WWDC24:AdAttributionKit、Apple Intelligence、プライバシーの新しい基準を発表
昨年のApple社の世界開発者会議 (WWDC) で発表されたSKAdNetwork (SKAN) 5を受けて、日本時間の6月11日に開催されたWWDC24も、マーケターや開発者から高い関心を集めました。今回のブログでは、業界関係者なら知っておきたい発表内容のポイントと主なインサイトを紹介します。
WWDC24にてApple社は、Apple IntelligenceやChatGPTとSiriの連携、消費者向けのプロダクト情報、プライバシー機能の強化、AIの開発に関する興味深いアップデートやAdAttributionKitについて発表しました。AdAttributionKitは、プライバシーを保護するためのAppleの最新ソリューションです。他のアプリマーケットプレイスでも利用が可能で、再エンゲージメントの計測にも関連します。
SKAN 5 (AdAttributionKit) で広告の成果を測定
この1年は情報がほとんど公開されなかったため、SKAN5をリリースする代わりに「AppleのAPIベースのフレームワークの最新バージョンの名称が変更されるか」、あるいは「AdAttributionKitに置き換えられるか」などの憶測が飛び交いました。今日公開されたドキュメントを見ると、それが間違いではなかったことがわかります。
Appleによると、AdAttributionKitはSKAdNetworkの機能上に構築されており、「広告主はユーザープライバシーを保護しながら、複数のチャネルにわたる広告の成果を測定」できます。2つのフレームワークの重要な違いは、AdAttributionKitはApp Storeと他のアプリマーケットプレイスで機能し、SKANはApp Storeでのみ機能することです。相互運用性の点からも、アプリが双方に統合されている場合、API経由でデータを呼び出すことができるため、インプレッションが計測された場合は、Appleのシステムが獲得ソースを決定します。
以下の画像は、アトリビューションを獲得した広告インプレッション数の計測に関するAppleの最新の説明です。これは、AdAttributionKitでレポートされたアプリのダウンロードをポストバックするデータ階層を決定する上で、クラウドの匿名性が引き続き重要であることを示しています。
SKAN 4と同様に、AdAttributionKitでは3つのコンバージョン期間と3つのポストバックが提供されます。全体の計測範囲は現在と同一(0〜2日、3〜7日、8〜35日)です。フレームワークごとに文言が異なりますので、以下にまとめました。
| SKAN 4 | AdAttributionKit |
|-----------|---------------|--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------|--------------------------------------------------------------------------------------------------------|
|アプリID | 広告アイテムID
|再ダウンロード情報 |コンバージョンの種類
|ソースID |パブリッシャーアイテムID
| |ソース識別子:アドネットワークが提供するキャンペーン情報 |
再エンゲージメントに関しては、AppleのWWDC24で公開された動画セッション「Meet AdAttributionKit」によると、6月11日より利用可能となります。その他に、JWS形式のインプレッションとポストバック、クリックスルーアトリビューションのためのカスタムクリエイティブのサポートなどがあります。
Apple Intelligence、プライバシーに関する変更点、その他の発表内容
Appleは、新しいAI機能と「Apple Intelligence」と呼ばれるフレームワークに重点を置くとともに、iPhone、iPad、Mac、Apple TV、Apple Watch、Vision ProでのOSアップデートにおいては、ユーザーのプライバシーを重視しています。
プラットフォーム全体でのアップデートは、アプリのロック機能やデバイス間での移動の簡素化など機能のカスタマイズやプライバシーに関するものでした。たとえば、iPhoneをMacにミラーリングする機能が紹介されました。これらのOSアップデート(iOS 18、iPadOS 18)は、Apple Intelligenceとともに今秋にリリースされます。標準機能には、優先メッセージ、プレビュー、文章の書き直し、校正、要約ができる記述ツール、画像作成機能(3つのスタイル)、絵文字生成、「Genmoji」などさまざまなツールが含まれます。
他の企業と比較してAIがあまり重視されていないように見られたAppleは、今回の発表で、AIと機械学習ソリューションの開発をすすめ、製品とユーザーエクスペリエンスを向上させるとともに、その成果と原則 (「プライバシーが保護された方法で、強力で直感的、統合かつパーソナル」) を確保することを改めて強調しました。AppleはAI分野に進出して、ユーザーに「個人的な背景に基づく」体験を提供すると主張します。生成型AIをデバイスの中核に据え、そこから得られる「個人的な背景」に基づき、関連性が高くかつプライバシーを重視したインテリジェンスを提供すると述べています。
設計上、デバイス上で処理することでサーバーへのアクセスを回避しつつ、高度なパーソナライゼーションが可能になります。つまり、ユーザーデータはデバイス上で処理され、サービスが提供されます。しかし、より複雑なリクエストを実行する際は、AppleのPrivate Cloud Computeのサーバーが使用されます。
OpenAIとのパートナーシップにより、ChatGPTはSiriや記述ツールなどのシステム全体を使用する場合にも利用可能です。Appleは、将来的に新しいサードパーティAIモデルを追加する予定だと述べました。
また、AppleのSDKも新しいAPIとフレームワークでアップデートされ、開発者がApple Intelligenceの新機能「Image Playground」にコーディングできるようになります。記述ツールは、編集可能な標準のTextViewを使用するアプリで、SiriKitをインストール済みのアプリユーザーは、その新機能に自動的にアクセスできるようになります。また、サードパーティアプリのためのApple Intelligence機能へのアクセスを強化するために、さまざまなカテゴリーでフレームワークがアップデートされます。
AdAttributionKitによる計測やソリューションなど、Appleが提供する最新機能については、Adjust担当者までお問い合わせいただくか、デモをお申し込みください。
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