VOL.34

VOL.34 ナラティヴと実装 のカバーイメージ

ナラティヴと実装

[NaN, 10]

2019.09.13 発売

¥1111(税別)

CONTENTS

『WIRED』日本版VOL.34は、2020年代に向けて社会実装の可能性を探るべく「ナラティヴと実装」を総力特集。IDEAS + INNOVATIONSを掲げる『WIRED』日本版はこれまで、0から1を生み出すアイデアやイノヴェイションの最前線に身をおいてきた。しかし、本当に困難で死屍累々の墓場となっているのは、実は0→1ではなく1→10の実装局面ではないだろうか? そんな仮説から始まった本特集は、プロダクトやビジネスモデル、クライメートアクションからLGBTQIA+までの社会課題、あるいは特区や規制といったルールまで、2020年代の主戦場で展開されるあらゆる実装に迫っていく。デジタルにおいて「計算不能」を意味する[NaN]がイノヴェイションの培養地となり、そこにナラティヴが生まれることで社会へと実装されていく[NaN→10]の一気通貫から見えてきた、2020年代の実装論。

グレタ・トゥーンベリ、アリ・ポッパー、濱口秀司、石川善樹、小泉英明、佐々木康裕、水野 祐、エヴァン・バーフィールド、ジャネール・モネイ、池田純一、アニー・リーボヴィッツ、川田十夢、ほかが登場。


24

REBEL FOR LIFE

未来のための金曜日
グレタ・トゥーンベリ16歳、大人に「おとしまえ」を求めてストライキ

125カ国で100万人以上の若者たちが参加した、「未来のための世界気候ストライキ」は、驚くほど日本では知られていない。ストックホルムに住む16歳のグレタ・トゥーンベリが、気候変動に対する政府の無策に抗議するために始めた学校ストライキは、SNSによって瞬く間に世界に拡散された。いま目の前で起こっている気候変動と一生を過ごすのは、まぎれもなく彼女たちの世代なのだ。世界のリーダーたちに「いま」アクションが必要だと呼びかける“子どもたち”の声は、大人たちにとってもはや無視できないものになっている。

40

SCI-FI PROTOTYPING

仮説→検証→科幻→実装
ナラティヴで“未来”をデザインせよ

現実世界のテクノロジーが、SF的夢想を追い越さんとしている ── 。そんなささやきに思わずうなずいてしまいそうになる昨今だが、われ知らずビジネスの文脈に染まったイマジネーション(バイアスと呼んでもいい)を解きほぐすのに、文学的想像力が功を奏するケースは思いのほかあるかもしれない。そのとき召喚され得る手法のひとつが「SFプロトタイピング」だ。ナラティヴによって実装を促すことは、果たしてどこまで可能なのだろうか。『WIRED』日本版を黎明期から支えるライター、アサシンこと吾奏伸が「模範演技」を披露する。

56

The Art of Deployment

実装はプロダクト至上主義から世界観至上主義へ
佐々木康裕

Warby Parker、AWAY、Casper、hims ……。2010年代のリテールを席巻するD2C(Direct To Consumer)ブランドは、どのようにしてスケールしていったのか。その躍進は、“実装屋”たるDEPLOYERSの存在をなくしては語ることはできない。ブランドの世界観をいかにして実装するか。DEPLOYERSの技法をTakramディレクターの佐々木康裕と探る。

70

NEW RULES FOR THE NEW ERA

2020年代をサヴァイヴするためのルールメイキングの流儀
水野 祐

オルタナティヴな価値を実装しようとするプロダクトやサーヴィスは、それが「新しい」ゆえにルールが未整備だ。ルールメイキングが社会の新たなナラティヴを生み出す営為であるならば、スタートアップあるいは政府は、いかにルールと向き合うべきか? 法律家・水野祐とその流儀を探る。

96

IDEA / DECISION-MAKING / EXECUTION

稀代のイノヴェイター・濱口秀司の「アタマのなか」を構造化する

いかに難しい問題であっても、必ずその場で答えを出す。その驚異的な光景から、海外では「東洋の神秘」とすら称される日本人がいる。その名は濱口秀司。日本が世界に誇る天才イノヴェイターだ。過去の慣習にとらわれることもなく、また未来という甘美な響きに溺れることもなく、徹底して現実と向き合い革新を起こし続けることが濱口という男の日常だ。そんな濱口に石川善樹(予防医学博士)が密着し、「実装」のポイントを訊いた。

144

WIRED SPECULATIVE ZONE

来たれ! スペキュラティヴ・ゾーンへ

ドローンや自律走行車といったモビリティの実験から民泊や都市開発、オープンカフェといったエリアマネジメントまで、実はわたしたちの生活の隣りにはさまざまな「特別区域」が存在し、新たな社会実験が行なわれている。ならば、本当にそこで「実装」したいものは何だろうか? 『WIRED』が構想する特区(スペキュラティヴ・ゾーン)をここに宣言しよう。

172

TOUR DE FORCE

神話の終焉と、残された「希望」
アニー・リーボヴィッツ

「スター・ウォーズ」シリーズ第1作から40年以上の時を経て、スカイウォーカー家の物語はクライマックスを迎えようとしている。時代は大きく変化する一方で、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を通じて、監督のJ.J.エイブラムスはいかに過去と未来のストーリーを接続し、この偉大なる神話を語り継ぐのか ── 。次の世代に向けた「物語」の制作現場を、写真家アニー・リーボヴィッツが撮り下ろした。

198

Way Passed Future

連載 川田十夢の「とっくの未来」
第12回 鬼ごっこと地獄変


8

Editor’s Letter