シタル聯盟國ハ直ニ該義務ノ解除ヲ得ルノ處置ヲ執ルコトヲ要ス

第二十一條

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本規約ハ仲裁裁判條約ノ如キ國際約定又ハ「モンロー」主義ノ如キ一定ノ地域ニ關スル了解ニシテ平和ノ確保ヲ目的トスルモノノ效力ニ何等ノ影響ナキモノトス

第二十二條

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今次ノ戰爭ノ結果從前支配シタル國ノ統治ヲ離レタル殖民地及領土ニシテ近代世界ノ激甚ナル生存競爭狀態ノ下ニ未タ自立シ得サル人民ノ居住スルモノニ對シテハ該人民ノ福祉及發達ヲ計ルハ文明ノ神聖ナル使命ナルコト及其ノ使命遂行ノ保障ハ本規約中ニ之ヲ包容スルコトノ主義ヲ適用ス

此ノ主義ヲ實現スル最善ノ方法ハ該人民ニ對スル後見ノ任務ヲ先進國ニシテ資源、經驗又ハ地理的位置ニ因リ最此ノ責任ヲ引受クルニ適シ且之ヲ受諾スルモノニ委任シ之ヲシテ聯盟ニ代リ受任國トシテ右後見ノ任務ヲ行ハシムルニ在リ

委任ノ性質ニ付テハ人民發達ノ程度、領土ノ地理的地位、經濟狀態其ノ他類似ノ事情ニ從ヒ差異ヲ設クルコトヲ要ス

從前土耳其帝國ニ屬シタル或部族ハ獨立國トシテ假承認ヲ受ケ得ル發達ノ程度ニ達シタリ尤モ其ノ自立シ得ル時期ニ至ル迄施政上受任國ノ助言及援助ヲ受クヘキモノトス前記受任國ノ選定ニ付テハ主トシテ當該部族ノ希望ヲ考慮スルコトヲ要ス

他ノ人民殊ニ中央阿弗利加ノ人民ハ受任國ニ於テ其ノ地域ノ施政ノ責ニ任スヘキ程度ニ在リ尤モ受任國ハ公ノ秩序及善良ノ風俗ニ反セサル限リ良心及信敎ノ自由ヲ許與シ、奴隸ノ賣買又ハ武器若ハ火酒類ノ取引ノ如キ弊習ヲ禁止シ竝築城又ハ陸海軍根據地ノ建設及警察又ハ地域防衞以外ノ爲ニスル土民ノ軍事敎育ヲ禁遏スヘキコトヲ保障シ且他ノ聯盟國ノ通商貿易ニ對シ均等ノ機會ヲ確保スルコトヲ要ス

西南阿弗利加及或南太平洋諸島ノ如キ地域ハ人口ノ稀薄、面積ノ狹小、文明ノ中心ヨリ遠キコト又ハ受任國領土ト隣接セルコト其ノ他ノ事情ニ因リ受任國領土ノ構成部分トシテ其ノ國法ノ下ニ施政ヲ行フヲ以テ最善トス但シ受任國ハ土著人民ノ利益ノ爲前記ノ保障ヲ與フルコトヲ要ス

各委任ノ場合ニ於テ受任國ハ其ノ委託地域ニ關スル年報ヲ聯盟理事會ニ提出スヘシ

受任國ノ行フ權限、監理又ハ施政ニ關シ豫メ聯盟國間ニ合意ナキトキハ聯盟理事會ハ各場合ニ付之ヲ明定スヘシ

受任國ノ年報ヲ受理審査セシメ且委任ノ實行ニ關スル一切ノ事項ニ付聯盟理事會ニ意見ヲ具申セシムル爲常設委員會ヲ設置スヘシ

第二十三條

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聯盟國ハ現行又ハ將來協定セラルヘキ國際條約ノ規定ニ遵由シ

(イ)自國內ニ於テ及其ノ通商產業關係ノ及フ一切ノ國ニ於テ男女及兒童ノ爲ニ公平ニシテ人道的ナル勞働條件ヲ確保スルニ力メ且之カ爲必要ナル國際機關ヲ設立維持スヘシ

(ロ)自國ノ監理ニ屬スル地域內ノ土著住民ニ對シ公正ナル待遇ヲ確保スルコトヲ約ス

(ハ)婦人及兒童ノ賣買竝阿片其ノ他ノ有害藥物ノ取引ニ關スル取極ノ實行ニ付一般監視ヲ聯盟ニ委託スヘシ

(ニ)武器及彈藥ノ取引ヲ共通ノ利益上取締ルノ必要アル諸國トノ間ニ於ケル該取引ノ一般監視ヲ聯盟ニ委託スヘシ

(ホ)交通及通過ノ自由竝一切ノ聯盟國ノ通商ニ對スル衡平ナル待遇ヲ確保スル爲方法ヲ講スヘシ右ニ關シテハ千九百十四年乃至千九百十八年ノ戰役中荒廢ニ歸シタル地方ノ特殊ノ事情ヲ考慮スヘシ

(ヘ)疾病ノ豫防及撲滅ノ爲國際利害關係事項ニ付措置ヲ執ルニ力ムヘシ

第二十四條

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一般條約ニ依ル既設ノ國際事務局ハ當該條約當事國ノ承諾アルニ於テハ總テ之ヲ聯盟ノ指揮下ニ屬セシムヘシ國際利害關係事項處理ノ爲今後設ケラルヘキ國際事務局及委員會ハ總テ之ヲ聯盟ノ指揮下ニ屬セシムヘキモノトス

一般條約ニ依リ規定セラレタル國際利害關係事項ニシテ國際事務局又ハ委員會ノ管理ニ屬セサルモノニ關シテハ聯盟事務局ハ當事國ノ請求ニ基キ聯盟理事會ノ同意ヲ得テ其ノ一切ノ關係情報ヲ蒐集頒布シ其ノ他必要又ハ望マシキ一切ノ援助ヲ與フヘシ聯盟理事會ハ聯盟ノ指揮下ニ屬セシメタル事務局又ハ委員會ノ經費ヲ聯盟事務局ノ經費中ニ編入スルコトヲ得

第二十五條

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聯盟國ハ全世界ニ亘リ健康ノ增進、疾病ノ豫防又苦痛ノ輕減ヲ目的トスル公認ノ國民赤十字篤志機關ノ設立及協力ヲ奬勵促進スルコトヲ約ス

第二十六條

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本規約ノ改正ハ聯盟理事會ヲ構成スル代表者ヲ出ス聯盟各國及聯盟總會ヲ構成スル代表者ヲ出ス過半數聯盟國之ヲ批准シタルトキ其ノ效力ヲ生スルモノトス

右改正ハ之ニ不同意ヲ表シタル聯盟國ヲ拘束スルコトナシ但シ此ノ場合ニ於テ當該國ハ聯盟國タラサルニ至ルヘシ

附屬書

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一 國際聯盟原聯盟國

亞米利加合衆國、白耳義國、「ボリヴィア」國、伯刺西爾國、英帝國、加奈陀、濠太利、南阿弗利加、新西蘭、印度、支那國、玖馬國、「エクアドル」國、佛蘭西國、希臘國、「グァテマラ」國、「ハイチ」國、「ヘヂァーズ」國、「ホンヂュラス」國、伊太利國、日本國、「リベリア」國、「ニカラグァ」國、巴奈馬國、祕露國、波蘭國、葡萄牙國、羅馬尼亞國、「セルブ、クロアート、スロヴェーヌ」國、暹羅國、「チエッコ、スロヴァキア」國、「ウルグァイ」國

聯盟規約ニ加盟ヲ招請セラレタル國

亞爾然丁國、智利國、哥倫比亞國、丁抹國、和蘭國、諾威國、「パラグァイ」國、波斯國、「サルヴァドル」國、西班牙國、瑞典國、瑞西國、「ヴェネズエラ」國

二 國際聯盟第一次事務總長

「サー、ジェームス、イーリック、ドラモンド」

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  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

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