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アレキサンダー・ワンが5年ぶりに来日。新作バッグ「THE RICCO」やブランド設立20周年のビジョンを語る(Mayumi Numao)

アレキサンダー・ワンが5年ぶりに来日した。カルト的な人気を誇る名作バッグ「THE ROCCO」を復刻し、新たに「THE RICCO」を誕生させた経緯や来年20周年を迎えるにあたり、今後のブランドのビジョンを語ってくれた。

モダンに生まれ変わった新アイコンバッグ「THE RICCO」

アレキサンダー・ワン。

──2009年に誕生しカルト的な人気を誇ったアイコンバッグ「THE ROCCO」が復刻し、新たに「THE RICCO」として誕生しました。復刻した経緯や新しいデザインの特徴を教えてください。

15年前にリリースされた「THE ROCCO」のモダンバージョンを作ろうと思い、研究に研究を重ねてやっと誕生したのが新作の「THE RICCO」です。昔は、“バッグは多少重くても平気”という印象がありましたが、今は軽くて機能性を求める風潮が当たり前になっています。そういった点を追求し、アップデートしたデザインに仕上げました。

バッグ「RICCO」スモール 本体H14cm ¥178,200

──たしかに、以前のデザインと比べると全体的に軽くなっていますね。

はい、「トラップ」スタッズは約30%も軽くしました。そして、「プライマル」と名付けられた縮小加工ラムレザーの一枚仕立てで、自然な落ち感が無骨で野生的な魅力を醸し出しています。また、ユニセックスな印象に仕上げ、以前はダッフルバッグ型だったものをフラップ仕様にしました。ストラップが2種類ついているので長さの調整がしやすく、色々な持ち方が楽しめるようになっています。

バッグ「RICCO」ミディアム 本体H19cm ¥211,200

NYの旗艦店でマルチシーズンのランウェイショーを開催

ガブリエット・ベクテル。

──6月5日(現地時間)、ニューヨークの旗艦店で開催されたショーTHE GARAGE by alexanderwangについてお聞かせください。2024年プレフォール、2024年秋冬、2025年リゾートコレクションを合わせたマルチシーズンのランウェイショーでしたね。

今回のコレクションは、シーズンの垣根を越え、色々な要素を掛け合わせたハイブリッドな演出に仕上げました。まず初めに、イメージ動画を手掛け、ドラマ「SATC」でお馴染みの俳優キム・キャトラルに出演してもらったんです。キムが乗ったタクシーが会場に突っ込み、彼女がフロントローに着席したと同時にショーがスタートするというストーリーです。典型的なショー形式はもちろん、動画のCG加工、ソーシャルメディアのスタントの女王ユリア・シャドリンクスキーがモデルの振り付けを担当するなど、たくさんの演出を盛り込みました。披露したルックは38と多くはないのですが、アメリカのワークウェアを再解釈し、デニス・ロッドマン、ガブリエット・ベクテル、パリス・ジャクソンなど、個性的なキャスティングで魅せています。

デニス・ロッドマン。

ブランド設立20周年に向けたビジョンとは?

5月29日にリニューアルオープンを果たしたalexanderwang 青山店。以前は大理石を使用したデザインだったが、現在はパイプを配したソリッドかつシャープな印象に生まれ変わった。

──来年ブランド設立20周年を迎えます。今後のヴィジョンをどんな風に思い描いていますか?

自分自身とブランドを明確に分けることを意識していますね。これまでは、自分の名前を冠したブランドですし、私生活も仕事も全てがリンクしていました。ですが、現在は投資家が参入していますし、ブランドはブランドとして自立させ、「レガシー2.0」と名付けた新しいチャプターに向けてビジネスの規模を拡大していきたいと考えています。もちろん、ブランドのDNAやバリューは残しつつ、既存のラグジュアリーに対して挑戦をしていきたいです。

──日本ではコロナ禍以降、ファッション界においてもインバウンド消費が大幅に増加しています。alexanderwang 青山店もリニューアルオープンを果たしたばかりですが、今後アジア市場でどのようなビジネスを視野に入れていますか?

アジアのカルチャーは、“ポップカルチャー”でもあると思っています。ファッションはもちろん、音楽や食べ物など、TiktokなどのSNSで見ない日はないですよね。どこの国のショップにおいても、グローバルカスタマーに満足してもらいたいし、同時にローカルの人々にも愛されるショップでありたい。アジアは自分のルーツでもありますし、非常に大切なマーケットだと思っています。世界で2店舗目に誕生したショップも北京でした。他のブランドも同じ考え方を持っているかもしれませんが、今後もアジアで面白いことを仕掛けたいという気持ちがありますね。ブランドを拡大する上でも重要なことだと思っています。

alexanderwang 青山店
住所/東京都港区南青山5-3-18
Tel./03-6418-5174
営業時間/12:00-20:00、不定休
https://www.alexanderwang.com/jp-ja/

Photos: Courtesy of Alexander Wang