遺伝子工学 / Gene Engineering
Science
動物由来の栄養素を植物に生成させる手法、中国の研究チームが考案
動物由来の食品にしか含まれない特定の栄養素を植物に生成させる技術を中国の研究者たちが開発した。まだ概念実証の段階ではあるが、将来的に持続可能なかたちで栄養素を生産できるバイオファクトリーとなる可能性を秘めている。
By Ritsuko Kawai
Science
CRISPRで風味改良された“ゲノム編集サラダ”、今秋一般向け展開も
カラシナは栄養価は高いが、辛味と苦味が強い葉物野菜だ。そこで、ゲノム編集技術「CRISPR」を使い、栄養価はそのままに風味を抑え、食べやすくしたカラシナが開発された。このカラシナは、早ければ2024年秋頃から米国で一般消費者向けに流通する見通しだ。
By Emily Mullin
Science
初のブタ腎臓移植の患者が死亡、その功績が患者や研究者たちに残したもの
遺伝子改変したブタの腎臓の移植を生きている人間として初めて受けたリチャード・スレイマンが、移植手術から約2カ月で死亡した。家族はスレイマンが移植を待つほかの患者たちに楽観的な見方を提供したことに慰めを感じているという。
By Emily Mullin
Science
遺伝子改変されたブタの腎臓移植、今度は心臓ポンプを装着した患者で成功
遺伝子改変されたブタの腎臓を移植する新たな手術が成功し、ニュージャージー州に住む54歳の女性が2人目の生存者となった。心臓ポンプを装着した患者への初の移植成功事例となり、拒絶反応を防ぐためにブタの胸腺も移植されたことが特徴だ。
By Emily Mullin
Science
体内で“ミニ肝臓”を育てる手法は、移植用臓器不足の解決策になるか
移植用の肝臓が不足するなか、あるスタートアップが人の体内で肝臓を育てようという試みを始めている。それは、ドナーの細胞をリンパ節に注入することで、“第二の肝臓”に変えてしまおうというものだ。
By Emily Mullin
Science
ブタ腎臓移植の患者が退院、遺伝子改変による「異種移植」は新たな段階へ
遺伝子改変されたブタの腎臓を移植された米国の男性患者が、このほど退院した。医療チームには今後、患者の拒絶反応を抑えながら腎臓を確実に機能させ続けるという重大なミッションが待ち受けている。
By Emily Mullin
Science
遺伝子改変されたブタの腎臓、ヒトへの移植に初めて成功。「異種移植」への追い風になるか
遺伝子改変したブタの腎臓を62歳の男性患者に移植することに、米国の医療チームが世界で初めて成功した。この成功は、臓器移植が必要な患者に、容易に入手できる安全な臓器を「異種移植」で提供する時代に向けた第一歩となる。
By Emily Mullin
Science
脳死患者につないだブタの肝臓が3日間機能、ゲノム編集が示した新たな治療の可能性
ゲノム編集を施したブタの肝臓を脳死状態の肝不全患者に体外接続し、3日間にわたって機能させることに米国の研究チームが成功した。人体に長期的に適合するかはまだわからないが、「異種移植」が肝臓移植を待つ人々の選択肢のひとつになることが期待されている。
By Emily Mullin
GENE EDITING
ゲノム編集技術を活用した治療法を万人のもとへ:ジェニファー・ダウドナ──特集「THE WORLD IN 2024」
医療分野で実際に力を発揮し始めたゲノム編集技術「CRISPR」。しかし、費用や設備などの課題は残っている。次に目指すのは、コストやアクセシビリティを改善した治療法の確立だ。
By Jennifer Doudna
Science
遺伝性疾患を「B細胞」の編集で治療、初の臨床試験を実施
B細胞は身体を病気から守る抗体を多量に生産している。遺伝性疾患であるムコ多糖症 I 型に対抗するため、B細胞を遺伝子編集し、体内に戻したことを米国の企業であるImmusoftが発表した。B細胞はほかの細胞よりも改変は難しいとされている。
By Emily Mullin
Science
ブタからヒトへの2例目の心臓移植患者が死亡、「異種移植」への逆風に懸念
拒絶反応が起こらないよう遺伝子操作されたブタの心臓を移植した2例目の患者が、このほど手術から6週間で亡くなった。期待が高まっていた動物からの「異種移植」にとって、患者の死が逆風になる可能性が懸念される。
By Emily Mullin
Science
ブタからの腎臓移植でサルが2年超の生存、ゲノム編集による実験成功が示す「ヒトへの移植」の実現性
ゲノム編集したブタの腎臓を移植したサルを2年以上にわたって生存させることに成功したとの研究結果を、米国のバイオ企業が発表した。この結果は、将来的にブタの臓器をヒトに安定的に供給できる時代が到来する可能性を示すものだ。
By Emily Mullin
Business
“ゲノム編集された野菜サラダ”が食卓にやってきた
ゲノム編集ツール「CRISPR」を用いたカラシナの流通が、米国で始まろうとしている。野菜の辛みを抑えて食べやすることで栄養不足解消などを目指す試みだが、ゲノム編集食品を本格的に普及させるためには技術の透明性を確保し、消費者に明確なメリットを提供しなければならない。
By Emily Mullin
Science
遺伝子組み換え作物は欧州に“上陸”するのか。深刻な干ばつで規制緩和の機運が高まっている
遺伝子組み換え作物やゲノム編集作物が厳しく規制されてきた欧州で、これらの規制を緩和しようとの機運が高まっている。きっかけは気候変動に伴う干ばつの影響で、農作物の収量減が深刻なレベルに達したことだ。
By Matt Reynolds
Science
自然環境に介入するためのバイオテクノロジー:AS A TOOL特集/BIOTECHNOLOGY
自然環境の変化に適応するには、いま手にしているテクノロジーの有効活用が重要だろう。遺伝子解析の研究にかかわってきたジーンクエスト代表の高橋祥子は、最先端の科学的知見をベースとして「自然環境に介入する」ためのシステムを提示する。(雑誌『WIRED』日本版VOL.45から転載)
By Shoko Takahashi
Science
気候変動に対抗できる食用植物を生み出せる? 高温で破壊される免疫システムを“再生”する新技術の可能性
地球温暖化などによる高温で破壊される植物の免疫システムを再生する手法を、米国の研究チームが見つけ出した。野菜や穀物などに応用できれば、気候変動による気温上昇に対抗できる品種の育成にもつながるかもしれない。
By Gregory Barber
Science
害虫に“組み込まれた退化”が農業を救う? 遺伝子組み換えされた幼虫で食害を防ぐ試みの賛否
遺伝子組み換えした幼虫を放つことで、世界中でトウモロコシやコメの食害の原因となっている虫の繁殖を阻止する試みが始まった。“組み込まれた退化”によって殺虫剤を使わずに食害の原因となる昆虫の個体数を減らす狙いがあるが、その安全性や環境負荷の観点から反発の声も上がっている。
By Eric Niiler
Science
中東を代表する食材をゲノム解析したら、結果は「意外な発見」に満ちていた
ニューヨーク大学アブダビ校の研究チームが、ナツメヤシの実やバスマティ米、ハムールという魚などの中東を代表する食材のゲノム解析に取り組んでいる。その分析結果は、雑種の起源や隠蔽種といった意外な発見に満ちているだけではない。さらには品種改良や種の保全にも貢献する可能性を秘めている。
By Matt Smith
Science
これからのコロナウイルスとの闘いでは、ゲノム編集技術「CRISPR」が有力な“武器”になる
コロナウイルスをはじめとする感染症との闘いに、ゲノム編集技術「CRISPR」を活用しようとする研究が、学術界の内外で進められている。その実用化までの道のりは長く険しいが、方法が確立されれば、あらゆるコロナウイルスと戦える万能な治療法になる可能性を秘めている。
By Steven Levy
Science
イカには遺伝暗号を自ら編集する“特殊能力”があり、人間の遺伝子治療を進化させる可能性がある:研究結果
ある種のイカは、細胞核の外でメッセンジャーRNAを編集する能力をもつことがわかった。RNA編集はDNA編集よりも簡便で安全性が高いとされることから、この発見はヒトの疾患の遺伝子治療を進展させるきっかけになるかもしれない。
By Eric Niiler