消化管造影検査

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消化管造影検査(しょうかかん・ぞうえい・けんさ)とは、造影剤肛門瘻孔から注入し、X線透視により形態を検査するもののこと。X線撮影の一形態である。

造影された小腸

上部消化管

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その開発経緯から「胃透視」(い・とうし)としばしば呼ばれる。他にも「上部消化管X線検査」「MDL」(ドイツ語: Magendurchleuchtung の略語)「X線二重造影」などと呼ばれる。英語では Upper gastrointestinal series と呼ぶ。検査されるのは食道十二指腸である。

一般的にはブスコパンなどの鎮痙剤を注射した後、硫酸バリウムを服用しつつX線透視下で病変を探す。病変がないのならば、部位ごとに病変がないことを示すX線写真を撮影する。バリウム少量→バリウム充満像を撮影し終えたら、発泡剤を服用し、気体(炭酸ガス)とバリウムによる二重造影を行う。くまなく透視下で確認した後、圧迫装置により圧迫しつつ透視を行う。検査中はゲップをしてはならない。検査後は硫酸バリウムの排出を促すために下剤を服用する。

胃癌検診などで撮影画像数が決められている場合でも、病変が認められる場合には医師診療放射線技師による追加撮影が行われている。

上部消化管のX線二重造影は日本で開発された検査手法であり、千葉医科大学白壁彦夫市川平三郎の業績がよく知られている。

胃壁へのバリウムの付着をよくする(いわゆるバリウムの”のり”を良くする)には、勢い良くバリウムをぶつけることがコツと指摘する書籍もある[1]。また360度水平位での右回りを3回転を指摘する意見もある[2]

造影検査では生検はできないため、癌の確定診断はできない。胃透視で病変が疑われるときには、上部消化管内視鏡検査を施行する。

小腸検査

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日本と異なり、欧米ではEnteroclysisと呼ばれる低張メチルセルロース液を用いた二重造影が主流である。
造影剤として、硫酸バリウムやガストログラフィンを経口服用するか、またはゾンデカテーテルを留置して注入する。二重造影には空気を用いる。[3]造影剤の形で病変を判断していく。X線透視下にリアルタイムに造影所見をとることもあるし、決まった時間ごとにX線写真撮影をする「追跡撮影」をすることもある。

下部消化管

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「注腸検査」「Barium enema」などと呼ばれる。肛門からカテーテルを挿入・留置し、硫酸バリウムと空気を注入する。重力を利用して、身体の向きを変えたり、透視台を傾けたりして、各部位を透視下で所見をとり、X線撮影する。

撮影機器・薬剤

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  • 日本では、キヤノン(東芝)富士フイルム(日立)島津製作所が撮影機器を製造販売している。欧米ではシーメンスなどが製造している。従来のアナログX線テレビ・フィルムは次第に姿を消しつつある。(メンテナンス部品の入手が困難になりつつある。) 2011年現在ではデジタル化が進み、CCDFPDによるデジタルX線テレビ・フィルムレス運用へと、機器が更新されている状態である。
  • 硫酸バリウム製剤は日本においては、カイゲンファーマ伏見製薬所堀井薬品等が製造販売をしている。下部消化管用の製剤は、注腸検査の需要低下等から2023年現在では伏見製薬所のみが製造販売を行っている。
  • 消化管の蠕動による撮影への影響を避けるため、ブスコパンチアトンなどの鎮痙剤を検査前に投与することが多い。緑内障や排尿障害、不整脈のため抗コリン剤を使えないときには、グルカゴン注を投与する。
  • 胃透視においてバリウムは、造影効果増強のため、高濃度製剤(200% W/V以上、一般的には220-240%)を少量(140mL程度)使用するようになっている(下記ガイドライン参照)。
  • 胃の二重造影での発泡剤は、従来は水で服用するなどしていた。しかし高濃度バリウム溶液が水で希釈されることを避けるため、バリウム溶液で服用する製剤が開発されている(バリエース発泡顆粒、バックス発砲顆粒)。

出典

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  1. ^ 市川平三郎: 胃X線読影を極める、2001, p4
  2. ^ 有末太郎: 日本医事新報 No.4530, p88-89
  3. ^ 松本主之 他、日内会誌 100:23-28, 2011

参考書籍

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  • これなら見逃さない!胃X線読影法虎の巻 : シェーマ+内視鏡像+病理像で一目瞭然! ISBN 978-4-7581-1058-7 -- 胃X線写真病変・スケッチと内視鏡画像、病理の対比まで同時になされて、ビジュアルが優れている。
  • 新・胃X線撮影法(間接・直接)ガイドライン ISBN 9784896008418
  • 上部消化管X線診断ブレイクスルー ISBN 9784260138451
  • 馬場塾の最新胃X線検査法 ISBN 9784260138840