シャオミの「Redmi Note 13 Pro+ 5G」は、高機能モデルと張り合える中堅スマートフォンの代表格:製品レビュー

シャオミが日本市場に投入した中価格帯のスマートフォン「Redmi Note 13 Pro+ 5G」。優れたディスプレイを備えていて滑らかに動作し、十分なストレージ容量を搭載するなど、高価格機と互角に渡り合える中堅スマートフォンの代表格といえる。
「Redmi Note 13 Pro 5G」レビュー:高機能モデルと張り合える中堅スマートフォンの代表格
Photograph: Xiaomi

中価格帯のスマートフォンは、最上位モデルとの差を着々と縮めている。高価なフラッグシップ機はいまだに多く存在するが、それをもつメリットが減少の一途をたどっているのだ。

最近のフラッグシップ機に搭載されている独自機能は、どのほど役に立つのだろうか。そこは意見が分かれるところだ。こうしたなかシャオミの「Redmi Note 13 Pro+ 5G」は、はるかに高価な機種と互角に渡り合える中堅スマートフォンの代表格といえるだろう。

Redmi Note 13 Pro+ 5Gは見た目が美しく、優れたディスプレイを搭載し、滑らかに動作し、十分なストレージ容量がある1台だ。カメラの性能は信頼のおける水準で、充電速度も速く、耐久性と防水性にも優れている。

確かにサブカメラは貧弱だし、ワイヤレス充電には対応せず、シャオミのソフトウェアで“妥協”する必要はある。だが、すべてを手にできると考えるほうが間違いだろう。Redmi Note 13 Pro+ 5Gは、英国では449ポンド、欧州では499ユーロ(日本での価格は59,800円から)と、比較的手ごろな価格設定になっている。

優れたデザインに十分以上の性能

最近のスマートフォンはデザイン性が低下しており、中堅モデルは凡庸なものに収まりがちだ。しかし、Redmi Note 13 Pro+ 5Gはデザイン面でも優れている。両面の曲面ガラスを金属製フレームではめ込んだおなじみのデザインだが、スリムで洗練されている。

レビュー機の色はオーロラパープルで、背面に美しいマット加工と、その上部に特徴的な幾何学的な装飾が施されている。微妙な色合いの変化によって、片側にあるカメラレンズともう片方にあるフラッシュ、そして「Redmi」のロゴが際立つ仕組みだ。

そのデザインはバッテンバーグケーキを連想させる。ミッドナイトブラックやムーンライトホワイトも用意されているが、パープルがいちばん見栄えがいいと感じた。

PHOTOGRAPH: SIMON HILL

本体の下部にはSIMトレイとUSB-Cポートが設けられており、右側面上部には通常の電源ボタンと音量調節ボタンが配置されている。3.5mmのイヤフォンジャックは見当たらない(Redmi Note 13より下位のモデルには、まだ搭載されている)。

6.67インチのAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)ディスプレイは美しい仕上がりだ。下部には指紋認証センサーを備えていて、上部にはフロントカメラ用のパンチホールがある。指紋認証センサーはおおむね反応が良好だが、ときおりロック解除の際に親指を何度か押さえなければならないことがあった。

120Hzのリフレッシュレートに対応したディスプレイは、絹のような滑らかな動作を楽しめる。だが、標準設定は60Hzで、調節する機能はない(1Hzまで調節できるディスプレイは消費電力が少ない)。

画面はシャープで明るく、明るさが最大時のピーク輝度は1,800ニトに達する。このため屋外で画面を見る際もまったく支障を感じなかった。Dolby VisionとHDR10+にも対応している。映画やゲームの映像はきれいに映り、まずまずのステレオスピーカーも搭載されている。ただし、Bluetooth 5.3経由でヘッドフォンやイヤフォンにつないだほうがいいだろう。

この価格帯のスマートフォンとしてはうれしいことに、IP68等級の防水・防塵性能があり、ほこりや水について心配する必要がない。また、画面のガラスにコーニングの「Gorilla Glass Victus」を採用したことで、ディスプレイの保護も問題ない。これらの2つは、中価格帯のスマートフォンが妥協しがちな部分である。

PHOTOGRAPH: SIMON HILL

Redmi Note 13 Pro+ 5Gは、英国では12GBのRAMと512GBのストレージ容量となる[編註:日本では8GB/256GBと12GB/512GBの2モデル展開]。プロセッサーは「MediaTek Dimensity 7200 Ultra」で、スペック上では競合に劣るものの、個人的には何の問題も感じなかった。ウェブサイトの閲覧からメール、動画撮影へと切り替えても、もたつきは見られない。「Dead Cells」を長時間プレイした後は少し発熱したものの、フレームレートは安定していた。

Redmi Note 13 Pro+ 5Gのバッテリーの持続時間は良好で、頻繁に使用する日でもバッテリー切れを起こすことはなかった。軽く使用する程度でゲームもしなければ、充電間隔を2日程度まで伸ばすことも可能だろう。

レーシングゲーム「アスファルト9:Legends」を20分間ほどプレイしたところ、バッテリーは6%減少した。バッテリー容量は5,000mAhで、同梱される120Wの充電アダプターを使えば、約30分で残量ゼロからフル充電できる。

3眼カメラの能力は玉石混交

Redmi Note 13 Pro+ 5Gには3眼カメラが搭載されているが、その能力は玉石混交だ。メインカメラは200メガピクセル(2億画素)でF値が1.65、1/1.4インチのイメージセンサーを採用していており、光学手ぶれ補正機能を搭載している。

標準設定されているピクセルビニング(複数の画素をひとつにまとめて感度を上げる機能)によって、12.5メガピクセルで高画質の画像を生成できるが、200メガピクセルをフル活用する撮影をカメラアプリから選択することも可能だ。なお、2倍ズームと4倍ズームは、メインカメラで撮影した画像を切り抜くだけの仕様となっている。

PHOTOGRAPH: SIMON HILL

メインカメラで日中に撮影した写真は被写界深度もまずまずで、細部まで鮮明にとらえることができる。一方で、露出は常に適切とはいかず、色が飽和して見えることもあった。撮影したいくつかの写真では、あたたかみのあるピンクの色調が目立っていた。

メインカメラで被写体をタップしてピントを合わせれば、自然なボケを演出できるほか、背景をよりはっきりボカしたい場合はポートレートモードも用意されている。また、日が沈むとノイズが目立ち始め、明るい部分が白飛びする場合もあった。そんなときはナイトモードで静止したまま撮影すれば、それなりの写真を撮影できる。

期待外れだったことは、メインカメラのそばに並ぶ凡庸な8メガピクセルの超広角カメラと、ほとんど使い物にならない2メガピクセルのマクロレンズだろう。超広角カメラはやや寒色寄りの写真を撮れるが、メインカメラよりはるかにノイズが多く、光量が少ないと厳しいものがある。

マクロレンズはピントがボケた低解像度の写真しか撮影できないようで、存在意義をまったく感じられなかった。メインカメラのほうが接写でもきれいに撮れる。とはいえ、大半の人は主にメインカメラを使うだろうから、サブカメラのお粗末な出来は大した問題ではないかもしれない。

なお、これらとは別に、自撮りやビデオ通話用の16メガピクセルのフロントカメラもしっかりしたものが用意されている。動画は最高画質で30fpsの4Kを選択できるが、1,080pなら最高240fpsまで撮影可能だ。実際に撮影した動画は、それなりに滑らかで鮮明に見えた。

価格のわりに優れた製品

カメラの性能にばらつきがあることに加えて、もうひとつの大きな不満点としてソフトウェアが挙げられる。Redmi Note 13 Pro+ 5GのOSはAndroid 13をベースとしているが、その上に動作が重くてイライラさせられるシャオミの「MIUI」が採用されている[編註:日本仕様はAndroid 14がベースの「Xiaomi HyperOS」を搭載しており、状況が異なる]。また、3年間のAndroidのアップグレードと4年間のセキュリティアップデートが提供されるが、これは消費者が望む最低限のサービスだろう。

それに英国モデルでは、即座にアンインストールしたくなるようなアプリやゲームが山ほどインストールされていた。しかし、このスマートフォンには「Google Playストア」が標準搭載されているので、大容量のストレージにお気に入りのアプリを自由に追加できるのはうれしい点だ。

通信規格は5G通信に対応している。Wi-Fi 6EやWi-Fi 7には対応していないが、Wi-Fi 6には対応しており、ほとんどの人はこれでこと足りるだろう。

結局のところ、シャオミのRedmi Note 13 Pro+ 5Gは価格のわりに優れた製品だ。購入を検討するに際して最大の問題は、「POCO X6 Pro 5G」など同等のスマートフォンが100ポンド(約1.9万円)近く安価なことである。この価格帯の製品としては、グーグルの「Pixel 7a」やサムスンの「Galaxy A54 5G」も検討すべきだろう。

◎「WIRED」な点
美しいデザイン。大画面のAMOLEDディスプレイ。滑らかな動作。十分なバッテリー持続時間。急速充電。IP68等級の防水性能。大容量なストレージ。

△「TIRED」な点
ワイヤレス充電に対応しない。ブロートウェア(プリインストールされた不要なアプリ)がてんこ盛り。カメラの性能は玉石混交。

(Originally published on wired.com, edited by Daisuke Takimoto)

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