最初のピークは抑えたものの……韓国とオーストラリアで新型ウイルス感染がまた増加

Disinfection professionals wearing protective gear spray anti-septic solution against the coronavirus (COVID-19) at a sybway station

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画像説明, 韓国の地下鉄駅では、防護服を着た専門部隊が設備を消毒している

新型コロナウイルスの被害を比較的少なく抑制できていた韓国とオーストラリアに、再び流行のピークが押し寄せている。

韓国では2月に宗教団体で集団感染が発覚して以降、大規模な検査や徹底した接触者追跡を行い、4月には3日連続で国内での感染者ゼロを記録するに至った。

しかし5月以降、首都ソウルの繁華街などで感染者が再び確認されるようになった。6月23日には過去24時間で新たに17人の感染が報告されており、韓国疾病管理本部(KCDC)は、流行の第2波が来たようだと述べている。

オーストラリアも全体での感染者が7200人余り、死者も102人と、他国に比べて感染を大きく抑えられていた。

5月以降はロックダウン(都市封鎖)を徐々に緩和しているが、ヴィクトリア州で再び流行の兆しが見えており、同州は新たにロックダウン体制を敷いている。

動画説明, 感染の第2波は起きる? 回避のため考慮すべきこと
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韓国での流行は「数カ月は続く」

KCDCはこれまで、韓国での流行は第1波がまだ続いている状態だと説明していた。

しかしKCDCのチョン・ウンギョン本部長は今回、5月初めの連休を機にソウルを中心に感染の第2波が始まったとみていると報告した。この流行は数カ月は続く見込みだという。

22日には南部テジョン市で、小規模のクラスター(感染者集団)が発見されたことを受け、美術館や図書館といった公共施設での集会が禁じられた。

ソウル市長も、向こう3日間で感染者が30人を超えたり、病床の占有率が70%を超えた場合は、他者との距離を取る施策を厳格化すると警告している。

韓国はこれまで、全国的なロックダウンを避ける代わりに、ドライブスルーを利用した大規模な検査の実施や、徹底した接触者追跡システムと隔離施策などで流行に対処してきた。

全体での感染者は約1万2000人、死者は280人にとどまっている。23日時点での国内の患者は1277人という。

豪ではヴィクトリア州のみで再流行、他州は警戒

Workers sit socially distanced from each other outdoors on a lunch break in Melbourne's city centre on 19 June

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画像説明, 豪ヴィクトリア州当局は、人と距離を取る施策を怠らないよう市民に呼びかけている
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オーストラリアのブレンダン・マーフィー保健主任は13日、現在のところ地域に感染が広がっているのはヴィクトリア州だけだと説明した。

ヴィクトリア州の保健主任を勤めるブレット・サットン教授は、同州の地域感染は2月以来、「非常に低い」水準を保っていたものの、「人々が感染対策を1カ月前、2カ月前ほど徹底していないため、再流行」が始まったと指摘した。

先週には州都メルボルンを中心に毎日平均18人が新たに感染しており、そのうち半数が、家族間や患者を隔離している施設のスタッフ間でのクラスター感染だとみられている。

これは過去2カ月間で最も急激な増加だが、それでも3月のピーク時よりは少ないという。3月には連日100人以上の感染が報告され、国全体で数百人が入院しており、感染者数が毎日25%ずつ増加していた。

対して現在の感染者の増加率は0.4%で、ヴィクトリア州で約100人のCOVID-19患者がいる。うち9人が入院しているという。

しかしヴィクトリア州政府はこうした事態を受け、厳しい制限を再導入し、緊急事態宣言を7月12日まで延長した。

また、メルボルン近郊の6カ所の「ホットスポット」に照準を合わせ、検査や接触者追跡を拡大。今後、感染者が増えた場合は自宅待機命令を再度、発令する方針だ。

一方、ヴィクトリア州での感染拡大を受け、他州は同州との州境の解放を見合わせている。