「教えて? ネコのココロ」が教えてくれたこと
あまりにも面白くてつい需要は度外視して熱く推してしまったTVシリーズ「オール・オア・ナッシング ~アーセナルの再起~」(2022)もそうですが、ドキュメンタリーが好きです。そんな私(昨夏よりネコとともに暮らしています)が先日視聴して、その内容に軽い衝撃を受けたのがNetflixの「教えて? ネコのココロ」。まずは冒頭から、繰り出されるネコにまつわる驚きの数値に釘付けに。
1. 世界に生息するネコは4億匹!
リビアヤマネコが家畜化されて生まれたイエネコは、地球上でもっとも多く繁殖した哺乳類トップ10にランクイン。世界の総人口は2022年秋に80億人を突破(国連世界人口推計2022年版)したので、20人に対して1匹という比率ですね。ちなみに家畜化される前から1万年以上にわたって、ネコのDNAはほぼ変化していないのだとか。専門家の「遺伝子学的には、家に野生動物とともに暮らしているようなもの」という言葉を聞くと、ちょっぴりコワいような気も……。
2.地上で最も強く、柔軟で、敏捷な動物!(体重比を考慮すると)
コーネル大学獣医学部のコーンライヒ博士いわく、「ネコは小さなチーター」で、その身体能力は哺乳類の中でも圧倒的。体重比を考慮すると、ネコは地上で最も強く、柔軟性に富み、スピーディな動物であるらしい。時速48キロで走ることができ、ジャンプは身長の5-6倍の高さまで可能──それはつまり、人間に換算するとキリンの頭上を飛び越えるくらいの驚異的な跳躍力。ちなみにネコは常に手足から着地するのですが(人間や犬ではそうはいかないらしい)、それは、正向反射(重力の方向に対して頭部が正常の位置になるべく回復させる反射運動)がとっても優れているからだと知りました。
3.2017年、日本ではネコの人気が犬を上回る。
映画の中では、ネコは日本におけるもっともポピュラーなペットで、日本国内だけで、900万匹ほどのネコが飼われ、世界最高峰のネコ学者がいるネコ学の聖地=日本だと紹介されています。それでも、トップクラスのネコ学者、高木佐保博士は「犬の研究よりもネコ研究は15年ほど遅れている」と感じているそう。
4.ペスト流行の要因はネコが激減したから?
ジェンダーにもとづく歴史的なヘイトクライム、魔女狩りについてはその時期や背景には諸説あるものの、魔女に寄り添う動物といえば黒ネコ。映画では、ヨーロッパでのペストの流行と魔女狩りの関連性も示唆しています。ネコにネガティブなイメージを持つ人々がネコ狩りも行った結果、ペスト菌を拡散する媒介者ネズミ(とノミ)が増えてしまったのでは、という説もあるとか。ちなみにネコが世界中に生息するようになったのは、船乗りネコの存在があったから。船が大陸間の主たる移動手段だった時代、商船にも探検船にも海軍艦艇にもネコが必ず同乗していたのだそうです。船に積んだ食物や大事な電線、ロープなどをを食い荒らすネズミの捕獲者として。
5.ネコにとってまばたきは「笑顔」!
映画に登場するネコ行動心理学者は、「ネコに好かれたいなら、最初にゆっくりとまばたきをしましょう」とアドバイス。野生動物にとってアイコンタクトはとても重要なアクションで、ネコにとってゆっくりとしたまばたきは、にこにこスマイルのように幸福感を伝播させる行為。こちらがゆっくりとまばたきをするとまばたきを仕返してくれることも多く、それは「大丈夫だよ。友達だよ。好きだよ」という意思表示なのだとか。ネコ同士は友好の証として鼻と鼻をぶつけ合うこともあり、人間の場合は、指先で鼻をチョンとたっちしてあげるのも、仲良くなるきっかけづくりによいそうです。
ここですべては書ききれませんが、1時間強でネコ学をかなり深められます。ちなみに、我が家のネコでその驚異的な身体能力を確かめようとおもったのですが、たまにするジャンプはマックス30センチほど、猛ダッシュもめったにせずに、基本ごろりと寝転んでいるため残念ながら検証ならず。非凡な運動能力については個体差もあるのかもしれません(笑)。が、このドキュメンタリーを視聴以来、まばたきスマイルはほぼ毎日交わし合っています。さっきも不注意で角に頭部を強打して叫び声をあげたら、家のなかで唯一走り寄ってきてくれたのがおネコさんでした。
Text: Yaka Matsumoto