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ルナ・オービター計画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ルナ・オービター (NASA)

ルナ・オービター計画: Lunar Orbiter program)は、アメリカ合衆国1966年から1967年に行った無人月探査機計画。アポロ計画のための月の地図作成が目的であった[1]。計5機が打ち上げられ、そのすべてが成功し、月の表面の99%を60m以上の解像度で撮影することができた。

最初の3回のミッションで、地球からの観測で選ばれた20ヶ所の着陸候補地を低傾斜角軌道で撮影した。後の2回のミッションでは高高度極軌道から科学観測目的で撮影された。ルナ・オービター4号は月の表側全てと裏側の95%を撮影し、ルナ・オービター5号月の裏側の残りを撮影し、予定された36の地域を中解像度(20m)、高解像度(2m)によって撮影した。全てのルナ・オービターはアトラス-アジェナDによって打ち上げられた。

ルナ・オービター計画の撮影システムは非常に複雑であった。まず、月面を撮影した後、軌道上にてフィルム現像を自動で行い、濃淡を帯状にアナログスキャンし、データを地上に送信する。地上では、データをモニターに表示し、それを再び撮影する。そして最後に、帯状の画像をつなぎ合わせて全体の画像を作成していた[2]

この計画によって、地球全体の写真がはじめて撮影され、1号機は月表面から地球の出(Earthrise)を撮影した[3]

機体

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ルナ・オービターの構造図 (NASA)

ルナ・オービターのメインバスは円錐台の形をしており、高さ1.65m、直径1.5mあった。宇宙機は三つのデッキにより構成されており、トラスアーチにより支えられていた。本体のデッキにはバッテリー、トランスポンダー、フライトプログラマ、慣性基準装置(IRU)、カノープススタートレッカー、コマンドデコーダー、マルチプレックスエンコーダー、進行波管増幅器(TWTA)および撮影システムが搭載されていた。四枚の太陽パネルがデッキの外側に取り付けられ、1.32mと2.08mのブームにはそれぞれハイゲインアンテナとローゲインアンテナが取り付けられた。装置デッキの上には中央デッキがあり、速度制御エンジン、推進剤酸化剤、加圧タンク、太陽センサー、宇宙塵探知機が搭載されていた。第三デッキにはエンジンの熱から機体を守るため熱シールドが搭載していた。エンジンのノズルはシールドの中央部から突き出していた。頂上のデッキの周囲には四つの姿勢制御スラスターが取り付けられていた。四つの太陽電池から供給される375Wの電力は直接宇宙機を動かし、また、N-Cバッテリーを充電した。バッテリーは太陽電池が使用できない短い期間に使用された。

フライト情報

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ルナ・オービターカメラ (NASA)

以下はルナ・オービター5機のフライト情報である[4]

  • ルナ・オービター1号
    • 打ち上げ: 1966年8月10日
    • 月の撮影: 1966年8月18日-29日
    • 月に衝突: 1966年10月29日
    • アポロ計画の着陸候補地の調査
  • ルナ・オービター2号
    • 打ち上げ: 1966年11月6日
    • 月の撮影: 1966年11月18日-25日
    • 月に衝突: 1967年10月11日
    • アポロ計画の着陸候補地の調査
  • ルナ・オービター3号
    • 打ち上げ: 1967年2月5日
    • 月の撮影: 1967年2月15日-23日
    • 月に衝突: 1967年10月9日
    • アポロ計画の着陸候補地の調査
  • ルナ・オービター4号
    • 打ち上げ: 1967年4月4日
    • 月の撮影: 1967年4月11日-26日
    • 月に衝突: 1967年10月31日(およそ)
    • 月面地図の作成
  • ルナ・オービター5号
    • 打ち上げ: 1967年8月1日
    • 月の撮影: 1967年8月6日-18日
    • 月に衝突: 1968年1月31日
    • 月面地図の作成

参考文献

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  1. ^ Bowker, David E. and J. Kenrick Hughes, Lunar Orbiter Photographic Atlas of the Moon [1], NASA SP-206 (1971).
  2. ^ 60年代の月面写真、最新技術で復元”. ナショナル ジオグラフィック. ナショナル ジオグラフィック協会 (2009年7月11日). 2023年11月27日閲覧。
  3. ^ Whole Earth”. Lunar Orbiter V. NASA. p. 352 (August 8, 1967). 2008年12月24日閲覧。 “Clearly visible on the left side of the globe is the eastern half of Africa and the entire Arabian peninsula.”
  4. ^ Hansen, T.P. (1970). Guide to Lunar Orbiter Photographs. Washington DC: NASA.

関連項目

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外部リンク

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