ソースせんべい
ソースせんべいは、日本の駄菓子の一つで、小麦粉、コーンスターチ、脱脂粉乳、甘味料などを混ぜて焼いて作られた煎餅[1]。
概要
[編集]メーカーによっては「花丸せんべい」「ミルクせんべい」などと呼ばれるが、1970年代の駄菓子屋では赤いパンダの印がデザインされた通称「赤パンダ印」の五十鈴製菓（埼玉県川口市）のソースせんべいが定番であった[2]。脱脂粉乳の使用は花丸せんべいのメーカーである花丸本舗（神奈川県横浜市）が1948年（昭和23年）に、当時の食糧難に際して子供たちの栄養を考慮して発案したもので、栄養豊富として好評を得た[3][4]。
主な食し方
[編集]単品ではあっさりした味でやや物足りないため、ソース、ジャム、蜂蜜、水飴などを塗って食べることが多く[5][6]、中でも梅ジャムを塗ることが定番であった[2]。街頭紙芝居に付き物の駄菓子としても定番であり[7]、昭和40年代の下町では紙芝居用のせんべいが盛んに作られていた[8]。当時は紙芝居師が、せんべい1枚1枚にソースを塗って子供たちに売っていた[1]。
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梅の花本舗の梅ジャム -
梅ジャムを塗ったソースせんべい -
「花丸せんべい」「ミルクせんべい」などが詰まれた菓子棚 -
ソースとセットで売られているソースせんべい
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小売形態
[編集]駄菓子屋では、主に小袋に入れられて袋入りのソースとセットで売られているが[1]、90枚から180枚入りの大量パック売りが主流となっている[2]。縁日の屋台でも人気であり、贅沢な高級菓子類の氾濫している現代だからこそ、素朴な味に子供たちが惹かれているようである[9]。
応用
[編集]なお食品以外の利用として、東京都立品川ろう学校教諭・堀田勝俊が聾児への音声教育として、ソースせんべいの欠片を上顎に貼って発声時の舌の位置を確認させる「ウエーファ・メソッド」と呼ばれる方法を考案しており、音声教育において良く知られている[10][11]。
脚注
[編集]- ^ a b c 奥成 1995, p. 172
- ^ a b c 初見 2006, pp. 86–87
- ^ “放送後記”. キニナル. 文化放送 (2014年9月14日). 2014年10月18日閲覧。
- ^ “横浜は「新しい文化のまち」株式会社花丸本舗 佐藤白砂さん”. ヨコハマNOW (2014年10月10日). 2014年10月18日閲覧。
- ^ 初見 2006, p. 135.
- ^ “駄菓子事典”. キャラメル横丁. マルホ. 2014年10月13日閲覧。
- ^ 初見 2006, p. 16.
- ^ “歴史（ソースせんべい）について”. 五十鈴製菓. 2014年10月13日閲覧。
- ^ 小沢昭一『裏みちの花』文藝春秋、1989年、98-100頁。ISBN 978-4-16-343600-5。
- ^ 城生佰太郎他編著『コンピュータ音声学』おうふう〈日本語教育学シリーズ〉、2001年、226頁。ISBN 978-4-273-03163-3。
- ^ “ウエハー（ミルクせんべい）”. 総合支援学校の教材・教具. 山口県. 2014年10月18日閲覧。
参考文献
[編集]- 奥成達『駄菓子屋図鑑』飛鳥新社、1995年。ISBN 978-4-87031-225-8。
- 初見健一『まだある。今でも買える“懐かしの昭和”カタログ』 駄菓子編、大空出版〈大空ポケット文庫〉、2006年。ISBN 978-4-903175-03-4。