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「オルタナティヴ」を楽しむ── 『VOGUE JAPAN』2023年12月号、エディターズレター

VOGUE JAPAN12月号のテーマは「オルタナティブ・ウィンター」。冬に活用したいコートや香り、ジュエリーを選ぶ際にも、美の概念を変えるような「いつもと違う選択」をしてみては? エルヴィス・プレスリーの孫、ライリー・キーオがキャリアの転機について語るインタビューや、K-POP界の“新星”LESSERAFIMのスペシャルストーリーもぜひチェックして。

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「肌寒くなってきたある日、私も今シーズン初のコートルックにトライしてみました」

この2023年を振り返って、一つはっきりとわかったことがあります。それは時代を担う世代、スタイル、そしてカルチャーの変化が今まさに進行しているということ。今までと違うことに不安を覚える部分もありますが、これは同時に、たまらなくスリリングでもあります。こうした時代の雰囲気に触発され、私の周りの人々もこれまでと違う一歩を踏み出しています。「いつもと同じ」はやめて、「いつもと違う」、型破りのものをつかみとる──そんな流れが起きているのです。

さて、時刻は真夜中近く。カシミアのパジャマに身を包み、すっかりくつろいだ気分のあなたは、映画を観ようとしています。そんなとき、鑑賞のお供に選ぶのはいつものポテトチップスではなく、ベーコンとポルチーニが香る珠玉のポップコーン。そしてドリンクにはスープのように心と体を温めてくれるポルチーニ出汁とウイスキーと卵黄を泡立てたホットカクテルを。どちらも、秋の映画鑑賞タイムをさらに豊かにすべく、「été(エテ)」の庄司夏子シェフが考案してくれた、ヴォーグのための特製スナック&ドリンク。東京に拠点を置く庄司シェフは、世界のフードシーンから称賛をほしいままにしており、それも当然という実力の持ち主です。誌面で紹介しているこの秋冬の新作映画や食をテーマにした「おいしい映画」のラインナップとともに、ぜひご自宅でもレシピにトライしてみてください(p.186)。

さて、この冬に着るコートには、悔いのない一着を選びたいもの。見たこともないようなシルエット、定番のフォルムにひねりを入れたもの、さらにはドレスとして着られるものもあります。その着こなしのお手本は、今月号のカバーガール、アベニー・ニアルとメアリー・ウケチのルックです(p.74)。二人はこのシーズン、引く手あまただったモデル界のニュースター。二人がまとえば、ミュウミュウ(MIU MIU)のボーイッシュなコーデュロイのコートもグラマラスに見えてくるのだから不思議です。ネットで大いに拡散したこのコレクションも、考えてみれば、私たちの日常に対する視点を一変させようとする試みでした。

エンタメ業界のパラダイムシフトを反映して、才能あふれるアジアのミュージシャンやスターたちは、世界各地のファッションウィークのフロントローでも、一大勢力となっています。ショー会場の外では数え切れないほどのファンが愛するスターの到着を待ち、歓声を上げる姿も、今ではすっかり見慣れた光景となりました。飛ぶ鳥を落とす勢いのLE SSERAFIM(ル セラフィム)も、日々ネットをにぎわす存在ですね(もちろん、私のプレイリストにも入っています!)。アジア各地を巡る単独ツアーを開催し、東京でもすばらしいパフォーマンスを披露してくれた彼女たちも今号に登場しています。この秋のキー・ルックをまとい、今の胸の内を明かしてくれたストーリーをぜひ、ご覧ください(p.194)。

一方、俳優兼シンガーとして活躍し、そしてまもなくファッション界のミューズとなる、ある女性の一挙手一投足にも、にわかに注目が集まっています。伝説の大スター、エルヴィス・プレスリーと妻、プリシラの物語は、私たちの世代はもはや暗記しているレベルの有名なストーリーです。では、夫妻の孫にあたるライリー・キーオの人生はどうでしょうか? エルヴィス・プレスリーを祖父に、そしてマイケル・ジャクソンニコラス・ケイジを継父に持つキーオ自身が語る、これまでの数奇な道のりは一読の価値があります(p.200)。

最後にご紹介するのは、パーソナルで、美の概念を変えるようなアイテムの数々──肌に触れるもの、ヘアに関する大胆な提案、香り、そしてジュエリーです。最近、日本でもハイジュエリーを買い求める男性が増えていると聞いて、うれしく思っています。「ファインジュエリーの新時代が、今始まる」(p.83)では、この新しいニーズにフォーカスし、彼と彼女、両方を輝かせるピースが披露されています。また、香水にすっかり魅せられている人も多いでしょう。今号では冬にぴったりの、ウッディでスモーキーな香りのセレクションをご紹介します。香りには思った以上に人となりが出ます。だからこそ、みなさん、本当に賢く選んでくださいね!(p.117)

ホリデーシーズンを前に、愛する人、あるいは自分へのギフトにかけては、新しい選択肢にオープンでいたいものですね。みなさんがこの1年の終わりを、優しい心、美しさ、何かしらの目的を持って迎えられますよう、祈っています。みんなで手を結び、「いつもと違う」2024年を目指して進んでいきましょう。

Text: Tiffany Godoy Translation: Tomoko Nagasawa

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