アラン・コックス
アラン・コックス(Alan Cox、1968年7月22日 イングランド・ソリフル - )は、イギリスのコンピュータプログラマである。彼はLinuxカーネルバージョン2.2ブランチを以前メンテナンスしており、遡ること1991年頃からLinuxカーネル開発に大きく関与し続けている。彼は妻テルサ・グウィン(Telsa Gwynne)とともに、ウェールズ・スウォンジに住んでいる。
Alan Cox | |
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FOSS.IN/2005におけるアラン | |
生誕 |
1968年7月22日(56歳) イングランド、ソリフル |
住居 | ウェールズ、スウォンジ |
国籍 | イギリス |
別名 | ac |
職業 | プログラマ |
雇用者 | インテル |
著名な実績 | Linuxカーネル |
配偶者 | テルサ・グウィン(Telsa Gwynne) |
Linuxカーネル開発プロジェクトへの参加
編集コックスがスウォンジ大学のキャンパスに勤めていた頃、彼は大学のコンピュータ・ソサイエティが管理するマシンの一つに、当時リリースされたばかりの初期のバージョンのLinuxをインストールした。この最初のLinuxのインストールにより、彼はLinuxのネットワークの応答性が悪いことに気づき、ネットワーク関連のコードに多くのバグを見つけた。コックスはこれら多くのバグを修正し、続いてネットワーク・サブシステムの多くを書きかえた。こうして彼はカーネル全体の開発・管理を担う主要人物の一人にまでなった。
数年後、彼はバージョン2.2ブランチを管理し、そして2.4ブランチの彼自身のバージョンを管理するようになった(このバージョンは彼の名前の頭文字からacという識別子を付けられている。例: 2.4.13-ac1)。この版はたいへん安定しており、また直接ベンダーのカーネルに受け入れられるほどのバグ修正が含まれていた。彼が経営学修士(MBA)を修めるためLinuxへの関与を減らすまで、かつて、彼は、俗にリーナス・トーバルズの"右腕"(Second in Command)と見なされていた[1]。
2009年7月28日、コックスは、彼が今までメンテナンスしていたTTY・レイヤー・サブシステムに関し、トーバルズによる退行バグ(Regression bugs)批判[2]を受けた後、メンテナを辞退した[3][4](現在はグレッグ・クロー=ハートマンがメンテナを務めている)。
アランは1999年から2009年までLinuxディストリビュータのレッドハットに勤めていた[5]。2011年時点では、彼はインテルにて勤務している。
彼は、またGNOME、X.Orgプロジェクトにも参加しており、彼がアベリストウィス大学(ウェールズ大学連合の一つ)の学生だった時に作成した、オープンソースMUD、AberMUDの主要開発者でもある。
鉄道模型
編集アラン・コックスは、鉄道模型のNゲージキットを製造する企業Etched Pixels社を運営している[6]。彼は、Ultima Model Engineeringの理事(Director)を務め、またYahoo Z_Scale、N gaugeグループのメンバーである。彼はいくつか小さいNゲージのレイアウトを持っている[7][8][9]。
主義
編集アラン・コックスは、プログラミングの自由に対する熱烈な支持者である。同時に、ソフトウェア特許、デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act; DMCA)そして消費者に対するブロードバンドおよびデジタルテレビ促進法案(Consumer Broadband and Digital Television Promotion Act; CBDTPA)に対しては、遠慮なき反対者である。彼はこれら法を施行した米国への抗議のため、USENIXのサブグループを辞退し、DMCA違反でドミトリー・スクリャロフが逮捕された後、同じように収監されないように、彼は米国を訪問しない旨述べている。
2007年1月、彼は、"RMS"、即ちRights Management Systems(権利管理システム)という名の一連の特許を出願した[10]。彼によると、これはデジタル著作権管理(Digital Rights Management; DRM)に対する特許である。コックスの以前の雇用先であるレッドハットは、(マーク・ウェビンクとコックス自身が草稿を作成した文書[11]の中で、)フリーソフトウェアプロジェクトに対する特許行使を阻止するためのものであると主張している[12]。
コックスはまた、イギリスのITシンクタンク、Foundation for Information Policy Research、ならびにイギリスのデジタル著作権に関するNPO、Open Rights Groupのアドバイザーも務めている[13]。
受賞歴
編集コックスはブリュッセルで開催されたFOSDEMにて、フリーソフトウェア財団より、2003年のAward for the Advancement of Free Softwareを受賞した[14]。
2005年10月5日、コックスはロンドンのLinuxWorld(現在はOpenSource World)授賞式にて、功労賞(Lifetime Achievement Award)を受賞した[15]。
脚注
編集- ^ Jeremy Andrews (2003年8月20日). “Linux: Alan Cox To Take One Year Sabbatical”. KernelTrap. 2012年5月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月19日閲覧。
- ^ Linus Torvalds (2009年7月28日). “LKML: Linus Torvalds: Re: [PATCH] kdesu broken”. lkml.org. 2011年2月19日閲覧。
- ^ Alan Cox (2009年7月28日). “LKML: Alan Cox: Re: [PATCH] kdesu broken”. lkml.org. 2011年2月19日閲覧。
- ^ “Linux: Alan Cox Quits As Linux TTY Maintainer — "I've Had Enough"”. スラッシュドット (2009年7月29日). 2011年2月19日閲覧。
- ^ Sander Marechal (2008年12月23日). “Alan Cox: Moving on from Red Hat”. LXer. 2011年2月19日閲覧。
- ^ “Etched Pixels: N scale etched models and details”. 2009年7月29日閲覧。
- ^ “Alan's Index” (HTML). zeniv.linux.org.uk. 2009年8月22日閲覧。
- ^ “LLanast (a Welsh piano-line plank)”. www.rmweb.co.uk. 2009年8月22日閲覧。
- ^ “Aeonian Hills”. www.rmweb.co.uk. 2009年8月22日閲覧。
- ^ “Alan Cox - Patents & Inventors, bibliographic references”. www.freshpatents.com. 2010年2月20日閲覧。
- ^ Webbink, Mark (Interviewee) (8 November 2007). Mark Webbink On: The Patent Promise (Ogg Theora). Red Hat Magazine. 2007年12月23日閲覧。
- ^ “Statement of Position and Our Promise on Software Patents”. Red Hat. 2007年8月23日閲覧。
- ^ “Advisory”. Open Rights Group. 2011年2月20日閲覧。
- ^ “2003 Award For the Advancement of Free Software”. Free Software Foundation. 2007年8月23日閲覧。
- ^ Matt Loney (2005年10月6日). “Linux pioneer wins lifetime achievement award”. ZDNet UK
外部リンク
編集- アラン・コックスのLinkedInプロフィール
- Alan Cox: The maintainer of production version of the Linux kernel. 電子ブックOpen Source Pioneersの第5章から。インタビューをこの中から見つけるのは大変困難を要す。
- 彼の半生に関するインタビュー
- LWNによるインタビュー
- アラン・コックスへのインタビュー - 2002年1月15日 - KernelTrap
- LugRadio によるインタビュー
- Linux Formatによるインタビュー - 2005年8月
- Feature:Cathedrals, Bazaars and the Town Council - スラッシュドットによるインタビュー(1998年10月13日)。
- アイルランド・リムリックにおけるGPLv3についての議論 (2006年5月13日) Ogg音声。
- 上記の抄録。 - FSFE
- 2008年5月、ドイツで開催されたHannover Industry Trade Fairにおけるアラン・コックスのビデオインタビュー