政治では反日が根強い中国、サッカー日本代表は「アジアの光」と称賛…日本人指導者が存在感

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 【北京=川瀬大介】中国サッカー界で日本人指導者の存在感が増している。今年は、中国の男子U―16(16歳以下)と男子U―15(15歳以下)の代表監督に日本人が相次いで起用されており、若い世代の育成が期待されている。 習近平シージンピン 政権の掲げるサッカーの「強国化」に向け、底上げを図る狙いだ。

対日本戦で指示を出す中国男子U-16代表の上村監督(8月18日、瀋陽で)=大原一郎撮影
対日本戦で指示を出す中国男子U-16代表の上村監督(8月18日、瀋陽で)=大原一郎撮影

 8月18日、中国東北部・遼寧省瀋陽市で行われた男子U―16の国際親善大会の対日本戦。中国は終盤のミスから勝ち越しを許して1―2で敗れた。元Jリーガーで日本代表歴もある上村健一監督(50)は悔しさをにじませつつ、「能動的に判断する場面が増えた」と手応えを語った。日中とベトナム、ウズベキスタンの4チームが総当たりで争った大会は、中国が2勝1敗で優勝した。

 今年2月にU―16の中国代表監督に就任した上村さんは、中国の男子サッカーのフル代表と年代別代表で初の日本人指揮官。中国プロリーグのクラブでの育成年代への指導実績が評価されたという。4月には、かつてJリーグの湘南ベルマーレを率いた浮嶋敏さん(57)も男子U―15の監督となった。プロのトップチームでも複数の日本人が指揮をとっている。

 中国サッカー協会は、年代別も含む代表指揮官に欧米の指導者を抜てきすることはあったが、日本人は臨時の起用だけだった。男子の代表を世界の強豪に押し上げる目標を掲げる中国は、22年のワールドカップ(W杯)カタール大会出場に向け、強豪国ブラジルの出身選手らを次々と帰化させた。だが、効果は乏しく、W杯出場を5大会連続で逃すなど低迷が続く。

 育成年代からの強化が必要とみる同協会が注目したのが、日本のノウハウだ。中国の若い選手は身体能力や技術の高さが評価されるが、「指示待ち」の姿勢が課題として指摘される。

 11年に中国プロリーグの監督に日本人として初めて就任した元日本代表監督の岡田武史さん(68)以来、日本人指導者への信頼は厚いという。

 政治などでは反日感情が根強いものの、中国メディアは日本代表のW杯などでの活躍を「アジアの光」と称賛してきた。「サッカーに関しては日本を手放しに褒める報道が許される」(官製メディア関係者)という。

 10月には、来年予定されるU―17W杯につながるアジアカップ予選が始まる。中国の若い選手を「可能性のかたまり」と表現する上村さんは、「中国の選手にしっかり寄り添い、導いていきたい。アジアのライバル国である中国が強くなれば、日本ももっと強くなる」と決意を語った。

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