1989年の全日本F3選手権
1989年の全日本F3選手権 | |||
前年: | 1988 | 翌年: | 1990 |
1989年の全日本F3選手権(1989ねんのぜんにほんF3せんしゅけん)は、1989年(平成元年)3月4日 - 5日に鈴鹿サーキットで開幕し、同年11月5日 - 6日に鈴鹿サーキットで閉幕した全9戦による1989年シーズンの全日本F3選手権である。
シリーズチャンピオンは影山正彦が獲得した。
概要
[編集]ブリヂストンによるワンメイク・コントロールタイヤでの2年目を迎えた。当初は全10戦、うち7戦の有効ポイント制で争われる予定だったが、第4戦仙台ハイランド決勝レースが濃霧の為中止となったため、全9戦のシリーズとなり有効ポイントもベスト7戦からベスト6戦のポイント適用へと規定変更された[1]。また、10月20日 - 22日に開催された『F1日本グランプリ』のサポートレースとして1戦行われたが、このレースは全日本選手権には含まれない。
参加台数も増え、スポンサー企業も大いに興味を示すカテゴリーへと成長した全日本F3は、優れたチーム体制を後ろ盾にしなければ勝てないレベルに達していた[2]。F3参戦3年目となる影山正彦(レイトンハウス/ラルト・無限)が開幕戦でF3初優勝を挙げると、以後富士・鈴鹿と3連勝を決めてシーズンをリードした。第5戦筑波では影山がスタートでのジャンプスタートペナルティを受けた好機を逃さなかった村松栄紀(GEARBOX Footwork ラルト・無限)がF3初優勝を挙げ、ベテラン佐藤浩二も毎戦確実にポイントを積み上げてポイントリーダーの影山28ポイント、村松22ポイント、佐藤20ポイントと上位3人の差が詰まった。しかし影山も第6戦SUGO、第8戦鈴鹿グレート20と勝利を挙げ振りきり、ベスト6戦の有効ポイント制の中で5勝を挙げる強さを発揮しチャンピオンを確定させた。
参戦マシンの勢力はラルト・RT33と無限・MF204エンジンの組合せが89シーズンの最も大きい勢力で最強パッケージとなったが[3]、レイナード製シャシーも常に10台前後参戦。この年からはイタリアで結果を残していたダラーラ製F3シャシーがエリック・バシュラールによりフルシーズン参戦し、ダラーラ初の全日本フル参戦となった。
無限エンジンが開幕から全勝する中、第7戦レース・ド・ニッポン筑波ではフォルクスワーゲン・GXエンジンの服部尚貴が初優勝を挙げる。第7戦から連続で表彰台を獲得した20歳のF3ルーキー・金石勝智(シカゴピザ → カワイスチールラルト)、トヨタエンジン勢のエース格として戦った黒沢琢弥(トムス)、中盤以後新スポンサーカプコンを得て調子を上げ最終戦で表彰台に立った和田久などの走りもトピックとなった。同シーズンは18歳の中野信治(戸田レーシング、最高位7位)が全日本F3にデビューしたシーズンでもあった。このほかF3ルーキーは前述の金石('88鈴鹿FJ1600-Aチャンピオン)、藤永敬道('88鈴鹿1600-Bおよび西日本FJ1600チャンピオン)、石川朗('88筑波FJ1600チャンピオン)、細野智行('88東北FJ1600チャンピオン)、カート出身の加藤徹、前年終盤にスポット参戦でF3デビューした近藤真彦は名門IMPULのバックアップを受け初のフル参戦となった。シーズン終盤には鈴鹿FJ1600トップランカー田中哲也もF3への参戦を開始した。
1989年はF1を筆頭とする日本におけるモータースポーツブームの盛り上がりもあり、多くの企業がスポンサーとして全日本F3にも参入。エントリー台数も毎レース45から50台にまで増加。毎戦予選落ちが15人近く出るなど活況を呈した[4]。
エントリーリスト
[編集]車番 | ドライバー | シャシー | エンジン | エントラント/チーム |
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1 | 佐藤浩二 | ラルト・RT33 | 無限・MF204 | SUPER HAKKA RACING WORKS |
2 | 土屋圭市 | レイナード・893 | トヨタ・3S-G | エンドレスプロジェクト |
3 | 粕谷俊二 (Rd.2-10) | ラルト・RT33 | 日産・CA18D | SUPER EVOLUTION RACING TEAM |
4 | 岡田晃典 (Rd.6-10) | レイナード・893 | トヨタ・3S-G | ICM ビュアリーヌRACING ASSOCIATES |
4 | 田中三秋 (Rd.5) | レイナード・873 | トヨタ・3S-G | IPF |
5 | 金石勝智 | ラルト・RT33 | 無限・MF204 | CHICAGO KAWAI LE GARAGE COX |
6 | 嶋村健太 | ラルト・RT32 | フォルクスワーゲン・GX → 無限・MF204 |
AT HOME LE GARAGE COX |
7 | 黒沢琢弥 (Rd.1) → 舘善泰 (Rd.2-10) |
レイナード・893 (Rd.1) → ラルト・RT33 (Rd.2) |
トヨタ・3S-G | Taka-Q トムス |
8 | 舘善泰 (Rd.1) → 黒沢琢弥 (Rd.2) |
ラルト・RT33 | トムス | |
8 | 田中壮一郎 (Rd.5,8) | ラルト・RT31 | 日産 | カーマスター時間割 |
9 | 伊東薫 (Rd.1-3) → 相馬智宏 (Rd.5,7) → 砂子智彦 (Rd.6) → 新田守男 (Rd.8) → ジョバンナ・アマティ (Rd.10) |
ラルト・RT32 | トヨタ・3S-G | D-Glatt with TOM'S (Rd.1-7) INNOMA HOUSE GOLD (Rd.8,10) |
10 | 石川朗 | ラルト・RT32 | トヨタ・3S-G | D-Glatt with TOM'S |
11 | 粕谷俊二 (Rd.1) | ラルト・RT31 | 日産・CA18D | LEVOC SERT |
11 | 荻原英明 (Rd.2-10) | ラルト・RT31 | フォルクスワーゲン・GX | BOSE HAGIWARA RACING |
12 | 中島禎史 | ラルト・RT31 | 無限・MF204 | OMMGスポーツ |
13 | 奥貫直 | ダラーラ・F388 (Rd.1-6) →ダラーラ・F389 (Rd.7-10) |
日産・CA18D → 無限・MF204 |
Ikegami SUNTEC |
15 | 門内常由 (Rd.1,3,8) | ラルト・RT30-86 (Rd.1,3) → ラルト・RT31 (Rd.8) |
スタジオ・エフ | |
16 | 影山正彦 | ラルト・RT33 | 無限・MF204 | LEYTONHOUSE RACING |
17 | 夏川竜一 | ラルト・RT33 | 無限・MF204 | CHERENA RACING |
18 | 若杉直樹 | ラルト・RT31 | フォルクスワーゲン・GX | ロイヤルクック FV100 |
19 | 西沢ひろみ | レイナード・873 | フォルクスワーゲン・GX | HKS CO.LTD |
20 | 中野信治 | ラルト・RT31 | 無限・MF204 | 戸田レーシング |
21 | 見崎清志 | ラルト・RT32 | トヨタ・3S-G | JTR Racing |
22 | 和田久 (Rd.6-10) | ラルト・RT33 | 無限・MF204 | CAPCOM RACING |
23 | 萩原英明 (Rd.1) | ラルト・RT31 | BOSE タケシタオート | |
24 | 橋本元志 (Rd.1-3) | ラルト・RT31 | NIKKEI & ZOOM | |
25 | 水野文則 | ラルト・RT31 → ラルト・RT33 (Rd.5-6) |
無限・MF204 | アバハウス |
26 | 萩原修 | レイナード・883 | トヨタ・3G-S | GAB バルボリンERI |
27 | 小倉良幸 (Rd.8) | レイナード・883 | バルボリン・ファルコン | |
28 | 浜名雅一 | ラルト・RT32 | トヨタ・3S-G | トレド246 |
30 | 近藤真彦 | ラルト・RT32 | 日産・CA18D | IMPUL ホシノレーシング |
31 | 兵頭秀二 | レイナード・893 (Rd.1,3-10) → ラルト・RT32 (Rd.2) |
日産・CA18D | athomeマイルームガイド Garage茶畑 |
32 | 木下隆之 | ラルト・RT32 | 日産・CA18D | オロナミンC TOMEI |
33 | 藤永敬道 | ラルト・RT31 | トヨタ・3S-G | Ban Fan with APEX(Rd.1-2) Daiichi Racing (Rd.3-10) |
34 | 松井茂樹 | レイナード・893 | トヨタ・3S-G | 旺文社ハイトップRacing |
35 | 田嶋栄一 (Rd.1) | ラルト・RT31 | フォルクスワーゲン・GX | |
36 | 吉川信司 (Rd.2-3) | ラルト・RT32 | BULOVA RT | |
37 | 高杉好成 (Rd.5) | ラルト・RT31 | トヨタ・3S-G | |
37 | 伊藤直澄 (Rd.7-10) | ラルト・RT33 | 無限・MF204 | GIZA HOUSE |
38 | 岡本幸夫 (Rd.6) | ラルト・RT31 | トヨタ・3S-G | |
39 | 森谷賢二 (Rd.10) | レイナード・893 | BABA INDUSTRY | |
41 | 片野富英 (Rd.2,6) | カタノ・FZ-31 | レーシングポスト カタノ | |
43 | 黒沢琢弥 (Rd.3-10) | ラルト・RT33 | トヨタ・3S-G | CITY LIFE43 TOM'S |
44 | 田中篤 (Rd.1,9) | レイナード・853 → ラルト・RT32 |
クロスグラフィック (Rd.1) → Bear Speed (Rd.9) | |
45 | 田中哲也 (Rd.8-10) | ラルト・RT33 (Rd.9) → ラルト・RT32 (Rd.8,10) |
無限・MF204 (Rd.9) → トヨタ・3S-G (Rd.8,10) |
GIZA HOUSE (Rd.9) → メガネスーパー (Rd.8,10) |
46 | 森谷賢二 (Rd.9) | レイナード・893 | BABA CORP DY | |
47 | 水野文則 (Rd.7-10) | ラルト・RT33 | Abahouse | |
55 | 村松栄紀 | ラルト・RT33 | 無限・MF204 | Footwork FORMULA |
56 | 坂本桂一 | レイナード・873 (Rd.1-3) → ラルト・RT33 (Rd.5-10) |
トヨタ・3S-G (Rd.1-6) → 無限・MF204 (Rd.7-10) |
サムシンググッド |
57 | 伊藤直澄 (Rd.1-3) | ラルト・RT31 | 浜松GIZA SPORTS | |
59 | 前田信哉 (Rd.3,8,10) | ラルト・RT32 | トヨタ・3S-G | |
65 | 加藤徹 | レイナード・873 | トヨタ・3S-G | I.PROGRESS オートビューレック |
66 | 古谷直広 | レイナード・883 | トヨタ・3S-G | |
69 | 大村誠二 (Rd.10) | レイナード・883 | パワーステーション with Takeshiプロジェクト | |
70 | エリック・バシュラール | ダラーラ・F389 | アルファロメオ → トヨタ・3S-G → 無限・MF204 |
ドミノピザ SUNTEC |
71 | 井上俊一 (Rd.1,7) | ラルト・RT3 | 日産・FJ20 | ダグラック |
72 | 戸田哲史 | ラルト・RT31 | フォルクスワーゲン・GX | キムラエンジニアリング |
73 | 高杉好成 (Rd.6) | ラルト・RT31 | トヨタ・3S-G | |
77 | 羽根幸浩 | レイナード・893 | 無限・MF204 | CLUB ANGLE フナキレーシング |
80 | 細野智行 | ラルト・RT31 | トヨタ・3S-G | VAN ジュライ ナイン レーシング |
84 | 森本晃生 | レイナード・893 | 日産・CA18D | CABIN RACING with Le Mans |
85 | 原貴彦 | ラルト・RT33 | 無限・MF204 | CABIN RACING |
86 | 小幡栄 (Rd.2-6,8) → 渡辺光将 (Rd.7,9-10) |
ラルト・RT32 | フォルクスワーゲン・GX | イエローハットレーシング |
87 | 田嶋栄一 (Rd.2-10) | レイナード・893 | トヨタ・3S-G | REGAL ACTIVE |
88 | 佐々木秀六 | レイナード・893 | 無限・MF204 | CLUB ANGLE フナキレーシング |
98 | 服部尚貴 | ラルト・RT33 | フォルクスワーゲン・GX | 浅田飴 LE GARAGE COX |
99 | 和田久 (Rd.1-4) → 大井貴之 (Rd.10) |
ラルト・RT32 | LE GARAGE COX (Rd.1-4) VWアジアMS ショパール/TAC (Rd.10) |
スケジュールおよび勝者
[編集]決勝日 | 開催イベント | 優勝者/マシン | ポールポジション | ファステストラップ | |
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第1戦 | 3月5日 | 鈴鹿BIG2&4 | 影山正彦 ラルト・無限 | 影山正彦 | |
第2戦 | 4月16日 | 富士インターナショナルフォーミュラ | 影山正彦 ラルト・無限 | 影山正彦 | |
第3戦 | 5月28日 | 鈴鹿フォーミュラジャパン | 影山正彦 ラルト・無限 | 影山正彦 | |
第4戦 | 6月18日 | 西仙台ハイランドF3チャンピオンシップ | 濃霧のため中止 | 土屋圭市 | 中止 |
第5戦 | 7月02日 | 筑波サーキットチャレンヂカップレース | 村松栄紀 ラルト・無限 | 影山正彦 | 村松栄紀 |
第6戦 | 7月30日 | SUGO フォーミュラ選手権レース大会 | 影山正彦 ラルト・無限 | 影山正彦 | |
第7戦 | 8月20日 | 筑波レース・ド・ニッポン | 服部尚貴 ラルト・VW | 服部尚貴 | |
第8戦 | 9月24日 | 鈴鹿グレート20ドライバーズレース | 影山正彦 ラルト・無限 | 影山正彦 | |
第9戦 | 10月15日 | 西日本サーキットレース・オブ・フォーミュラ | 佐藤浩二 ラルト・無限 | 影山正彦 | |
F1日本GP | 10月22日 | 鈴鹿サーキット | 佐藤浩二 ラルト・無限 | 影山正彦 | |
第10戦 | 11月5日 | スーパーファイナルラウンド in SUZUKA | 佐藤浩二 ラルト・無限 | 佐藤浩二 |
シリーズポイントランキング
[編集]順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6 |
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ポイント | 9 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 |
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※第4戦西仙台ハイランドは悪天候(濃霧)のため決勝中止。