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|種 = '''マハタ''' ''E. septemfasciatus''{{Sfn|市場魚貝類図鑑}} |
|種 = '''マハタ''' ''E. septemfasciatus''{{Sfn|市場魚貝類図鑑}} |
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|学名 = ''[[w:Epinephelus septemfasciatus|Epinephelus septemfasciatus]]''<br/>(Thunberg, [[1793年|1793]]) |
|学名 = ''[[w:Epinephelus septemfasciatus|Epinephelus septemfasciatus]]''<br/>(Thunberg, [[1793年|1793]]) |
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|英名 = Grouper<br>Rock-cod<br>Seven band grouper |
|英名 = Grouper{{Efn2|''Grouper'' は中大型のハタ類全般を指す英名でもある{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}。}}<br>Rock-cod<br>Seven band grouper |
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|和名 = '''マハタ'''(真羽太) |
|和名 = '''マハタ'''(真羽太) |
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'''マハタ'''[真羽太 / 学名:''Epinephelus septemfasciatus'' (Thunberg, 1793) ]とは[[スズキ目]][[ハタ科]]に属する[[海水魚]]の1種 |
'''マハタ'''[真羽太 / 学名:''Epinephelus septemfasciatus'' (Thunberg, 1793) ]とは、[[スズキ目]][[ハタ科]]マハタ属に属する[[海水魚]]の1種{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。ハタの仲間の代表種である{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。 |
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高級魚として知られる[[クエ]]に近縁な種で{{Sfn|尾鷲市}}、本種も高級魚として取引されている{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。 |
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== 名称 == |
== 名称 == |
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「ハタ」とは「鰭」{{ |
「ハタ」とは「[[鰭 (魚類)|鰭]]」{{Efn2|「背鰭・胸鰭などに硬い棘があり、目立つため」とされる{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。}}もしくは「斑(はん)のある魚」という意味{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。[[田中茂穂 (生物学者)|田中茂穂]]『魚』(1940年・[[創元社]])によれば、「マハタ」の[[和名]]の由来は「ハタ類の中で最も美味、または最も多い」という意味である{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。 |
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=== 地方名 === |
=== 地方名 === |
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多くの[[地方名]]があ |
多くの[[地方名]]がある。主に[[東日本]]では'''ハタ'''{{Efn2|福井県など{{Sfn|永岡書店|2016|p=222}}。}}や'''ホンハタ'''、[[西日本]]では'''アラ'''{{Efn2|山口県下関、[[長崎県]][[雲仙市]][[小浜町 (長崎県)|小浜]]など{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。またクエも[[福岡県]]・[[佐賀県]]・山口県などで「アラ」の地方名で呼ばれるほか<ref name="クエ">{{Cite web|url=https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%82%AF%E3%82%A8|title=魚類 > クエ|accessdate=2020-04-13|publisher=ぼうずコンニャク株式会社(取締役:藤原昌高)|website=市場魚貝類図鑑|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413081326/https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%82%AF%E3%82%A8|archivedate=2020-04-13}}</ref>、同じハタ科には[[アラ (魚)|標準和名「アラ」の魚]]も別に存在する<ref>{{Cite web|url=https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%82%A2%E3%83%A9|title=魚類 > アラ|accessdate=2020-04-13|publisher=ぼうずコンニャク株式会社(取締役:藤原昌高)|website=市場魚貝類図鑑|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413063242/https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%82%A2%E3%83%A9|archivedate=2020-04-13}}</ref>。}}と呼称される{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}。 |
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和歌山で'''スジアク'''{{Sfn|永岡書店|2016|p=222}}、[[関西]]では'''マス'''{{Sfn|永岡書店|2016|p=222}}{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}、[[三重県|三重]]では'''ホンマス'''、長崎では'''シマアラ'''、[[能登半島|能登]]では'''カケバカマ'''、福岡では'''タカバ'''、鹿児島では'''シマモウオ'''{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}、[[沖縄県|沖縄]]では'''アーラミーバイ'''と呼ばれる{{Sfn|永岡書店|2016|p=222}}。また三重県[[志摩市]][[志摩町和具|和具]]では'''ハタジロ'''{{Efn2|「ハタジロ」の地方名は名古屋・大阪・高知でも用いられる{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}。}}および'''ハタジロマス'''、[[山口県]]([[下関漁港|下関]])では'''タカバ'''の地方名で呼ばれる{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。 |
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== 特徴 == |
== 特徴 == |
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全長180 [[センチメートル|cm]]、[[体重]]100 [[キログラム|kg]]超に達する{{Efn2|2005年8月21日に田原泰文が[[沖縄県]]の与那国島沖で全長180 cm・体重114 kgの老成魚(カンナギ)を釣り上げた記録がある<ref name="fishing">{{Cite web|url=https://www.tv-osaka.co.jp/ip4/the_fishing/lineup/1185826_1588.html|title=180センチ114キロ!与那国沖の巨大魚!!|date=2005-09-24|accessdate=2020-04-13|publisher=[[テレビ大阪]]|website=[[THE フィッシング]]|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413114323/https://www.tv-osaka.co.jp/ip4/the_fishing/lineup/1185826_1588.html|archivedate=2020-04-13}}</ref>ほか、八重山諸島沖合の「沖縄舟状海盆」(水深200 - 300 m)では全長140 kg前後の特大個体が釣れた記録もある{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}。}}{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}。 |
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魚体は背鰭基部で最も高くなる{{Sfn|中坊|2018|p=234}}。体色は茶褐色で7 - 8本の暗色横帯があ |
魚体は[[背びれ|背鰭]]基部で最も高くなる{{Sfn|中坊徹次|2018|p=234}}。体色は茶褐色で、7 - 8本の暗色横帯がある{{Sfn|中坊徹次|2018|p=234}}。その横帯(褐色の横縞)の太さは不揃いで{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、後ろから2番目{{Efn2|name="後ろから2番目"|尻鰭付近<ref name="西川"/>。}}は2分する(個体差がある){{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=51}}。全長40 cmまでの若魚では全体が淡い紫褐色で、側面には7本の暗褐色の帯(横縞)があるが、体色は成長とともに黒っぽくなり、全長100 cmほどにまで成長した老成魚はほぼ真っ黒になる{{Sfn|豊田直之|西山徹|本間敏弘|2016|p=128}}。鼻孔は前方より後方の方がはるかに大きく{{Efn2|後ろの鼻孔の直径は、鼻孔後縁から眼窩縁までの距離に等しいか、それより短い{{Sfn|中坊徹次|2018|p=234}}。}}、[[魚類用語#前鰓蓋骨|前鰓蓋骨]]の後方下縁に棘が数本ある点も本種の特徴である<ref>{{Cite web|url=https://kotobank.jp/word/%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%82%BF-137061|title=マハタとは|accessdate=2020-04-14|publisher=[[朝日新聞出版]]|website=[[コトバンク]]|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200414133153/https://kotobank.jp/word/%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%82%BF-137061|archivedate=2020-04-14}}</ref>。 |
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本種や[[#マハタモドキ]](後述)の老成魚は'''[[かんなぎ|カンナギ]]'''と呼ばれる{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=52}}<ref name="西川"/>。本種は尾鰭後縁および、臀鰭や背鰭の軟条に明瞭な白縁がある([[#類似種との相違点]])が、20 cm前後までの幼魚は尾鰭の白縁が不明瞭で、マハタモドキの幼魚{{Efn2|name="マハタモドキの幼魚"|石川皓章 (2010) は「瀬能宏から依頼を受け、[[伊豆半島]]沿岸各地(水深10 - 40 cm)で採取したマハタモドキの幼魚と思しき個体(全長20 - 25 cmで、尾鰭の縁が白くない個体)を10個体ほど送ったが、それらはすべてマハタの幼魚だった。瀬能もマハタモドキの幼魚がどんな姿なのかは確証が持てていないようだ」と述べている{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=60}}。}}と区別しにくい{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}。 |
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== 生息・分布 == |
== 生息・分布 == |
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水深110 - 300メートル |
水深110 - 300 [[メートル|m]]の[[岩礁]]・貝殻交じりの砂底に生息するが、特に水深160 mより浅い海域に多い{{Sfn|中坊徹次|2018|p=235}}。稚魚・幼魚は浅い[[磯]]・[[アマモ#アマモ場|アマモ場]]などにいるが{{Efn2|[[潜水|ダイビング]]をすると幼魚は水深4 - 5 m程度、40 cm程度の若魚は水深20 mほどで観察できる<ref name="西川"/>。}}<ref name="honda">{{Cite web|url=https://www.honda.co.jp/fishing/picture-book/mahata/|title=釣魚図鑑(特徴・仕掛け・さばき方) > マハタの特徴|accessdate=2020-04-13|publisher=[[本田技研工業]]|website=Honda釣り倶楽部|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413113940/https://www.honda.co.jp/fishing/picture-book/mahata/|archivedate=2020-04-13}}</ref>、大型化するにつれて深場へ移動し{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、1 mを超える老成魚は水深100 mを超える[[深海]]に生息する<ref name="honda"/>。 |
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大型ハタ類では最も北にまで生息する種で{{Sfn|藤原|2013|p=109}}、日本では[[太平洋]] |
大型ハタ類では最も北にまで生息する種で{{Sfn|藤原昌高|2013|p=109}}、日本では[[太平洋]]([[仙台湾]]から[[南九州|九州南岸]]まで)、[[瀬戸内海]]、[[日本海]]([[北海道]]以南)および[[東シナ海]]、[[屋久島]]、[[石垣島]]北部、[[伊豆大島]]、[[小笠原諸島]]{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、[[沖縄トラフ|沖縄舟状海盆]]([[八重山列島|八重山諸島]]:与那国島・[[波照間島]]の沖合)に分布する{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}。日本国外では[[朝鮮半島]]南岸および[[済州島]]{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、[[浙江省]][[寧波]]([[中華人民共和国|中国]])、[[香港]]に分布する{{Sfn|中坊徹次|2018|p=235}}。 |
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== 生態 == |
== 生態 == |
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[[ファイル:MaHT.jpg|thumb|250px|幼魚]] |
[[ファイル:MaHT.jpg|thumb|250px|幼魚]] |
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飼育個体 |
飼育個体の[[体長]]は3歳で33 cm、8歳で50 cm、10歳で56 cmに成長し{{Sfn|中坊徹次|2018|p=234}}、体重は1歳で約200 [[グラム|g]]、2歳半で約1 kgになる<ref name="honda"/>。雌性先熟型の[[性転換]]を行い、[[雌|メス]]は体重4 kg前後で成熟し、10 kgを超えると[[雄|オス]]に性転換する<ref name="honda"/>。 |
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産卵期は夏{{ |
産卵期は夏{{Efn2|山口県から長崎県近海では6 - 7月{{Sfn|中坊徹次|2018|p=234}}、[[和歌山県]]では5月と考えられている{{Sfn|中坊徹次|2018|pp=234-235}}。}}で{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、主に夜に活発に活動するが、日中も活動する{{Sfn|永岡書店|2016|p=222}}。魚類・[[甲殻類]]・[[イカ]]{{Sfn|中坊徹次|2018|p=235}}・[[タコ]]類を食べる<ref name="honda"/>。同属のクエ<ref name="クエ交雑"/>・[[ヤイトハタ]]<ref>{{Cite journal|和書|journal=水産増殖 |author=村田修 |author2=板倉壮太 |author3=山本眞司 |author4=服部亘宏 |coauthor=倉田道雄・太田博巳・升間主計 |year=2017 |title=クエ ''Epinephelus bruneus'' × タマカイ ''E. lanceolatus'' の種間交雑と 交雑仔稚魚の成長 |volume=65 |url=https://doi.org/10.11233/aquaculturesci.65.93 |issue=1 |pages=93-95 |publisher=日本水産増殖学会 |language=ja |accessdate=2020-04-27 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413122105/https://www.jstage.jst.go.jp/article/aquaculturesci/65/1/65_93/_pdf|archivedate=2020-04-13}}</ref>・[[キジハタ]]{{Efn2|キジハタとの交雑種は「キマハタ」と呼ばれる{{Sfn|長崎県水産試験場研究報告|1989|p=5}}。}}と種間交雑することが知られるが{{Sfn|長崎県水産試験場研究報告|1989|p=5}}、三重県がマハタのオスとクエのメスで交配実験を試みた際には孵化率が66.0%で、未孵化率が21.7%と高かった<ref name="クエ交雑">{{Cite web|url=http://www.pref.mie.lg.jp/suigi/hp/15919017081.htm|title=クエ×マハタ交雑種の種苗生産 平成13年度日本水産学会春季大会講演要旨|author=土橋靖史|author2=栗山功(三重科技水)|author3=黒宮香美(三重県尾鷲栽培漁業センター)|accessdate=2020-04-13|publisher=三重県|date=2001年4月1日~5日|website=三重県 公式ウェブサイト|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413122014/http://www.pref.mie.lg.jp/suigi/hp/15919017081.htm|archivedate=2020-04-13}}</ref>。 |
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== 人間との関わり == |
== 人間との関わり == |
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=== 漁・釣り === |
=== 漁・釣り === |
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[[漁|漁業]]では[[定置網]]{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}・[[底曳網]]・[[釣り]]漁で漁獲される{{Sfn|中坊|2018|p=235}}。主な産地は福岡県・長崎県・山口県など |
[[漁|漁業]]では[[定置網]]{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}・[[底曳網]]・[[釣り]]漁で漁獲される{{Sfn|中坊徹次|2018|p=235}}。天然物は西日本([[九州]]など)に多い{{Efn2|主な産地は福岡県・長崎県・山口県など{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。}}が{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、沿岸[[生態系]]の上位に位置する大型[[肉食動物|肉食]]魚であることから、天然物の漁獲量は少なく{{Efn2|本種の天然個体は[[スーパーマーケット]]などには流通せず、寿司店・高級料理店などで扱われることが多い<ref>{{Cite news|title=ぷりっぷりの身がたっぷりの鍋に! 幻の高級魚マハタを狙え 外房・大原港沖|newspaper=[[朝日新聞デジタル]]&TRAVEL|date=2020-04-07|author=西田健作|url=https://www.asahi.com/and_travel/20200407/233954/|accessdate=2020-04-13|publisher=[[朝日新聞社]]|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413082535/https://www.asahi.com/and_travel/20200407/233954/|archivedate=2020年4月13日}}</ref>。}}{{Sfn|尾鷲市}}、年々減少傾向にある{{Sfn|藤原昌高|2013|p=109}}。 |
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漁獲量の少なさ・味の良さから高級魚として扱われている{{Sfn|尾鷲市}}。天然個体・養殖個体とも高価だが、その中でも天然の活魚はかなり高価である{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。また体重10 kgを超える個体は貴重で{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、稀に大物が市場に入荷すると1 kgあたり2万円を超えることもある{{Sfn|藤原昌高|2013|p=109}}。 |
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⚫ | また近縁な高級魚であるクエ{{Sfn|尾鷲市}}と並び、大物狙いの釣り人から人気が高い{{Sfn|永岡書店|2016|p=222}}。沖釣りでは生きた[[イワシ]]やイカ・[[ムロアジ]]などを[[釣り餌|餌]]に使う「泳がせ釣り」が一般的で<ref>{{Cite web|url=https://www.honda.co.jp/fishing/picture-book/mahata/trap01/|title=釣魚図鑑(特徴・仕掛け・さばき方) > マハタの仕掛け(沖釣り)|accessdate=2020-04-13|publisher=[[本田技研工業]]|website=Honda釣り倶楽部|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413120217/https://www.honda.co.jp/fishing/picture-book/mahata/trap01/|archivedate=2020-04-13}}</ref>、[[カサゴ]]・[[チダイ]]・[[メバル]]・[[ムツ]]などとともに釣れることが多いが、磯・[[防波堤]]でも釣れる{{Sfn|豊田|西山|本間|2016|p=128}}。ただし、[[相模湾]]など[[関東地方|関東]]近海では個体数が少ないためかほとんど釣れない{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。 |
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⚫ | また、近縁な高級魚であるクエ{{Sfn|尾鷲市}}と並び、大物狙いの釣り人から人気が高い{{Sfn|永岡書店|2016|p=222}}。沖釣りでは生きた[[イワシ]]やイカ・[[ムロアジ]]などを[[釣り餌|餌]]に使う「泳がせ釣り」が一般的で<ref>{{Cite web|url=https://www.honda.co.jp/fishing/picture-book/mahata/trap01/|title=釣魚図鑑(特徴・仕掛け・さばき方) > マハタの仕掛け(沖釣り)|accessdate=2020-04-13|publisher=[[本田技研工業]]|website=Honda釣り倶楽部|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413120217/https://www.honda.co.jp/fishing/picture-book/mahata/trap01/|archivedate=2020-04-13}}</ref>、[[カサゴ]]・[[チダイ]]・[[メバル]]・[[ムツ]]などとともに釣れることが多いが、磯・[[防波堤]]でも釣れる{{Sfn|豊田直之|西山徹|本間敏弘|2016|p=128}}。ただし、[[相模湾]]など[[関東地方|関東]]近海では個体数が少ないためか、ほとんど釣れない{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。 |
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=== 養殖 === |
=== 養殖 === |
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需要を満たすため[[養殖業|養殖]]が行われており{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、高級[[寿司屋|寿司店]]などで盛んに使われるようになっている{{Sfn|藤原|2013|p=109}}。養殖により入荷量は増加・安定したが、いまだに高級魚として取り扱われている{{Sfn|藤原|2013|p=109}}。2014年度(平成26年度)の種苗生産量は三重県が全国の約78%を占めているが、同県内のマハタは約80 - 90%が[[尾鷲市]]で生産されている{{Sfn|尾鷲市}}。 |
需要を満たすため[[養殖業|養殖]]が行われており{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、高級[[寿司屋|寿司店]]などで盛んに使われるようになっている{{Sfn|藤原昌高|2013|p=109}}。養殖により入荷量は増加・安定したが、いまだに高級魚として取り扱われている{{Sfn|藤原昌高|2013|p=109}}。2014年度(平成26年度)の種苗生産量は三重県が全国の約78%を占めているが、同県内のマハタは約80 - 90%が[[尾鷲市]]で生産されている{{Sfn|尾鷲市}}。 |
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以下の県で「[[プライドフィッシュ]]」として選定されている。 |
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* 三重県 - 県南部の[[熊野灘]]海域10漁場([[南伊勢町]] - [[熊野]]地区)で養殖された「三重の養殖マハタ」(旬:11月 - 3月)<ref>{{Cite web|url=http://www.pride-fish.jp/JPF/pref/detail.php?pk=1491534254|title=全国のプライドフィッシュ > 三重県 > 三重の養殖マハタ|accessdate=2020-04-13|publisher=[[全国漁業協同組合連合会]]|website=[[プライドフィッシュ]] 公式サイト|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413110600/http://www.pride-fish.jp/JPF/pref/detail.php?pk=1491534254|archivedate=2020-04-13}}</ref> |
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⚫ | * [[愛媛県]] - 「愛媛県認定漁業士協同組合」により、[[宇和島市|宇和島]]の[[リアス式海岸]]に面する海域で養殖された「愛育フィッシュ マハタ」(旬:12月 - 3月)<ref>{{Cite web|url=http://www.pride-fish.jp/JPF/pref/detail.php?pk=1450924634|title=全国のプライドフィッシュ > 愛媛県 > 愛育フィッシュ マハタ|accessdate=2020-04-13|publisher=[[全国漁業協同組合連合会]]|website=[[プライドフィッシュ]] 公式サイト|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413110603/http://www.pride-fish.jp/JPF/pref/detail.php?pk=1450924634|archivedate=2020-04-13}}</ref>。 |
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=== 食材 === |
=== 食材 === |
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見は透明感のある[[白身魚|白身]]で{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}旨味が濃く{{Sfn|藤原|2013|p=109}}、近縁種であるクエと身質特性の差異は少ない{{Sfn|尾鷲市}}。 |
見は透明感のある[[白身魚|白身]]で{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、旨味が濃く{{Sfn|藤原昌高|2013|p=109}}、近縁種であるクエと身質特性の差異は少ない{{Sfn|尾鷲市}}。味の評価は高く{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、大型個体ほど美味とされる{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。 |
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⚫ | 天然個体・養殖個体とも、旬は晩秋から晩春であるが、夏の産卵後以外は味が落ちない{{Efn2|夏を旬とする文献もある{{Sfn|中坊徹次|2018|p=235}}<ref name="honda"/>。}}{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。[[握り寿司]]{{Sfn|藤原昌高|2013|p=109}}・[[刺身]]{{Efn2|身が硬く締まっているため、薄造りが向く{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。}}・[[鍋料理]]{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}・[[煮物]](兜煮や[[粗|あら]]煮){{Sfn|市場魚貝類図鑑}}・焼き物などで食される{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}。[[西日本]]では切り身にしたものを湯引きし、[[酢味噌]]で食べる{{Sfn|藤原昌高|2013|p=109}}。 |
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== 類似種との相違点 == |
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⚫ | 天然個体・養殖個体とも |
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本種やクエは大型化すると体の模様が曖昧になり、区別が難しくなる<ref name="三重県"/>が、以下のような点で区別できる。以下の表では同じく類似種である[[#マハタモドキ]]も含め、3種の相違点について述べる。 |
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{| class="wikitable" style="text-align:center" |
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|+ |
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!身体的特徴 |
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!本種(マハタ) |
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!クエ |
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!マハタモドキ |
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|全長・体重(最大) |
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|約180 cm・100 kg超{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}} |
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|約135 cm・40 kg{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=52}} |
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|マハタと同様?(推測){{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=51}} |
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|体型 |
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|マハタより細長い<ref name="三重県"/>(体高が低い){{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=52}} |
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|マハタより体高がある{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=51}} |
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|- |
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|体色 |
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|茶褐色{{Sfn|中坊徹次|2018|p=234}}ないし小豆色<ref name="西川"/><ref name="横浜丸魚">{{Cite web|url=https://www.yokohama-maruuo.co.jp/food/%E6%AC%A1%E3%81%AE%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AF%E3%80%81%E3%82%AF%E3%82%A8%EF%BC%9F%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%82%BF%EF%BC%9F/20171124.html|title=旬の食材ブログ > 次のターゲットは、クエ?マハタ?|accessdate=2021-02-08|publisher=[[横浜丸魚]]株式会社|date=2017-11-24|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20210119131915/https://www.yokohama-maruuo.co.jp/food/%e6%ac%a1%e3%81%ae%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%82%b2%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%af%e3%80%81%e3%82%af%e3%82%a8%ef%bc%9f%e3%83%9e%e3%83%8f%e3%82%bf%ef%bc%9f/20171124.html|archivedate=2021-02-08}}</ref> |
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|茶褐色<ref name="クエ"/>ないし茶色<ref name="西川"/><ref name="横浜丸魚"/> |
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|体色はマハタより濃く{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=51}}、黒っぽい<ref name="マハタモドキ"/> |
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|体の模様 |
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|体の模様は斜めに流れない(横縞)<ref name="西川"/><br/>後ろから2番目の褐色の横縞<ref group="注" name="後ろから2番目"/>は2分する{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=51}} |
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|生時は背側に模様がある。<br/>頭寄り2本<ref name="横浜丸魚"/>(頭部と背)の太い帯模様は斜めに流れる{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=52}} |
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⚫ | |後ろから2番目の黒い横縞<ref group="注" name="後ろから2番目"/>は2分せず<ref name="マハタモドキ"/>、横縞は整然と並んでいる<ref name="西川">{{Cite web|url=https://www.padi.co.jp/scuba-diving/columns/familiar-fishes/4/|title=身近なおサカナの魚眼レポート 〜 第4回 クエ/ハタの仲間(後編)|accessdate=2020-04-13|publisher=[[PADI]]|author=西川守(PADIジャパン/大阪オフィススタッフ)|website=PADIジャパン|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413112921/https://www.padi.co.jp/scuba-diving/columns/familiar-fishes/4/|archivedate=2020-04-13}}</ref> |
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|鰭の縁取り |
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|尾鰭後縁{{Efn2|「本種は尾鰭後縁が白い点などでクエと区別できる」とする文献もあるが{{Sfn|中坊徹次|2018|p=234}}、「尾鰭後縁が白いか、白くないかではクエとの区別はできない」とする文献もある<ref name="三重県"/>。}}などに明瞭な白縁がある{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}<br/>境界は不明瞭<ref name="三重県">{{Cite web|url=http://www.pref.mie.lg.jp/suigi/hp/84866017673.htm|title=おさかな雑録 > No.93 マハタ 間違いなくマハタ|accessdate=2021-02-08|publisher=三重県|author=三重県 水産研究所 企画・水産利用研究課|date=2014-04-21|website=三重県公式ウェブサイト|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20210208131811/http://www.pref.mie.lg.jp/suigi/hp/84866017673.htm|archivedate=2021-02-08}}</ref> |
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|鰭の縁取りはマハタより狭く、境界は明瞭<ref name="三重県"/> |
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|尾鰭後縁に白縁はなく<ref name="西川"/>、尾鰭や背鰭・臀鰭は全体が暗色{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=51}} |
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|その他の特徴 |
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|目と口の後縁の位置はほぼ一致する<ref name="三重県"/> |
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|目の後縁より口の後縁の方が後方に位置する<ref name="三重県"/> |
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|眼径はマハタより1 - 2 [[ミリメートル|mm]]大きい{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=51}} |
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|} |
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== マハタモドキ == |
=== マハタモドキ === |
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本種は''Epinephelus'' 属(マハタ属)に属するが{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、'''マハタモドキ''' ''Hyporthodus octofasciatus'' (Griffin, 1926) <ref name="マハタモドキ">{{Cite web|url=https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%82%BF%E3%83%A2%E3%83%89%E3%82%AD|title=魚類 > マハタモドキ|accessdate=2020-04-13|publisher=ぼうずコンニャク株式会社(取締役:藤原昌高)|website=市場魚貝類図鑑|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413110553/https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%82%BF%E3%83%A2%E3%83%89%E3%82%AD|archivedate=2020-04-13}}</ref>とともに''Hyporthodus'' 属として独立させる学説もある{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。 |
本種は''Epinephelus'' 属(マハタ属)に属するが{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}、'''マハタモドキ''' ''Hyporthodus octofasciatus'' (Griffin, 1926) <ref name="マハタモドキ">{{Cite web|url=https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%82%BF%E3%83%A2%E3%83%89%E3%82%AD|title=魚類 > マハタモドキ|accessdate=2020-04-13|publisher=ぼうずコンニャク株式会社(取締役:藤原昌高)|website=市場魚貝類図鑑|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413110553/https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%82%BF%E3%83%A2%E3%83%89%E3%82%AD|archivedate=2020-04-13}}</ref>とともに''Hyporthodus'' 属として独立させる学説もある{{Sfn|市場魚貝類図鑑}}。 |
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マハタモドキは全長80 cm程度になる種で、島嶼の岩礁(水深30 - 350 m)に生息する{{Efn2|水深80 - 100 m以深での捕獲例が多い{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=51}}。}}<ref name="マハタモドキ"/>。日本では南日本の太平洋沿岸{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=51}}([[伊豆諸島]]{{Efn2|[[八丈島]]<ref name="マハタモドキ"/>および[[御蔵島]]の周辺海域で生息情報がある{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=51}}。}}・小笠原諸島、和歌山県[[白浜町|白浜]]沖、[[奄美大島]]、[[沖縄諸島]])に、海外では[[インド洋]]・[[太平洋]]海域に分布するが<ref name="マハタモドキ"/>、[[本州]]沿岸では極めて稀な種である{{Sfn|中坊徹次|2018|p=235}}。産卵場所・生態とも不明点が多いが、瀬能宏([[神奈川県立生命の星・地球博物館]]専門研究員)により、幼魚<ref group="注" name="マハタモドキの幼魚"/>も含めて水深100 m前後より深い海域で生活している可能性が指摘されている{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=60}}。島の周辺や沿岸沖合の深みなど、やや辺境な場所に多く、生息域はマハタより狭いと考えられている{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=51}}。 |
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関東の市場では「マハタ」として流通することが多く<ref name="マハタモドキ"/>、本種やマハタと思われる特大個体が釣れた際も、特に種を判別することなく「カンナギ」として記録されることが多い{{Sfn|石川皓章|瀬能宏|2010|p=50}}。本種もマハタと同様に、刺身・鍋などで美味な白身魚として、高値で取引される<ref name="マハタモドキ"/>。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
{{脚注ヘルプ}} |
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=== 注釈 === |
=== 注釈 === |
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{{Notelist2}} |
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{{Reflist|group="注"}} |
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=== 出典 === |
=== 出典 === |
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* {{Cite web|url=https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%82%BF|title=魚類 > マハタ|accessdate=2020-04-13|publisher=ぼうずコンニャク株式会社(取締役:藤原昌高)|website=市場魚貝類図鑑|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413063242/https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%82%A2%E3%83%A9|archivedate=2020-04-13|ref={{SfnRef|市場魚貝類図鑑}}}} |
* {{Cite web|url=https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%82%BF|title=魚類 > マハタ|accessdate=2020-04-13|publisher=ぼうずコンニャク株式会社(取締役:藤原昌高)|website=市場魚貝類図鑑|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413063242/https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%82%A2%E3%83%A9|archivedate=2020-04-13|ref={{SfnRef|市場魚貝類図鑑}}}} |
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* {{Cite web|url=https://owasekankou.com/feature/shun/mahata.html|title=尾鷲のマハタ|accessdate=2020-04-13|publisher=[[尾鷲市]]([[三重県]])|website=尾鷲まるごと観光物産WEB|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413073501/https://owasekankou.com/feature/shun/mahata.html|archivedate=2020-04-13|ref={{SfnRef|尾鷲市}}}} |
* {{Cite web|url=https://owasekankou.com/feature/shun/mahata.html|title=尾鷲のマハタ|accessdate=2020-04-13|publisher=[[尾鷲市]]([[三重県]])|website=尾鷲まるごと観光物産WEB|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413073501/https://owasekankou.com/feature/shun/mahata.html|archivedate=2020-04-13|ref={{SfnRef|尾鷲市}}}} |
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* {{Cite book|和書|title=海の魚大図鑑 <small>釣りが、魚が、海が、もっと楽しくなる</small>|publisher=[[辰巳出版|日東書院本社]]|date=2010-12-01|pages=50-51|ref={{SfnRef|石川皓章|瀬能宏|2010}}|author=著者:石川皓章|editor=編:隔週刊つり情報編集部|edition=初版第1刷|isbn=978-4528012103|author2=監修:瀬能宏}} |
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* {{Cite book| |
* {{Cite book|和書|title=すし図鑑|publisher=[[マイナビ出版|マイナビ]](発行人:中川信行)|date=2013-05-01|page=109|ref={{SfnRef|藤原昌高|2013}}|author=藤原昌高(ぼうずコンニャク)|url=https://book.mynavi.jp/ec/products/detail/id=22825|edition=初版第1刷発行|series=|accessdate=2020-04-13|isbn=978-4839943387|chapter=マハタ[羽太] 大型のハタの仲間ではもっとも北にまで生息}} |
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* {{Cite book|和書|author1=[[豊田直之]]|author2=[[西山徹]]|author3=[[本間敏弘]]|title=写真でわかる 釣り魚カラー図鑑|edition=新版|publisher=[[西東社]]|date=2016-03-02|url=http://www.seitosha.co.jp/book/isbn-9784791624690.html|page=128|isbn=978-4791624690|ref={{SfnRef|豊田|西山|本間|2016}}}} |
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* {{Cite book| |
* {{Cite book|和書|title=写真でわかる 釣り魚カラー図鑑|publisher=[[西東社]]|date=2016-03-02|page=128|ref={{SfnRef|豊田直之|西山徹|本間敏弘|2016}}|url=http://www.seitosha.co.jp/book/isbn-9784791624690.html|edition=新版|author1=[[豊田直之]]|isbn=978-4791624690|author2=[[西山徹]]|author3=[[本間敏弘]]}} |
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* {{Cite book|title= |
* {{Cite book|和書|author=永岡書店編集部(編著者)|title=釣った魚が必ずわかるカラー図鑑|publisher=[[永岡書店]](発行人:永岡修一)|date=2016-05-10|page=222|url=https://www.nagaokashoten.co.jp/book/9784522213728/|series=|isbn=978-4522213728|chapter=マハタ[真羽太] クエと並び1mを超える磯の怪物|ref={{SfnRef|永岡書店|2016}}}} |
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* {{Cite book|和書|title=日本魚類館|publisher=[[小学館]](発行人:杉本隆)|date=2018-03-25|editor=[[中坊徹次]](編・監修)|pages=234-235|ref={{SfnRef|中坊徹次|2018}}|url=https://www.shogakukan.co.jp/books/09208311|edition=初版第1刷発行|series=小学館の図鑑Z|isbn=978-4092083110}} |
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* {{Cite journal|和書|journal=長崎県水産試験場研究報告|author=宮原治郎|author2=荒川敏久|author3=高屋雅生|date=1989-03|title=マハタ属交雑種(キジハタ×マハタ,キジハタ×クエ)の幼魚期の成長と形態|volume=|url=https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010451322.pdf|issue=15|pages=5-11|publisher=長崎県総合水産試験場|language=ja|format=PDF|accessdate=2020-04-13|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413123126/https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010451322.pdf|archivedate=2020-04-13|ref={{SfnRef|長崎県水産試験場研究報告|1989}}}} |
* {{Cite journal|和書|journal=長崎県水産試験場研究報告|author=宮原治郎|author2=荒川敏久|author3=高屋雅生|date=1989-03|title=マハタ属交雑種(キジハタ×マハタ,キジハタ×クエ)の幼魚期の成長と形態|volume=|url=https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010451322.pdf|issue=15|pages=5-11|publisher=[[長崎県]]総合水産試験場|language=ja|format=PDF|accessdate=2020-04-13|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200413123126/https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010451322.pdf|archivedate=2020-04-13|ref={{SfnRef|長崎県水産試験場研究報告|1989}}}} |
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== 関連項目 == |
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[[Category:ハタ科]] |
[[Category:ハタ科]] |
2021年2月8日 (月) 15:34時点における版
マハタ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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マハタ
新江ノ島水族館飼育個体 | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Epinephelus septemfasciatus (Thunberg, 1793) | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
マハタ(真羽太) | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Grouper[注 1] Rock-cod Seven band grouper |
マハタ[真羽太 / 学名:Epinephelus septemfasciatus (Thunberg, 1793) ]とは、スズキ目ハタ科マハタ属に属する海水魚の1種[1]。ハタの仲間の代表種である[1]。
高級魚として知られるクエに近縁な種で[3]、本種も高級魚として取引されている[1]。
名称
「ハタ」とは「鰭」[注 2]もしくは「斑(はん)のある魚」という意味[1]。田中茂穂『魚』(1940年・創元社)によれば、「マハタ」の和名の由来は「ハタ類の中で最も美味、または最も多い」という意味である[1]。
地方名
多くの地方名がある。主に東日本ではハタ[注 3]やホンハタ、西日本ではアラ[注 4]と呼称される[2]。
和歌山でスジアク[4]、関西ではマス[4][2]、三重ではホンマス、長崎ではシマアラ、能登ではカケバカマ、福岡ではタカバ、鹿児島ではシマモウオ[2]、沖縄ではアーラミーバイと呼ばれる[4]。また三重県志摩市和具ではハタジロ[注 5]およびハタジロマス、山口県(下関)ではタカバの地方名で呼ばれる[1]。
特徴
全長180 cm、体重100 kg超に達する[注 6][2]。
魚体は背鰭基部で最も高くなる[8]。体色は茶褐色で、7 - 8本の暗色横帯がある[8]。その横帯(褐色の横縞)の太さは不揃いで[1]、後ろから2番目[注 7]は2分する(個体差がある)[10]。全長40 cmまでの若魚では全体が淡い紫褐色で、側面には7本の暗褐色の帯(横縞)があるが、体色は成長とともに黒っぽくなり、全長100 cmほどにまで成長した老成魚はほぼ真っ黒になる[11]。鼻孔は前方より後方の方がはるかに大きく[注 8]、前鰓蓋骨の後方下縁に棘が数本ある点も本種の特徴である[12]。
本種や#マハタモドキ(後述)の老成魚はカンナギと呼ばれる[13][9]。本種は尾鰭後縁および、臀鰭や背鰭の軟条に明瞭な白縁がある(#類似種との相違点)が、20 cm前後までの幼魚は尾鰭の白縁が不明瞭で、マハタモドキの幼魚[注 9]と区別しにくい[2]。
生息・分布
水深110 - 300 mの岩礁・貝殻交じりの砂底に生息するが、特に水深160 mより浅い海域に多い[15]。稚魚・幼魚は浅い磯・アマモ場などにいるが[注 10][16]、大型化するにつれて深場へ移動し[1]、1 mを超える老成魚は水深100 mを超える深海に生息する[16]。
大型ハタ類では最も北にまで生息する種で[17]、日本では太平洋(仙台湾から九州南岸まで)、瀬戸内海、日本海(北海道以南)および東シナ海、屋久島、石垣島北部、伊豆大島、小笠原諸島[1]、沖縄舟状海盆(八重山諸島:与那国島・波照間島の沖合)に分布する[2]。日本国外では朝鮮半島南岸および済州島[1]、浙江省寧波(中国)、香港に分布する[15]。
生態
飼育個体の体長は3歳で33 cm、8歳で50 cm、10歳で56 cmに成長し[8]、体重は1歳で約200 g、2歳半で約1 kgになる[16]。雌性先熟型の性転換を行い、メスは体重4 kg前後で成熟し、10 kgを超えるとオスに性転換する[16]。
産卵期は夏[注 11]で[1]、主に夜に活発に活動するが、日中も活動する[4]。魚類・甲殻類・イカ[15]・タコ類を食べる[16]。同属のクエ[19]・ヤイトハタ[20]・キジハタ[注 12]と種間交雑することが知られるが[21]、三重県がマハタのオスとクエのメスで交配実験を試みた際には孵化率が66.0%で、未孵化率が21.7%と高かった[19]。
人間との関わり
漁・釣り
漁業では定置網[1]・底曳網・釣り漁で漁獲される[15]。天然物は西日本(九州など)に多い[注 13]が[1]、沿岸生態系の上位に位置する大型肉食魚であることから、天然物の漁獲量は少なく[注 14][3]、年々減少傾向にある[17]。
漁獲量の少なさ・味の良さから高級魚として扱われている[3]。天然個体・養殖個体とも高価だが、その中でも天然の活魚はかなり高価である[1]。また体重10 kgを超える個体は貴重で[1]、稀に大物が市場に入荷すると1 kgあたり2万円を超えることもある[17]。
また、近縁な高級魚であるクエ[3]と並び、大物狙いの釣り人から人気が高い[4]。沖釣りでは生きたイワシやイカ・ムロアジなどを餌に使う「泳がせ釣り」が一般的で[23]、カサゴ・チダイ・メバル・ムツなどとともに釣れることが多いが、磯・防波堤でも釣れる[11]。ただし、相模湾など関東近海では個体数が少ないためか、ほとんど釣れない[1]。
養殖
需要を満たすため養殖が行われており[1]、高級寿司店などで盛んに使われるようになっている[17]。養殖により入荷量は増加・安定したが、いまだに高級魚として取り扱われている[17]。2014年度(平成26年度)の種苗生産量は三重県が全国の約78%を占めているが、同県内のマハタは約80 - 90%が尾鷲市で生産されている[3]。
以下の県で「プライドフィッシュ」として選定されている。
- 三重県 - 県南部の熊野灘海域10漁場(南伊勢町 - 熊野地区)で養殖された「三重の養殖マハタ」(旬:11月 - 3月)[24]
- 愛媛県 - 「愛媛県認定漁業士協同組合」により、宇和島のリアス式海岸に面する海域で養殖された「愛育フィッシュ マハタ」(旬:12月 - 3月)[25]。
食材
見は透明感のある白身で[1]、旨味が濃く[17]、近縁種であるクエと身質特性の差異は少ない[3]。味の評価は高く[2][1]、大型個体ほど美味とされる[1]。
天然個体・養殖個体とも、旬は晩秋から晩春であるが、夏の産卵後以外は味が落ちない[注 15][1]。握り寿司[17]・刺身[注 16]・鍋料理[2][1]・煮物(兜煮やあら煮)[1]・焼き物などで食される[2]。西日本では切り身にしたものを湯引きし、酢味噌で食べる[17]。
類似種との相違点
本種やクエは大型化すると体の模様が曖昧になり、区別が難しくなる[26]が、以下のような点で区別できる。以下の表では同じく類似種である#マハタモドキも含め、3種の相違点について述べる。
身体的特徴 | 本種(マハタ) | クエ | マハタモドキ |
---|---|---|---|
全長・体重(最大) | 約180 cm・100 kg超[2] | 約135 cm・40 kg[13] | マハタと同様?(推測)[10] |
体型 | マハタより細長い[26](体高が低い)[13] | マハタより体高がある[10] | |
体色 | 茶褐色[8]ないし小豆色[9][27] | 茶褐色[5]ないし茶色[9][27] | 体色はマハタより濃く[10]、黒っぽい[28] |
体の模様 | 体の模様は斜めに流れない(横縞)[9] 後ろから2番目の褐色の横縞[注 7]は2分する[10] |
生時は背側に模様がある。 頭寄り2本[27](頭部と背)の太い帯模様は斜めに流れる[13] |
後ろから2番目の黒い横縞[注 7]は2分せず[28]、横縞は整然と並んでいる[9] |
鰭の縁取り | 尾鰭後縁[注 17]などに明瞭な白縁がある[2] 境界は不明瞭[26] |
鰭の縁取りはマハタより狭く、境界は明瞭[26] | 尾鰭後縁に白縁はなく[9]、尾鰭や背鰭・臀鰭は全体が暗色[10] |
その他の特徴 | 目と口の後縁の位置はほぼ一致する[26] | 目の後縁より口の後縁の方が後方に位置する[26] | 眼径はマハタより1 - 2 mm大きい[10] |
マハタモドキ
本種はEpinephelus 属(マハタ属)に属するが[1]、マハタモドキ Hyporthodus octofasciatus (Griffin, 1926) [28]とともにHyporthodus 属として独立させる学説もある[1]。
マハタモドキは全長80 cm程度になる種で、島嶼の岩礁(水深30 - 350 m)に生息する[注 18][28]。日本では南日本の太平洋沿岸[10](伊豆諸島[注 19]・小笠原諸島、和歌山県白浜沖、奄美大島、沖縄諸島)に、海外ではインド洋・太平洋海域に分布するが[28]、本州沿岸では極めて稀な種である[15]。産卵場所・生態とも不明点が多いが、瀬能宏(神奈川県立生命の星・地球博物館専門研究員)により、幼魚[注 9]も含めて水深100 m前後より深い海域で生活している可能性が指摘されている[14]。島の周辺や沿岸沖合の深みなど、やや辺境な場所に多く、生息域はマハタより狭いと考えられている[10]。
関東の市場では「マハタ」として流通することが多く[28]、本種やマハタと思われる特大個体が釣れた際も、特に種を判別することなく「カンナギ」として記録されることが多い[2]。本種もマハタと同様に、刺身・鍋などで美味な白身魚として、高値で取引される[28]。
脚注
注釈
- ^ Grouper は中大型のハタ類全般を指す英名でもある[2]。
- ^ 「背鰭・胸鰭などに硬い棘があり、目立つため」とされる[1]。
- ^ 福井県など[4]。
- ^ 山口県下関、長崎県雲仙市小浜など[1]。またクエも福岡県・佐賀県・山口県などで「アラ」の地方名で呼ばれるほか[5]、同じハタ科には標準和名「アラ」の魚も別に存在する[6]。
- ^ 「ハタジロ」の地方名は名古屋・大阪・高知でも用いられる[2]。
- ^ 2005年8月21日に田原泰文が沖縄県の与那国島沖で全長180 cm・体重114 kgの老成魚(カンナギ)を釣り上げた記録がある[7]ほか、八重山諸島沖合の「沖縄舟状海盆」(水深200 - 300 m)では全長140 kg前後の特大個体が釣れた記録もある[2]。
- ^ a b c 尻鰭付近[9]。
- ^ 後ろの鼻孔の直径は、鼻孔後縁から眼窩縁までの距離に等しいか、それより短い[8]。
- ^ a b 石川皓章 (2010) は「瀬能宏から依頼を受け、伊豆半島沿岸各地(水深10 - 40 cm)で採取したマハタモドキの幼魚と思しき個体(全長20 - 25 cmで、尾鰭の縁が白くない個体)を10個体ほど送ったが、それらはすべてマハタの幼魚だった。瀬能もマハタモドキの幼魚がどんな姿なのかは確証が持てていないようだ」と述べている[14]。
- ^ ダイビングをすると幼魚は水深4 - 5 m程度、40 cm程度の若魚は水深20 mほどで観察できる[9]。
- ^ 山口県から長崎県近海では6 - 7月[8]、和歌山県では5月と考えられている[18]。
- ^ キジハタとの交雑種は「キマハタ」と呼ばれる[21]。
- ^ 主な産地は福岡県・長崎県・山口県など[1]。
- ^ 本種の天然個体はスーパーマーケットなどには流通せず、寿司店・高級料理店などで扱われることが多い[22]。
- ^ 夏を旬とする文献もある[15][16]。
- ^ 身が硬く締まっているため、薄造りが向く[1]。
- ^ 「本種は尾鰭後縁が白い点などでクエと区別できる」とする文献もあるが[8]、「尾鰭後縁が白いか、白くないかではクエとの区別はできない」とする文献もある[26]。
- ^ 水深80 - 100 m以深での捕獲例が多い[10]。
- ^ 八丈島[28]および御蔵島の周辺海域で生息情報がある[10]。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae 市場魚貝類図鑑.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 石川皓章 & 瀬能宏 2010, p. 50.
- ^ a b c d e f 尾鷲市.
- ^ a b c d e f 永岡書店 2016, p. 222.
- ^ a b “魚類 > クエ”. 市場魚貝類図鑑. ぼうずコンニャク株式会社(取締役:藤原昌高). 2020年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月13日閲覧。
- ^ “魚類 > アラ”. 市場魚貝類図鑑. ぼうずコンニャク株式会社(取締役:藤原昌高). 2020年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月13日閲覧。
- ^ “180センチ114キロ!与那国沖の巨大魚!!”. THE フィッシング. テレビ大阪 (2005年9月24日). 2020年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g 中坊徹次 2018, p. 234.
- ^ a b c d e f g h 西川守(PADIジャパン/大阪オフィススタッフ). “身近なおサカナの魚眼レポート 〜 第4回 クエ/ハタの仲間(後編)”. PADIジャパン. PADI. 2020年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 石川皓章 & 瀬能宏 2010, p. 51.
- ^ a b 豊田直之, 西山徹 & 本間敏弘 2016, p. 128.
- ^ “マハタとは”. コトバンク. 朝日新聞出版. 2020年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月14日閲覧。
- ^ a b c d 石川皓章 & 瀬能宏 2010, p. 52.
- ^ a b 石川皓章 & 瀬能宏 2010, p. 60.
- ^ a b c d e f 中坊徹次 2018, p. 235.
- ^ a b c d e f “釣魚図鑑(特徴・仕掛け・さばき方) > マハタの特徴”. Honda釣り倶楽部. 本田技研工業. 2020年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 藤原昌高 2013, p. 109.
- ^ 中坊徹次 2018, pp. 234–235.
- ^ a b 土橋靖史 (2001年4月1日~5日). “クエ×マハタ交雑種の種苗生産 平成13年度日本水産学会春季大会講演要旨”. 三重県 公式ウェブサイト. 三重県. 2020年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月13日閲覧。
- ^ 村田修、板倉壮太、山本眞司、服部亘宏、倉田道雄・太田博巳・升間主計「クエ Epinephelus bruneus × タマカイ E. lanceolatus の種間交雑と 交雑仔稚魚の成長」『水産増殖』第65巻第1号、日本水産増殖学会、2017年、93-95頁、 オリジナルの2020年4月13日時点におけるアーカイブ、2020年4月27日閲覧。
- ^ a b 長崎県水産試験場研究報告 1989, p. 5.
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- ^ “全国のプライドフィッシュ > 三重県 > 三重の養殖マハタ”. プライドフィッシュ 公式サイト. 全国漁業協同組合連合会. 2020年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月13日閲覧。
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- ^ a b c “旬の食材ブログ > 次のターゲットは、クエ?マハタ?”. 横浜丸魚株式会社 (2017年11月24日). 2021年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “魚類 > マハタモドキ”. 市場魚貝類図鑑. ぼうずコンニャク株式会社(取締役:藤原昌高). 2020年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月13日閲覧。
参考文献
- “魚類 > マハタ”. 市場魚貝類図鑑. ぼうずコンニャク株式会社(取締役:藤原昌高). 2020年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月13日閲覧。
- “尾鷲のマハタ”. 尾鷲まるごと観光物産WEB. 尾鷲市(三重県). 2020年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月13日閲覧。
- 著者:石川皓章、監修:瀬能宏 著、編:隔週刊つり情報編集部 編『海の魚大図鑑 釣りが、魚が、海が、もっと楽しくなる』(初版第1刷)日東書院本社、2010年12月1日、50-51頁。ISBN 978-4528012103。
- 藤原昌高(ぼうずコンニャク)「マハタ[羽太] 大型のハタの仲間ではもっとも北にまで生息」『すし図鑑』(初版第1刷発行)マイナビ(発行人:中川信行)、2013年5月1日、109頁。ISBN 978-4839943387 。2020年4月13日閲覧。
- 豊田直之、西山徹、本間敏弘『写真でわかる 釣り魚カラー図鑑』(新版)西東社、2016年3月2日、128頁。ISBN 978-4791624690 。
- 永岡書店編集部(編著者)「マハタ[真羽太] クエと並び1mを超える磯の怪物」『釣った魚が必ずわかるカラー図鑑』永岡書店(発行人:永岡修一)、2016年5月10日、222頁。ISBN 978-4522213728 。
- 中坊徹次(編・監修) 編『日本魚類館』(初版第1刷発行)小学館(発行人:杉本隆)〈小学館の図鑑Z〉、2018年3月25日、234-235頁。ISBN 978-4092083110 。
- 宮原治郎、荒川敏久、高屋雅生「マハタ属交雑種(キジハタ×マハタ,キジハタ×クエ)の幼魚期の成長と形態」(PDF)『長崎県水産試験場研究報告』第15号、長崎県総合水産試験場、1989年3月、5-11頁、 オリジナルの2020年4月13日時点におけるアーカイブ、2020年4月13日閲覧。