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ゴールデン・スランバー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ビートルズ > 曲名リスト > ゴールデン・スランバー
ゴールデン・スランバー
ビートルズ楽曲
収録アルバムアビイ・ロード
英語名Golden Slumbers
リリース1969年9月26日
録音
ジャンルシンフォニック・ロック
時間1分31秒
レーベルアップル・レコード
作詞者レノン=マッカートニー
作曲者レノン=マッカートニー
プロデュースジョージ・マーティン
アビイ・ロード 収録曲
シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー
(B-7)
ゴールデン・スランバー
(B-8)
キャリー・ザット・ウェイト
(B-9)

ゴールデン・スランバー[注 1]」(原題 : Golden Slumbers)は、ビートルズの楽曲である。1969年9月に発売された11作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『アビイ・ロード』に収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、ポール・マッカートニーによって書かれた楽曲[1][2]。アルバム『アビイ・ロード』のB面の特徴であるメドレー「ザ・ロング・ワン」(The Long One)の6曲目で、メドレー後半のオープニングにあたる楽曲。1969年7月に「キャリー・ザット・ウェイト」と繋げてレコーディングされた。

背景

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マッカートニーが実父ジム(ジェームス・マッカートニー)の家で、ピアノを演奏しているときに、義妹ルース[注 2]のピアノ教本の中からトマス・デッカー英語版の「ゴールデン・スランバー」[注 3]という子守唄を発見した。この時のことをマッカートニーは「リヴァプールの父の家でピアノを弾いていた。譜面台にはピアノの練習をしていた妹のルースの教本がスタンドに立てかけてあって、それをパラパラとめくっていったら、『ゴールデン・スランバー』に行き当たったんだ。僕は楽譜が読めないし、この古い曲に覚えがなかった。だから自分で旋律を作ったんだ」「とにかく歌詞が気に入った。すごく安らげる、すごく美しい子守唄だと思ったからキープしておいたら、手持ちの別の曲の断片とうまく合わさった」と語っている[5][1]

1969年1月9日にトゥイッケナム・スタジオ英語版でマッカートニーはピアノの弾き語りで、リンゴ・スターマル・エヴァンズに本作を聴かせた[6]。1956年にフランク・シナトラが発売したLPを引き合いに「そろそろ『ソングス・フォー・スウィンギン・ラヴァーズ英語版』のための新曲を用意しなくちゃ」という冗談を言ったマッカートニーは、本作のヴァース用に即興で複数のアイデアを出した。そこからお伽話っぽくしたいということから、「Once there was way to get back homeward...(昔、道があった、故郷へと帰る道)」という冒頭のフレーズが形づくられた[6]

レコーディング

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「ゴールデン・スランバー」のレコーディングは1969年7月2日に開始され[5]、「キャリー・ザット・ウェイト」と繋げてレコーディングされた。なお、この日のセッションでは、スコットランドでの自動車事故で負傷していたジョン・レノンは参加していない[6]。8トラック・レコーダーのトラック1にスターのドラム、トラック2にジョージ・ハリスンベース、トラック3にマッカートニーのピアノ、トラック8にマッカートニーのガイド・ボーカルが録音された[6]。同日に15回録音が行われたが、大半のテイクは途中で終わっている[6]。バッキング・トラックを作り出すにあたり、テイク13とテイク15の要素が編集でまとめられた[6]。翌日、トラック4に追加のドラムとマッカートニーのボーカルが録音され、追加のドラムはトラック1に録音されたオリジナルのドラムとミックスするために、2本目のテープで2種類のリダクション・ミックスが作成され、よりよい出来と判断されたテイク17がオーバー・ダビング用に使用されることとなった[6]

7月31日にドラムやティンパニ、もう1つのリード・ボーカル[7]、8月15日にオーケストラがトラック8にオーバーダビングされた[8][6]。オーケストラのパートは、最後のミキシング作業時にADTで増強されており、オリジナルのアンサンブルと少し遅れて聴こえるADT版は、ステレオ音像の両サイドに配置された[6]

クレジット

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※出典[6]

ビートルズ
外部ミュージシャン

カバー・バージョン

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脚注

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注釈

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  1. ^ 正確な題名は「ゴールデン・スランバー」だが、日本版LP発売の際に付けられた「ゴールデン・スランバー」という邦題がそのまま使用されている。
  2. ^ 実母メアリーは、マッカートニーが14歳の時に乳癌で死亡しているが、このアルバムの製作中に実父ジムが再婚した、女性の連れ子
  3. ^ 歌詞の初出は、デッカーとヘンリー・チェトル英語版ウィリアム・ホートン英語版が書いた1599年の戯曲『忍耐強いグリシルの楽しい喜劇英語版』。その後、W.J.ヘンダーソンが曲をつけて、1885年に発売された『セント・ニコラス曲集』に「ゴールデン・スランバーズ・キス・ユア・アイズ(Golden Slumbers Kiss Your Eyes)」というタイトルで収録された。ピーター・ウォーロックも1918年にこの詩に曲を付けており、他にチャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードアルフレード・カゼッラによる作曲もある[3]。デッカーによる原詩は以下の通り。

    Golden slumbers kiss your eyes,
    Smiles awake you when you rise.
    Sleep, pretty wantons; do not cry,
    And I will sing a lullaby:
    Rock them, rock them, lullaby.

    Care is heavy, therefore sleep you;
    You are care, and care must keep you;
    Sleep, pretty wantons; do not cry,
    And I will sing a lullaby:
    Rock them, rock them, lullaby.[4]

  4. ^ キャリー・ザット・ウェイト」とのメドレー形式

出典

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  1. ^ a b Miles 1997, p. 557.
  2. ^ Sheff 2000, p. 203.
  3. ^ Lullaby for voice & piano - Peter Warlock - Details, Parts / Movements and Recordings - AllMusic”. AllMusic. 2022年6月25日閲覧。
  4. ^ Collier, J.P., ed (1841). Patient Grissil: a comedy by T. Dekker, H. Chettle and W. Haughton. Reprinted from the Black Letter Edition of 1603. With an introduction and notes. London: F. Shoberl, Jun.. p. 61 
  5. ^ a b Lewisohn 1988, p. 178.
  6. ^ a b c d e f g h i j Abbey Road 2019, p. 13.
  7. ^ Lewisohn 1988, p. 183.
  8. ^ Lewisohn 1988, p. 184.
  9. ^ Claudine Longet - Run Wild, Run Free (1970, Vinyl)”. Discogs. Zink Media. 2020年9月13日閲覧。
  10. ^ Lou Rawls - Live At The Century Plaza (1973, Vinyl)”. Discogs. Zink Media. 2020年9月13日閲覧。
  11. ^ 新刊楽譜:武満徹による2つの編曲作品 ピアノのための《ゴールデン・スランバー》、弦楽四重奏のための《枯葉》”. ショット・ミュージック (2016年10月25日). 2017年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月23日閲覧。
  12. ^ 高橋アキ プレイズ ハイパー・ビートルズ volume I”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード (2017年6月30日). 2019年9月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月23日閲覧。
  13. ^ 映画『SING/シング』のサウンドトラック、国内盤には長澤まさみらが参加”. NME Japan. BandLab UK (2017年3月2日). 2020年9月12日閲覧。

参考文献

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  • ハウレット, ケヴィン (2019). アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション) (ブックレット). アップル・レコード.
  • Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. ISBN 0-517-57066-1 
  • MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). p. 355. ISBN 1-84413-828-3 
  • Miles, Barry (1997). Paul McCartney: Many Years From Now. New York: Henry Holt & Company. ISBN 0-8050-5249-6 
  • Sheff, David (2000). All We Are Saying. New York: St. Martin's Press. ISBN 0-312-25464-4 

外部リンク

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