VOL.29

VOL.29 African Freestyle のカバーイメージ

African Freestyle

ワイアード、アフリカにいく

2017.09.11 発売

¥630

CONTENTS

9月11日発売の『WIRED』日本版VOL.29は、「African freestyle ワイアード、アフリカにいく」特集。「アフリカに未来はある」とはよく言われるけれど、それがぼくらが想定している「既知の未来」であるなら、それはおそらく「未来」ではない。予断をもたず徘徊すること。カメラマンは現地調達すること。取材相手もできるだけ現地でみつけること。虚心坦懐に耳を澄まし、無理に答えを出さないこと。『WIRED』日本版スタッフエディター3人による、フリースタイル・アフリカ行。1冊まるごと、アフリカ特集号!


24

Chapter 1-1<br>Cape Town|ケープタウン(南アフリカ)

フリーダムベイビーズの覚醒

アパルトヘイトが撤廃され、黒人による政権が樹立した1994年。その歴史的な年の前後に生まれた世代を、この国では「フリーダムベイビーズ」と呼ぶ。自由であることとは、自分自身が何を選び、何者であるかを問い直すことだ。南アフリカで「わたし」が「わたし」であることを認められた初めての子どもたちは、いま何を求め、何を選び、何と戦っているのか。

32

Chapter 1-2<br>Johannesburg|ヨハネスブルク(南アフリカ)

無法都市はカナンになる

南アフリカ最大の人口を有する大都市ヨハネスブルクには、「野生」と「美しさ」とが同居している。この街は、よそ者によって野蛮だと決めつけられた言葉をしなやかにかわし、自分たちによるナラティヴを獲得していく過程にあるのだ。変化し、更新を続けているさまを、この街の建物に、人に見つけた。

38

Cape Town & Johannesburg

他人がつくった物語はいらない

1994年以降、南アフリカに起きた人種の融合は、この国をどう変えたのか。四半世紀近くが過ぎたいまも変化を続ける2つの都市で出合ったのは、自らのアイデンティティを問い直そうとする多様な若い声と、愛すべき図太さだった。

48

Chapter 2-1<br>Kigali|キガリ(ルワンダ)

虐殺からのテックシティ

1994年の大虐殺を経て、ルワンダは奇跡の再生を遂げた。命を救うテックイノヴェイション、アフリカをデザインする未来の建築家たち、彩り溢れるアートシーン。逆境のなかでも、人々は希望を見出した。自分たちの国を、社会を、自らの手でつくっていくことを決めた。

62

Chapter 2-2<br>Nairobi|ナイロビ(ケニア)

ナイロビ・ルネサンスがはじまる

ケニアに存在する44の部族の伝統と、世界のカルチャーが入り交じる大都市ナイロビ。多様で、エネルギーに満ちたこの街で、若者たちによる新たなクリエイティヴムーヴメントが生まれている。それはいま、インターネットを介して世界にも影響を与えつつある。

58

Kigali & Nairobi

毎朝、希望をもって世界を眺めること

虐殺後に奇跡の発展を遂げたキガリと、クリエイティヴムーブメントに沸くナイロビ。環境は違えど、そこで出会った企業家やクリエイターたちは、みなポジティヴだった。自分たちの未来を、初めて自らの手でつくるチャンスを手に入れたからだ。

104

Chapter 3-1<br>Lagos|ラゴス(ナイジェリア)

鳴りやまない歌、オーガニックな夜

「この街の人間は、みんな自分のことしか考えていない」クルマを運転する写真家が、無茶な割り込みに腹を立てて叫ぶ。頼るべきシステムがない街、ラゴスでは、オーガニックに成長しなければ、サクセスするどころか、生き残ることすら難しい。そして、だからこそ夜は長い。人がつながり、ともに未来をつくるために。

124

Chapter 3-2<br>Accra|アクラ(ガーナ)

分散する、創造する、発電する

これは停電だ─。到着から2日目、ホテルのクーラーが止まる理由がようやくわかった。行政がうまく機能しないアクラでは、何かが停止したとき、また動き出すまで待たなければならない。電力に限らず、交通、ファッションからデザインまで、あらゆる分野で立ちはだかる困難を、テクノロジーやカルチャーは、したたかにチャンスへと変えていく。

114

Lagos & Accra

ジェネレーター・ジェネレーション

賄賂や停電が当たり前の場所で、スタートアップやカルチャーはいかにして生まれるのか? 「ハッスル」する現地の人々との対話からオーガニックなアフリカンイノヴェイションの美しさを読み解く。

42

In & Out of Africa 1<br>Roger Ballen

境界はどこにでもある

ヨハネスブルクの閑静なエリアにあるオフィスに一歩足を踏み入れると、そこは、作品のイメージ通りの混沌たるオブジェクトで満たされていた。迎えてくれた67歳の写真家、ロジャー・バレンは、哲学的な物言いで語り出した。

78

In & Out of Africa 2<br>Vagabon

わたしはちっぽけな魚

カメルーン生まれ、ニューヨーク育ち。どこにも自分の居場所がなかった女の子は、音楽を通じて自分に出会い、「インディロックのゲームチェンジャー」とまで評されるようになった。“シャーデーの声をもったソニックユース”、ヴァガボンことレティシア・タムコのメッセージ。

100

In & Out of Africa 3<br>Pop Caven

Tシャツとアイデンティティ

未来はアフリカ文化にある─ナイジェリア出身のキュートな姉妹が手がけるブランド、ポップケイヴンのステートメントは、そんな言葉で締めくくられている。キャッチーなデザインに込めたアフリカ文化の新しいストーリーテリングについて、姉妹に訊いた。

83

14 Visions Curated by Nataal

アフリカンクリエイター 14の視点

ファッションや音楽、アートなど、アフリカ文化の最前線を伝えるオンラインジャーナルとして、2015年に英国で立ち上がった『Nataal(ナタール)』。今回『WIRED』は、そのファウンダーのひとりで編集長を務めるヘレン・ジェニングスにキュレーションと解説を依頼し、14人のクリエイターによる誌上エキシビションを実現。アフリカンクリエイティヴの世界的ウォッチャーが伝える、新しいヴィジョン。

19

Think Mobility, Think the Future

モビリティを考えると これからの社会が見えてくる

クルマの自律走行などがもたらすモビリティの未来は、決して技術の進化だけによってもたらされるものではない。ぼくらの社会は既存の枠組みからのアップデートを迫られているのだ。『WIRED』日本版のウェブ特集「Future Mobility 2017」始動に合わせ、未来のモビリティについての論点を考える。

10

Editor’s Letter


134

Way Passed Future<br>連載 川田十夢の「とっくの未来」

第7回 機械翻訳と「ことば」の課外授業

文学はときに、「ジャンル分けされる前の未来」を記述することがある。その痕跡を見いだし「いま」と接続することで、文学もテクノロジーも新たなパースペクティヴで捉える本連載。今回、編集部からの「アフリカ」というお題に対し、川田十夢がある言語学者をフックアップした意図とは。